[0319] クリエータ汎用(≠標準)RGB→CMYK設定条件の提案

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0319 1999/05/11.Tue発行
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●クリエータ汎用(≠標準)RGB→CMYK設定条件の提案
 構成:柴田忠男 解説:笠井享

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 1999情報通信月間講演会 森川眞行

●現在募集中



クリエータ汎用(≠標準)RGB→CMYK設定条件の提案
構成:柴田忠男 解説:笠井享
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9日に「日本語の文字と組版を考える会」主催で、「カラーマネージメント」
のセミナーを開催した。講師は笠井享さんである。申し込みの出足は鈍く、
テーマがテーマだけに、参加者は150名くらいかなと予想した。内容はそうと
うにお勉強モードなので、机がないと話にならない。150名でちょうどいいと
思っていた。ところが、セミナー前日にどどっと駆けこみ申し込みがあって、
あれよあれよという間に250名を超える申し込みになった。

当日は通常4列の机を5列にし、うしろは椅子席にした。早い者順にいい席が
確保できるわけだ。それでほぼ満席、200名を超える人が、GWあと最初の疲れ
た日曜日に勉強に集まったのだ。

タイトルは「カラーマネージメントの謎 ColorSyncのしくみと具体的設定方
法」というもので、基礎的な色の理論から始まる本当にお勉強であった。
Photoshop5による実践編、応用編の話は興味深く、Photoshopを用いた効果的
なプレゼンテーションにより、よく理解できた。普通はパワーポイントなどの
プロジェクタ投射プレゼンになるが、笠井さんのプレゼンはPhotoshop でレイ
ヤーをたくみに使い、かきこみもスイスイできる素晴しいプレゼンだった。

セミナーの内容はおいおい「日本語~会」のWeb でも公開される予定だが、こ
こではデジクリ諸君にとって悩みの種になっている「RGB→CMYK変換」につい
て報告する。

あるイラストレーターさんは悩みをこう打ち明ける。

「これまでですと“ポジ入稿”であれば特に問題はなかったですし(ポジはRG
Bデータから作れます)、データ入稿の場合でも、RGBのままで渡してしまって
「鮮やかにお願いします!」と付け加えておけば(おそらく印刷までの工程の
間のどなたかが変換されていたのでしょうが)、それほど大きな失敗にはなっ
ていませんでした(今思うとかなり無理矢理なやり方ではありましたが...)。
というよりもキレイに仕上がって来ることの方が多かったと思います。おそら
くそこの印刷の特質等を熟知した方が、それに合わせて色の変換をしてくれて
いたのでしょう。

ところが、ここ半年ぐらいの間に急にどの仕事もデータ入稿の場合には、私の
方で『CMYKでのデータ提出!』を義務づけられるようになってしまいました
(DTP 化が進んだ結果、いちいち一つ一つのデータ変換に対応していることが
できなくなってしまったのでしょう)。同時にDTP の割り合いも増え、私自身
の仕事でも、2~3年前までは7割がたポジ入稿だったのが、現在ではポジ入
稿はたった5%ぐらいしかありません。

急にそのような事態になってしまっても、これまでCMYKに色変換するノウハウ
は必要なかった私にとっては、頭の痛い問題となってしまいました」

彼はCMYKでデ-タ入稿してくれという仕事で、自分なりに納得して納めたCMYK
データだったが、結果は予想よりもヒドイもので、その後データの色調整を繰
り返すこと数回に及んだとのこと。

「ただ私が思うに、RGBで作品を仕上げる作家に対して、CMYK まで責任を持た
せるのはどうか? という気もするのですが...。何だか、印刷会社の責任の
がれではないか?という気がしてならないのですが」もっともな意見である。

当日は、会場からイラストレーターの吉井宏さんも同様の質問をした。司会者
であるわたしも、RGB→CMYK 変換の特効薬について重ねて聞いた。笠井さんは
明快な回答をした(その内容はまたレポートするとして)。RGB→CMYK 変換の
「ある公式」を笠井さんが披露した。

このレポートを書くにあたり、笠井さんに「わたしはメモできなかったのであ
の『公式』を送ってください」と依頼したら、デジクリ用として、即座に文章
化して送ってきてくれた。ありがとうございます!

┌─────────────────────────────────┐
  ■RGB派のあなたがCMYKデータの提供を求められたらどうするか?
  笠井 享
└─────────────────────────────────┘
ペインターなどのペイントソフトでイラストなどを描き、RGB画像として作品
を作っているあなたが、入稿時にRGBではなくてCMYKデータをよこせ!と、
わがままなクライアントや印刷会社から要求されたらどうするか?

この問題は、デーテーピーが世に出てから今日まで連綿と続いているが、日本
のギョーカイでは未だ「解」を作り出すにいたっていない。なぜか?
…という、ギョーカイの悪口を言ってもしかたがない。とりあえず、こうした
らそこそこの「CMYKになるよ」という手法を紹介しよう。

注意してほしいのは、印刷の条件で設定が大幅に異なるにもかかわらず、経験
的にこうすれば「とりあえず」汎用的な変換結果になるよ…という報告である
ことだ。

そもそも印刷側が提示するべき設定条件であるにもかかわらず、彼らからクリ
エータにサポートがないから、ではこれを「クリエータ汎用(標準ではない)」
にしては? と提案しているにすぎない。元来、印刷側が、「これこれしかじ
かの設定で変換してくれれば、きちんと印刷します」と指導してしかるべきこ
となのだが…。

●条件
Mac OS8.1以上
ColorSync2.1以上
Photoshop5を使う

●準備編
1:Photoshop5を使おう。
2:ファイルメニューの「RGB設定」で、モニタプロファイルを吐き出す。
【手順】
・RGB設定ダイアログにて、ガンマに「1.8」を入力
・白色点(色温度)にて「5500K」を選択する。
・RGB色度座標にて「ソニートリニトロン」を選択する。
・ダイアログの「保存」をクリックして、設定を保存する。
※保存された設定ファイルは、実はColorSyncのモニタプロファイルとなって
いる。
3:システムフォルダ直下の「ColorSync特性」フォルダ内に今保存した設定
ファイルを移動する。
※ColorSync2.1ユーザは「ColorSync特性」フォルダが「初期設定」フォル
ダ内にあるのでそちらへ移動する。
4:Macのコンパネ「ColorSync」を開き、「システム特性」ポップアップから
今保存したプロファイル名を読み込む。
5:Photoshop5のファイルメニューの「プロファイル設定」を開き下記のよう
に設定する。
・「プロファイルを埋め込み」の全チェックボックスをオフに
・「初期設定プロファイル」の3つのポップアップから「なし」を選択
・「一致しないプロファイルの処理」をすべて「無視」に

●RGB準備編
1:念のためにMacを再起動する。
2:Photoshop5を起動する。
3:RGB設定ダイアログをオープンし、一番上のポップアップから「モニタRG
B」を選ぶ。
※ガンマ、白色点、RGBの各設定は、先の準備編と同じ内容になるはずだ。
4:同ダイアログの一番下「モニタ:」欄には 先に保存したときに付けたファ
イル名が見えているはず。
5:「モニタ補正を行なって表示」チェックボックスをオンにしておく。
6:制作したRGB画像をオープンする。もし、気に入らない点があるなら修正し
ておこう。

●ここまでで何をやったか編
自分のモニタがどのようにチューニングされているかどうかなどとは無関係に、
強制的にRGB画像のカラースペースをごくオーソドックスな設定にした。
特に、上記手順を行なうと、RGB画像のナマデータがそのままモニタに垂れ流
される状態、すなわち、Photoshop5のおせっかいによるRGBカラーの補正表
示を事実上キャンセルしたことになる(ほんとうはこの「おせっかい」に大変
すぐれた点が多々あるのだがこれを話し始めると大変なので…)。

「素」のままのRGBがモニタに向かって垂れ流されている状態だ。
これはPhotoshop4までの時代のRGBカラーを見ているのと同じだし、大半の
その他のペイントソフトでRGBカラーを見ているのと同じということでもある。
ためしに、RGBファイルをPICTで保存し、SimpleTextでオープンしてみれば、
同じカラー表示となっていることが分かるはずだ。

「素」であるからと言っても、自分がモニタハードウエアをただしく調整して
いない場合は、シャドウがつぶれているとか、グレーに色かぶりがあるとか、
そういう状態になっているかも知れないが、この点は、この解説では触れない。
モニタの調整は、自分の責任である。各種書籍などを参照してちゃんとやって
欲しい。

●CMYK変換編
1:Photoshop5のファイルメニューから「CMYK」設定を選択。
ダイアログにて…
・「CMYKモデル」ラジオボタンを「内蔵」に
・「インキの色特性」を「東洋インキ(コート)」を選択【※1】
・「ドットゲイン」欄に「20」と入力 【※2】
・「色分解」の種類は「GCR」を選択
・「墨版生成」で「軟調」を
・「墨インキの制限」に「95」を
・「インキの総使用量の制限」に「335」を【※3】
・「UCA(下色追加)の量」は「0」を
2:一応この設定を保存しておこう
3:OKを押して作業画面に戻る
4:RGB画像を「イメージ/モード」メニューにて
「CMYK」カラーに変換⇒はいできあがり

※1:たとえDIC のインキを使って印刷するとわかっていても東洋インキ選択
する。なぜかって?Photoshop5が内蔵しているDIC の選択肢って、経験的に
何かおかしい…。理論的裏付けはないけれど…

※2:CMYK 変換してうまく行かない場合の多くの理由が、このドットゲイン値
の設定にある。20を基準にして最大=23、最小=15くらいの間に最適な値があ
る。20とは若干明るめに変換される推奨値である。数値を小さな値にすると
Photoshopは「あぁユーザの印刷はドットゲインが少ないんだな!」と判断し
て、ドットゲインが少ない印刷条件でも印刷できるようにCMYK データを逆に
暗いめに変換するという「数値とは逆」の力学を働かせる。

私の経験では20という大きな値でCMYKにしておけば、「インキを盛る(=こっ
てりと仕上げる)」のが好きな日本の印刷屋さんの場合、間違っても濃くなり
過ぎることがないので安全だ。昔から言われている『盛りやすい版を作れ!』
に対応した手段である(私はこの考え方には反対だが、現実なので仕方ない)。

※3:印刷会社によっては「335」なんて低すぎると言う方もいる。が、実際
は320くらいしかインキは刷り重ねることはできない。経験則だが、ここの値
を330前後にしておくと、印刷版の上でちょうどよい320程度になってくれる
ことが多い。

●その他編
RGBの段階でアンシャープマスク処理を施しておこう
回転や変倍もRGB段階で!

●最後に
ここに紹介した方法は、あくまでも「汎用的」だと経験的に判断して紹介して
いる方法である。「汎用的でない」印刷をしている印刷会社も多いからご注意。
そのような印刷結果に遭遇したら、その後は、汎用的でない印刷をするのなら
RGBで出稿するからそちらでCMYK対応して!とお願いするしかない。

誰もが標準を決めない(決めても従わないし、決めた標準が現実離れしている
し、トホホ)今日の状況ではしかたあるまい…。

笠井さんへのアクセスは、カラーマネージメント関連専用アドレスへ。
cms@infoarts.co.jp

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森川眞行/Silicon Cafe'主宰・Webデザイナー  morikawa@siliconcafe.com
大阪芸術大学美術学科卒業。元関西DTP協会会長。日刊デジクリアソシエーツ。
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発行   デジタルクリエイターズ
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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
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