[0409] 珍しがられる「名前」について

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0409   1999/09/04.Sat発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 13939部
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 <もうすぐ1万4千部!> 

●デジクリSPECIALコラム
 珍しがられる「名前」について
 十河 進

●展覧会案内  
 クロスコピーライト・グループワーク展「mixsix」
 web上での期間限定企画展。只今開催中! 9月14日まで

●展覧会案内
 Patente Visual Wonderland 展
 「パテンテが”むすんそう”にやって来た!」

●アンケート
 メディアアートに関する作品と技術の権利保護と利用等についての実態調査



■デジクリSPECIALコラム
珍しがられる「名前」について

十河 進
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ヴォーグ・ニッポンの創刊は、今年一番の出版界の出来事だろう。7月の発売
日の前に新聞15段全面広告を3日間続けて打った。編集長が宮沢りえと対談す
るという広告もあり、リード文に十河洋美と出て「そごう」とルビが振られて
いた。あれ以来、「ご親戚ですか」と何人にも聞かれた。

珍しい名前、は得か損か。編集者などをやっていると得なこともある。初めて
の人に会ったとき、相手は「お珍しい名前ですね」と、とりあえず話のきっか
けができるようだ。そんなときに用意しているエピソードがある。

「いやー、昔、自転車の無灯火でお巡りさんにつかまりましてね。『あんた、
名前は』と聞かれたので、『そごうです』と答えたら『勤め先、聞いてんじゃ
ない』と叱られました」

ここで、笑ってくれない人もいる。

そこで、もう一押しする。「取材先でドアベルを押して『そごう、です』と名
乗ったら、出てきた相手は片手にハンコ、持ってました」というやつである。
それでも、キョトンとしている人がいる。

相手は「そごうデパート」が頭に浮かばなかったのだ。

関東では大宮とか横浜とか千葉とか柏とか周辺で出店しているので、東京の人
にはあまりなじみがないのかもしれない。有楽町には昔からあるのだが、あま
り存在感のないデパートである。僕だって、読売ホールにいく用事がなければ、
一生足を踏み入れなかっただろう。でも、読売巨人軍が優勝してセールをやる
のは、そごうデパートだけだ(と思う)。

我が家は柏なので、子供たちは小学校時代「デパート、デパート」と囃し立て
られた。小学生の頭なんて、その程度である。

昔、池袋西武で買い物をして届け先の住所氏名を聞かれたので答えたら、笑わ
れた。デパートの店員の反応なんて、その程度である。

現在、僕は「そごうカード」を持っているが、sogo susumuと刻印されており、
まるで見本のカードみたいだ。一郎とか太郎なんて名前だったら、ほんとの見
本カードになってしまう。

デパートのそごうは漢字で書くと「十合」のはずだ。

以前、名刺交換したとたん「そごうさんは、四国のご出身ですか」と聞かれた
ことがある。えっ、と反応すると「『信長の野望』をやっているものですから」
と言う。なるほど、戦国時代の地図を見ると、四国・香川県の領主は十河家で
ある。

実は「十河同族会」という組織がある。年に一度、鎧甲に身を固め馬に乗って
練り歩くという。僕は実際に見たことはないが、地元にいる両親は参加したこ
とがあるらしい。

毎日新聞社にいた十河某さんは郷土史家で十河家の歴史をまとめた「城と炎と
血天井 十河二万石始末」なる立派な本を出し、十河同族会中心に売ったのだ
が、その口絵写真に同族会の連中が練り歩く姿が写っていた。

歴史小説を読んでいると十河が時々登場する。先日も池宮彰一郎の「島津奔る」
を読んでいたら一カ所に登場した。島津とは大分で戦った仲である(何だか自
分が戦ったみたいな書き方だけど)。

最も出番が多いのが司馬遼太郎の「夏草の賦」だ。主役が四国制覇をめざす長
曾我部元親だから、出番が多いのは当たり前。当時、十河一存(かずあり)と
いう武将がいて、鬼十河と謳われた。

僕は瞬間湯沸かし気味のところがあるので、もしかしたら陰で鬼十河と言われ
ているかもしれない。「鬼」と呼ばれる編集長にはなりたいと思ってはいるの
だが、それほど強い人間ではないので、ついつい軟弱になる。

前述のヴォーグ・ニッポンの十河編集長は、僕とは違って大変優秀な編集者ら
しく、婦人画報社で「MCシスター」編集長になったのが30歳そこそこ、その後
「25ans 」を成功させた編集長だと聞いた。おそらく、日経コンデナスト社に
ヘッドハントされたのだろう。

ヴォーグ・ニッポンのスタッフリストを見ていたら特集記事担当シニアエディ
ターの欄に井上明久さんの名前があった。中央公論社でマリ・クレールの編集
長をしてい人だ。現在、DG(デジタルグラフィ)で人物写真を撮ってもらって
いるフォトグラファーの加藤孝に紹介されたことがある。加藤孝は昔からマリ
・クレールで写真を撮っているのだ。

元「マリ・クレール」編集長と元「25ans 」編集長がいる編集部って凄そうだ
が、相当に力の入っている雑誌なのだろう。アメリカの雑誌王国コンデナスト
としては、失敗はできない日本上陸である。フランスの雑誌王国アシェット・
フィリパッキの婦人画報社買収といい、日本は女性誌にはいいマーケットなの
だろうか。

これ以上出して、どうするの。

ところで、ヴォーグ・ニッポンという誌名で気になるのは、ニッポンである。
昔から僕はニホンと発音し、そう読んできた。ニッポンでもニホンでも通じる
が、ニッポンという語感には右翼的・軍国主義的・自民党的匂いがする。僕だ
けでしょうか。

いざゆけー、若者~、ニッポン男児~

最後に弁解しておきますが、十河家は1589年に改易になっています。我が家の
先祖は、江戸時代から水飲み百姓(これは差別語か)でした。ビンボー人です。

日刊デジクリ編集長の柴田さんは、昔から(かつて同僚時代)僕のことを「社
内一のビンボー人」と呼んでいじめてくれました。そこで「ええ、昨夜も風呂
場で赤貧洗ってました」などと、答えていたのですが………。

【そごう・すすむ】DG@genkosha.co.jp
玄光社入社以来、8ミリ映画誌、カメラ誌、ビデオ誌を経て月刊コマーシャル・
フォト副編集長をつとめ、現在は季刊DG(デジタルグラフィ)編集長。ヴォー
グ・ニッポン2号を見たら、巻頭にサイン入りで編集長の言葉がまた入ってい
た。どうでもいいことだが「十河」の字の崩し方が気になってしまう。編集長
の巻頭エッセイなら、やはり月刊 NAVI の鈴木正文さんがいい。エンスー文庫
「○と×(まるくす)」も以前に買った。2年ほど前、テレビ局からの電話を
とったら「徳大寺有恒さんの連絡先教えて」といきなり言う。「うちは玄光社、
二玄社さんとお間違えでは?」と答えたら、いきなり切られた。

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■展覧会案内  
クロスコピーライト・グループワーク展「mixsix」
web上での期間限定企画展。只今開催中!9月14日まで
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とある掲示板での「作品を切り貼りするのって楽しい」って話から始まったこ
のmix6。簡単に言えば「完成された作品をみんなで持ち寄って、それを素材と
してそこから新しいものを作り上げよう」って企画です。

参加した一人として、参加者全員の互いの信頼関係を軸に、純粋に他の方々の
作品が「素材」として使えるという夢のような企画でした。完成された作品か
ら新しいものを造るっていうのは、それ自体がスゴク興奮出来て、楽しかった
のですが、もちろんのこと大変に難しいものでした。しかし、それらがこんが
らがって、そこからまた新しい別の視点・観点が見えてきたりと、新しい発見
の連続でした。

観に来ていただく方々にも、こういう企画につきまとうであろう「著作権」や
「デジタルにおけるコピーへの懸念」などといった難しい話題は隣へ置いてお
いて、単純に面白そうだなっていう興味をもってもらえればと思います。観て
いただければ、mix6参加者達がホントに楽しんで造っているっていうのが分か
っていただけると思います。

そして、観ていただいた方が、このmix6のアプローチからなにか新しい視点な
どを見つけることが出来たとしたならば、こんな嬉しいことはありません。

巣瀬和俊-Kazz Suse- with "Luke the puppy" !!
kazz1200@i.bekkoame.ne.jp
http://www.bekkoame.ne.jp/i/kazz1200/

「mixsix」web上での期間限定企画展。只今開催中! 9月14日まで。
http://www.babybunny.org/mix6/

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■展覧会案内
Patente Visual Wonderland 展
「パテンテが”むすんそう”にやって来た!」
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口上:昨年、原宿に現れたパテンテ。今度は中野(新中野)にやってきた!こ
こは古い民家を改装し、土壁に囲まれたちょっと怪し気な空間。パテンテが仲
間と共にやってくる。どんなふうに皆さんと出会うか?

会期 9月3日(金)から8日(水)12:00~8:00pm(最終日6:00pm)
   会場 ギャラリー 無寸草 東京都中野区本町6-13-10
   03-3229-0107(会期中のみの有効)
交通 地下鉄丸の内線 荻窪行き「新中野」駅下車、杉山公園方面出口3分。

コメント:「パテンテ」とは、生物なのか、ヒューマノイド型のロボットなの
か、サイボーグなのか? そのどれでもあり、どれでもないのが「パテンテ」
である。ミラノのとある古城に誕生した「パテンテ」は、迷宮の街ベネチアに
舞い降りた。そしてヨーロッパ、アジア、北米、南米へと巡る旅が始まる。目
ざすは太陽神殿「ティアワナク」。だが、その旅路は「パテンテ」の果てしな
い旅のほんの序章に過ぎない、、。

こんなイメージを思い描きつつ、5年ほど前から「パテンテ」をめぐる物語を
制作してきた。「パテンテ」の旅は、不思議な街や人々との出合いの旅。本個
展では、この「パテンテ」シリーズの作品と、ギャラリー無寸草をモチーフに
した作品とを織りまぜ紹介する。

大型プリンターによる出力、プロジェクターやパソコンを使った展示、様々な
グッズの販売等。不思議で楽しい展示空間を演出します。

作家情報 倉嶋正彦 Masahiko Kurashima
1975年東京デザイナー学院グラフィックデザイン科卒。イラストレーション、
ビデオアートを手掛け、83年よりCG制作を開始し、現在、印刷物、映像、テレ
ビ番組タイトルなどの分野でフリーのビジュアリストとして活動中。94年より
「パテンテ」シリーズを制作、98年「パテンテ」個展を開催。また、ダンサー
とのコラボレーションによるCGビジュアルも展開中。
   
E-mail patente@pop11.odn.ne.jp
http://www1.odn.ne.jp/~kurashima/

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■アンケート
メディアアートに関する作品と技術の権利保護と利用等についての実態調査
「CG-ARTS・メディアコラボレーションスペース」構築に向けて
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<以下は主催者情報>

CG-ARTS協会では、CGやweb、ゲーム、アニメ等のメディアアートに関して、作
品と技術の権利保護とその利用等について実態調査を行ないます。

この調査を元に、アーティスト、クリエイター/研究者、技術者/利用者を結
ぶ場として「CG-ARTS・メディアコラボレーションスペース」をweb上に構築す
ることを計画しています。

是非ともアンケート調査にお答え頂き、皆様のご意見を聞かせください。
(お答えいただいた300名の方に気持ちばかりのお礼も用意しています)

[調査期間]8月26日(木)~9月12日(日)

[調査対象とアドレス] 
  ●アーティスト /クリエーター
http://www.cgarts.or.jp/MCS/enquete/artist.html
作品制作を実践し、発表の機会や権利保護、ビジネスチャンス
について関心をもたれている方へ

●研究者/技術者
http://www.cgarts.or.jp/MCS/enquete/researcher.html
研究、あるいは技術開発を行ない、発表の機会や権利保護、ビジ
ネスチャンスについて関心をもたれている方へ

●利用者(個人・団体・企業・学校)
http://www.cgarts.or.jp/MCS/enquete/user.html
作品や完成した研究、技術の情報、アーティストや研究者の人材
情報を利用したいとお考えの方、また、それらの人々に情報発信
をしたいとお考えの方へ

[メディアコラボレーションスペースについて] 
http://www.cgarts.or.jp/MCS/mcs.html

[お問合せ先]
 〒104-0031 東京都中央区京橋1-11-2
 CG-ARTS協会 MCS担当
 tel:03-3535-3501 fax:03-3562-4840
 
 <http://www.cgarts.or.jp/festival>

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■編集後記(8/28)
・編集後記に対して抗議っぽいメールもかつてはもらったが、さいきん思想的
なことや個人の好き嫌いをあまり書かなくなったので、平和だ。前橋市の丹羽
さんからは「こちらでは、夏を通してほとんど蝉の声がしません。~こんなに
蝉の鳴かない土地は不気味に感じます」というお便り。フシギだ。来年、行っ
てみます。その方面の名水を訪ねて、高崎で鳥めし弁当買って帰る作戦。東京
都中央区の藤田さんからは「うちでも週に1度ぐらいカレーを作るのですが、
水の代わりにホールトマトを入れてもおいしいですよ」というご提案。トマト
は好きだけど、トマトジュースは大の苦手、果たしてどうなるか? ともに発
行直後にメールをいただき、うれしいな。こんな具合に勝手に引用させてもら
っちゃいますが、お便りください。投稿も大歓迎ですよ。(柴田)

・何故かいまごろハーゲンダッツの抹茶にハマル。おいしい。(hammer.mule)

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発行   デジタルクリエイターズ
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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

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 担当:濱村和恵
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