[0459] 後ろ向きのデザイン

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0459   1999/11/05.Fri発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 14268部
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 <マックから黒い煙がモクモクと上がり……>

●デジクリトーク
 後ろ向きのデザイン
 須貝 弦
 
●デジクリトーク 
 マックってバクハツするの?
 柴田敏明

●イベント案内
 アート&テクノロジーの国際会議「デジタル・ルネッサンス in けいはんな」

●シンポジウム案内
ペーテル・クルマン氏と語る《オン・デマンド出版の力》



■デジクリトーク
後ろ向きのデザイン

須貝 弦
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最近、あなたのいちばん気になることはなんですか? F1のチャンピオンは
決まったし、日本シリーズもとっくに終了。ラブ・マシーンはミリオンセラー
になっちゃって破防法も改正間近ってことで、あとは介護保険問題と工藤のF
Aレッズの2部落ちあたりでしょうか。私の関心事は、東京モーターショーで
あります。

で、忙しいあまりにそのモーターショーに行きそびれてしまった。正確には、
原稿執筆の段階ではまだ会期が残っているが、時間が取れないのである。ただ
幸いなことに、各出版社からモーターショー速報が別冊で出ていたり、雑誌の
特集になっていたりするので、それを本屋で立ち読みすることによってだいた
いの目的は達成してしまっているのだが。

今年のモーターショーの特徴として、「あまり期待を感じさせない」というの
がある。これは2輪の方が顕著だ。モーターショーというのは、思わず「欲し
い!」と叫んでしまうような新型モデルや、メーカーや業界の方向性を感じさ
せるコンセプトモデルがあってこそ魅力的なのだが、今年のモーターショーに
はそれがないのだ。だから、本屋の立ち読み程度で済ませてしまうことができ
る。実はここ数年、同じような状況なのだが。

ご存じない方もいると思うが、日本は世界一のバイク王国である。ホンダ/ヤ
マハ/スズキ/カワサキと、ラインアップが多くて世界中に輸出している大メ
ーカーが4つもある国は、日本くらいなのだ。アメリカはハーレーだけに等し
いし、ドイツはBMWだけと言っていい。

その国内各メーカーがショーに出しているものは、あまりにも現実的だ。しか
も、かなりユーザーに媚びているし、他人が作った流行の後追いをしている。
ヤマハのヒットモデルに「YZF」というシリーズがある。これは、今まで見
たこともないような鋭角的なボディに、まるでウルトラマンかと思ってしまう
ようなデザインの2灯ヘッドライトをつけているのだが、日本の他の3メーカ
ーは、そろって同じような(というか、ほとんど同じだ!)のデザインのバイ
クを発表した。もしApple だったら確実に訴えているだろうってくらいソック
リなモノを、揃いも揃って作るなんて……。

また、後ろ向きなモノがとっても多い。どう後ろ向きかというと、「どこかで
見たことあるような」とか「昔こういうのあったよね」的なモノばっかりなの
だ。確かに、「レトロ」とか「復刻」っていうムーブメントは存在する。スニ
ーカーなんて復刻だらけだしな。だけどその一方で、新しいスニーカーだって
いっぱい出てきている。でもバイクの場合は、今や「後ろ向き」がメインにな
ってしまっているのだ。

ちょっと歳のいった人、ホンダのCB750を覚えているだろうか? 今年の
ホンダは、CB750とほとんど同じ形をしたモノを「試作車」として出して
きた。昔のモノを復刻して、一部を現代的にリファインして……というのなら
わかるが、わざわざ昔のものと同じものを新しく作ろうという姿勢が、私には
イマイチわかりかねる。ホンダの文句をもうひとつ言うと、トランスルーセン
トのスクーターも出品した(幸いなことに市販はされないらしい)。

日本のバイクメーカーは、新しいものやオリジナリティに溢れるものを作るの
は、もうやめてしまったのだろうか? 昔あったものや人マネみたいなモノを
作って、世界に輸出しようとしているのだろうか? 私は、バイクメーカーで
マーケティングをしている人や、デザインをしている人のことが本気で心配で
ある。

だって、ロックやポップスよりフォークが売れるからって、みんなで街頭でジ
ャージ着て歌っているようなモノだよ、今のバイク業界。そりゃ、下手にロッ
クするより「ゆず」をコピーするほうがモテるだろう。でもね、モテる/モテ
ないとは別の次元で、どこかへ突き進んでいくことも必要なんじゃないの、モ
ノを作る人なら。まぁ、大企業にそこらへんを期待するなってことなんでしょ
うな。

【すがい・げん】gsugai@hh.iij4u.or.jp
新宿の東急ハンズで、マウンテンバイクを見た。欲しいけれどお金がないのだ。
しばらく乗らない間に、進化がすごいことになっている。前後ディスクブレー
キやリヤのモノコックサスペンションなど、ほとんどバイク(モーターサイク
ル)並みではないか!

・ちょっと歳のいったわたしですが、件のホンダ車はありありと思いうかべる
ことができる。わたしの少年時代はモペット全盛で、自転車屋や農機具屋まで
モペット作っていた。ライラックとかタスとかトーハツとか、かっこよかった
~。高校のときはスポーツカブにヘルメットなしで通学もした。さいきんの楽
しみは浦和に光岡自動車を見にいくことである。免許はナイ。(柴田)

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■デジクリトーク 
マックってバクハツするの?

柴田敏明
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パソコンに関するトラブルは100台あったら100通りのトラブルがあるも
のですが、僕が体験したトラブルは世にも恐ろしいトラブルでした。

日頃つかっていたPower Macintosh 8600/200はいままで特に大きなトラブルも
なく、スイスイと動いてたくさん働いてくれていました。もともとコンペの賞
品としてもらったものでしたが、新品ではなく、初期生産の不良品を回収修理
したもので、言ってみれば、中古と新古の間のような製品でした。パソコンを
使い慣れている方なら経験上おわかりと思いますが、発売したばかりの製品と
いうのはなにかとトラブルの多いものです。できれば初期生産品は買うのをさ
けて、製品が安定した頃の商品を買いたいものです。ハードだけでなくソフト
でも同じことが言えますよね。

パソコンはイラストを描くのに使っているので、ほとんど1日中つけっぱなし
の状態ですが、このパソコンをもらって2年ほどたったある日のこと、仕事が
ひとくぎりしたので電源を落とした後、ちょっと忘れていたことがあったので
もう一度起動しようとしました。しかし、起動しませんでした。ハテ?どうし
たんだろう?この後、どんな手を使っても起動しませんでした。

きっとこれはパソコンの中にあるリチウム電池が切れたんだと思い、まず、カ
バーを開けて、ボードを壊さないように慎重にリチウム電池を取り出しました。
そして、それを持って次の日にリチウム電池を買いにいきました。この時はこ
れで簡単に直って解決すると思っていたのです。しかし...。

新しいリチウム電池をパソコンに入れても動きませんでした。周辺機器をすべ
てはずして、コンセントも一度はずしてからつけなおしてもパソコンは起動し
てくれません。困った、仕事があるのにこのメインのマシンが動かなかったら
生活できない。パソコンは使えても直すことはできない。だいたい、どうして
ブラウン管に映像が写っているのかよくわからないし、昔は、レコードの溝に
1本の針しか降りてないのに、左右のスピーカーから別々に音が聞こえてくる
のが不思議でした。機械ってわからない。

もうお手上げなので、さっそく、アップルのサービスセンターに持っていきま
した。数日後、サービスセンターから修理が終わったと連絡があり、引き取り
にいってみると、パワーサプライが壊れていたということで、修理費は4万円
でした。これで安心。すぐに帰って仕事再開だ。あー、よかった。と、この時
はこれでちゃんと直って解決すると思っていたのです。しかし……。

家に持ち帰って、周辺機器も全てつないで準備OK。起動をしてみるとちゃん
と動きました。そのまま仕事を始めて約6時間後、草木も眠る夜中のことでし
た。「バチッ!」という音とともに突然モニターの画面が真っ黒になり画像が
消えてしまいました。その直後、マックから黒い煙がモクモクと上がりはじめ
ました。マックの中でなにか燃える音が小さく「パチパチ」と聞こえ、それは
だんだん大きくなりました。このまま燃えるか、バクハツするかと思った僕は
あわててコンセントを抜きました。

あー、これでまた仕事ができなくなる。絶望でした。おまけに部屋の中はめち
ゃくちゃクサイし。机の上には黒い灰が降ってるし。これってダイオキシン入
ってない?しかたないので、次の日にまたサービスセンターに持っていきまし
た。担当の人は申しわけなさそうに機械を引き取りました。

しかし、いつ燃えるかわからないパソコンを使うのは恐いので、新品交換して
くれたらいいのに、などと思っていましたが、約20日ほどたってから、パワ
ーサプライの再交換、CD-ROMの交換、ロジックボードの交換をされて、このパ
ソコンは戻ってきました。これで、ちゃんと動いてくれるんだろうな。と、こ
の時は思っていたのです。しかし……。

家に戻ったパソコンにはもう出番はありませんでした。家にはもうPower Mac
G4が代わりのマシンとして動いていたのです。そりゃ、そうですよ。20日も
たてば違う機械で仕事やってますよ。修理済のマックは一応電源を入れてみた
のですが、とりあえず動きました。ただ、プラスチックの溶けた匂いが染み付
いてファンがまわるとクサイです。使っていてあまり気持ちのいいものではあ
りません。

もうじき事務所を構える予定なので、そっちでG4は活躍してもらいますから、
修理済のマックは自宅用としてまた使う予定ですが、夜中にマックだけでレン
ダリングとかは恐くてできないですね。

しかし、このトラブルで唯一よかったことといえば、あわててG4/400を買った
おかげで台湾の地震の影響でメモリの値段が上がる前だったのと、クロック数
が下がりG4/350になる前だったのとで出費と性能の低下がおさえられたことに
あります。しかし、台湾には僕も友だちがいるので本当に早く復興してもらい
たいです。がんばれ台湾。

【しばた・としあき】ko-shiba@kcn.ne.jp
http://www1.kcn.ne.jp/~ko-shiba/
イラストレーター、ディジタル・イメージ会員。
最近発売された、MdN特別号「フォトショップの達人7」に作品が載ってます。
見てね。

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■イベント案内
アート&テクノロジーの国際会議「デジタル・ルネッサンス in けいはんな」
http://www.keihanna-plaza.co.jp/KRI/
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<以下は主催者情報>
下記で申し込みをしてください。(参加無料・先着200名)
http://www.keihanna-plaza.co.jp/KRI/

21世紀を目前にして社会に通用する価値観が大きく変わろうとしている。私
達の今までの方法は、変化し、新しく正しい価値を見い出すための「直観力」
が必要になる。テクノロジーを真に私達の潤いのために活用するために。科学
技術はアートを分析し、工学的に感性や意識、無意識を情報として測れるよう
になってきている。そして、芸術家は、自らの感性を論理の世界に変換して認
識技術、人工知能を絵筆にして表現を行なう。さらに、波動やフローエネルギ
ーのような未知のテクノロジーをも包摂したメディアによる創造の可能性を秘
めている。未来の子供達の教育は、文と理の融合された学問体系に変わるだろ
う。このようなアートとテクノロジーの融合が、新たな価値観を産み出し、我
々の社会・生活を大きく揺るがすであろう。新しい価値観のキーワードは何か
?これらは、何を生産し、我々の生活に何をもたらすのか?
Directed by土佐尚子(ATR)

講演:
土佐尚子(アーティスト/客員研究員、ATR知能映像通信研究所/神戸大学客員
助教授)
廣瀬通孝(東京大学 先端科学技術研究センタ- 教授)
バーバラ ロンドン(フィルム&ビデオ部門主任学芸員、ニューヨーク近代美
術館)
中津良平(ATR知能映像通信研究所社長)
坂根巌夫(岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー 学長)
ロイ アスコット(哲学者, 英国ウエールズ大学、同プリマス大学、アート&テ
クノロジー研究所教授)
ステファン ベントン(マサチューセッツ工科大学高等視聴覚研究所所長、同
大学メディアラボホログラフィ研究グループリーダー)
ロドニー ブルックス(マサチューセッツ工科大学人工知能研究所 所長)
ジルベール デュテルトル(INA 国立視聴覚技術研究所、フランス)
クリスタ ソムラー(アーティスト/客員研究員、ATR知能映像通信研究所)

作品展示:ATR知能映像通信研究所・公団学研都市展示館・けいはんなプラザ

・Naoko Tosa"無意識の流れ","Romeo & Juliet in Hades","Neuro-Baby[MIC]"
・Christa Sommerer "PICO_SCAN", "Life Spacies II"他.

・Dr.柴田崇徳 機械技術研究所ロボット工学部バイオロボティクス研究室
・猫ロボット「たま」協力:(株)オムロン
・あざらしロボット「ごま」協力:三協アルミニウム工業株式会社
・SONY ロボット犬「アイボ」

日程 11月10日(水)~11日(木)
会場 けいはんなプラザ 
スケジュール サイトで確認してください
主催 (財)関西文化学術研究都市推進機構,(社)関西経済連合会
共催 (株)ATR知能映像通信研究所

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■シンポジウム案内
ペーテル・クルマン氏と語る《オン・デマンド出版の力》
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11月22日(月)新宿・紀伊国屋ホールにおいて、『本とコンピュータ』編
集室・大日本印刷が、スウェーデンの詩人ペーテル・クルマン氏を招聘して、
オン・デマンド出版の可能性を探るシンポジウムを開催する。

日時 11月22日(月)14時~16時(開場13時)
会場 新宿・紀伊国屋ホール(新宿東口・紀伊国屋書店本店5階)
会費 500円
定員 400名(先着)

講演:ペーテル・クルマン〈世界にさきがけて行なわれたスウェーデンでのオ
ン・デマンド出版は、出版事情の悪化によって少部数出版物の生命が危機にさ
らされたことから起った。オン・デマンド出版の意義、それにたいする出版業
界や読者からの反響、現状の問題点まで、実体験をもとに語る〉
パネルディスカッション:松田哲夫、津野海太郎
司会:室謙二
世界のオン・デマンド本の展示、『本とコンピュータ』編集室が11月11日
から実験的に販売を開始する「HONCO on demand」本の展示即売もある。

アクセス 『本とコンピュータ』編集室(担当:矢羽田、松井)03-3266-4270

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■編集後記(11/05)
・「DIME」に「黒い家」の貴志祐介のインタビューが載っていて、映画化
のときは大竹しのぶしかないとホラー大賞の選考時から名前があがっていたと
いう。また映画は小説にほぼ忠実だ、とも。見たいなあ。ところでまた「ガラ
かめ」だが、わたしの好きなキャラクターは水城さんと源造さんである。屈折
しているかもしれないが……。毎晩1冊だから、まだまだ読めるぞ。(柴田)

・恋愛能力指数テスト。私の結果は「おかまいなしタイプ」。どれも平均値以
上で、恋人共感力に関しては174。平均127で、人並み以上の恋愛能力があるの
だそうだ。でもさぁ、素直に自分の気持ちを伝えられないんじゃ、恋愛にすら
発展しないよねぇ。未だに小学生並みの表現しかできないのよん。指数よりも
実行力か? うむむ。(hammer.mule)
http://www5.big.or.jp/~seraph/zero/bin/lq.cgi

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■ 日刊デジクリは投げ銭システム推進準備委員会の趣旨に賛同します ■
http://www.shohyo.co.jp/nagesen/ <投げ銭システムをすべてのhomepageに>
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発行   デジタルクリエイターズ
     <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

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 担当:濱村和恵
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