[0468] ゲーム関連の専門学校の講師となる

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0468   1999/11/16.Tue発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 14372部
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 <過酷な労働・薄給に耐える人に限る>

●デジクリトーク
 ゲーム関連の専門学校の講師となる
 カネマキトモコ

●デジクリトーク
 NPO、市民活動に対するデザイン支援
 Civic Design Centerの発足
 高橋 晃

●デジクリWebサイト案内
 「マッカー」11月15日更新

●展覧会案内
 町田市立国際版画美術館第5回「アート・オン・ザ・ネット」展



■デジクリトーク
ゲーム関連の専門学校の講師となる

カネマキトモコ
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先週は風邪をひいてさんざんでした。本土の人間が沖縄に移住してきて2年目
には必ず大きな風邪をひくそうです。まだ本調子とはいえない体が憎い……。

沖縄。

かわれるかもしれない、という思いを抱いてはいましたが、なんといっても沖
縄は未踏の地。それほどの期待を抱いていたわけではありませんでした。飛行
機に乗るのさえはじめてだったのですから。なにもなかったとしても3カ月く
らいぼんやりと「人生のバカンス」でもとって東京に帰ればいいと、そう思っ
ていました。今思えばそれは大きな間違いだったのですが。

そして私は空港に降り立ちます。それは忘れもしない4月の夜のことでした。
高校の修学旅行の時につかった大きなドラムバッグに、つめこめるだけの荷物
をつめこんだ当時22歳だった私を、むわっとした空気が包みます。それは海
からの風のにおいと、そして南国の空気、でした。

空港に迎えに来てくれた友達につれられ、彼女の部屋に向かいます。彼女の部
屋は西原、という沖縄本島の中部よりの場所でした。

彼女の部屋にはモデム内蔵にもかかわらず、ワープロにしか使用されていない
パソコンがあり、私はすぐにそのパソコンのセットアップにとりかかりました。
勤めていた出版社での下積み生活のおかげで、そこそこパソコンが使えるよう
になっていましたから、そのPCをインターネットにつなげるくらいのことは
朝飯前でした。そして人様のPCを使いまくりのインターネットライフがはじ
まりました(いや、電話代は払いましたが)。

しばらくぼんやりとPCのセットアップをしたり、海にでかけたりしていまし
たが、さすがにそろそろ働かなければやばい、と思い始めた私は、就職情報誌
を手にとります。そこに偶然あったのが、某専門学校の講師募集でした。

「業界経験者優遇」と書かれたその言葉にふらふらと誘われた私は沖縄につい
て2週間後、そのままゲーム関連のその学校の講師となります。新設1年目で
上司も講義の内容がよくわからないような状態(にもかかわらず、開講するな
んてすごいかもしれない)で、私の講師生活が始まりました。

これは最近知ったことなのですが、本土からいわゆるクリエイター系の人が沖
縄に移住する場合、専門学校講師という道を選ぶことは比較的多いようです。
理由として、県内に東京の現場で働いていた人間(あるいはそれと同レベルに
ある)はそう多くないということ、そしてそれなりの給与を「本土から呼んだ
人間だから」という理由で与えられることがあげられるかと思います。ここで
も沖縄県の人材の少なさ(地方都市だから、といってしまえばそれまでですが)
が露呈しているのかもしれません。

さて、私が講師としてまずはじめにしたことは、東京から届きたてのPCを8
台セットアップすることでした。それもNT機。ここだけの話ですが、私はそ
こそこPCが使えたとはいえ、この世の中にWIN95以外のウィンドウズ機
が存在するなんてことをその瞬間まで知りませんでした(笑)。そしてそれら
にパスワードをいれ、ソフトをインストールし、苦労したのを覚えています。

研修はなかったのかといわれそうですが、ありませんでした。カリキュラム+
講師の技量に合わせた授業展開、とういうと聞こえはよいですが、私は別にゲ
ーム開発者ではありませんでしたから、それはそれは大変でした。生徒は全部
で7人(少ない…)。18歳を主な年代層とした男の子ばかり。そして彼らと
格闘(笑)する日々がはじまります。(つづく)

【かねまきともこ】tomoco@love-create.com
1975年生まれ。横浜出身。沖縄在住。インターネットウルマ編集長。先週
の風邪は本当にもう最悪でした。みなさんも風邪にはお気をつけ下さい。

インターネットウルマ
http://www.u-r-u-m-a.co.jp/

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■デジクリトーク
NPO、市民活動に対するデザイン支援
Civic Design Centerの発足

高橋 晃
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先日、「かながわWeb コンテスト」終了の懇談会で、審査員を務めていただい
た「青空文庫」の富田倫生さんとお会いした。「青空文庫」をNPOにしよう
かと考えていられるようだ。「青空文庫」は「電子出版」の最先頭を走ってま
すます充実してきているが、その分富田さんの負担も尋常でなく大きくなって
いるらしい。切実に事務局スタッフを募集中とのことだ。

電子書籍フォーマットの策定や、オンデマンド出版など「電子出版」をめぐる
動きが喧しいなか、老舗の「青空文庫」はどこへ行こうとしているのか? お
そらく富田さんの動向がひとつの方向を決める重要な鍵を握っているのではな
いか? 

そんな富田さんにゆっくりと考える時間を与えたいと思う次第。是非どなたか
彼のヘルパーを買って出てくれないだろうか。(事務局は横浜市西区にある。
通勤可能な方で、過酷な労働・薄給に耐える人に限るそうです)

「青空文庫」 http://www.aozora.gr.jp/

個人ではじめた「青空文庫」も活動が活発になるにつれて、「組織」やら「運
営」やら、なるべく遠ざかっていたい事柄に入り込まざるを得なくなってきた
……そこでNPOという発想が生まれたようだ。

ご存じのように、昨年12月にNPO法(特定非営利活動促進法)が施行され、
99年6月時点で全国で約240団体がNPOの認証を受けている。NPOの
認証を受けると、税制優遇をはじめとして、市民活動としての社会的認知、活
動の幅の拡がりが大きく期待できる。

反面、「法人」としての社会的責任が生じることによって、団体の運営に関し
てシビアさが求められ、目的の明確さと持続性が重要なテーマとなってきた。
「市民活動」の意識が大きく変わろうとしているのだ。いままでスタッフの自
己犠牲に負っていた「日本的ボランティア」も変革の機会が訪れたと言える。

「非営利」といえども、目的を持った活動を行なうには持続性がなくてはなら
ず、事務所の維持や職員の給料など、運営に必要な費用は稼いでいいことにな
っている。また、目的に添った活動資金なら蓄えてもOKだ。利益を「配当」
してはいけないだけで、その他の活動は一般の企業とほとんど変わらない。

アメリカでNPOを「スモールビジネス」と呼んでいる所以である。アメリカ
には1000万を超えるNPOがあり、これらは連邦・州政府あわせたよりも
多い職員を雇い、アメリカのGNPの15%を占め、その予算総額は、世界第
8位の国家の予算規模に相当するという。ベンチャーもまず、NPOからスタ
ートして、という図式もかなりあるようだ。

法による認証を受けている、いないに関わらず、市民活動はこのような意識変
革をしつつある。しかし、資金力とノウハウが不足しているので、なかなか企
業と同じ様なスタイルをとれずにいるのが現状だ。

特にデザイン面での「遅れ」が目立つ。相変わらずの手書きのポスター、読み
にくいパンフレット、一本調子のホームページ……。彼らにとって「コミュニ
ケーション」こそが最大の武器となるのに、その手段である「情報デザイン」
の術をほとんど持ち合わせていないのは実にもったいない。

これは、私たちデザイナーにも責任の一端があると思う。私たちはあまりにも
「商業デザイン」に目を向けすぎていなかったか?「市民」とは隔絶したとこ
ろにいながら、「市民」に語りかけるという自家撞着に陥ってなかったか?

インターネットの普及のおかげで、市民はデザインを身近に感じ始めている。
若いWeb デザイナーたちは自分と市民の隔たりを解消するものとしてデザイン
を感じている。インターネットの世界ではデザインは使い捨てではなく、持続
して、コミュニケーションを活性化する手段として、つまり、本来の意味を取
り戻しつつあるのだと思う。デザインは社会的価値の交換システムの重要な手
段だ。そういう自負なくしてはデザイナーの社会的地位も向上しない。

「情報デザイン」という視点に立ったとき、デザイナーはもっと社会とコミュ
ニケートしなければならない。私は私自身のためにひとつのプロジェクトを立
ち上げようと考えている。

いままでデザインと無縁だったNPOや市民活動の団体に対して、デザイン支
援を行おうというものだ。「支援」といっても無料ではない。日本のNPOが

アメリカのように順調に発展していけば、デザイナーは企業からの受注と同じ
ように、NPOからデザインを受注できるはずだという発想である。おそらく
デザイン料は1/3とか1/10とか「格安」になるに違いないが、締切に追
われ値段をたたかれ自身を切り売りするような仕事に比べればずっと精神的に
健康だ。

登録デザイナーはまだ3名で、準備段階だが、今回のデジクリでの発表をもっ
て正式に募集開始としたい。基本料金を決めた方がよいのか、それともケース
バイケースなのか、会の運営はどうするかなど細かいところはまだこれからだ
が、デザイナーを集めつつ、仕事も受注を開始する。ご質問、ご意見、そして
登録の希望をお待ちしています。

【たかはしあきら】mailto:info@kip.or.jp
グラフィックデザイナー、Web デザイナー。KIP/神奈川インターパブリシ
ング協会という団体の会長をやっていますが、勇み足が多いので会の発展にあ
まり寄与していません。柴田さんにはシンポジウム等に何度かお越しいただい
てお世話になっています。SOHOのワークグループ「coollab」をはじめたり、
今度は「Civic Design Center」と、懲りない奴です。

coollab
http://www.coollab.org/

KIP/神奈川インターパブリシング協会
http://www.kip.or.jp/

・「懲りない男」柴田です。「懲りない奴」とは同類ですね。(柴田)

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■デジクリWebサイト案内
「マッカー」11月15日更新
http://www.dgcr.com/mac/
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<Mac雑誌への鎮魂歌>
本来は「Mac 雑誌ナナメ読みレビュー」をお送りする予定でしたが,「あんま
り敵を作らないほうがいいんじゃないの?」という柄澤さんの冷静な提案があ
り,替わりになくなってしまったMac 雑誌を回顧してみよう!ということにな
りました。っていうか意気地なし?

<ナポリの日常と非日常>
アキ・ダモーレさんのイタリア発コラム。今回は,デザインにとことんこだわ
る国民性とMacの関係について。

<不定期連載コラム:進歩しない電子メール>
メールにおけるマナーやちょっとした気遣いについての提案です。

<秋葉原定点観測日誌>
秋葉原にいくつかできた,新しいショップについて。

<ユルイ日記>
編集長?須貝のダラダラとした日常(っていう割には忙しいけど)。

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■展覧会案内
町田市立国際版画美術館第5回「アート・オン・ザ・ネット」展
http://art.by.arena.ne.jp/
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<以下は主催者情報>

町田市立国際版画美術館(MCMOGATK)は、インターネットを新しいアート表現
のスペースとする活動を1995年から開催しています。第5回目となる「ア
ート・オン・ザ・ネット1999」展では、現代情報化社会におけるアートと
美術館の在り方に焦点をあて、『複製技術時代の芸術- The Works of Art in
the Age of Mechanical Reproduction』というテーマの下、1999年6月か
ら8月まで、インターネット上で募集を行いました。

その結果、世界25カ国から100点余りの参加を得て、9月から10月にか
けて行われた審査の結果、受賞作並びに入選作が選ばれました。作品は、町田
市立国際版画美術館のサイトにおいて、2000年の3月31日までご覧にな
れます。

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■編集後記(11/16)
・嵐山光三郎発明の「白状丼」をつくる。豚肉をしょうゆに漬けてからトンカ
ツにし、サクサク切ってご飯にのせて、しょうゆをかけて蓋をする。どんな凶
悪犯もそれを食いたいために自白するうまさだという。しょうゆに漬ける時間
が短かかったためか、いまひとつしょうゆの香りが不足。なにも「白状」でき
なかったが、カラープリンタを買ってくれと配偶者に「哀願」した。(柴田)

・Adobe GoLiveのことを誉めたら、Adobe に取り入ろうとしていると思われた
ようだが、そんなセコイことをしたいつもりはない。第一取り入って何がある
というのだ? 初めてマックに触った時のような楽しさがGoLiveにはあって、
性に合った気がした。テーブルでのレイアウトがいいところでありハードルで
もあるのだが、機能的にいいものがいっぱいだ。だからこのインターフェイス
で、どんどん進歩していってくれたらな、と願う。そしてDreamweaver3も、か
なり機能的でカスタマイズ可能ないいもののようである。Fireworksが3になっ
てやっと実用的になった、そんな話も耳にしている。この連携はかなり強固な
気配。GoLiveも Dreamweaverもそのうち機能実装が同じレベルになって、あと
は好みの問題となるのだろうけど。純国産のごっついツールがアウトコースか
ら突っ込んできたりして~。(hammer.mule)
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■ 日刊デジクリは投げ銭システム推進準備委員会の趣旨に賛同します ■
http://www.shohyo.co.jp/nagesen/ <投げ銭システムをすべてのhomepageに>
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発行   デジタルクリエイターズ
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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

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 担当:濱村和恵
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