[0559] マイ・フェイバリット・ソング

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0559   2000/03/18.Sat発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 15600部
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 <21世紀白書構想~データベースサンプリングという観点>

■デジクリトーク
 マイ・フェイバリット・ソング
 十河 進

■デジクリトーク
 自分のオリジナルデザイン
 エナミケンジ

■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記 0042(3/18)
 21世紀白書構想~データベースサンプリングという観点
 ------世界一周出航まで残り64日-------
 川井拓也



■デジクリトーク
マイ・フェイバリット・ソング

十河 進
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初めて「シェルブールの雨傘」(1964)を見たときは、冗談かと思った。

ミュージカルなるものを見たことがなかったわけではない。物心ついた頃には、
「ウェストサイド・ストーリー」はすでに伝説だった。中学生の時には「サウ
ンド・オブ・ミュージック」に感動して、サウンドトラック盤のLPを買った。
ビートルズの「HELP」も初日に見に行った。映画の途中で、突然歌い出されて
も戸惑うことはなかった。

日本映画も昔は流行歌手が唐突に登場して、いきなり歌い出すパターンが多か
った。先日も衛星放送で市川雷蔵主演の「濡れ髪シリーズ」が放映されたが、
時代劇に突然、髷をつけた和田弘とマヒナスターズが現れて現代(映画製作当
時の現代、昭和34年から36年くらい)のヒット曲を歌い始めた。

時代劇でその有様だから、現代劇においておや、である。いわゆる歌謡曲映画
でなくても、人気歌手がいきなり登場してヒット曲を歌い始めるのは、客寄せ
のための常套手段であった。1シーンに登場するだけでも、ポスターにはその
人気歌手の名前が出せるからだろう。

幼い頃に見て覚えている歌謡曲映画は、小林旭を一躍人気者にした「南国土佐
を後にして」である。ペギー葉山のヒット曲にあやかった映画である。「南国
土佐を後にして」は、今で言うなら宇多田ヒカル級のヒットだった。この映画
でも、突然、ペギー葉山が歌い出す。

テレビがそんなに普及していなかった時代だから、この映画は歌を聴くために
観客が集まり大ヒットした。このヒットを受けて小林旭の「渡り鳥シリーズ」
が企画される。こちらは主人公自らが突然歌い始めてしまうパターンになり、
歌い終わるまで悪漢たちは動きを止めて殴りかかるのを待っていた。

つまり、映画の中で歌うのは異空間の出来事であり、それは劇の進行とは別の
状態なのである。だから日活のヤクザたちは殴りかかる姿勢のままフリーズし、
MGMミュージカルでは歌って踊るシーンが終わると「さて、話を続けると…」
という感じでリアリズム演技による劇が続行されたのである。

しかし、「シェルブールの雨傘」は色とりどりの傘が通りを行き交う様子を俯
瞰で撮影したオープニングショットからドラマが始まり、いきなりみんなセリ
フを歌う。いつ、歌が終わって普通の喋り方に戻るのかと待っていたら、その
まま映画が終わってしまった。

映画の方は冗談かと思ったが「シェルブールの雨傘」のテーマ曲は、僕のフェ
イバリット・ソングになった。英語のタイトルは「I WILL WAIT FOR YOU」だ。
英語の歌詞が付けられたが、最初の部分はそらで歌える。

If it takes forever,
I will wait for you.

For a thousand summers,
I will wait for you.

「シェルブールの雨傘」では兵役に行く恋人を「永遠に待つ」と誓ったヒロイ
ンが、舌の根も乾かないうちに金持ちの年寄りと結婚してしまう。「何が、千
回の夏が過ぎても待っている、だよ」と思うが、まあ、恋人の子を宿して困惑
し、まだシングルマザーや未婚の母などという言葉さえなかった1960年代初期
の話だもの、ここは大目にみましょうや。

そうはいっても、やっぱりちょっとひどい。「待つ、待つ、ゆうてホンマに待
ったモンはおりゃせん」と「仁義なき戦い・広島死闘編」(1973)で、無期懲
役になった内縁の夫(北大路欣也)を待つと言う姪(梶芽衣子)に向かって親
分役の名和宏が説教していたが、これは人生の真実である。

「シェルブールの雨傘」のラストシーン。兵役から戻り今は家族持ちになった
男の経営するガソリンスタンドに、金持ちと結婚したヒロインが給油のため偶
然に立ち寄り再会する。車内には金髪の少女がいるが、それが自分の子だと男
は知らない。けっこう苦い結末だ。これも、人生の真実のひとつ、ではある。

ヒロインを演じたカトリーヌ・ドヌーブは、当時18歳くらいで、この映画の前
に女たらし監督ロジェ・バディムにたらされて未婚の母になっているはずだ。
バディムは、その前にバルドーを16か17歳くらいでたらし込んでいる。年とっ
てから「バルドー・ドヌーブ・ジェーン(フォンダ)」とかいう下半身遍歴を
売りにした自伝を出した。これも、人生のある種の真実、だと思う。

まあ、現実はそんなものである。夢のような恋物語は、ない。たとえ永遠であ
っても、千回の夏が過ぎても、あなたを待っている、と言ってくれる人は、ど
こにもいない。これは間違いなく人生の真実、である。いや、僕の経験的実感
かな。

「I WILL WAIT FOR YOU」は、ミッシェル・ルグランの作曲で、おなじ映画で
「WATCH WHAT HAPPENS」という曲も有名になった。後者も、ずいぶんいろんな
人が演奏している。中ではフリージャズっぽい、スティーブ・キューンのピ
アノトリオものが異色だ。

ミッシェル・ルグランはフランスを代表するミュージシャンだ。映画音楽の処
女作は「過去を持つ愛情」(1954)だが、この映画の中ではスペインのファド
「暗い艀」をアマリア・ロドリゲスが歌いヒットした。

その後、ゴダールの「女と男のいる鋪道」(1962)なども手がけるが、「シェ
ルブールの雨傘」がブレイクし、数年後には「ロシュフォールの恋人たち」と
いう2匹目のドジョウを狙ったミュージカルも作曲する。その映画では「YOU 
MUST BELIEVE IN SPRING」がスタンダードになった。

世界的なミュージシャンになったルグランはハリウッドに招かれ、スティーブ
・マックィーン主演「華麗なる賭け」(1968)のテーマ曲「THE WINDMILLS OF
YOUR MIND」(風のささやき)や「おもいでの夏」(1971)のテーマ曲「THE
SUMMER KNOWS」を作曲し、いずれもヒットする。

「華麗なる賭け」は、昨年、ボンド俳優のピアーズ・ブロスナン主演でリメイ
クされ「トーマス・クラウン・アフェア」というタイトルで公開されたが、テ
ーマ曲は「風のささやき」を使っていた。

ルグランの曲は独特の叙情性があり、特に日本人にはファンが多い。日本制作
のジャズメンのアルバムには、けっこうルグランの曲が使われる。代表的なの
がケニュー・ドリューのピアノトリオものだ。「ジャズってオシャレ」という
人向けのアルバムによく入れられる。

ハードなジャズ・ファンは、意外とルグランを認めない。しかし、マイルス・
デイビスなどをフィーチャーし「ルグラン・ジャズ」(1958)というアルバム
を作ったルグランは、筋金入りのジャズ・ミュージシャンである。

ルグランの曲がジャズメンによく取り上げられるのは、だから当然なのだ。ポ
ール・モーリアと一緒にしないでほしい(ポール・モーリア・ファンの人、ご
めんなさい。「恋は水色」は名曲です。あれはポール・モーリアですよね)。

ルグランは、ジャズ・ピアニストとしても一流だと僕は思う。「シェリーズ・
マン・ホールのミッシェル・ルグラン」(1968)というアルバムはシェリー・
マンのドラムス、レイ・ブラウンのベースとトリオを組んで自作曲とスタンダ
ードを弾く。いつも1曲くらいは歌うのだが、これはご愛敬というものだろう。

何年か前、ローラ・フィジィというオランダ出身の女性歌手をブルーノート東
京に聴きにいった。彼女は、ちょうどルグランと組んで「WATCH WHAT HAPPENS」
というCDを出したばかりだった。全曲、ルグラン作品である。やっぱりルグラ
ンは、1曲だけローラとデュエットする。

その中の「I WILL WAIT FOR YOU」のアレンジがとても新鮮で、ぜひライブで
聴きたいと思った。行ってよかったですね。至福の時を過ごしましたねぇ。僕
は「I WILL WAIT FOR YOU」が入っていると、そのCDは間違いなく買う。ずい
ぶんコレクションしたが、失敗したなあ、と思ったのは笠井紀美子のCDだけだ。

東大出身の美人ジャズシンガーという売りで登場した鈴木重子のファーストア
ルバムの中のバージョンでは、ツゥーツ・シールマンスのジャズ・ハーモニカ
をフィーチャーして7分くらい歌ってくれる。

日本人の歌手なら、ケイコ・リーの「Kickin’it」の中のバージョンが力強く
ていい。低音が効いていて、ハスキーなケイコ・リーに「待ちましょう」と歌
われると、「ああ、きっと帰ってくるぜ」と返事したくなる。

スローからミドルのテンポで、優しく歌われることが多い「I WILL WAIT FOR
YOU」だが、リナ・ホーンはめちゃくちゃに力強いアレンジで歌い上げている。

「シェルブールの雨傘──リナ・ホーンとミッシェル・ルグラン」というアル
バムに入っているリナのバージョンを聴くと、「頼むから待っていなくていい
よ」と言いたくなる。リナ・ホーンみたいな姉御に待たれると、怖いです。

ピアノトリオの演奏ならマッコイ・タイナーの「プレリュードとソナタ」に入
っているバージョンが、ウィントン・ケリーばりのスィンギィングな演奏を聴
かせてくれる。これほど体が振れてくる「シェルブールの雨傘」も珍しい。

しかし、何と言っても僕の原体験は、アストラッド・ジルベルトのアルバム
「Look To The Rainbow」の中の「I WILL WAIT FOR YOU」である。可憐で
優しく、そして気怠く「待ちましょう」と歌われていて、ホントに永遠に待っ
ていてくれる気がする。

この輸入盤アルバムを高松の日本楽器で買ったのは1967年のことだと思う。も
しかしたら66年だったかもしれない。15歳の時だった。マイルス・デイビスの
盟友ギル・エバンスがアレンジャーをつとめている、このジルベルト・バージ
ョンが、やはり僕にとっては未だにベストである。

このアルバムの中でもう1曲、ジルベルトはルグランの曲を歌う。これも僕の
フェイバリット・ソングで「ONCE UPON A SUMMERTIME」という。

この曲のベストもジルベルト・バージョンだが、スウェーデンの女性歌手モニ
カ・セッテルンドがビル・エバンス・トリオをバックに歌うバージョンも甲乙
つけがたい仕上がりだ。「ワルツ・フォー・デビー」(スコット・ラファーロ
がベースを弾いているピアノトリオ盤とは別)に入っている。

チェット・ベイカーのジャズ・トランペットが11分以上にわたって切々と歌い
上げる「ONCE UPON A SUMMERTIME」も、ちょっと捨てがたい魅力がある。

マイルス・デイビスの「ONCE UPON A SUMMERTIME」はギル・エバンスと組んだ
アルバム「クァイエット・ナイト」に入っているが、マイルスが自ら言うよう
に、これはアルバム自体が失敗作だと思う。

僕はビル・エバンスが好きでCDもかなり集めたが、彼も少しルグランの曲をや
っている。「モントルー3」で「THE SUMMER KNOWS」をやっているし、「YOU
MUST BELIEVE IN SPRING」は後期の代表的なアルバムだ。残念なことに「シェ
ルブールの雨傘」は残していない(と思う)。

先日、輸入盤でルグランの新作アルバム「ビッグ・バンド」を購入した。やっ
ぱり「シェルブールの雨傘」が入っていた。入っていないと、みんな納得しな
いんだろうなあ。

ちょっとたとえが古いけど、村田英雄ショーで「王将」を、あるいは水前寺清
子ショーで「365歩のマーチ」を、舟木一夫ショーで「高校三年生」を、はた
また八代亜紀ショーで「舟歌」を歌わないようなものだもの。

ところで、「THE SUMMER KNOWS」は、アート・ファーマー、アート・ペッパー、
フィル・ウッズ、バルネ・ウィランなどが演奏していて、それぞれにとてもい
い。映画も名作だった。ある世代にとっては、忘れられないせつない映画であ
る。

【そごう・すすむ】DG@genkosha.co.jp http://www.genkosha.co.jp/dg/
玄光社勤務。現在は季刊DG/デジタルグラフィ編集長。ルグラン本人がピアノ
を弾きまくる「ウォーム・シェイド・オブ・メモリー」もいいですね。2月12
日の朝日新聞に、ロジェ・バディムの死亡記事が載っていました。冥福を祈り
ます。

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■デジクリトーク
自分のオリジナルデザイン

エナミケンジ kenji777@orange.ocn.ne.jp
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世代的にアナログでデザイン作業っていう経験はほとんどなく、すべて、コン
ピュータで作業しています。もちろんアイデアだしとか、ラフは実際に描いて
はいますが。

そんな中、よく考えるのが自分のオリジナリティなんですが、デザインとは別
になんかデザインのバックボーンとなりえるような何かがほしいなーと。

そこで習おうと思ったのが書道。デジタルフォントでタイポグラフィっぽいこ
とをやる前にもっと書の奥深いところを探ってみようかなと思いまして。

前になにかの本で田中一光先生がおっしゃっていたんですが、デジタルで書体
をつくっていると微妙な線の長さとか太さとか、もうちょっと長いとバランス
が良いのに、とかそういうのがいまいちわからないと。アナログでつくってい
たデザイナーはそういう細かい所まで目が届くと。

また、デジタルフォントはクオリティが低く、写植は高いってよく耳にします
が、その辺のクオリティの差がよくわからなかったり。

浅葉克巳先生も書道を学ばれているし、そういうのがいろいろあって、もうこ
れは、学ぶしかない! って思いました。

で、はじめて約1年、今、学んでいるのが随の智永という書家の字。もちろん
まだまだなんですが、結構おもしろい。日本の書とはやっぱりちがう。この前、
浅葉先生が金冬心という書家の字を組み合わせてお酒のラベルをデザインされ
てて、知らないと知らないでなにもないんですが、知っているとそこからなん
かデザインの幅がひろがるなーって思いましたね(その金冬心という人がまた
おもしろくて、ふでの先をはさみで切ってて、はけのようにして書いてる)。

まー何年後かには書がバックボーンとなりえるんじゃないかな。そのまま書家
になってもいいかも。あまい?。

話は変わりますが、いま福岡を拠点に仕事をしているんですが、東京とデザイ
ンする上で差があるのかなーっておもっていて、やっぱ東京にいったほうがい
いのかなーって。ですが、このまえ銀座で青葉益輝先生にお会いして、そんな
ことをうかがったんですが、まー広告をやってるんなら東京のほうがいいけど、
そうーじゃなかったらどこでもいっしょ。ガンガン国際コンペに出しまくって、
賞でもとって知名度が上がれば仕事はいやでもくるって。

まーそれもそーだなって思う。たーだ、いろいろ出してるけどなかなかうまく
いきませんけど。そのうち、書も修得してデザインにも反映されて、オリジナ
リティも確立されたときに、ガーンと知名度もあがって、仕事もたくさんくる
かなって思っています。

【えなみ・けんじ】グラフィックデザイナー。1969年生まれ。93年芝浦工業大
学建築工学科卒業。1994年VIDEO ART EXHIBITION開催。1995年オペルデザイン
コンテストMdN賞。1999年熊日デザイン賞入選。ディジタル・イメージ会員。

▼エナミさんの作品は以下でごらんください
http://www.dgcr.com/kiji/enami/
 
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■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記 0042(3/18)
21世紀白書構想~データベースサンプリングという観点
------世界一周出航まで残り64日-------

川井拓也
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「世界一周する船」に「デジタルツール」と「クリエーター」を載せて陸地で
撮影、船でポストプロダクションをしていくということで企画をはじめた「ip
2000」は、ネット時代のソフトコンテンツ制作プロセスを開拓していくプロジ
ェクトとして各方面に声をかけ続けています。資金獲得のためにあらゆる側面
から企画提案を行います。今回の企画は、映像とネットそしてメディアをまた
がった連携コンテンツです。

今回の企画は、このプロジェクトに単なる「映像コンテンツ制作」ではなく、
「社会的な意義」を加える提案です。ここ数日で私に寄せられた声や支援、あ
った方の意見をすべて自分なりに消化してみたつもりです。

◎◎◎◎◎21世紀白書制作プロジェクト

◎◎歴史は400年ごとに大きなうねりを体験しています。
西暦400年
卑弥呼の邪馬台国時代
~国家の原型ができました~
西暦800年
平安時代荘園制度の誕生
~私有地制度の原型が登場~
西暦1200年
鎌倉幕府 
~武家社会の基礎ができました~
西暦1600年
関が原の戦い
~封建社会への道ははじまりました~
そして
西暦2000年・・・・

人類は、そして日本人はどこへ向うのでしょうか? 物質的に満たされ情報が
氾濫する資本主義社会で、なにをよりどころに生きていくのでしょうか?

◎◎その手がかりを作る新しい情報データベース構築プロジェクトが「ip2000」
です。600人の異なる境遇を持つ人間が18の国を90日間で回り、その間にも船の
上という密閉空間で擬似国家ともいうべきコミュニティを構成します。ここに
は600×90日分の「人間の行動データベース」を記録できる可能性があります。

◎◎人間心理学、人間行動学、経済学、倫理学等さまざまな分野での活用可能
なデータを採取可能です。機動力あるデジタルツールを利用して「映像」「音
声」「画像」を収録し、さらに彼等の「購買物」「購買額」「生体変化」など
を立体的に記録することでさまざまな角度から分析可能なデータベースを作り
ます。

◎◎乗船者から協力可能な人間をピックアップします。毎日のインタビュー、
写真撮影、購買履歴の公開、個人カメラで撮影した映像の船内での公開を許可
する人間のみサンプルとします。協力者への見返りとして、これらのデータを
その個人部分のみ抽出してCD-ROMもしくはビデオにて提供します。これは旅行
と自分が変っていく様を記録した、非常に貴重なデータとなります。自分のカ
メラやビデオカメラに写っている主観的な「旅の記録」ではなく「客観的な自
分の変化の記録」という、今までのどんな方法を使っても記録不可能な視点の
映像が手に入るわけです。

◎◎これらの記録班として映像、音声、人体(医療)班を結成し、それぞれ10
人程度のプロフェッショナルを乗せます。各担当のデータを素早く適切に収集
できる機材を使い、各自が担当の被験者のデータを毎日取りつづけます。10人
の被験者に対して1人の割合でスタッフを配置します。

◎◎毎朝食、毎夕食時にデータ採取を行います。人が比較的集りやすい2つの
時間帯にレストランで収集します。基本的な収集メニューとして以下のものが
上げられます。
---朝
   映像インタビュー(今日の気分一言)
   写真(顔正面、セットペーパー前にて)
   音声(DATにて収録、覚えた外国の言葉など)
   生体データ(血圧、脈拍、その他短時間で測定可能なもの)
---寄港地でのデータ採取
   それらの人の行動履歴をある程度映像に収める
   決められたカテゴリーについて現地の庶民からサンプリングする
   いわゆる街頭インタビュー形式で規定項目を取材
   経済、文化、倫理観、生活習慣等の項目をあらかじめ設定しておく
---夜
   映像インタビュー(今日の報告一言)
   写真(顔正面、セットペーパー前にて)
   音声(DATにて収録、覚えた外国の言葉など)
   提出物(レシート、購入物品-写真に撮る、食事リスト)
   生体データ(血圧、脈拍、その他短時間で測定可能なもの)

◎◎これらのデータをディレクターでオーサリングデータにしていきます。デ
ータにしたものは、随時船から見られるようにするとともにテキストバージョ
ンはShock Waveでネットで公開します。

◎◎世界一周終了後にこれらのデータをDVD白書化して各研究機関等に提出・
販売いたします。白書には「オフィシャルバージョン」と「コンシュマーバー
ジョン」を制作します。前者の固いデータベースと違い、後者はPS2での試聴
を前提とした、エンターテインメントバージョンと言えます。

◎◎これらのデータを通常のルートでサンプリングすることは、膨大なコスト
がかかり、また現実的に不可能です。しかし、ピースボートに「データベース
サンプリング」という観点を導入することにより、今後の「経済」「生活」を
占う上で重要な人間の行動履歴、感情履歴を記録することが可能です。本企画
とLIFE TV構想を並列して進行させることにより、21世紀の日本のための重要
なコンテンツを制作可能だと思います。

◎◎想定クライアント(本企画のプレゼンターゲット)
PHP研究所
企業経営研究所
国民経済研究協会
さくら総合研究所
三和総合研究所
セゾン総合研究所
大和銀総合研究所
大和総研 (4)
たくぎん総合研究所
電通総研
東海総合研究所
東京海上研究所
南都経済センター
日本経済研究センター
日本総合研究所
日本リサーチ総合研究所
野村総合研究所
野村総合研究所
浜銀総合研究所
富士総合研究所
富士通総研
三菱総合研究所
安田総合研究所
ユニバーサル証券研究所
ライフデザイン研究所

多くの人が情報をシェアできる専用の会議室
http://www67.tcup.com/6708/ip2000.html

今までのプロジェクト活動
http://www.taiyonet.or.jp/kawai/ip2000/dgcr/1.html

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■編集後記(3/18)
・今日、建築関係者が図面を持って現れ、わが家の南に建つ某ゼネコンの社宅
を取り壊し、新しく分譲マンションを建てますと挨拶があった。現在の建物は
5階建てだが、新しく建つのは11階建てだという。ぎょえ~~。2倍以上の高さ
が~。でも、敷地の東と南にエル字型に配置するので、現在よりは前方がひら
ける。そこには駐車場や公園ができるらしい。午前中の日照はかなり遮られる
ようだ。土地が広いのが災いして高層が建ってしまうのだが、こりゃ仕方ない
な~。暮らしにくくなったら、海の見えるあたたかいところへ引っ越しだ。そ
れもいいかもしれない。いや、その方がいいなあ。快適な老後、か。(柴田)

・ぐにゅう、ふるふるのコラム。一度も読まないうちに連載終了していた。仕
事ばかりしていると、お肌の調子は悪くはなるし、体型も悪くなっちゃうし、
視野が狭くなるしで、いいことなしね。潤いが足りないっ。このコラムは、偏
見分は差し引いたとしても、結構痛いところをつかれるし共感するものもある
ので、ついつい爆笑。今月のジェイロック。特集記事のインタビューが面白い。
ソウルフラワーユニオンは一読の価値あり。ものを作っている人のインタビュ
ーやコラムって、グラフィックデザイナーなんかにも通じると思うんだよね。
安易に流れる姿勢はキライだから、「eなんちゃら」「iなんちゃら」なノリが
恥ずかしいんだけど、クサイ熱さはキライじゃないなぁ。ジェイロックなんて
という人多いんだけど、とっても好き好き。        (hammer.mule)
http://www.so-net.ne.jp/mc/columns/guniw/
http://www.j-rock.com/

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http://www.nagesen.gr.jp/  <投げ銭システムをすべてのhomepageに>
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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

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