[0646] 大阪雑記帳

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0646   2000/07/07.Fri発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 16428部
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 <名もなく金なくコネもない僕達>

■デジクリトーク
 大阪雑記帳
 須貝 弦

■デジクリトーク
 「対決!現世浮世絵娘」その2
 女の子に声かけまくりの日
 桑島幸男

■リレー連載 泥縄式☆展覧会開催法
 P-Nuts展ができるまで<無我夢中篇>
 本間雅也



■デジクリトーク
大阪雑記帳

須貝 弦
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取材で大阪に行った。一泊二日で取材が3件、意外にハードな日程である。し
かし、大阪に行くのは一昨年以来と言うこともあって、ちょっとばかり楽しみ
ではあった。また、取材以外にも「デジクリの濱村デスクに会う」という、大
きなイベントも予定されていた。

●東京~大阪間の移動はやっぱり新幹線

東京~大阪間の移動はやっぱり新幹線だ。まぁ私の場合は、新横浜を利用する
のだが。つい先日、東京~大阪間の航空便は大幅に増発されて「シャトル便」
という呼び名もついているようだが、羽田空港までいちいち行って、伊丹空港
からいちいち梅田や難波に出てくるというのもちょっと面倒な話だと思う。

新横浜のホームに「ひかり」が入線してくる。やってきた新幹線は初代「のぞ
み」タイプだった。初代「のぞみ」の100系はデビューしてから数年しか経っ
ていないが、JR東海/西日本ともにすでにバージョンアップ版の500系や700系
を実戦投入している。これらバージョンアップ版は奇妙なスタイルをしていて
テレビなどでも取り上げられたので、フツーのビジネスマンなんかでも通過す
る「のぞみ」を見ながら「あ、700系ですね」なんて言うくらいだ。私は500系
「のぞみ」は乗ったことがあるが、700系「のぞみ」は乗ったことがない。と
もかく、500系や700系の投入によって、300系は「ひかり」にもかなり使われ
るようになった。

以前に確かデザイン雑誌で読んだと思うのだが、300系新幹線は「スピードア
ップ」が最大の開発テーマだったため、快適性の部分が犠牲になっているとい
うことだ。具体的には、それまでの新幹線に比べてシートが薄く作られている。
これは、ボディを徹底的に軽量化するためのしかたがなかったのだという。お
かげで東京~大阪間の2時間30分を座り続けるには、ちょっとキツイというの
が正直な感想だ。

そんなワケで、ちょっと背中に痛みなんかも感じつつ、猛暑の大阪へと到着で
ある。

●宿を取るなら「旅の窓口」

出張のときホテルを押さえるなら、私は断然「旅の窓口」をオススメする。ず
っと前に柴田編集長もオススメしていたと思う。当時は「ホテルの窓口」と行
っていた。その頃に比べるとちょっとサイトの構造が不親切だが、Webから格
安でホテルが予約できる」というメリットは失われていない。

たとえば私は、梅田駅の近くの「大阪東急ホテル」に泊まった。通常なら1万
5千円程度のシングルを、7,500円で利用した。この金額は、旅行会社にパッケ
ージツアーとして提供したり、ホテル会社が社内割引などで設定する料金に近
い。一度こういうのを利用すると、やめられなくなってしまう。1万5千円払
っても7,500円しか払わなくても、受けられるサービスは基本的に同じとなら
ば、使わない方がおかしい。

「旅の窓口」の提携ホテルには、あまり名の知られていないビジネスホテルも
多いが、実際にそのホテルを利用したユーザーの「体験談」が投稿できるよう
になっているので、それを見れば大方の予想はつく。ダメなところはハッキリ
「ダメ」と書かれている。そういう意見が大半のホテルなら、当然避けた方が
無難だ。

また、多少厳しい意見が書かれているホテルでも、ホテル側からきちんとした
説明が書き込まれている場合もあり、そういったホテルは安心できる。たとえ
ば都内のあるホテルは、近道していこうとすると風俗街を歩かされることにな
るが、そういった苦情に対してはホテル側から「安全なルート」がレスで説明
されている。また「従業員の対応が悪かった」と書かれれば、お詫びのコメン
トも載る。

とりあえず、遠くに出かける用事がある人は一度チェックしてみてほしい。な
お、最初は日立造船システムのサービスだったのだが今は別会社となっている。

http://www.mytrip.net/

●日本橋に行ってきた

秋葉原の電気街に匹敵するのが、大阪の「でんでんタウン」だ。実際の印象は
「道幅が少し狭まったアキバ」。意外と大手量販店の進出が進んでいるところ
などはアキバと同様だった。また、エロゲーのお店が多いこと、インチキ画商
がキャッチセールスまがいの展覧会をやっている点も同じ。

日本橋にあるショップのWebサイトで、そのショップの地図を見ると、最寄り
駅は地下鉄の恵美須町駅となっていても難波駅や日本橋駅からでも歩いていけ
るような書き方をしている場合がある。私は難波~日本橋~恵美須町の位置関
係は、銀座4丁目~数寄屋橋~新橋と同じ程度だと思っていたが、実際はもっ
と離れていた。日本橋駅で降りてしまった私は、暑い中「堺筋」を歩くはめに
なってしまった。

関西以外の方が日本橋に出向く際は、「地下鉄堺筋線・恵美須町駅」を使いま
しょう。あと、地下鉄での移動をくり返す場合は「一日乗車券」が便利。

そう言えば、恵美須町から路面電車が出ていることは現地に行くまで知らなか
った。ちょっと時間に余裕があったので何駅か乗って引き返してきたが、別に
路面を走るわけではなく、家と家の間を走っているという感じだった。

●濱村女史に会う

大阪東急ホテルのティールームで濱村デスクと「会談」することになった。も
ちろん初対面である。デジクリの創刊メンバーの中では森川さんと神田さんは
お会いしたことがあり、濱村デスクと柴田編集長にはお会いしたことがなかっ
た。創刊した当初、濱村デスクは「空手有段者」なんて紹介をされていたので
どんな方かと思ったが、実物は編集後記からは想像もつかないおとなしい感じ
の女性だった(たぶん本人はここを読んで笑う)。

濱村デスクから、先週と先々週の私の原稿への反響が、いくつかデスクのとこ
ろにも届いているという話を伺った。中でも先々週の、「まるで『自称ネット
アイドル』が『ホームページビルダー』で作ったようなの」という部分は、書
いた本人の予想を超えて反響があったらしい。私としては何の悪気もなかった
のだが、実際に「ホームページビルダー」を使ってWeb制作の勉強をしている
人に取っては、ちょっと失礼だったかもしれないと思い直す。

私が言いたかったのは、別に「ホームページビルダー」が悪いと言うのではな
く、いかにも「ホームページビルダー」で作りました! みたいなをの納品し
て金を取るのはいかがなものか? ということなのです。

●実はGoLive派?

ひとつ意外だったのが、濱村デスクは「GoLive派」だったということ。私のま
わりには、案外多い。GoLiveはいくつか不便なところもあるが、それでも「マ
クロメディア製品よりは使いやすい」という人も結構いるようだ。ただ、それ
を声に出すと「え~なんで~」と言われるのも事実で、大人しくしている人が
多いようだ。

私もマクロメディア製品のインターフェイスがあまり好きではなくて、「イン
スペクタ」なんて言い方にはかなり抵抗を示していたのだが、でも多くのWeb
デザイナーがアドビからマクロメディアに流れたその気持ちもなんとなくわか
る。森川さんが言っていたように、「アドビが真面目にWebの事を考えてくれ
なかったことが悲しい」のは事実だと思うからだ。

というか、ImageReadyとImageStylerのコンセプトが、現実のニーズとちょっ
とズレていた。「PhotoshopとIllustratorの存在が大きすぎた」と言い換えて
もいいかもしれない。また、アドビの製品は「元データは残しておいて、必要
に応じてその都度書き出す」というやり方を強いる。それが、現実のWeb制作
のワークフローに即していなかったとも考えられる。

でも、マクロメディアだって、以前は「DIRECTOR」の会社だった。グラフィッ
ク製品なんて「xRes」だったのだ(笑)。

濱村デスクとは、他にも「MLはどうなった?」「経営メンバーってなんだった
の?」「クレームって来るの?」などといろいろな話をしたのだが、残念なが
ら時間は数十分しかなかった。今度東京でお会いしましょう。そのときは、実
は会ったことのない柴田さんも、ぜひ。

【すがい・げん】gsugai@hh.iij4u.or.jp
Webマガジン「マッカー」はサーバー移転のため更新を遅らせています。
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■デジクリトーク
「対決!現世浮世絵娘」その2
女の子に声かけまくりの日

桑島幸男
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●展覧会企画

RE-LATION-S 2ND SEASON 2ND EXHIBITION
「対決!現世浮世絵娘」
飯田HALと桑島幸男が描く渋谷・原宿のコギャル達
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 飯田HALは数年前よりはじめたペイント系の表現方法を発展させ、昨年夏よ
 り渋谷の女の子達をターゲットに取材をはじめ徐々に形にし,発表の場を探
 していた。時をほぼ同じくし、桑島幸男は子供の誕生を機にドロー系ツール
 による「今!」を生きる街の女の子達の表現の模索をはじめ、5月のディジ
 タル・イメージ東京展(前期)では大きな評価を得てきた。その二人が描く
 現代東京のコギャル達の表現を「現世浮世絵娘」として、新作対決が行われ
 る事になった。
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会期 8月1日(火)―8月31日(木)
会場 ダブルクロック渋谷ギャラリースペース
主催 光陽社/ダブルクロック
入場無料 会期中無休/24時間営業

●「苦手な渋谷」の取材

7月2日渋谷ハチ公前に待ち合わせる。1時をちょっとすぎた頃、HALさんから
TEL、もう、HALさんも来ている。ぼくは、完璧にハチ公の隣にいる。HALさん
は、日陰の所にいるらしい。東急の日陰あたりをさがすと、HALさんを発見。
ん!、よく見ると若い女性と一緒にいる。奥さんか? それとも、はやくも、
声を掛けた女の子か?。

聞くと、偶然、会った教え子らしい。とりあえず、昼メシを兼ねて、打ち合わ
せ。渋谷のロイヤルホストへ。ぼくはカシミールカレーセット、HALさんも種
類は違うがカレーを頼む。しばし雑談、浮世絵についてなど話が主だった。

食事も終わり、いざ撮影へ。前回の撮影は3月頃、だいぶ女の子の服装も替わ
っている。色使いも明るい感じになるだろう。とりあえずは109前を目指す。
パラパラダンスのイベントをやっていて、人が大勢集まっている。結構うるさ
い。個人的には渋谷は好みじゃない。肌が合わない気がする。

昔から渋谷に行くと財布を二回連続なくしたり、彼女とケンカになったりとあ
まりいい思い出がない。でも、とりあえず、女の子に声をかけることにする。
少し離れてパラパラを見ていた、二人組のガングロ系の女の子に話しかける。
「すみません、写真を撮らして欲しいんですけど、、」早速、怪しまれる。そ
りゃそうだ。こんなひげ親父、俺が女だったら断るね、と自虐の念。断られる
も、周りがうるさくて声が聞こえない。でも、明らかにいやがられる。まずは
退散。一発目で落ち込む。

渋谷の苦手意識が一層高まる。イベントを見ている人が多いが、声をかけて撮
影って感じではない気がする。文化村の方へ少し移動。HALさんも声を掛ける。
HALさんの場合は「ちょっと、写真撮らせて」と言って、サッと撮ってしまう。
もう一枚撮ったようだ。

「うまい、さすが、人生の先輩。なんか、プロのカメラマンみたいだな~」と
思う。それに比べて自分の醜いアヒル具合はどうだ。無骨に「写真を撮らせて
ください」と頼んでは断られる。直線的だ。

一方HALさんは曲線的に自由に撮る。ある時は、サラっと、ロングでも狙う。
ただ、これには作風の違いもある。僕の場合は今回は写真から形を取ってしま
うから、明らかにどこの誰かは分かってしまう。だから、きちんと了解を取り
たいのだ。表面的でもその子が他人に出す(許す)所までをきちんと捕まえよ
うと思っている。それが今回の素材だ。一方HALさんは、そこから内面をむき
出したいと考えているらしい。

渋谷は苦手だと思ってしまって、どうもうまくいかない。HALさんには悪いが
原宿の方がやりやすいと、僕の方からわがままを言う。大人のHALさんは、快
く了解してくれて、渋谷から歩いて原宿を目指す。

センター街からスペイン坂へ、スペイン坂の上の方でまたしてもHALさん女の
子を撮影、軽いノリで話掛けている。やるな~と思いながら黙って聞いている。
どこから来たの? いくつ? みたいな会話をしている。自分の収穫は全然上
がらないがHALさんはどんどん進んでいる。やばし、クワジマ!。

タワーレコードの近くの原宿へ向かう道すがら、反対側に座っている女の娘を
発見、HALさん走って声をかける。おこぼれ的にぼくも一枚撮らせてもらう。
これが、バトルだったら、完璧に僕の負けだ。そろそろ僕も頑張ることにする。
遊歩道入り口でアンケートをとるお姉さん2人組に声をかける。やっとなんと
か頼み込んで撮らせてもらう承諾を得る。遊歩道を少し入った所で原宿ぽい娘
を発見! 服装が派手だ。やっと原宿系になってきた。撮影を頼む。OKを貰っ
てパチリ。

遊歩道を進むと、ここはフリーマーケットゾーンになっている。バッグを自分
で作って売っているという女の子に撮影を頼む。OKをもらう。パチリした後、
バッグを売れているか聞くと、今開いたところのためマダ、との答え。がんば
ってと心から願い、前へ進む。

●「気負わない街原宿」での取材

今度は似顔絵描きの女の子4人だ。春の時も彼女たちには気が付いていた。春
は一人か2人だった気がするが、、、。声を掛け快諾。パチリしたあと、似顔
絵を描いて貰うことにした。するとHALさんが僕にも描かせてといって、似顔
絵のかきっこになる。僕は似顔絵はあまり得意ではない。ちょっとしたデッサ
ンの感じで描くことにする。

話をしてみると、実は多摩美3人ムサ美1人ということがわかる。「お~後輩
じゃないか~(うるうる)」渋谷で落ち込んだ気分が彼女たちとの会話によっ
て払われていく。ああ、なつかしや学生時代。こんな感じの娘いたな~と思い
出す。値段は100円以上で後は自由で、4枚付いてくる。みんなデッサン力がし
っかりしているせいかうまい! ぜひ、原宿へお越しの時は遊歩道の女の子の
似顔絵を描いてもらってください。ナチュラルな可愛さを持った娘たちです。

歩いて、GAPの前に来る。ここは原宿カメラマンのメッカのような場所だ。う
じゃうじゃカメラマンがいる。声も非常にかけやすい。ある意味それを望んで
いる娘もいるだろう。もちろん、断られることも多い。けど、断られ方も柔ら
かい。(渋谷ガングロ系より)わりと変わった格好をしてる娘も多いけど、そ
んなに気負ってない。

気負わなくても変わった格好ができる場所、そこが原宿なんだな、と思う。僕
もそれほど気負わずに声をかけられる。まずは植木の柵に座っていた女の子2
人組に頼む。2人組かと思ったが実は他人同士、ちょっと前に知り合ったばか
りらしい。

つぎに女の子4人組に声をかけ、写真を撮らしてもらう。と今度は3人と1人だ
った。う~ん、よく見ると服装の感じが確かに違う。3人の方はキッチュな感
じでカワイイ。1人の方はシックで大人ぽい感じでした。対がよく分からない
のも原宿か!。

今度は1人でGAP階段にすわる中学生くらいのカワイイ娘、髪の毛のピンを使
ったまとめ方が今風だ。笑顔がとてもキュート。ああ、久しくこんな笑顔は見
てなかったな~と思う。幸せ!

今度も茶髪の1人でいた娘。髪の毛の止め方はさっきの娘と同じだ。彼女は高
校生からいかな?。

次に2人組の女の子に声を掛ける。1人は茶髪、もう1人はショートカットの
お嬢様系。美人だ。最初はちょっとイヤそうだったけど、なんとか説得、写真
を撮らせてもらう。最後にはニコッとピースサイン!。次と次も1人づつ歩い
ていた娘を無理言って撮らせてもらう。年は20くらいか、きちんと大人の方々
でした。

次は今日一番派手な女の子。年齢は不詳だが、高校生以上は確か。色使いがと
てもチャーミング、いったいどこでこんな服は売っているのだろうか? 自分
で作ったのか? 聞けば良かった。実はこの子を僕とHALさんがバトルして描
く事に決定した。理由は一番飛んでいた(派手だった)から。

次は3人組の娘、この子たちはHALさんが、もう声をかけて写真に撮っていたか
ら、遠慮していたけど、僕も撮ることにした。3人とも服の好みが違う。変わ
ったグループだ。1人はビジュアル系の黒い服を着た娘。もう1人はカジュア
ル、GAPぽい感じ。大きなサングラスを掛けた、カントリー?系の娘はHALさん
から聞くところによるとアメリカ帰りらしい。ハクション大魔王のような壺を
持っている。これはなにかの願掛けなのか?

次はスポーツ系の少女2人、明るい笑顔がとってもGOOD! この明るさは今日一
番さわやかっす! 僕が惹かれる美少女像は彼女たちのような娘だな。と1人
で納得。次の二人組も若い子だね。だけど、ちょとカメラを意識して緊張して
たみたいだった。おとなしい。

今度は3人組不思議少女達。ヒョウ柄のバッグに赤と緑のシマシマタイツ。ぺ
ろぺろキャンディーを舐めながら撮影。ひょうひょうとした印象だけど、悪い
娘じゃない。むしろ、お話をすると、イイヤツだなって感じ。

●あんたたちはやさしい娘だよ

HALさんから場所を変えようと提案、HALさんは食べ物を食べている女の子が撮
りたいとのこと。それならば、竹下通りのクレープ屋あたりを目指す事にする。
途中HALさんは気になる絵があるらしくちょっと望遠でパチパチ。その姿を僕
もパチパチと撮る。

HALさんはクレープ屋あたりでターゲットを見つけると、遠目でパチリ、パチ
リとやっている。ぼくも一組だけ声をかけて写真を撮らせてもらう。HALさん
はあくまでも自然体を撮るつもりらしい。歩いているとサッとカメラをむけて
パシャ! 獲物を狙う目になっている。僕はというと、カワイイ娘いないかな
~と探している。

あるビルの2階から降りてくる、中学生くらいのチャイナドレスの娘がカワイ
イ! 声をかけて頼んで写真を撮らせてもらう。僕は、自然体と言うよりも、
あくまでもその娘が許してくれる範囲内で撮る。HALさんは彼女たちの内面を
えぐるつもりらしい。ぼくは逆に彼女たちの表面を見てその周りを表現したい
と思っている。2人ともまったく違うアプローチだ。竹下通りの入り口あたり
で雨が降り出す。

全然休憩をとって無かった。4時半くらいか、とりあえず、サテンで休む事に
する。ふたりとも疲れたと連発し、HALさんはビール、僕はコーヒーフロート
を注文。ほんとは僕もビールが飲みたかったが、お酒が弱い僕がビールをのん
だら、もう、撮影はできないので我慢する。

そろそろ、終わりだねと言うことで、もう一周だけして終わりにしようという
ことになる。サテンを5時過ぎに出る。出た早々、任侠もののカッコをした女
の子2人に会う。写真を撮らせてと頼むが、断られる。色々な人がいるな~と
いう話でHALさんと盛り上がりながら、竹下通りを下る。

すると、前を歩くパンクロッカーが女の子だろうか? という話になり、また
声を掛けて写真をお願いするも、断られる。HALさんに、女の子でしたと報告
してまたGAP前へ。もう、終わりにしようとなり、1時間写真屋さんを探して、
居酒屋へ行く事にする。HALさんおすすめの居酒屋さんはまだ閉まっていた。
仕方がないので、少し先の方の居酒屋に行くことにする。運の良いことに写真
屋サン50分が途中にあり、そこに現像を頼んで近くの、魚民へ。

まずは中生を頼み、かんぱーい。(嬉)うまい。うますぎる。よ~く冷えたビ
ール、思わず一気飲みしてしまう。(笑顔)つまみを頼んでビールをもう一杯
頼む。卵焼き、刺身などをつまみながら、冷房が利きすぎていることに気づく。
あまりの寒さにお茶を頼む。それでも寒い。HALさんが冷房が強いと言ってく
れた。感謝。

話は家庭の事から、教育問題、ピカソの事、浮世絵、など多岐にわたる。HAL
さんは高校生の息子を持つベテラン父親だ。1歳の子のデレデレパパの教育論
など、ぜんぜんかなわない。。行き当たりばったりにしか対応できない僕と違
って、しっかりした考え方を持っている。また、それを実行してきた重みは違
う。などとぼくの薄ぺらい子育てを恥じらいながら話は進む。俺だって、後15
年くらいたてばと思ったが、思えば思うほど、駄目そうな気がするので思わな
いことにする。

そろそろ写真が出来上がっているころなので、取りにいくことにする。HALさ
んの写真は白黒なので写真屋さん50分では出来ない。僕のだけ出してあるため、
しばし待っていてもらうことにする。外にでると雷の大雨だ。だいたい歩いて
300メートルくらいの所をビショビショになりながら走っていく。あー、日頃
の行いが悪すぎるな、俺はと思いながら走る。戻りも全然止まない。走った為
にビールが効いて、少し気持ち悪くなる。雨宿りをしたが、弱まるより、強く
なっている。しかたないから、濡れながら、戻る。

写真を広げて今日撮った女の子達を思い出す。それぞれの人生の中での点くら
いの接し方だったが、それでも、彼女たちの点にでも接した自分がうれしい。
写真を撮らしてもらった娘達に感謝!!! あんたたちはやさしい娘だよ。
(涙)そのやさしさにつけ込むヤツがいるかも知れないが、わすれないでおく
れ~。と、現代っ子の未来が明るいことを祈りながら作品を作る事にする。

▼渋谷・原宿取材の模様は以下に写真大量にあり。早くも作品を1点掲載。
http://www.bitmap.co.jp/kuwajima/ukiyoko.html

【くわじま・ゆきお】kuwajima@pop01.odn.ne.jp
1965年埼玉県生まれ。89年多摩美術大学彫刻学科卒業。89オブジェTOKYO展入
選。95年宮沢賢治絵画館展出品。95年NECマルチメディアアート大賞グランプ
リ。2000年現在フリー。
http://www.bitmap.co.jp/kuwajima

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■リレー連載 泥縄式☆展覧会開催法
P-Nuts展ができるまで<無我夢中篇>

本間雅也
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約2年前、とんでもない展覧会があった。その主催団体ををP-Nutsという。

1998年3月7日から道玄坂の渋谷109近くの展示場を3日間借し切って、本来はレ
クチャー用の展示場の大きなスペースに暗幕を張り、パーテーションを入れ、
100インチプロジェクターや20台のパソコン、ビデオ機材、その上にブラック
ライトや綿菓子機まで、常識を覆したというよりも非常識なマルチメディア展
覧会がありました。

協賛にはApple、Adobe、Macromedia、EPSONなど名だたる企業が付き、プレス
にもMAC FAN、東京1週間など6誌の協力を得て、審査員には、柴田忠男さんを
はじめ、マルチメディアの3D、映像、グラフィック、プロデューサーなど、そ
れぞれの分野のどえらい人達を巻き込んでその展覧会を行ったのは、P-Nutsと
いうマルチメディア専門学校の卒業生有志のプロジェクトど素人集団でありま
した。

「マルチメディアって就職のための技術って思うとつまらないよね、なんか、
個性を殺して仕事するのにも疲れるし、なんか”ドカン”っとやりたいよね」
という酒場の盛り上がりで、P-Nutsというグループが出来始め(POMという名
前のスクール卒業生有志の”大バカ野郎”という語源です)、その酒場にいた
僕達は創始メンバーの一員として、その日から、寝食を忘れ、気がついたら無
我夢中に走り出していた。

1997年の4月頃、名もなく金なくコネもない僕達は、ああでもないこうでもな
いと酒場で打合せを重ねつつ、日々メールで企画をやり取りし、展覧会と作品
のCD-ROM出版の費用をスクールに後援としてお願いしたのを皮切りに、わらし
べ長者のごとく、協賛、協力を得ると、さらに次の協力してくれそうな企業や
人を紹介してもらい、また、作品やメンバーの募集のために駆けずり廻り、手
弁当のボランティアスタッフを募り、僕達は、仕事そっちのけで駆けづりまわ
り、借りられるものなら何でも借り、協力してくれる人がいればどこでも赴き、
ポスター、名刺、CD-ROM、専用ドメイン取得、レンタルサーバー、カードと止
まることなく企画し続け、ひとつひとつ叶えていきました。快く協力してくれ
る皆様の好意にすがり、1年かかって展覧会まで漕ぎ着けました。

その展覧会というものも、僕を含めて、さすがNuts(大バカ野郎)のみなさま、
マルチメディアという枠を越え、すんごいものが集まりました。会場も度肝を
抜くアイデアで、いったいここは何? 仮想現実空間? お化け屋敷? かっ
こいいのか? 怪しいのか? 不思議な会場ができました。

ですが、ここから先の展覧会のことは、その当時の会場担当で、現在の代表の
ひとりである成田さんにバトンタッチして、次回の「阿鼻叫喚篇」に続くので
あった。

【本間雅也/マルチメディアディレクター】
P-Nuts創始メンバー運営担当。SOHOを営みながら、仕事の合間に区民農園で野
菜作りに精を出す日々。最近はいい作品よりも、出来のいい野菜に心奪われが
ちな自然派クリエイター
<http://www.planet-m.com/>

【Creator's Network P-Nuts】
第2回P-Nuts展まであと22日!果してどんな作品がとびだすのか?
<http://www.p-nuts.net/>


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【ip2000プロジェクト】7/07
イタリアを出発、次の寄港地カナリア諸島へ向かう船。
出港から47日経過、ip2000スタッフ作品も出揃いました!
http://www.ip2000.net/
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■編集後記(6/7)
・わたしも20日には大阪に行くことになった。「Web甲子園」最終選考会&授
賞式&パーティーに参加するのだ。1次審査を通過した人、デジクリ読者には
ぜひお会いしたいですね。ハマムラデスクとも久しぶりに会う予定だ。思えば
リアルタイムでは年間で数時間しか顔をあわせていない不思議な部活仲間であ
る。また、9月のディジタル・イメージ大阪展の会場下見の任務もある。ここ
10年くらい、年間に10回は関西に行っていたのに、どうやら今年は初めてであ
る。外出なし、仕事せず、いったいどうなってるんだ、この半年。(柴田)

・ひぇ~、照れくさい。ぎゃ~、ぎゃ~。時間とれなくてすみません。須貝氏。
そうなんです、GoLive派。今の機能としては、Dreamweaverに劣る部分も多いも
のの、GoLiveにしかない良さがあったり、なんといっても使いごこちがいい。
私の友達にもDWに戻れないという人間がいる。使いこなせないわけじゃなく、
DWにしかない機能の時はDWを使う。手作業でできる範囲だけど便利だから。先
に覚えたのはDWだし。GoLiveの最新バージョンがあまり良くないのが残念。本
気で開発して>アドビさん。で、私の須貝氏の印象は「切れる」「背が高い」
でした。会話にちゃんと着いて行けていたのだろーか。   (hammer.mule)
・昨日案内の「対決!現世浮世絵娘」urlは準備中です。先に石川浩二氏の個
展案内(7/9から7/31)が数日中に掲載。渋谷WcLockギャラリー情報でした。
http://www2.gol.com/users/dnest/

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■ 日刊デジクリは投げ銭システム推進準備委員会の趣旨に賛同します ■
http://www.nagesen.gr.jp/  <投げ銭システムをすべてのhomepageに>
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発行   デジタルクリエイターズ
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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

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 担当:濱村和恵
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