[0660] 「web甲子園2000」に行ってきた

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0660   2000/07/25.Tue発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 16421部
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 <上司が中山美穂だったりすることはまずありません>

■デジクリトーク
 「web甲子園2000」に行ってきた
 柴田忠男

■デジクリトーク
 デザイナーの独り言-1
 山本のりこ

■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記  0121 7/25
 洋上娘、キューバに上陸するの巻
 ------(フェーズ1)航海日誌69日目-------
 川井拓也@sea



■デジクリトーク
「web甲子園2000」に行ってきた

柴田忠男
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●みごとな手作りイベント

「web甲子園2000」かあ、いいタイトルだな、いい企画だなと思っていたら、
主催者の関西ソーホー・デジタルコンテンツ事業協同組合から、審査員(審判)
をやってくれとの依頼があり喜んで参加した。主審は大阪電気通信大学情報工
学部の魚井宏高助教授、一塁塁審がわたし、2塁塁審が森川眞行、3塁塁審が本
田勝裕(キャリア・コンサルタント)、線審として協同組合代表理事・塩見政
春の各氏。

球場(会場)は尼崎の「つかしん」内の教会だった。厳粛であるべき教会を甲
子園球場に見立てるという神をも畏れぬふるまいである。司会の女性はプロか
と思ったら、ライターの竹森まりえさん。

「では、深紅の大優勝旗を先頭に、選手入場です!」

行進曲にのって堂々入場する選手たち。ノリがいい。コスプレで「かちわり」
を配っているのも理事さんらしい。選手には本物の甲子園の土をおみやげにわ
たすという。本気でつくった深紅の大優勝旗というのもなかなかの出来。ここ
までやるか~というのが関東者のわたしの印象だ。雰囲気を盛り上げる演出も
考え抜かれており、ちゃんと進行台本があったのには驚いた。選手宣誓、審判
紹介、主審の挨拶と「プレーボール!」、サイレン。

運営事務局の石井研二さんからこれまでの経緯説明がある。今年の3月1日から
4月30日までエントリーを受け付け、370名が応じた。続いて5月1日から30日ま
で作品応募を受け付け、最終的に本応募は68作品となる。6月1日から一次審査
を開始、30日に32点の一次審査通過作品を発表した。7月1日から本日正午まで
WEBで一般投票を行ない、その結果をスクリーンで発表する、とのことで、ず
いぶん用意周到に行われたのだなと感心。一次審査通過の32作品の作者は、遠
くは北海道、熊本、東京などの人だが、半数以上が参加していたようだ。

●がんこな審査員<ワタシ

いよいよ最終審査会の開始だ。司会はうぐいす嬢の声で選手を紹介する(よく
やる~)。なんと、ネットにつなげたノートパソコンからプロジェクタで上映
する仕組みだ。オンラインで見ているわけだが、本当にうまく見せられるのか、
ちょっと心配だった。こういうときはなにが起きるかわからない。オフライン
でも用意すべきだし、できればビデオで編集して見せた方が安心だ。

案の定、最初の作品で大きくつまずいた。その作品は3D画像を見せるのにあま
り知られていないプラグインが必要であったため、ネットの環境が貧弱だった
せいもあるが、それをダウンロードするのに手間取りおおいに時間を要した。
その間は、選手たちにインタビューするという窮余の策でしのいだが、かなり
盛り下がったのであった。特殊プラグインを必要とする、というのはうまい手
ではない。わたしも家で見ていて、途中で放棄した。

その後はなんとかトラブルなく進んだが、ひとつの作品につき持ち時間は数分
しかないのでサイト内をしっかり見ることはできない、また選手のコメントに
したがっての操作もするが、選手にとってははがゆいものだったと思う。審判
は前もって見てきたはずだから、この場面での運・不運はないが、この上映方
法はいまひとつ選手には気の毒なところもあったと思う。

審査の途中でコメントを求められたので応える。「わたしはどこに行っても最
年長である。年寄りは気が短い。読み込み時間が長くて待たされるのは我慢で
きない。操作がわかりにくいのはいやだ。めんどうなインタラクティブはきら
いだ。課題をきちんととらえていないのは評価できない。無意味にアートっぽ
いのはいやだが、かといって機能的でもデザイン以前のものはだめだ」という
ようなことを言った記憶があるが、これじゃたんなる頑固じじいだ!

全作品を見てから、審判は別室で審査。時間がおしているのだが、審査は予定
より時間を食った。まず部門別の優秀作を選ぶのだが、部門によっては一作品
しかなかったり、あまり意味のある分け方と思えない部門もあったりで、途中
から部門別に選び出すことをやめて、とにかく審判がいいと思う作品をあげて、
ベスト9を絞り込んでいった。優勝、準優勝はその中から選ぶ。しかし、9点で
はおさまらず、結局11点を選んだ。みんなすごくイイ。

●コンテストの趣旨と入賞者

以下は、 菅原裕さん(SOHO'S REPORT東京情報局)が、【日刊SOHO'S REPORT】
7/24に書いていたこと。菅原さんもこの手作りイベントの裏方さんで精力的に
働いていた方だ。最終審査も進行役を務めた。
 ─────
優勝を勝ち取ったのは山梨県の学校の先生が一人でMacromedia Flashを駆使し
て作った教育サイトだった。
http://www.webkoshien.com/apply/apply5ff/wk032f/

二位の有力候補に滋賀県在住の主婦の作った家族のサイトがあったのだが、
http://www.webkoshien.com/apply/apply4bk/wk008t/

やはりこのコンテストの趣旨は、これからプロとしてやっていこうとがんばる
若者のためのものなので、ということでデジタルハリウッド大阪校の5人の共
同制作が獲得した。
http://www.webkoshien.com/apply/apply6as/wk018s/

皆さんご存知のとおり、最近のWEBというのは複雑を極めている。表面からは
分りづらいけれど裏ではデータベースなどのシステムが動いていたり、Flash
やShockWaveなどのクリエイティブ上の技術があったりして、見かけよりも相
当複雑になっている。見た目で一発で「これが優勝」と簡単に言ってしまう
わけにもいかないんである。それが証拠にこのコンテストは一般からの投票を
WEBで受け付けたけれど一般投票で上位になったものが必ずしも受賞している
とは限らない。
 ─────
授賞式ではまずベスト9が表彰された。その後、課題企業賞の表彰だ。ベスト9
から優勝と準優勝が選ばれる、はずだったが実は計11作品が選ばれた、という
ことを表彰の前に主審が言ったのだが、ちゃんと伝わっていなかったのかもし
れない。だから、優勝と準優勝が発表されると、落ちてしまったのかと思って
いた(?)受賞者は大感激のようすだった。

授賞式はなかなか盛り上がって、気持ちがいいものだった。その後、魚井主審
と森川塁審が漫才よろしく舞台に現れ、さすがにツボをとらえた的確な講評を
繰り広げた。審査会、表彰式をノリまくって乗り切った運営陣と選手団は、飲
み放題、食べ放題のガーデンパーティに突入した………。

web甲子園2000
http://www.webkoshien.com/indextop.html

【日刊SOHO'S REPORT】
http://www.soho-union.net/report/

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■デジクリトーク
デザイナーの独り言-1

山本のりこ
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自己紹介の時に「職業・デザイナー」と言うと、たいていの人が「すごーい」
「かっこいい」と言われますが、「…どこが?」と思っているのは私だけでは
ないはず。これは世間一般の「デザイナーは素敵な職業」という誤解を解くた
め、もしくはこれからデザイナーになるぞという人に、今からでもいいからも
う一度考え直したほうがいいよ、と忠告するためのお話です。

●机一個ぐらいはもらえると思ってたのに……

まずデザイン事務所。たいがいぼろーい、幹線沿いもしくは線路沿いにある、
ちょっと幽霊なんかでそうな(ちなみに私が働いていた事務所はホントに幽霊
がいたらしい)ビルだったりします。ドラマに出てくるデザイン事務所、あれ
は?です。スタッフみんな美男美女かつおしゃれさんで、上司が中山美穂だっ
たりすることはまずありません。

そして私が働いていた事務所は狭かった。20畳程のスペースに各種機材+資料
+スタッフ10人がぎゅうぎゅうに詰め込まれて作業していました。入社一日目、
「はい、ここが今日からやまもとさんに仕事してもらう場所だから」と言われ
て私に与えられた場所は、畳一畳もないスペース。ダ○エーに9980円ぐらいの
価格〔椅子付)で売られていそーなパソコンラックに積まれたMacでした。
…机一個ぐらいはもらえると思ってたのに…ここには夢も希望もないんかい…
これが入社日の私の感想です。

入社してから約一ヶ月間、野球部の千本ノックのごとく、家の図面ばかり描か
される毎日。大クライアント様が某建築会社だからね…ああ、図面でもなんで
も描くさ。とスレた気持ちで過ごす一ヶ月間でした。

それでもゴールデンウィークを過ぎたぐらいで、それなりのものを任されるよ
うになってきます。私が最初にしたのは、マンションの折り込み広告の裏面で
した。まあ派手な仕事ではないですが、一ヶ月も白黒の図面ばかり描いてたの
で、初めて形になる仕事を任された嬉しさがありました。

「やまもとさん、裏面に入る内容は部屋の図面が3点とこれこれの設備写真、
それからこのマンションの環境の説明と地図と…」…おいおい、このB4そこそ
このサイズの紙に、どう詰め込んだらそんなにモノが入るんだ…。内心そんな
ことを思いながら説明を聞いていました。

最初は軽い気持ちで何とかなるかーと思ったけれど、いざ作り始めるとやっぱ
り入らない。何回やっても入らない。そのうち営業の催促なんかきて、あせっ
て余計に入らない。うぎゃー! 半泣きになりながら、隣の席の先輩に助けを
求めるとさすが先輩、私は的確なアドバイスをもらって、なんとか時間までに
それなりに見れるものが作れました。

「先輩、ありがとうございました。助かりましたー」
「いえいえ、慣れたらすぐ出来るようになるし、心配しなくも大丈夫やから」
「いやー、でも今回初めて広告作りましたけど、なんかデザインって言うより
パズルって感じですねー」
私がそう言うと、はははと笑いながら先輩はたばこを吹かしてひと言、
「っていうかさぁ、やまもとさん。…デザインって、なに?」
…私はこのひと言で、5月中ばにしてこの事務所の全貌を知ったような気がし
ました。つづく。

【やまもとのりこ】norinori@abox.so-net.ne.jp
某芸術系大学を経てDTPでざいなーになる。現在WEB系に転職しようと試み中。
やっぱりアイスはハーゲンダッツ。  

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■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記  0121 7/25
洋上娘、キューバに上陸するの巻
------(フェーズ1)航海日誌69日目-------

川井拓也@sea
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【現在の船の位置=凸】
東京>>香港>ベトナム>シンガポール>スリランカ>セイシェル>ケニア>
エリトリア>エジプト>イスラエル>ギリシア>クロアチア>イタリア>カナリア
キューバ>>凸>>メキシコ>カナダ>ロシア>東京
Transported by http://www.peaceboat.org/
Planning&Produced by http://www.taiyokikaku.com

【ip2000チームが航海しながら制作・発信中のコンテンツ】

●「ビデオサロン8月号」発売中
カラー4ページip2000奮闘記撮影編掲載!

●「週刊ウルトラ1」
はなこが世界を行く!好評連載中!

●@ぴあ「さすらいの通信芸人」本日更新!
吉澤由香の洋上モバイル日記
http://www.pia.co.jp/sp/wwm/index.htm

【今日のコラム】
□□□テクニカル度
■□□□旅行シズル度
■■■□おもしろ度
■■■□制作プロセス度

やってまいりました、キューバ。サルサのリズムが聞こえる熱い国。ハバナに
入港したオリビア号から降り立った「洋上娘、」たちは10日ぶりに踏みしめる
陸地の感触に感激。船で新しいメンバーとなった22歳の若きマネージャー恩田
くんと一緒にデビュー前の散策。

キューバは社会主義の国、そしてアメリカからの経済封鎖を受けつづけている
苦しい台所事情。街を走る車はまるで映画「タッカー」の時代のような流線型
のクラシックカーばかり。街には店らしい店はあまりなく観光客向けを除いて
は配給制のようになっている。

店にはショーウィンドーのようなものはなくカウンターの奥に棚があり日用品
が並んでいる。そしてこのキューバといえばチェ・ゲバラ。VaioNetでも今年
「革命の世紀」というテーマでゲバラの特集をしていたばかりだ。それにして
もゲバラ、いい男だ。(▼1)

そのダンディズムともいえる葉巻をくわえたゲバラの姿にかの「洋上娘、」も
私の好みのタイプは「革・命・家!」とテンションも上がる。そう、今時代は
あらゆる面で「革命家」を欲している。ネット業界も映像業界もそうだ。

マネージャー恩田くんの敏速な手配により、専用のリムジンが迎えにやってき
た。早速それに乗り込む「洋上娘、」(▼2)

自転車で走るキューバ青年はめざとくこのアイドルを見つけ「オーラ! ヨー
ジョームスーメ!」とついてくる歓迎ぶり。そんなこんなでのどが渇いたアイ
ドルは水分補給のためにリムジンを降りるといきなり子供達が寄ってきてサイ
ンを求める。(▼3)

その熱狂ぶりにマネージャーの恩田くんが止めに入るという一幕もあった。ま
だサインを練習していないとに気が付いた「洋上娘、」たちは慌てた。そんな
貴重は生のサインをもらえた青年のひとりは「コレカラモ、ヨージョームスメ、
オーエンスルヨ!」と熱いエールを送ってくれた(▼4)

そんな熱狂に迎えられちょっとつかれたさみしがりやのユーコは、コパカバー
ナビーチで自分の乗っているオリビア号を遠くに見ながらちょっとアンニュイ
な気分になっていた。(▼5)いつもは自分が海の上、でも今日は陸から海を
見られる。また明日になれば長いカリブ海クルーズ。ちょっぴり陸に恋しそう
なユーコであった。

そんなこともつゆしらず行動派のハーコは街でさまざまな人と交流。観光客も
寄ってきて彼女たちに質問を浴びせる。「どこであなたたちの曲を入手できる
の?」「インターネットよ!」「アイシー! アイウィルダウンロード!」と
楽しい会話が弾む。(▼6)

今ごろ日本ではボーカルとの最終リミックスが行われているであろう。そして
いよいよサルサフェスティバルに乗り込む「洋上娘、」たちである。

※▼印の部分は以下のサイトに画像が掲載されています。
http://www.ip2000.net/

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■編集後記(7/25)
・その後、マンションはどうなったかというと、順調に工事が進んでいる。も
ちろん、工事協定書の締結もしていないのに、だ。あまりにすごかった解体工
事の被害、迷惑について大量のアンケート結果を送りつけたのだが、すいませ
んの一言もなく、調査したが問題ないと思う、工事は進めさせていただく、と
いうトンデモ対応。また一波乱だ。北のマンションも騒音が聞こえる。加えて
道路工事も始まって、近隣はすごいことになっている。逃げたい。(柴田)

・新声社という出版社があった。ゲーメストというアーケードゲーム雑誌が有
名で、雑誌自体の売り上げは良かったが諸事情により倒産した。そのゲーメス
トのムックで、カプコンから出たD&Dというゲームの攻略本を探しているのだ
が、もちろんどこも取り扱ってはいない。無理を承知で、問い合わされる者の
つらさを知りつつ、元編集のいらっしゃるゲーム雑誌にメールしたところ、副
編集長の猿渡氏より、親切かつ優しい長文の返信が届いた。私は一面識もない
ただの迷惑メールを出しただけの人間である。「再販権はあるが、実質無理」
「こちらも欠けているバックナンバーを探しているところ」「新声社刊行物 
市場在庫情報 WWW掲示板を作れたら」「合間に探しておきますね。」そして、
一週間後のメールには「探したけれど見つからない。ごめんなさい」これに感
動しないものはおるまい。私の知り合いのゲーム好き人間たちは、みなゲーメ
スト廃刊を悲しんでいる。ゲーメスト関連のムックやバックナンバー、トレカ
などの在庫情報を少しでもお持ちの方はぜひご連絡ください。(hammer.mule)
http://www.arcadiamagazine.com/ 月刊アルカディアのサイト

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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
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        森川眞行 

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