[0830] これがロシアの「情報処理」試験

投稿:  著者:


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0830    2001/03/29.Thu発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 17696部
情報提供・投稿・広告の御相談はこちらまで mailto:info@dgcr.com
登録・解除・変更・FAQはこちら http://www.dgcr.com/regist/index.html
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

--PR------------------------------------------------------------------
            ■ AQUENT.INC ■

    世界最大のクリエイターネットワーク、ますます拡大中!

 クリエイティブの人材エージェント http://www.aquentpartners.co.jp/
------------------------------------------------------------------PR--

 <やはり、女の敵は女か?>

■デジクリトーク
 これがロシアの「情報処理」試験
 東 知世子(モスクワ在住)

■デジクリトーク
 新しいOS、新しい年度、新しい領域。
 須貝 弦

■イベント案内
 ディジタル・イメージ2001 東京展
 【中韓日ディジタル・アートの現在】



■デジクリトーク
これがロシアの「情報処理」試験

東 知世子(モスクワ在住)
───────────────────────────────────
ロシアというと、すべてが10年くらい遅れている、という説がある。たしかに、
ここでは80年代アメリカン・ポップスの王者健在だったり、多分、ソ連時代そ
のまんまの地下鉄レーニンの健在ぶり、70年代ファッションかと思われる服装
そのままの年配の人から、いきなり、夜になると現れる山羊の乳売りおばあち
ゃんまで。

モスクワという都市の怪は、外国から来た異邦人を驚かせるものが、けっこう
ようさんありますねん。それがまた、はまってしまうとピンからキリまで有り
の、この「不思議惑星キンザザ」(そういう露映画ありまんねん)ならぬ、不
思議大国ロシアの魅力でして。

●完璧・機械音痴の関西人の苦闘

ところがどっこい、大学の中に入ってさらにまたびっくり。これは部外者には
分かりまへんけども、この時代、モスクワだって、テレビのCMでパソコンセッ
トでちゃんと最新のモデル(?)も売ってるのにもかかわらず、実際には「こ
んな化石コンピュータでも、どっこい動いてまっせー!」というような、ほと
んど奇跡のようにレトロな(要するに古い)パソコンが並んだ、開かずの部屋
が、モスクワど真ん中の名門大学の一室にあるのだった。(教師曰く、早く全
部潰れて買い換えたいのだが、最後の数台がなかなか潰れない……らしかった)

電源を入れた、その後のギリギリ、ジリジリ言うような音。この音で、まず最
初の恐怖に襲われた初授業。しかし、講師は金髪で身長180以上は軽くある、
きりっとした顔立ちの美人なのだが、私は同性なので、そのありがたみなんか
あらへんし、とにかく、誰にでも冷たーい人なんですわ。ま、あの背の高さと
いい、見下ろした態度といい、男の人でも近寄り難い存在には違いない。

とにかくガンガン機関銃みたいに、原稿を見て喋り続けるのをひたすら筆記、
それが第一段階。そして、手垢のためかなんの影響か全体的に黄ばんだキーボ
ードに向かい、操作に入る。一応、それが第二段階。

これでも、一応Windowsらしい。うーむ。こんな時代もあったんやなあ……と
思わず10年くらいタイムスリップしてまう。しかし、そんなことしている場合
ではなかった。「先生、分かりません!」言ったところで、「なんでこんなこ
とが分からんの!」とチョップされそうな一喝と、鋭い一発タッチ修正でなに
がなにやら分からんまま、話はどんどん進んで行く。ほ、ほんまに、待っとく
なはれー!!

この非常に緊張感溢れる講義が、飛び飛びに数週間、約8回ほど連続するのだ
が、不条理なことに、この恐るべき集中講義の内容には、DOS-V環境での操作、
また、ノートンコマンドなる得体の知れない指示版を使う操作、なんか両側に
英語の(ロシア語じゃないとこが笑える)ファイル名が並んでいるではないか!

それで、なんかたいした意味はないらしいが、ひたすらファイルを作ったり、
作ってはコピー、それを移動、そして消去という、なんや意味不明の操作もテ
ストに含まれるというのだ!

私は正直言って、完璧・機械音痴の関西人であって、そんなもん、今時のパソ
コン環境でインターネットとメールで精一杯やのに、なんでロシアまで来て、
ノートンコマンドやら、DOS-Vの操作やら、演劇大学でせなあかんとは……そ
んなさっぱりわやくちゃな! やはり、ロシアは侮れない……と唇をかむのだ
った。

周りのロシア人も同情し、かつ怒っていたが、こればかりは、どうしようもあ
らへん。(どうしようもないことが多過ぎるのもロシアっぽい)

「今時そんなもん、ロシアでも使わへんで。なんのために君がこんなことせな
あかんの!」と、コンピュータ関係の仕事をしている友達が自宅レッスンつけ
てくれて、しかもノートンコマンドの練習バージョンまで、デスクトップに置
いて帰ってくれた(ついでに壊れたベッドもドアも、ただで修理してもろた)。

なーんて、やさしいロシア人もいるもんで。男の人はどこの国もええねんけど
も……問題は女。やはり、女の敵は女か? ガーン!

●関西人には合う(?)ロシアの試験制度

そして、試験当日。なんと、試験問題は事前に知れた10数問から、くじ引きで
当たったとこ勝負ときていて、廊下で待っている間は、ジリジリあぶられるス
ルメ状態。今頃、慌ててもしゃあないけども……それでも、じたばたノートを
見たり、ちょっとでも、賢くなれそうなことをしてみる。

うーん。でも、イライラが最高潮に達する。もう諦めるしかない! これはも
う腹くくるで。と思いきや、入ってみると、あの化石パソコンを前に3~4人ほ
ど頭を悩ませたり、なにやらウダウダしつつも、とりあえず操作して見せれば
いいらしい。

そういうことで、なんや突然気が抜けた。思ってたより、なんか勝手にやりた
いようにやりなはれ! という自由さが、関西人の緊張をほぐしてくれた。

私は、ノートンコマンドでのファイル作りと消去と、WindowsのWordでの作表
して欄を足したり減らしたりするという、けっこう難しいのが当たったにも関
わらず、場の雰囲気が、思ったより気楽だったので、調子に乗って、そのまま
スラスラやって見せて、たった数分でパス!

結果は5段階評価の5という、有難い評価。

うーん、日本でも通知簿の5なんか、ほとんどあらへんかったのに、これは快
挙かもしれんなあ……と妙に改まってしまったのだった。

しかし、この恐るべき謎の大国ロシアでは、このような日々、実に地道な謎の
特訓によって、信じられないコンピュータに強ーい人たちがどっかで、こっそ
り育成されているのかもしれない……なんかよく分からんけど、ちょっとSFみ
たいな気分になる私だった。

モスクワ在住 演劇批評家の卵 東 知世子

・批評家モスクワ日記
http://www.l-mode.com/diary/new/russian.html

・ロシア演劇専門HP「ロシア・天井桟敷」
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/5825/tenjousajiki.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■デジクリトーク
新しいOS、新しい年度、新しい領域。

須貝 弦
───────────────────────────────────
ものは試しということで、手に入れて数日しかたっていないMacOS Xに標準添
付されている「TextEdit」というシンプルなエディタを使って今回の原稿を書
いている。

表示に使っているフォントは「ヒラギノ角ゴ Pro W3」というものだ。MacOS X
は実用レベルではまだまだ使い物にならないと感じる部分も多いのだが、たま
にはこうして使ってみることで、なんとか「クセ」をつけておこうと思う。ま
ぁパブリックベータよりはマシにになっているので、テキストを入力したり、
ネットサーフィンしたりする分には不自由はない。やはり標準添付の「Mail」
というメーラーの完成度があまりに低いのも、ちょっと残念な感じがする。

本当は新しいOSは新しいマシンで迎え入れてあげようと思ったのだが、そうは
いかなかった。MacOS Xであれこれと実験するために、初代iMacあたりを中古
で買おうかとも考えはしたが、冷静に考えるとどうも無駄な出費なような気が
するし、私がどこかの雑誌でOS Xがらみの記事を書くということもたぶんあり
得ないと思うので、結局は無理してお馴染みのiBookにOS Xをインストールし
てしまった。

すでに一部で「アホ」「勇気あるヤツ」と賛否両論になっている。しかし、OS
XもいいけどWindows XPも触ってみたいなぁと思う今日この頃。そういえば、
Windowsノートを買うというプランも頓挫している。欲しい欲しいと言いなが
ら何も買わない男の、本領発揮という感じか?

オフィスを持ちたい! というネタのほうは、いちおう「継続審議」というこ
とになっている。結局いちばんのネックとなるのは、フリーとして自分の仕事
と生活がどこまで安定するか?ということだ。

かけ出しの(いつまでかけ出しだろうか?)の私にとって、リスクヘッジとい
う意味では今の実家にいたほうがいいには決まっている。が、実家で仕事をす
ることの限界はすでに十分気がついている。ここは不退転の決意(c)海部俊樹
で、一気に進んでしまった方がいいかも……といったところで揺れている今日
この頃だ。とりあえず、不動産屋めぐりは少しずつだがスタートさせた。時期
的にいい物件は残っていないので、あくまでも相場を調べるというレベルだが。

「フリーとして自分の仕事と生活がどこまで安定するか?」という問題は、そ
のまま「今後どういう仕事をしていくのか?」ということでもある。今はコン
ピュータ関係の媒体で仕事をしている自分だが、この先はどういう方向へ進ん
でいくのか、それほど真剣に考えてきたわけではなかった。

なので今年に入ってからは、雑食と言うかなんというか、しばらく関わってい
なかったような仕事や、今までまったくやったこともないような仕事を積極的
に受けるようにしている。従来の経験がまったく活かされないほどに勝手の違
う媒体もあったりするが、それはそれで「日々鍛練」という気持ちになる。

できれば、今年のうちに大型二輪の免許を取りに行こうと思っている。という
のも、私は本当のところバイク雑誌の仕事がしたかったのだ。その思いは、密
かに今でも持っている。今は免許が400ccまでの普通二輪免許なので、排気量
の制限なく乗れる大型二輪の免許が欲しい。そして、デジタルとバイクと言う
一見何の関わりもないような2つの要素を、なんとか結び付けたことができな
いかと日々思案中だ。こういう日々の思案が、ありがたい振り込みに繋がる日
は来るのだろうか?

もともと、私は何かのスペシャリストではない。このあいだもふと自分が過去
に関わってきた仕事を思い返してみたが、そのほとんどはコンピュータに関連
する人や場所の取材、モノの紹介だった。あえて言えば、秋葉原なんかでの価
格調査の仕事なんかが柱にはなっていて、デジタル系のショッピング情報につ
いては「得意分野」と言えるかも知れない。しかしこの分野にお金を投じるク
ライアントは、あるようで少ないのが現実だったりする。また、秋葉原などの
ダークな部分に付き合いきれなくなってきた、ということもある。

とにかく、今年中はコンピュータ系以外のいろんな仕事にチャレンジしてみた
いと思う。年度が変わってからは、ほぼ2年振りとなる「売り込み」も再開す
る予定。少ないコネを総動員する傍ら、まったく関わりのない媒体や会社に対
しても、いくつかターゲットを定めているところなのだ。あちこち乗り込んで
やるぞ、フフフ(笑)

【すがい・げん】sugai@macforest.com
「そうそう、ひとまず自分のWebとメルマガを充実させなければ!」と、いつ
も同じところに戻ってしまうこの頃でもある26歳。

筆者のWebサイト:Residents in Forest of Macintosh
http://www.macforest.com/

同じくメルマガ:週刊Mac使い
http://www.macforest.com/magazine/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■イベント案内
ディジタル・イメージ2001 東京展
【中韓日ディジタル・アートの現在】
http://www.digitalimage.org/
───────────────────────────────────
ディジタル・イメージは日本で唯一最大のディジタル・アーティストのグルー
プです。昨年から今年にかけて北京で開催されたディジタル・イメージ中国展
によって始まった、ディジタル・イメージの国際的なプレゼンテーションと文
化交流活動は、今年さらに大きなものになろうとしています。

その第一弾を、GW銀座ワシントン会場での日本、中国、韓国3か国の作家によ
る「中韓日ディジタルアートの現在」展(仮題)といたします。中国、韓国か
ら各20数名、日本からはディジタル・イメージ代表選抜作家50数名による参加
として開催いたします。

●DIGITAL IMAGE 2001 TOKYO 企画

ディジタル・イメージ2001 東京展
【中韓日ディジタル・アートの現在】仮題

会期 4月29日(日)~5月5日(土)11時~19時
会場 銀座ワシントンアート
   104-0061 東京都中央区銀座5-7-7 銀座ワシントン7F
   03-3571-8532(会期中)
主催 ディジタル・イメージ
協力 ソウル ディジタル イラストレーターズ アソシエーション
   北京中央美術学院電脳美術工作室
特別協賛 銀座ワシントン
後援 CG-ARTS協会(財団法人画像情報教育振興協会)
   デジタルコンテンツ協会(略称DCA)※仮称
入場料 無料
展示内容 中国、韓国のアーティスト各20数名、日本のアーティスト50数名、
約100名の作品を展示、上映

特別企画1:セミナー「日中韓ディジタルアートの現在」
4月28日(土)13時~17時 徳間ホール
講師 河口洋一郎・東京大学大学院教授
   勝井三雄・武蔵野美術大学教授(予定)
   梁浩一・漢陽大学教授
   張駿・北京中央美術学院電脳美術工作室主任 ほか

特別企画2:ディジタル・イメージ会員のCGアート作品集
「デジタルイメージギャラリー2001」をインプレスより同時出版、韓国、中国
の作品も収録。

※詳しくはディジタル・イメージWebサイトをごらんください
こちらに広報用の画像もあります
http://www.digitalimage.org/plan/

問い合わせ先
102-0074 東京都千代田区九段南3-7-14 K-BLDG.B1
株式会社マルチメディアセンター内 ディジタル・イメージ事務局
電話:03-5212-1633 ファクス:03-3239-3640

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■編集後記(03/29)
・腰が痛い。従来のうっとおしさと違った痛みだ。思うに、オールアバウトジ
ャパンのガイドサイトを完成させるため集中してデスクにくっついていたと以
来だから、やはり長時間の座りっぱなしがこたえたようだ。そこで新聞広告に
あったニューランバサイズという腰椎けん引器具を発作的に発注。腰をのせて
体をそらすと確かにいいようなかんじがするが、効果はまだわからない。健康
器具というよりアイデア商品というべきか。一緒に送られてきたアイデア商品
カタログはじつに面白い。これは便利そうだなあ、こんな間抜けなの誰が使う、
なんて眺めていて飽きない。オット~、そんなのんきな逃避してる場合ではな
い状況なのだ。週末は花見のお誘いが来ているが相当あぶない。(柴田)

・webデザイナーになりたい、だから学校に行きます、ではムリだと思うな。
学校が教えることってスキル面だけだもん。そこで何を学ぶかは本人にかかっ
ているし。使いこなせるのは最低ラインでしかなくて、それで何を作るかが問
題だもの。いきなりSOHOやフリーになるよりも、一度は就職した方がいいと思
う。私はデザインと製作を孫請けすることが多いけど、ただ単に作ればいいっ
てものじゃなくて、例えば家電メーカーサイトなら、類似サイトを調査したり、
その販売開発内容や方針までも聞かないといけない。向こうの持ち出してくる
「最近雑誌で覚えた内容はあんまりわかんないけどかっこよさそうなの、な最
先端用語」なんてものも把握して、予算や規模、必要性があるかどうかで却下
したり別提案しないといけない。つづく。         (hammer.mule)

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
発行   デジタルクリエイターズ
     <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

情報提供・投稿・プレスリリース・記事・コラムはこちらまで
 担当:濱村和恵
登録・解除・変更・FAQはこちら <http://www.dgcr.com/regist/index.html>
広告の御相談はこちらまで  
メーリングリスト参加者募集中  <http://www.dgcr.com/ml/>

★等幅フォントでご覧ください。
★【日刊デジタルクリエイターズ】は無料です。
 お友達にも是非お奨め下さい (^_^)/
★日刊デジクリは、まぐまぐ<http://rap.tegami.com/mag2/>、
Macky!<http://macky.nifty.com/>、カプライト<http://kapu.cplaza.ne.jp/>、
Pubzine<http://www.pubzine.com/>、E-Magazine<http://www.emaga.com/>、
melma!<http://www.melma.com/>のシステムを利用して配信しています。

Copyright(C), 1998-2001 デジタルクリエイターズ
許可なく転載することを禁じます。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■