[0999] 「うわさの男」
── 「豹変」したい 連載(29) ──

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0999    2001/12/20.Thu発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 19902部
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 <来年も、皆さんが皆さんであって、そして、幸せでありますように>

■デジクリトーク
 「うわさの男」/「豹変」したい 連載(29)
 8月サンタ

■デジクリトーク
 アーティストは芸術家か?
 永吉克之

■サイト案内 Too企画サイト
「クリエイターズ・カフェ」、第6回目に田島照久氏登場

■展覧会案内
 JACA日本ビジュアル・アート展2001



■デジクリトーク
「うわさの男」/「豹変」したい 連載(29)

8月サンタ
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999号である。昔々、松本零士さんが自分の作品のタイトルを「銀河鉄道999」
と名付けた理由について語っていた。「だって、完結する一歩手前って感じで
しょう? その "1000" でないところに、可能性を感じるからですよ」という
わけで、そのときから私にとって、999は希望の数字なのだ。

記念すべき999号にして、今年のデジクリも明日の一回で終わり、今週は、こ
こ数年、ずっと考えていたことについて書きます。

●「型」にはめないと、人を理解できないなんて

デジクリが創刊された98年春のこと、私は某出版社を辞めた。理由は、「世界
が違ってしまった」からだった。

以前書いたとおり、98年の春、親父の手伝いで、アメリカとフィンランドを行
き来するメールの内容を、日本の機械メーカーに翻訳して伝えるという仕事を
しばらくやった。

二週間休みを取って通訳を務めたあと、成り行き上その仕事のフォローとして
そういう副業をやることになったのだが、いざ会社に戻ってみると、上司も同
僚も誰一人、目の前の男がそんなことをやっているということを信じず、理解
しなかった。理屈は下記の通りである。

外人と付き合いがある  →嘘だろ、格好付けやがって
親父がアメリカにいる  →嘘だろ、格好付けやがって
英語が喋れる      →嘘だろ、格好付けやがって
インターネットを使える →嘘だろ、オレですら理解出来ないのに

デジクリ読んでる皆さんなら、ネットの知り合いで、海外との接点くらい、い
くらでも見つけられるだろう。デジクリ執筆者なら、それこそ英・仏・伊くら
いはペラペラで、出版界・デザイン界・映像界で、世界を股にかけて、第一線
で活躍している本物の人が山ほど見つけられる。大体一度インターネットにつ
なぐと、ご存じのように「世界を股にかける」という表現が気恥ずかしくなる
ほど、国境というのはなくなってしまう。

大体三年前の時点で、メールをやりとりしている相手のアメリカ人も、フィン
ランド人も、インターネットを使うということを特別視している様子はさっぱ
りなく、FAXの代わり、くらいに考えていた。だって、最先端の国際ビジネス
マンではなくて、ごく普通のおじさんたちだったのだから…。

今考えてみると、この私の同僚たちは、結構人のことをバカにしていた。少し
でも自分たちの常識から外れたことをいうと、頭から否定してかかる人たちだ
った。例えば、その頃私の知り合いが、荒木経惟さんの「人妻エロス」という
写真集でヌードを披露した。同僚と一緒にサンプルとして置かれていたその写
真集を広げると、2年前某所で仲良くなった彼女そのものだったのである。

そりゃ驚いたけど、長い人生、そういうこともあるだろう。でも、「あ、この
人●●さんと言って、私の知り合いですよ」と言ってしまったそばから「うそ
だろ」となってしまった。悪いけど、そんなこと嘘付いても空しいだけでしょ
う。小学生の自慢じゃないんだから。

もともと職場では最低限の会話しかしなかったし、私は実生活では「きいてき
いて!」とそんなに声高に自己主張するタイプではない。冒頭の仕事の説明も、
聞かれたから淡々と答えたまでである。話は心底バカにした顔つきで「スゴイ
ね」というセリフで終わった。その時、はっきりと、彼らが他人にはめたがっ
ている「型」のようなものを感じ取ることが出来た。

私の同僚達は、私がいたわずかな時間のあいだ、きっと、ある意味エリナ・リ
グビーのような、普段見えない悲惨な世界から悲惨な男がやってきて、再び視
界から消え去っていったと思っていることだろう。(確かにその通りかもね)
酒・煙草、女、車、遊び(競馬・カラオケ・TVゲーム)、そういう解りやすい
接点がないと、だめだったんだろう。「何が楽しみで生きてるの?」と、目を
丸くして何度言われたことだろう。

でも実際には私は、彼らがそう思いたがっているほどには、惨めな人間には見
えなかった。それが彼らの怒りをかき立てていた、というのは後から気づいた。

●彼らの目に映る自分

私は酒も飲まない。煙草も吸わない。カラオケには生まれてから5回と行って
いない。競馬もパチンコも分からない。ファミコンも生涯で3時間くらいしか
やっていないだろう。TV、エアコン、洗濯機、冷蔵庫を持っていない。私は本
当に貧乏だし、世間一般で普通の暮らしを営むのに、必要とされるものもあま
り持っていない。特に冷蔵庫を持っていないというと、本当にバカにされるこ
とが多かった。

しかし冷蔵庫を持っていないから、哀れな食生活と考えるのは情けない話だ。
野菜も卵もドレッシングも、やり方を知っていれば十分東京の室温で保存でき
る(むしろ無神経な人が冷蔵庫を使う方が、貧相な食生活を招く)。鍋に関し
ては12年間、中・小2個のビタクラフトの7層ステンレス鍋をずっと愛用してい
て、火の通し方と繊細な味付けには自信がある。一見地味で日常的な食べ物を
美味しく食べさせて、人を驚かせるのが大好きだ。バジルと五香粉とクミンの
使い方をちゃんと知っている。日本人は言うまでもなく、鍋一杯の料理をイタ
リア人2人組が夢中で空にしていったことがある。

そういうあなたはベーコンエッグ一つ、きちんとつくったことがある? 私は
ある。ある年、300日以上、ずっと毎日卵二つのベーコンエッグを焼いて試した
ことがある。サニーサイドアップ、ターン・オーバー(両面焼き)。同じター
ン・オーバーでも、オーバー・ハード、オーバー・ミディアム、オーバー・イ
ージーの三種がある。アメリカのホリディ・インで頼むと、両面焼きでもふわ
ふわに焼いたのが出てくる。ソース、しょうゆ、塩・こしょう、七味、マヨネ
ーズ… 味付けもいろいろ試したけれど、ベーコンから出した油で焼いて、黒
こしょうをその場でガリガリ引いて塩をふるのが最高だ。胡椒挽きは800円、
粒の黒胡椒なんて300円あれば買える。

それより問題はベーコンだ。100gで500円の、本物のスモークドベーコンを使
うとどうなるか知ってる? 厚さ2mmに切ってもらったのを2枚、冷えたフライ
パンにかけると驚いた。見る見るうちに白い脂身部分は雪のように溶けて、そ
れまで見たことのないくらいきれいなシャンパン色の、玉のような油に分離し
てしまった。焦げ茶色の赤身は、細く、かりかりに揚がる。この値段では毎日
は食べられないけど、今まで食べていたベーコンは何だったのかと愕然とした。

ベーコンエッグはアメリカ料理だ。本場のボーイ・スカウトのマニュアルには
あの重たい、黒いフライパンをならすところから始まって、最後にベーコンか
ら出た油を黄身の上に塗ってつや出しする方法まで書かれている。正直参った、
と思った。

勿論、こんなことを人前で話す(書く)のは初めてだ。実際、人とご飯を食べ
るときにこんな御託を並べていては、嫌味でしかない。「ウマイ!」の一言で
十分。でも、自分で身をもって試したことは、血となり肉となり自信となるか
ら、哀れむ目で見られ、「あいつって変だぜ」と噂されても、涼しい顔でいる
ことができる。私は私であって、私なりにきちんと幸せを探しているからだ。

みんな「あいつより俺の方がまし」と思える相手を見つけようとする。私はそ
の会社で格好の対象だったんだと思う。でも私が今でも「ざまあみろ」と思っ
ているのは、私が私でいること自体が、確実に彼らの世界観を揺るがしていた
からだ。ある種の人にとって、自分が取るに足りないと思っている人間の、自
分が更にその下だと感じることほど恐ろしいことはない。

●電話回線の向こうに

この種の経験は、けっして私だけのものではないはずだ。どんな場所にも、自
分の生活する範囲での価値観を、必死で共有することで、安心して毎日を送っ
ている人々がいる。

でも、インターネットを始めて~正確に言うと自分でメルマガを始め、情報を
発信して~自分が全然孤独じゃないことに気が付いた。ずっとガイドブックや
偉い学者さんの紹介するロンドン案内に疑問を抱いていて、自分の気持ちに正
直にメールを書いたら、世界中から反応が返ってきた。私はますます会社の人
たちの世界から遠ざかり、電話回線の向こうの、ずっと探していた仲間たちと
純粋に楽しいおしゃべりをするようになった。以前より、ずっとらくに自分で
いられるようになった。

インターネットは、貴方が貴方であれば、必ず仲間が見つかる世界だ。貴方の
まわりの、あなたをある一定の型にはめようとする、全ての人を敵に回しても
大丈夫なのだ。その生活環境に依存しない価値観同士のつながりは、日本の社
会を根底から変えつつあるとひしひしと感じる。昔の孤独な人は、今はもはや
孤独ではない。戦いですらないのだ。世界が広がってしまったのだ。

デジクリ編集の柴田さんと濱村さんの仕事は、普通の人に全然理解されていな
いだろうし、世間一般基準ではあまり尊敬を受けないかも知れない。でも、本
人たちはきっとそういう世間一般の肩書き以上に自信に満ちて、幸せそうに見
えると思う。むかつくくらい(笑)

ここまでくれば最早大きい、小さい、権威がある、なしは無意味だ。電話線を
くぐり抜けて、広い世界に入ってしまったのだ。

●「豹変」したい

神田さんと柴田編集長から軽い気持ちでチャンスをもらって、ど素人な文章を
毎週デジクリに掲載させていただいている。原稿はいつもぎりぎりで、さんざ
ん柴田さんと濱村さんにはご迷惑をかけている。やっぱり実力以上のものは書
けないから、生き恥をさらしているようなところもある。

でも、今のところ、来年もしばらくは書かせていただこうと思っている。やめ
るときは、「要りません」と言われたときか、(これはリアリティある)自分
がダメだと思ったときだ。自分に負けたら、さっさと引っ込まなくてはならな
い。

自分がどれだけもの知らずで、恥知らずで、無能なのかは自分でさんざん分か
っているつもりだけれど、それでも頑張ろうと思うのは、「豹変」したいから、
「豹変」してやろうと思っているからだ。

「豹変」という言葉をご存じだろうか。中国の古典「易経」から出た言葉で、
豹の毛皮の模様が、成長につれ、目を見張るほど美しく変わってゆくことから、
「君子豹変す」~君子は会うたび毎に、目を見張るほど立派に成長するものだ、
見損なってはいけないよ、ということわざにつながる。(かなり誤用が多い言
葉である)

基本的に持って生まれた能力が低いから、自然体で他人をあっと言わせるだけ
のものは持っていない。だから、デジクリ木曜日の私のヘタレぶりは、やっぱ
り「あいつよりは俺はマシ」という「うわさの男」になっているだろう。

でも、そんな私だから、「豹変」すれば面白いと思う。あんなど素人の門外漢
だったはずなのに、思わずうなづかざるを得ないような、ちょこっとでも人々
の価値観・世界観をぐらつかせるような、そんな存在に成長したいと思う。有
名になりたいなんてちっとも思わないが、もちろん人を驚かしたいし、幸せに
したいとも思う。そうでなくっちゃ生きてる意味がない。

皆様、今年は大変お世話になりました。デジクリを読んで感想を送ってくれた
46人の読者の皆様、本当に嬉しかったです。ありがとうございました。

来年も、皆さんが皆さんであって、そして、幸せでありますように。

【8月サンタ】ロンドンとル・カレを愛する33歳 santa@londontown.to
今年の締め括りはもちろん表題の曲、Nelsonの "Everybody's Talkin'"「噂の
男」。久しぶりに聴いてみたら、涙がこぼれて止まらなかった。名画「真夜中
のカウボーイ」の主題歌です。ジョン・ボイトとダスティン・ホフマン。そう
言えばジョン・ボイトの娘さんは今ハリウッドで最高に輝いてる女優さんだ。

・ロンドン好きのファンサイト
http://www.londontown.to/

・デジクリサイトの「★デジクリ・スターバックス友の会★」この一年、スタ
ーバックスは本当にどっしりと日本に根を降ろしつつあると思う。いいぞ!
http://www.dgcr.com/

▼はい、家族はわたしがやっていることはまったく理解できません。ただし、
隣の娘夫婦がADSLをひくので(AirMacの電波では不安定なので)そのうちに知
られるでしょう。CG美少女のサイトをやっていることもばれてしまう。ところ
でそのサイトに「公募の危険な罠」というコラムを書きました。 (柴田)
http://allabout.co.jp/entertainment/virtualbeauty/

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■デジクリトーク
アーティストは芸術家か?

永吉克之
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私はいままで「芸術家」という呼称を避けてきた。「芸術家」というと、なに
やら重責を担わなくてはならなくなりそうだし、だいたい芸術とは何なのか未
だに定義ができないからだ。実際いろんな芸術家が、それぞれ勝手な定義をし
ている。そこで私も、自分なりの定義で芸術を語ることにする。

                 ●

そもそも、デジタル業界には「芸術家」という用語が存在しない。いちばんよ
く使われるのが「クリエーター」というやつで、次に「アーティスト」。「デ
ジタル芸術家」「CG芸術家」「ゲーム芸術家」なんてのは、ついぞ聞いたこと
がない。これでは「芸術家ぁ~? とっとと帰って絵の具のチューブでも吸っ
てな」とでも言わんばかりではないか。 

それに比べて「アーティスト」という呼称は間口が広く、ロック・ミュージシ
ャンもアーティストと呼ばれることがあるし、メイクアップ・アーティストな
んて言葉もある。また、英語で詐欺師のことを"CON-ARTIST"という。だから、
アーティストだからといって、スゴイ人である必要はなさそうではないか。

従ってアーティストなら、宝くじを買ったり風俗営業店に入ったりしてもヨイ
し、ギャラのことでゴネたり、自分より成功しているアーティストの名声を失
墜させようと、根も葉もないデマを流しても許される。

また、ピアノが弾ける美しい女性と結婚して子供を三人もうけ、郊外に一戸建
てを買って、庭にトマトなどの菜園を作っても神の怒りは落ちない。

しかし芸術家はそうはいかない。芸術家がそんなことをしたら地獄の業火で焼
かれるであろう。芸術家を幸福にするのは、金でも女性でもトマトでもなく、
芸術それ自体なのである。何もかも自分の思い通りに世界を創りあげることが
幸福感をもたらすのだ。

大勢の人間が協力して作品を作る映画の世界でも、タルコフスキーやキューブ
リック、ブニュエル、ゴダール、ワイダといった芸術家肌の監督が作った映画
では、どんな個性派の役者も監督が描く絵の素材のひとつに還元されてしまっ
ている。

そして、それが成功した時に芸術家の幸福感は絶頂に達し、すべてが終わる。
それが結果的に入賞しようが落選しようが、売れようが売れまいが関係ない。
常に素晴らしい作品に仕上がるかどうかは分らない。しかし、内的衝動によっ
て、作り続けること自体を目的とすることができなければ、自らを芸術家と称
してはならないのである。

                 ●

二十代の始めの頃にアルベール・カミュの『シーシュポスの神話』を読んだ。
ギリシャ神話を題材にしているが、小説ではなく哲学書である。

シーシュポスとは神話に登場する狡猾い男で、地獄に墜ちて罰を受ける。大き
な岩を山の頂上まで運ぶという罰なのだが、必死で頂にまで到達したと思った
ら、無情にも岩は自らの重みで、ふもとまで転がり落ちてしまう。そして再び
シーシュポスは、それを頂上に向かって転がす・・・これを永遠に繰り返すの
である。

カミュは、頂上を目指して岩を転がし続ける闘争は、それだけでシーシュポス
の心を満たすのに充分であり、シーシュポスは幸福なのだと思わなければなら
ない、と述べている。

また、芝居はまだ観ていないが、サミュエル・ベケットの不条理劇『ゴドーを
待ちながら』では、二人の初老の男たちが、ゴドーという、まだ会ったことが
なく、何をやっているのか、どんな人間なのかもわからない人物をずっと待っ
ている。夕方になってゴドーの使いが来て、「今日は会えない。明日は会える
かもしれない」と伝言する。そして翌日も待っているが、また夕方になって、
前日と同じ伝言が来る。こうして、二人の男は待ち続け、ゴドーは現れないま
ま劇は終わる。

この二つの作品に共通するのは、結果ではなく、結果を得るためのプロセスが
目的となっているということである。

                 ●

われわれが食事をするのは、栄養を摂取して生命を維持するのが目的だが、通
常は、そんなことは忘れていて、食べること自体が目的となっている。セック
スも、生殖よりも行為そのものが目的化している。それは、これらの行為が本
能的衝動によるものだからである。地球上の生物が絶滅しないように、快感を
エサにして行為に走らせる神の企てなのだ。

これと同じような衝動を神から与えられ、創作をせずにはいられない人間こそ
芸術家と呼ぶにふさわしい。したがって、芸術家にはプロもアマもへったくれ
もないのだ。(しかし、この「へったくれ」って何なんだろう?)

                 ●

デザイン業界は基本的に結果オーライの世界である。例えばイラストレーター
が、市販の素材集から写真やクリップアートをとってきて作品に使っても、結
果的に、訴求力のある絵になれば、誰も文句はいわない。

これとは反対に、芸術はプロセス・オーライ、もしくはコンセプト・オーライ
である。試みが面白ければ、作品自体の見栄えは問題にされないことがある。
あるいは未完成でも価値を持つことがある。

以前書いたデュシャンの『泉』もそうだが、ロシア構成主義の画家カシミール・
マレービッチの『白の上の白い正方形』(1917頃)も、白いキャンバスの上に白
い正方形がひとつ描いてあるだけであり、絵的には面白くもなんともない。し
かし、この作品には絵画の究極の形態というコンセプトが背後にあり、鑑賞者
は、そのコンセプトを聞いて「なーるほど」と感心するのである。

また、イタリアのルーチョ・フォンタナの『空間概念』(1960頃)という一連の
作品はキャンバスにカッターナイフで一筋、あるいは複数の切れ目が入れてあ
るだけで、これまた長時間の鑑賞に耐えうるものではない。しかし、これにも
高邁なコンセプトがあり、奥行きのない二次元として認識されてきた絵画空間
に穴を空け三次元空間としての側面を認識させた。

結論。私は芸術家にはなれません。アーティストという曖昧な立場が好きです。

【永吉克之/CGアーティスト】katz@mvc.biglobe.ne.jp
いままでデジクリに書いた文章の中で今回ほど悩んだものはない。苦しかった。
しかし、解明できないものに突き当った場合、神を持ち出すと筆が進めやすく
なる。今度からこの手でいこう。分らないものは全部、神の摂理にしてしまう
のだ。
URL / http://www2u.biglobe.ne.jp/~work/

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■サイト案内 Too企画サイト
「クリエイターズ・カフェ」、第6回目に田島照久氏登場
http://www.too.com/communication/cafe/
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プロのクリエイターに迫るTooの企画サイト「クリエイターズ・カフェ」の第6
回目は、デザイナー、アートディレクターながら、LP、CDジャケットとあわせ、
尾崎豊のデビューから9年間を撮影した写真集「FREEZE MOON」(角川書店)、
浜田省吾写真集「ROAD OUT」(幻冬舎) などを出版している写真家でもある
田島照久氏。今年だけでPowerMacを3台買い替えるほどのMacintoshパワーユー
ザーで、デジタル写真集「DINOPIX」や「AIBO DREAM」など、Macで写真と3Dを
合成した作品を発表している。「クリエイターズ・カフェ」では、そんな田島
氏の創作活動の取り組み方や考え方を通じて、未来のデザイナー像の在り方を
模索する。

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■展覧会案内
JACA日本ビジュアル・アート展2001
http://www.jaca.org/
http://www.printing-museum.org/
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国際芸術文化振興会と印刷博物館は、「JACA日本ビジュアル・アート展2001」
を開催中である。

同展は絵画、写真、CGなどあらゆるグラフィック作品を対象とした公募展で、
新しい時代を創造するアーティストを発掘し、育成していくことを目的に毎年
開催している。今回の展覧会は一般公募(応募数589点)より選ばれた47点の
作品を展示している。上位入賞者は次の通り(敬称略)。
グランプリ=ナカムラヒロユキ+マリ
準グランプリ=High-ena(石合洋之、塩坂文緒、塚越規)、橋塚耕平
特別賞=石川武志、上田風子、上原由子、江藤亮、高岡聰、渡辺秀樹

会期 12月15日(土)~2002年1月14日(月)10時~18時 入場無料
   月曜休 12月29日~1月3日休
会場 印刷博物館P&Pギャラリー 
   東京都文京区水道1-3-3 トッパン小石川ビル TEL.03-5840-2300

▼国際芸術文化振興会と印刷博物館のサイトには詳しい情報はない。とくに国
際芸術文化振興会のサイトには、近日中に発表すると書いてあるだけ、もう展
示が始まっているというのになんともやる気のない主催者である。この情報は
「デイリーM」印刷之世界社(http://www.monz.co.jp/)12/17より。

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■編集後記(12/20)
・今年の後半はだらだらと過ごした。赤ん坊が現れたことで生活のリズムはま
ったく変わった。ここんとこ体がとっても重く感じられる。朝起きるときなど、
よっこらしょというかんじだ。間違いなく太ってきた。重さをこんなに自分で
感じるのは長い人生で初めてである。本格的にやばい。妻は思い立って数ヶ月
前から「歩く」ようになった。その効果はなかなかのもので、こりゃー真似し
なきゃト思う。でも、わたしの場合、なにごともきっかけというか、けじめと
いうか、そんなものが必要で、ぢゃ2002年1月1日からやろうなんて思っていた
ら、たぶんだめなんだろうな。思い立ったが吉日である。やらねば。(柴田)

・8月サンタさん、いい人生送ってはるわ。真似したい。特に食事。共感した
のが、何も話さないと勝手に決められちゃうということ。どうやって自分の話
を切り出せばいいのかもわからない。気がつけば終始相づち打っている。聞く
のは好きで、どんな人なのか興味津々。全然ビジネスには結びつかないけど。
歳とったから、今はあまりなくなったけど、若い=何も知らない、でいろいろ
教えてくれる人もいた。そういう人は機関銃のように自慢話をするので、腰は
折れない。いい話なので喜んで聞いているけど、別れ際になって(やっと)私
のことを聞かれるので話すと、怒った顔になる人や逃げ腰になる人も。私の周
り、デジクリに書いてくださっている方なんてもっと凄いんだよー、私なんて
未熟者だよー。会話下手な私には聞き役が合うし。昨日話をした人は、すっご
くスマートな感覚の持ち主で、自己PRよりも会話自体を楽しんでいたような気
がする。豹変っていいなぁ。未熟者なりにがんばるかな。  (hammer.mule)
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発行   デジタルクリエイターズ
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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
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 担当:濱村和恵
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