[1086] 封印されたテクノロジー

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1086    2002/05/21.Tue発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 20644部
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【デジクリは言論出版の自由を脅かす「メディア規制三法案」に反対します】

■デジクリトーク
 封印されたテクノロジー
 モモヨ(リザード)

■Webディレクションの花道(第15回)
 修正スパイラル防止法
 -校正、確認-
 UZ



■デジクリトーク
封印されたテクノロジー

モモヨ(リザード)
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前回、「BGMに困っていませんか?」というような内容の原稿をここで発表し
たところ、思いのほか、多方面の方からメールを頂いた。

本来、著作権保護といえば、クリエーターの権利を守るためにあるのだが、そ
の基準が曖昧なため、皆さん、いちように困っているというか、面食らってい
るようなのだ。実際、法律に定められている以上、曖昧なはずはないが、あち
こちで発生しているデマゴーク故に、作詞作曲に携わった経験のある私のよう
な人間も、時に、ひどく慌てさせられることがある。得体が知れない曖昧なも
の、そう思うようになるのは当然のことかもしれない。

先日、私が愛用している録音再生可能なポータブルMDのマニュアルを見ていた
ら、面白い記述が目にはいってきた。

「本装置は、オプションのデジタル光ケーブルを使えば、最新のデジタル技術
により音質劣化がない録音が可能です。故に、著作権保護のため、本機から他
機へのデジタル録音は、できないようになっています」

というのである。私が何でこのマニュアルを眺めていたかというと、過去の自
分のライブ音源を録音したMDを友人から貰ったからで、それをCDなり、DATな
りにダビングしたかったからだ。そこでマニュアルのページを繰っていたら、
この記述である。とにかく、著作権保護(?)のために、最新の技術とやらは
使えないらしいのでアナログで録音。馬鹿みたいな話である。

しかし、MDのような自家録音装置に著作権うんぬんというのは、得体が知れ
ない。

だいたい、そんなに著作権保護をうたいたければ、CDの側で絶対にコピーでき
ないような仕組みを作るなりして、勝手に開発するなりすればいいのである。
自分達の資金を大量に投入して、画期的なシステムを開発すればいい話であっ
て、すでに開発されている道具の使い勝手を悪くして、いったい何のつもりな
のか! 毎度のことながら、腹が立った。

私のような、古き良きレコード時代を知っている人間からすれば、今のCD自体
に問題があるように見える。

例えば、当時もFMでオンエアされたりしたものをエアチェックしたり、友人か
ら借りたアルバムをテープに録音したりして、オリジナルを買わないで済ませ
てしまうユーザーは存在した。なにしろ、二十年前も今も音源の値段は、それ
ほど変わらない。とすれば、物価の変動を考えると、当時の音源は相当割高だ
ったのだ。それでも、実際には、好きなアーティストであればやはりアルバム
は買う。それも、英国のバンドであれば、英国、アメリカ、日本とそれぞれの
盤を揃えることすら珍しくなかった。

そうした事情を知る目から見ると、昨今のCDは、オリジナルのありがたみを感
じさせないツクリのものが多いように見える。

だいいち、CDのケース自体が、みな似たようなつくりになっているのがいけな
い。透明のプラスティック。そこに手抜き印刷のスリーブ。だいたい色気がな
いのである。だから、コピーしたものと大差ないようになってしまうのだ。そ
んな、生テープだとか生CDに負けるようなオリジナルを販売していて著作権保
護も何もないし、そんなことのために私達が最新テクノロジーを使えないとい
うのは、なんともやりきれない気がする。

レンタルビデオで流通する形態が画質としては二流のVHSに落ち着いたことを
かんがみても、高画質、高音質でのコピーを物理的に防止したとて著作権保護
にならないことは明白で、本来的には人間の品性や良識の問題なのに、端から
性悪説に立って技術の進歩や文化をコントロールしようとするのが、いただけ
ない。それこそ極悪非道であるような気もするのだ。

例えば、高画質ゆえに特定枚数以上の焼き増しやデータのコピーができないデ
ジカメなんてものが、この世にあるわけもないので、それを考えると、高音質
でのデータのやりとりができない録音再生ポータブルMDは、許し難い存在に思
えてくる。光景、情景を記録する装置がカメラなら、会議や音楽など、音の思
い出を記録する装置が、この場合、MDである。

とすれば、なぜ、音だけが別物なのか。これは不思議である。

デジカメの場合も、すったもんだはあった。

町の写真屋さんを始め、カメラ、フィルムに関連する業を生業としている人た
ち全体の問題として、摩擦もあったろう。しかし、今では、技術革新を前向き
に考えている。町の写真屋さんにメモリーを持っていけば、その焼き増しだっ
てしてくれる。

とにかく、コピーに負けるようなCDを販売していることを音楽業界は反省すべ
きだと思う。いつの時代だって、音楽ファンは、好きなアーティストの新譜に
胸をときめかすはずなのだ。

いいかげん、自分達だけが権利者であるという、衆愚的幻影、エリート主義か
ら離れてはどうだろう。音楽著作権は、万人について存するものである。

また、もうそろそろ性悪説から脱却してはどうだろう。MDはオリジナルの代わ
りになどならない。第一、それが何故、著作権保護なのかわからない。CDから
MDには録音可能である。つまり、この仕組み、どちらかというとレンタルCD屋
さんを儲けさせるだけなのだ。つまり、協会とレンタル業者さんだけが得をす
る仕組みになっている。

著作者の権利なんか、この段階で、まったく無関係ではないか。
そんな当たり前のことが何故わからないのだろう。
こういう、日本の悪霊風な仕組みは、もううんざり。

そう思うのは私だけか。

モモヨ(リザード) 管原 保雄
http://www.babylonic.com/

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■Webディレクションの花道(第15回)
修正スパイラル防止法
-校正、確認-

UZ
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例えばDTPからWebサイト制作に仕事を移した場合、仕事時間が圧倒的に増えた
人は多いのではないだろうか。DTPは納期がはっきり決まっていて、作り直し
はしたくてもできない。うんうん悩んで、朝がきて、もっとやっていたくても
営業にMOを持って行かれてしまえば、それで試合終了である。

しかしWebの場合、アップした、間違いを発見した、慌てて直す。アップした、
顧客から変更の電話、嫌だけど直す。以下同文。という形で、そのサイトへの
作業は細切れに、エンドレスで、繰り返される。

間違いを発見したら、作り手としては、そりゃ直さずにはいられないだろう。
そして修正は、下手すりゃ自宅からでも街中からでもできる。修正の繰り返し
は顧客のWebに対する認識が甘いからだ、と人のせいにしたくもなるが、制作
者のほうも知らぬ間に“いつでも直せる”という感覚になってしまっていない
だろうか。しまいに、修正個所を発見するのが怖くて自分が作ったサイトは
もう見たくない! なんてことにも。

そもそもこの緊張感のなさは、Webという媒体の特長でもあったはずだ。すば
やく、難しい技術なしに情報を発信できる。

しかし、もうひとつの特性を考えてみよう。人の中で情報(=流動)が知識
(=固定)に変わってしまったら、Webというメディアは最も事後訂正が難し
いものではないだろうか。ユーザーが今度いつアクセスしてくるかなんて、
予想もできない。ファイルを上書きしたからといって、既に固定化された認
識を取り外すのは、容易ではない。

◆やっぱり起きてしまった

以下はベタなケースだが、実は身に覚えのある人も多いのではないだろうか。

某ファッション系のサイトを受け持っていた時だった。DTPからWebに移ったチ
ームということもあり、紙媒体の制作過程を踏襲して作業していた。

レコメンドページは月一で更新していた。都度取材を行い、これはと思うグッ
ズをデジカメで撮影して、写真を加工し、コピーを書いて載せる。初めのうち
は写真、コピー、レイアウト、アップと、すべての作業者を分けていたが、そ
のうちライターが、写真の加工からアップからすべてを行なうようになった。
取材も一人でこなし、顧客とのスケジュール調整も行い、作業は一人の中で完
結していた。

ある朝、顧客から電話があった。決定的なミスだった。価格が安いほうに一桁
違っていたのだ。それも、Webを見たユーザーから、「本当にこの値段でいい
のか」という問い合わせが顧客に入って、気づいたものだった。

実際にユーザーが店頭に行き、その値段を主張されたら、店サイドは負けざる
を得ない。新聞広告で同様の過ちを犯した制作会社は、会社が立ち行かなくな
るほどの賠償金を請求されたという。印刷は契約書というものは無いのが普通
で、今回Webの件でも、もちろん賠償についての取り決めなどしていなかった。
DTPでそんなミスをしたら、プロとしての信頼度はゼロである。しかし恐ろし
いことに、現実として起きてしまった。

◆原因と対策

何がいけなかったのか、どうしたらよいのか。チームで緊急会議が持たれた。
結果、入り組んだ現状から、2つの原因を明らかにするに至った。

1)校正を行なう人がいなかった。

信じられない事実、と思う人もいるだろうし、そんな人いないのが当たり前、
と思う人もいるだろう。Web制作を日々慌しく行なっている小さな会社では、
校正って、意外と認識されていない仕事なのではないだろうか。

その時、校正の必要性に気づかなかったのは、あまりにも仕事が一杯一杯にな
っていたからだろう。たった6人のチームでも、誰が何をしているかが把握で
きない状態だったのだ。週1回のチームMTGさえ、月1回行なえるかどうかとい
う状態だった。

(いや、悪循環を招いていた要因は、実はもう一階層下にあった。
チームリーダーは、MTGを行なわずして各人の作業を把握しているような、密
なコミュニケーションを普段からとっていればよかったのだ、と主張した。
その頃、チームの大半には、このチームにおいて最も必要なことはコミュニケ
ーションではなく、個々人のスキル向上だと考えていた。制作者はみんな「話
す時間があれば作るべきだ」「わからないことは自分で調べるべきだ」「リー
ダーは怖い」という共通認識があった。気づいていないのは、リーダーだけだ
った)

2)顧客に校正してもらう余裕を、スケジュールに考慮していなかった。

取材時は慌しいので、値段と特長をメモしてくるだけ。その走り書きを頭でま
とめながらページを作り、翌日にはキレイにレイアウトしてアップする。顧客
にとっては手品師を見るようだが、結果的に制作側も顧客も、Webという媒体
に対する緊張感の欠落につながってしまった。

2つの原因の解決策として、以下のことを今後のチームの決めごととした。

・商品の名前、メーカー、値段、写真を表にしたフォーマットを作成する。取
材時にはそれに書き込んでいく形で、取材終了後に各店舗に確認の印をもらう
こととする。
・レイアウトされたページと上記の表を使用して、内部で校正を行なう。価格
が絡むものは2人、絡まないものでも1人は必ず通すことにする。
・校正のための時間を考慮してスケジュールする。取材日は今までより2日、
前倒しすることとなった。

この対処方法は、情報共有と各人のスキルアップにも効果的だった。専門学校
を卒業したばかりの若い制作者に、仕事とはどのように進んでいくべきものな
のかを示すという意義も果たしたようだ。

◆責めてない、救いたいんです

DTP出身であれば校正があり、システム出身であればデバックがある。しかし
デザイン一辺倒で、コピーライティングから分離されている部署にいた人や、
働き初めがWeb制作だった人などは、校正の必要性をほとんど認識していない
場合があるのに驚く。

さらにFlashやDHTMLを含むページの動作確認を行なって修正を依頼すると、異
常に不機嫌になったりされることもある。確認側としては、ごく普通に正常動
作するかどうかを確認しているだけなのだが、指摘される方は質を疑われてい
る気がするのだろう。

ディレクターとしては、校正や確認作業によって、作業責任を分担できるとい
うことの有効性を、ぜひ携わる全員にわかってもらう必要がある。その制作物
を送り出す人の孤独を助けられる作業なのだ。ただでさえ自分の感覚だけを信
じて、孤独な作業を続ける制作者からしてみれば、どれだけ救いとなるだろう。

一般のビジネスの場合でも、確認という行動は普通に行なわれていることだ。

自分が社会人になって一番初めに行なったことは、契約書の作成だった。ソフ
トウェアの契約書は、形なきものの権利を確保するために表現が複雑になりが
ちで、いろいろと変更点も多い。権利を守るために付け加えた一文が、解釈の
違いで不利に働くことも、おおいに考えられる。

最大で、契約書作成チーム3名に営業担当、そのアシスタント、その上司と合
計6人。難しいケースであればさらに、法務部も目を通す。承認には印鑑をも
らう。印鑑を押すという行為は、Web業界では嫌煙されがちだろうが、仕事に
責任を持つということでは非常に意味のある行為だ。また契約書という制作物
をビジネスに通用するものにしていくという裏付けのために、不可欠だったと
思う。

契約書作成の経験から、確認作業とはメンバー同士の信頼があってこそ成り立
つものだと知った。作る側は、責任を放棄していい加減に作ったりしない。確
認側は、作った人を信用せずに一から作り直したりはしない。互いの責任を尊
重しながら自分の責任もしっかり感じていなければ、チームは正常に稼動しな
かっただろう。

◆修正スパイラル防止法、ディレクター編

では、大抵いつも時間のない中で進むWeb制作では、どのようにすれば修正ス
パイラルを防止できるのだろう。発生するリクエストのタイプ別に考えてみた。

1)構造に関する修正や追加
->Webの目的を常に意識し、都度確認し続ける。

何のためのWebだったのか。そのためにはどういう情報が載っていればいいの
か。最初のコンセプト決めのときに、顧客と十分なセッションをしたはず。今
更それかよ?! という修正の場合は、立ち戻って確認しよう。

コンセプトをシンプルにまとめたキーワードを作って、口癖にしてしまうとい
いかもしれない。“既存顧客応援サイト”とか、“新規バリバリ開拓サイト”
とか。構造的な変更のリクエストがある度に、繰り返し使う。そのうち顧客も、
その言葉を唱え出すに違いない。

2)「なんとなくこうして」的な修正
->作業前に、要求とソリューションを一致させ、共有する。

顧客から投げられたリクエストに対して、答えたつもりが答えになっておらず、
顧客の不満によってまたリクエストが重なる、ということはよくある。新規ペ
ージの作成では、手書きのレイアウト図というのは案外重要だ。デザイナーに
さらさらと手書きで書いてもらえばよい。FAXで送って電話で説明。原始的だ
と思うなかれ。※

更新ルートに乗ってしまった分の修正には、ガイドラインありき。予測可能範
囲の全てに対して基準を作っておくことで、ある程度は修正時の指針となる。
イレギュラー部分は、通常のものよりも多少時間がかかることをあらかじめ断
った上で、じっくり要求を聞き出す。こちらも実際に作成する前に、具体的な
出来についての確認をしっかり取っておくことが大事だ。

3)日々変化する要求や仕様
->指示書、設計書を活用。バージョン管理もしっかり。

目的ははっきりしていたとしても、細かい部分で繰り返し変更を要求される場
合もあるものだ。

仕様変更や内容の変更に至った場合、修正をスムーズに実行してもらうための
道具を用意しておく。どの時点で、何を行なえば完成なのか、具体的に決め、
制作メンバー・顧客ともども文書として共有しておくことが必要だ。

そうはいっても、実際に書かれるコピーやイラストまで指示書に載せておくこ
とは実質不可能。であれば、「xxのユーザーに対して、xxについて、xxを用い
て、説明する」というような、コピーやイラストを書く際の指針となる指示を
加えておく。

指示書、仕様書には、必ず日付を入れること。自分がいつ、何を指示したのか
を押さえておくことが、混乱を防ぐ第一歩だ。日々変化するような仕様には、
MTGログやToDoリストを適時更新し共有化することも有効だろう。

4)押せ押せ、わたわたスケジュール
->スケジュール線表を意地でも更新。

デザイナー一人がすべての作業をこなす場合、いちいちスケジュールなど起こ
さなくても大丈夫、と思うかもしれない。しかしチームで動く場合、ディレク
ターの重要な役割はここにある。

スケジュールには様々な前後関係が絡む。コマがひとつ狂うとどんな影響が出
るのか、作業とその周辺を表すスケジュール線表を作って、それをもとにスケ
ジュール交渉を進めるべきだろう。

顧客の担当者といえば、実はもっと複雑な社内事情を考慮してスケジュール調
整をしなければならない立場にある。手間をかけて作成し、時間的余裕を持っ
て顧客に事情を話しておけば、無理強いすることは減るだろう。(無理強いさ
れても、にこやかにうなずいてはいけない。出来る限り、眉を寄せて上目遣い
をしよう)

5)エンドレスに続く要求
->金銭、契約関係をはっきり。

どれだけやったらどれくらいかかるのか、あいまいな時、エンドレスにモノを
頼まれることは多い。「メンテなんでもやります、一括\xxxxx/月」とするの
は、顧客も制作サイドもラクだが、そのアバウトな認識は結果的に作業をエン
ドレスにする。作業量の予測が相当はっきり立たない限りは、行なうべきでは
ないように思う。

金額の交渉の際には、予測できない要素もたくさんあるだろう。すばやくジャ
ッジし、すぐ請求しておけば、取り決めた以上の範囲を行なう場合には金額が
発生します、と主張することができるだろう。作業を受ける際に、ディレクタ
ーやデザイナーが金額の話をすぐに察知できることも、必要な要素と言える。

6)責任が大きい修正
->アップはまとめて。

すぐに直せるということを優先するあまり、重要な情報なのに「誰が何を行な
ったか」という責任の所在が拡散したり、セキュリティもあいまいになる場合
がままある。

正月に対応するため、自宅からアップできるよう設定した。環境的に便利に越
したことはないが、正月が終わってもずっとその状態、そのうち担当した人は
年がら年中修正を行い、顧客は指示もアップ日もあいまいになる、なんて経験
はないだろうか。

原則は決まった日、時間、人が、決まった環境でアップするのが理想だと思う。
アップ作業は顧客が必ず行なう、ということであれば、締めきりはあれど、責
任も軽減されてベターか。

◆まずは制作者の認識から

スパイラル的に修正が発生するのはいただけないことだが、校正、確認作業に
よってスパイラル的に質が上昇する、と捉えることだってできる。よく見るう
ちに、機能拡張や表現の向上を思いついたりするものだ。ただ、直したいと思
ってもすぐに手をつけるのは我慢しよう。修正点はなるべくまとめて、区切り
をつけて行なうに限る。

制作の条件として「メンテはなし。データを納品すること」という条件を求め
られることがある。納品後にどんな変更が加えられるのか、想像すると切ない
が、そういう線引きの仕方もありかもしれない。

それに対し、「Webなんて、この日で完結する、っていうのは、あり得ない」
と、某制作会社の某社長が反論していた。現状は確かに完結しづらいが、単純
にそう言い切るのはおかしい。助長してどうする。

まずは、作業者自身が修正スパイラルの防止への認識を持たねば。なかなかど
うして、という場合は、まず環境づくりから入るのはどうだろう。例えばファ
イルアップ時は、ファイルに必ず編集ロックをかけること。修正履歴・バージ
ョン管理はデザインノートの共有でカバー(Dreamweaverの場合)。ただこれ
だけでも、ずいぶんと作業者の認識は変わってくるのではないだろうか。修正
スパイラルにお悩みのディレクター諸兄、お試しあれ。

※デザイン上での意志のすり合わせの難しさ。以前のデジクリで、清水宏美さ
んの「修正スパイラルからの退避」にも詳しく出ています。勉強になります。
http://www.zdnet.co.jp/macwire/0203/19/dc_kenkyusitu.html

【uz】ur7y-skkb@asahi-net.or.jp
某コンピューターパッケージベンダー勤務を経て、現在はWeb系ライター、
Webサイト構築業務に携わる。「映画を研究する人々のためのサイトUrban
Cinema Squad もよろしく。
http://www.u-c-s.org/

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■編集後記(5/21)
・いがらしみきおというと、「ネ暗トピア」と「ぼのぼの」は全然ちがう人が
描いたのかと思うくらい違う世界だが(それ以外は読んでない。「忍ペンまん
丸」とか「ガキおやじ」とか)またもやとんでもない作品が生まれていた。構
想16年の描き下ろし劇画「Sink」である。サイトの連載は無料で読めるが、第
9話までは単行本化されたのでサイトにはない。10話、11話を読むが、なんと
いう不気味なマンガだ。「決して逃れることの出来ない恐怖が、死を凌ぐ戦慄
が、彼らを襲う! 読者よ、最早叶わぬがせめて祈れ! この悪夢からの覚醒
を! 鬼才が仕組んだ罠からの解放を!」とあらすじにある。単行本を買いに
走ったが入手できず、代わりに待ちに待った「魁!!クロマティ高校4」を買
った。あ、「神々の山零」も。今日はこれで勘弁してもらおう。(柴田)
いがらしみきお「Sink」
http://www.web-sink.com/

・ワールドビジネスサテライトで、写メールのヒット原因はネーミングだと言
っていたが、私はあのCMだと思う。その商品を使って何ができるのか、自分が
使っているところが想像でき、その自分を素敵だと思えることが大切なの。疑
似体験というか。クライアントによく話すんだけど、売れないって言われる商
品の売り方って、作り手のひとりよがりなものが多いのね。押しつけがましか
ったり、従来との違いを声高に説明する。そんなの、マニアなお客にしかわか
んないの。知らんがな。写メールの最初の頃のCMなんて、合コンの相手を比べ
たり、さぼっている人を言いつけたり。そんなこと、わざわざ高い機種買って
までしたくないって。遠くにいる人に幸せや愛を送ったり、共有したり、そし
てそのCMに出てくる人たちが幸せそうなのっていいよね。こんな日常を送りた
い、そう思うから買うんでしょ。いまのauのCMはダメだと思うな。なんでいい
男を撮って(撮るだけならニーズはあるかもしれないが)、友達に送らないと
いけないわけ? なんで人と会話している時に、映像を見て笑う必要があるわ
け?ねー? 以前のKDDIのCMは面白いもの多かったんだけどなぁ。CMってイン
パクト、ほのぼの、風刺、なんでもいいけど、さりげない生活スタイル提案は
強いよ。見ている人を納得させたり共感させたら強いよ。そしてそれがCMの凄
さだよね。同じような商品に夢を与えて、売り上げ変えちゃうんだから。ユニ
クロのCMが「安い、色が豊富。買わなきゃ損!」ってものなら、あそこまで売
れなかったもんね。夢がなかったら単なる価格競争で終わって、日本は(web
制作もだけど)縮小傾向に向かうしかない。豊かに生きようよ。(hammer.mule)
・携帯使ったアーティストがどんどん出てくると思う。写メール映画作家とか。
http://www.j-phone.com/h/cm/  今のCMしか見られないみたいだけど。
http://www.kddi.com/cm/tvcm/  そりゃ写メールと違う路線は難しいよね。

http://www.dgcr.com/fps2001/cgi-bin/video/enq.cgi?id=dgcr  アンケート
「デジタルイメージギャラリー2002」「脳を活性化するカラーBOOKS(1)」
「海津宣則 Photoshop Graphic Technique」「DTPスーパーお助けブック2002」
が今なら当たります。詳細は1078号、1081号を。急げ!

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発行   デジタルクリエイターズ <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 

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 担当:濱村和恵
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