[1160] Flashはインターフェイスの夢を見るか?

投稿:  著者:


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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1160    2002/09/18.Wed発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 21482部
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          <サンプル他にないのか?>

■MKチャット対談
 Flashはインターフェイスの夢を見るか?
 笠居トシヒロ&まつむらまきお

■レッツゴー トゥ「ロボぐるみ」ワールド-9
 「始末」と「エコロジー」
 北川かりん

■新刊&プレゼント案内
 おしえて!! Macromedia FLASH MX



■MKチャット対談
Flashはインターフェイスの夢を見るか?

笠居トシヒロ&まつむらまきお
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かさい: まいどですー、連休2回続くのに、水曜は休みじゃないんだなあ(^^;)
    笠居です~
まきお: どもども、そういえば水曜日って一番稼働率高いような気もするな、
    のまつむらです~
かさい: ねぇ。10月にも連休が控えてるけど、これまた水曜日は関係なしです
    よ(笑)
まきお: 普通、水曜日は連休にはならんですな(笑)ところで土曜日に新聞を
    みてましたらね、米Macromediaの上級副社長のインタビュー記事が載
    ってましたんよ
かさい: ほうほう、日本の新聞にそんな記事がねぇ。なに新聞?
まきお: 朝日新聞の土曜日別刷の「be」ってビジネスネタの誌面なんだけどね
    ぼくもちょっとビックリしたわ。なんか不祥事でもやらかしたのかと
    思って(笑)
かさい: MX製品のリコール騒動とかだったらビックリだな(笑)朝日ならウチ
    も取ってるから見てみよう
まきお: 不祥事ではなく(笑) FLASHーMXのプロモーション来日中のインタビ
    ューだったらしいんだけどね

●知らない人が読んだら正体不明

かさい: なになに…「フラッシュが広告を変える」か。カタカナ表記なところ
    が、いかにも朝日だなー(笑)
まきお: 縦書きやからそうでしょうー。 MacPeopleの僕の連載もカタカナ「フ
    ラッシュ」だよん
かさい: そうなん? 商品名やし「FLASH(フラッシュ)」とかにする気遣いが
    欲しかったかも。しかし、この人37歳にしては老けてるねえ(^^;)
まきお: まぁ、どこの新聞もカナ表記すっけど、商品名としてはそうかな。ま
    ぁ、新聞の写真やから(^_^;)
かさい: どうでもええことやけどね(笑) ふーん、MXの宣伝のために、わざ
    わざ来たのかぁ
まきお: でまぁ、FLASHが新聞に載るくらい市民権を得たのはめでたいのだが
    どうも、この内容を読むと、違うソフトのような気がして(^_^;)
かさい: そーだねえ(^^;) バナーに使われてたのが、今度はホテルの予約シス
    テムが作れて、音が出て動き回る、か。間違いじゃないけど、知らな
    い人が読んだら、正体不明だよなあ(笑)
まきお: このインタビューによると、とあるホテルの予約システムをHTMLから
    FLASHにすることで、5分かかっていた登録が 2分以下で終わるように
    なった、予約の仕方がわからないという問い合わせが減ったというこ
    となんだが、これってさぁ FLASH、HTMLの問題じゃあなくて、インタ
    ーフェイスデザインがよくなったから、そうなったんじゃないの?
かさい: そのホテルの予約システムってのは何度か見たことあるよ。アップグ
    レードセミナーとかで、阿部シゲさんが頻繁にデモしてたからね。
    ま、確かにFLASHを使うと、CGIや ASPとHTMLで作るよりは、フレキシ
    ブルにインターフェイスデザインできるかもなー
まきお: マクロメディアいわく、「HTMLページの書き換えが必要ない」つーこ
    となんだが、しかしだよ、FLASHでインターフェイス作るつーことは
    全部デザイナーがやるってことだよね。 HTMLじゃなくてFLASHでやる
    意味がよーわからんかったのだが、わし(^_^;)
かさい: そーかな? オレはそれなりによくできてると思ったけど、どのあた
    りがわからんかった?
まきお: なんでHTMLじゃあかんのかがわからんかったー。 FLASHでやるメリッ
    トね。それがわからん。
かさい: そうか。 FLASHでやるメリットと言うか、特徴としては、インターフ
    ェイスそのものが、ある程度の範囲で、ユーザーからの操作の判断を
    分担してるところだと思うよ。HTML+サーバープログラムだと、HTML
    のFORMは、ユーザーからの入力を受け付けるだけの存在でしょう?
    入力された情報が適正かどうかは、いったんプログラムに送信して、
    お伺いを立てないと、エラー表示ひとつも出せないよね
まきお: 空欄拒否とか、ある程度簡単な計算とかはJSでできるよね。それでは
    不足だと?
かさい: うん、やっぱり最終的にはサーバーサイドのプログラムが、是非を判
    断しなきゃいけない。んでもって、最終的に正しい情報が入力された
    ら、それではじめて本来の機能、この場合はホテルの予約ね、が実行
    される
まきお: FLASHなら複雑な判断プログラムもswfに内蔵しておけるのがメリット
    ということ?
かさい: ひとつはそういうことが言いたいんだと思うよ。正しい情報が入力さ
    れるまで、何度も「送信・エラー・再入力」を繰り返すことって、あ
    るからね
まきお: でもやっぱ、設計次第のような気がするなぁ。HTMLでもよくできたと
    ころは、エラーの再入力もわかりやすくできてるよね
かさい: もちろん、それはそうだと思うよ。同じ道具を使っても、同じものが
    作れるとは限らないしね。デザイナーしだいってとこもある。ただ、
    設計するときに、HTMLよりも FLASHのほうが「シバリが少ない」とい
    うことじゃない?
まきお: たしかにリロードしなくても画面を更新できるというのはあるが、し
    ばりにしても、あくまでも設計側の問題で、ブラウズする側からすれ
    ば、FLASHであることが縛りが多いことにもなりうるよな。たとえば
    入力にしても、HTMLのフォームであれば、ブラウザのオートコンプリ
    ート機能が使えたりするけど、FLASHでは日本語のカット&ペースト
    もおぼつかない(笑)ドラッグ&ドロップやページの記録もできない
かさい: 確かにそういうとこはあるなー
まきお: あとね FLASHでも、全部入力させてから、一括で判断させて、書き直
    ししてね、って出す方がカンタンだよね? 作るの。もちろんケース
    によるけどさ。逆に、複数のフィールドに入力していくのに、いちい
    ちなんだかんだと注意がでてくるのは鬱陶しいって場合もあるよな。
    結局は作り方で全然変わってくると思うんだけど
かさい: そうね、ケースバイケース
まきお: 今、ふと思って、FLASHMXから マクロメディアユーザー登録フォーム
    へ飛んだら、英語だぞ(^_^;) でもって、フォームはHTMLだー(笑)
かさい: 何をふと思ったのか、だいたい想像ついてたが(笑)
まきお: で、技術的に FLASHならHTMLでできないことができるというのはわか
    るのだが、こういう予約システムみたいなのに FLASHがHTMLよりも優
    位であるとは、どうも納得できないのじゃ。マクロメディアもHTMLつ
    こてるし(笑)
かさい: MacromediaがFlash使ってないのは金がない&内部に優秀なデザイナ
    ーが居ないからだろー(笑)
まきお: つうことは、やっぱ FLASHがえらいんじゃなくて、お金で優秀なデザ
    イナーをやとったから、そのホテルの予約はよくなったのではないか
    (笑)
かさい: だけどその優秀なデザイナーは、道具としてHTMLじゃなくて Flashを
    選んだわけだろう?
まきお: その人はねー、頼むから使ってくれ、とか、政治的な関係とかあった
    のかもしれんが(笑)
かさい: こっちの商売までやりにくくなるような、実も蓋もない暴露系の話に
    持っていかないように(^^;)
まきお: (笑)FLASHで作ったインターフェイスキライなんだもん、ぼく(笑)
かさい: 結局、キミの好き嫌いの話ではないか(^^;)
まきお: キライには理由があるから、いいのだ(笑)なぜキライかつーと、い
    ちいち使い方を考えなくちゃいけないでしょ? FLASHで作られてると
かさい: それは設計が悪いんだろぅ?
まきお: だとすれば、設計がいいのに出会ったことないかも(^_^;)
かさい: んー、たしかに FLASHで作ろうとすると、HTMLのようなガイドライン
    がないから、全部作り手が自分で考えなくちゃいけない。で、結局の
    ところ、既存のHTMLの使い勝手を超えられない、超えられてない、っ
    てことだよな
まきお: ブラウザ内でやってる限りは、上位インターフェイスの束縛から逃れ
    ようとすればするほど、ドツボにはまってるように、ぼくからは見え
    るねぇ。親切にしようとして、かえってユーザーを混乱させているよ
    うに見える
かさい: だからやめちゃえってのもなんだかなー
まきお: やめちゃえって言ってるんじゃないのよー。 Flashが優れたインター
    フェイス作成環境だ、というマクロメディアの言い方にね、文句を言
    ってるのである

●この記事でまた勘違いする人が、、、

かさい: ヤコブニールセンに弟子入りしたのかと思った(笑) ま、正直なと
    ころ、本当に優れたインターフェイスが Flashで作られている例は少
    ないんだと思うよ。今回の記事でも、阿部シゲがデモしまくってる、
    あのホテルの例が出てくるくらいだしね。サンプル他にないのか?
    ってツッコミたくなるよな(^^;)
まきお: インターフェイスということに限ればヤコブニールセンはすごく正し
    いと思うよぉ。いや、いいたいのはさ、インターフェイス設計っての
    は、Flashのごく一面にすぎないでしょう? それだけをみて、やれ99
    %有害だの、やれ、Flashは金儲けになりますよだの、アホらしくて、
    というのがいいたかったの
かさい: 99%有害っていう評論家も、98%普及してるからって言ってるメーカ
    ーも、Flashの一側面しか見ていないと
まきお: そーそー。なんとなくね、こういうモノの言い方ってのは、「某国の
    動きに対応すべく軍備増強」とか「原子力は安全なエネルギー」とか
    「便利な住基ネット」とか、そういうのと同じ臭いがするんだよな~
かさい: たははははは(^^;) 裏に何か隠されてるってか? そこまで深くない
    と思うが
まきお: 深くはないけどさ(笑)、物事の一面だけしか言わない人ってのは、
    信用ならんのよ、なにかこちらを騙そうとしているんじゃないかって
    (^_^;)。具体的な数字はわからんけどさぁ、今、世界のWebサーバに
    あるswfのうち、インターフェイス目的のswfって、半分もないと思う
    んだけど、どうかしら?
かさい: どうかなあ? ちょっとわからんが、半分くらいはあるんじゃないの
まきお: プレゼン的なモノを入れると、半分は超えると思うけど、それはアニ
    メーションなどが目的だよね。ここで言ってるのはHTMLのインターフ
    ェイスでないものを実現するのを目的としている、という意味ね
かさい: アニメーションがメインで、インターフェイスはオマケということね
まきお: そそ。マクロメディアのトップページみたいのは、プレゼン的な使い
    方ね
かさい: んーそれがインターフェイスというくくりから外れるとすると、かな
    り減るかな。ここはどう?<http://www.barneys.com/>
まきお: うーん、これはやっぱデザイン、動きのあるデザインをやるためであ
    って、それに付随するインターフェイスだろうね。こういう気持ち悪
    いのが多いのか? 最近(^_^;)
かさい: これは2年前くらい。Fla4の時のだな。 これ以来こういう横スクロー
    ルが流行ったのは確かだね
まきお: きもちわるいよー、これ。なにをどうしていいのか、さっぱりわから
    ない、英語であることを差し引いても。なんのサイトであるかすら、
    わからんなぁこれが優れたインターフェイスなの?
かさい: 当時のFlash Fowardでなんか獲ったんじゃなかったかな? デパート
    のサイトだけどね
まきお: デパート!ファッションブランドではないの? 多分、当時見てると
    思うけど、全然印象に残ってないなぁ(^_^;)拒絶したんだろうな、わ
    し(笑)ギフトコーナーで商品が選べない~
かさい: ショッピングサイトではないんだな、これ(笑)
まきお: 見るだけかぁ。HTMLの方がいいな(笑)これは芸術なの?
かさい: かなりアート的な要素が含まれてるのは確かだね
まきお: ポスターと同じね。じゃあ、全然インターフェイス的に優れていると
    かいう論点ではないよな。これはインタラクティブアートだよね。ホ
    テルの予約と同次元で話できるものではないよなー
かさい: まあな。で、なんだったっけ? インターフェイス目的のFLASHは少な
    い、という話だよな
まきお: そそ。 Flashを使えば、すぐれたインターフェイスを顧客に提供でき
    ますよ、というのは間違いではないか? という話。ぼくは BARNEYS
    を否定するわけではないのよ。前も言ったけど、文化として、猥雑な
    ものとして Flashは価値があるのであって、そういう意味、インタラ
    クティブアートとしては、見るべきモノはあると思うの。それをね、
    工業デザイン的なインターフェイス論と一緒にして欲しくないのよ。
    で、今回のような副社長の発言が、新聞にとりあげられると、また勘
    違いするじゃない? デザイナーやクライアントや代理店が。
かさい: ま、ある意味それが狙いってとこもあるだろうからな(笑)
まきお: この百貨店の場合、これは広告のひとつにすぎなくて、「目立って、
    自社のブランドイメージに合っていて、話題になればいい」わけで、
    インターフェイスなんて、はっきりいって、どうでもいいんだよね、
    これは。作っている側は、「どーでもいい、面白ければ」と思って作
    っているんだけど、見ているデザイナーがこれをいいデザインと勘違
    いしちゃう。それが問題。
かさい: まあ、そうだろうね。で、勘違いしてもらうと、ウチのようなデザイ
    ン事務所は「仕事増えて嬉しい」ってのと「わけわからん注文が増え
    て鬱陶しい」っていううれし悲しいことになるんだけどね(^^;)
まきお: だからね、Flashやるなら、アートとしてやるべきなの、と思うのよ
    Webがアートになるから、Flashはすばらしいのであって、使いやすい
    っていうのは違うと思うー。だから、アートになっていない、たとえ
    ばマクロメのトップみたいの(笑)は、それこそ有害じゃ(笑)
かさい: なるほどね(笑)
まきお: 笠居さんも含めてね、 Flashやるデザイナーはアーティストたれ、と
    言いたいわけですわ。
かさい: 魅せる要素をもたせるべきということですな
まきお: 色気ですね。ホテルの予約には色気ないでしょ?
かさい: ラブホテルだったら色気あるのにね(笑)
まきお: そういう話ではない(^_^;)
かさい: 違うか(^^;)
まきお: 予約システムみたいのって、必要なのは色気じゃなくて、質実剛健な
    システムでしょう? それは本来のFlashの魅力では全然ないと
かさい: Macromediaは「実用的」な目的で使えるものにしようとがんばってる
    んだけどね。方向間違ってるかも、か?
まきお: うん。単純にね、マクロメディアとしては、「そういうコトにも使え
    ますよ」と言いたいんだと思うのよ。それは間違っていない。でもそ
    れはけして全てではないわけで、踊らされちゃいけないんじゃない?
    彼らはあくまでも「いままでFlashを使っていなかったクライアント」
    に使ってもらって、シェアを伸ばしたいだけなんだからさ
かさい: だね。ま、わたしゃ自分にできることをやるだけですが
まきお: でも笠居さん、物件によっては 「これはFlashよりもHTMLの方がいい
    んじゃないですか?」って言うことない?
かさい: そりゃあるよー、必要ない場合は面倒くさいだけだもん<Flash(笑)
まきお: うん、それがね、大事だと。副社長の言うことなんかは話半分できい
    とけ、ということです(^_^;)
かさい: 自分で考えろと(笑)
まきお: 営業マンの物言いにだまされるな、と(笑)
かさい: 営業するときはそれも踏まえてうまく騙せ、と(笑)
まきお: そうそう(笑)
かさい: みんながんばろーなー(^^;)/
まきお: ほんま、デザイナーのみなさん、がんばってよぉ。 Flashヘンな方向
    にもってかないでよぉ

【笠居 トシヒロ/WEB&グラフィックデザイナー】
FLASH目安箱も、9/15で、いちおう一区切り。現在有志の面々が集計作業を進
めてくれています。Macromediaにバグや要望を送り付けたあとは、ユーザーみ
んなが利用できる、データベースとして機能してくれるといいなーと考えてお
ります。有志のみなさん、本当にアリガト!!
<http://www.mad-c.com/>

【まつむら まきお/まんが、イラスト、アニメーション作家】
R2-D2の資料を探していたら、R2-D2 Builders Clubというのを見つけた。
ウワサには聞いていたが、自分でR2-D2を作るクラブ(プラモでなく、実物大)
である。さすがアメリカ人はゴーカイである、と思いつつ、食玩のR2に色を塗
る私は日本人(笑)
R2-D2 Builders Club<http://63.205.88.55/r2/index.html>
<http://www.makion.net/>

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■レッツゴー トゥ「ロボぐるみ」ワールド-9
「始末」と「エコロジー」

北川かりん
───────────────────────────────────
今まで中小・零細企業専門に渡り歩いてきたデザイナー人生だった。これらの
企業が私に求めるものは「うまい! 早い! 安い!」のこの3点に尽きる。
そして私はこの期待に多いに応えることのできる自称「吉野家デザイナー」な
のだ。

・・・といっても当たり前だがこれは決して自慢ではない。私だって本当は時
間をかけて熟成されたワインのような良い香りのする仕事をしてみたいと思う
のだが、夢ばかり追っては食いっぱぐれる。かといって吉野家も毎日、牛丼だ
けじゃ芸がない。たまには七味をふりかけてみたり、ショウガをたんまりのせ
てみたり、サラダを付けてみたり、色々バリエーションを変えて食べてみるが、
所詮吉野家が高級フランス料理になれるはずはなく、どこか不毛な気持ちがな
い訳ではなかったが、世の中の多くが求めているニーズがこういうものだとい
うのも現実にそこにある。そして、このおかげで何とか食いっぱぐれる事なく
生活してこれたのも事実だ。

ところで、私が作っている作品「ロボぐるみ」の制作には結構色々とお金がか
かる。しばらくデザイン稼業から足を洗っていた私だったが、請求書の雨が降
り注ぎ、金策にせまられ、吉野家デザイナー稼業を復活させる事にした。とい
ってもロボぐるみの制作を両立できるような仕事でないと困るので、何か良い
求人は出てないかと思って派遣会社に登録して探していたら見つかった。DTP
で週3日くらいの仕事、この条件で引っかかるのはきっと倉庫のような暗いとこ
ろで蛍光灯の明かりだけを頼りにMacに向き合う無表情な人々が集まるような
そんな労働環境のとこしかないだろうと思っていたが、意外にも派遣先は某大
手企業だった。

先にも書いたが私は中小・零細企業専門に渡り歩いてきたので、自分の勤め先
を人様に言ってわかってもらった経験等ひとつもない。親にも言ったが、きっ
と子会社とかで違うとこなんじゃないか? と信じてもらえなかったくらいだ
(全くうちの家族の貧乏根性は根深い)。

自分専用の部屋が与えられ、文房具等は備品室からとって下さいと案内され、
山のような消しゴムやらノートやらを見せられた時、私はまるで映画「グーニ
ーズ」の宝の山に遭遇した子供のようにはしゃいでいた。

前の職場は典型的な関西中小企業で、100円のコンパスを買って下さいと言っ
てダメと言われた経験がある。ノートを買って下さいといったら、社長の使い
かけの表紙がとれたボロボロのノートを「使えるとこ、使って」と笑顔で言わ
れた経験もある。

しかし、関西ではこれはイジメではない。これは「始末」と呼ばれる。いわゆ
る節約、経費削減だ。そして、「始末」は「ケチ」でもない。使えるとこは貪
欲に徹底的に無駄のないように使い、要らないと思ったものは10円でも絶対使
わない。これをどんどん昇化させてカタカナいうと、「エコロジー」と呼ばれ
るものになる。

・・・ちょっと無茶苦茶な話に聞こえるかもしれないが、関西の中小企業の社
長さんをつかまえてこの話をしてみて欲しい。きっと深く頷くに違いない。

私にとってはこの大手企業は夢のような暮らしで、まるであたしって小公女セ
ーラのよう、と思っていたが、働いてみるとこれだけ人数が多いと備品の多さ
にも納得し、みんな無駄のないように普段から心掛けていて、その勤務態度の
立派さにびっくりし、貧乏根性が染み付いてるせいか、やっぱりケチケチ使っ
てしまうので、慣れてみるとあまりこれといって変わらない生活になった。

フリーになってみて、関西始末教育が発芽してきている。20代の頃は何でも湯
水のように使い、躊躇なくポイっと捨てていたが、「モッタイナイ菌」に侵さ
れた私は何でもとっておくようになってしまった。コピー用紙も両面使ってか
らじゃないと絶対捨てない。しかし、お金をあげるからコピー用紙を片面使っ
て捨てなさいと言われても、多分両面使うだろう。何故ならそんなことをする
と地球のゴミが増えるではないか。すなわち、こういうところが、「始末」と
「エコロジー」が連動してるところなのである。

私は今の職場も前の職場もどちらも割りと気に入ってる。規模の大きさは違え
ど、やっぱり企業のコアな部分「利益追求」はどちらも同じだ。目の前にある
現実が例え三流デザイナーだとしても、全力でその仕事に取組めば、色々学ぶ
事も多い。それが血となり肉となり、今の自分を形成している。血も肉もなけ
れば、そこに立つ事すらできないではないか。

「清濁合わせ飲む」という言葉があるが、私の場合、理想のロボぐるみ制作と
吉野家デザイナーを合わせ飲んでいるのが今の現状だ。でも、ロボぐるみ制作
の時間が持てるだけでも、今の私にとっては幸せな事である。

【北川かりん】
「ロボぐるみ」制作者。TASU主宰者。<レッツゴー トゥ「ロボぐるみ」ワー
ルド>略して「レッツロ」も2話くらいで話が終わると思ってましたが、ツラ
ツラと書いてここまで参りました。たくさんの方に読んで頂いて嬉しい限りで
す。ありがとうございます。只今、今年11月23日(土)、24日(日)に開催さ
れるデザインフェスタに出展するため、新作制作に励んでます。
「レッツロ」は現在進行形ですので、ネタ仕込みのためにもしばらくお休み致
します。その間、他のネタで又、寄稿していきたいと思ってますので、これか
らも皆さんどうぞ宜しくお願いしますね。

TASU ART WORK ロボぐるみ
http://www.h3.dion.ne.jp/~tasu/

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■新刊&プレゼント案内
おしえて!! Macromedia FLASH MX
http://book.mycom.co.jp/books/bookshelf/2002/07/osifla_mx/
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Webアニメーション作成ソフト「Macromedia Flash」の最新バージョンMX対応
の入門書。デジクリ水曜日、MKチャットでおなじみのまつむらまきお氏が「師
匠」となり、初心者「まりた」との対話で、見開き2ページを1ステップとして
進むレッスン方式。

CD-ROMに収録されている、20種類以上のコンポーネント集には植木友浩氏が参
加。MX日本語トライアル版も収録されているので、これからFlashをはじめた
い人、Flashで楽しみたい人、Flashを知りたい人に、すぐに使える手引書です。

著者:まつむらまきお・たなかまり
定価:本体2,400円+税 B5変型判・304ページ
ISBN 4-8399-0729-3
出版 株式会社 毎日コミュニケーションズ 出版事業本部

●この「おしえて!! Macromedia FLASH MX」を、毎日コミュニケーションズ様
より読者2名様にプレゼント。
ご希望の方は、プレゼントお知らせコーナーから応募してください。締め切り
は、10月9日14時。発送をもって発表に代えさせていただきます。
http://www.dgcr.com/present/index5.html

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■編集後記(9/18)
・ようやくもとの環境に戻った(というより、OSはアップしHDの容量は増えて
むしろかなり向上した)はずだったが、そのG4が立ち上がらない事態に。バス
エラーが出てしまうのだ。ひさしぶりの爆弾マークだ。じつは前の日にもこん
な状況になったが、しらん顔して再起動したら立ち上がって、ネットもちゃん
とつながった。昨日の朝はなんとか立ち上がったが、昼寝からさめて仕事しよ
うしたらもうイケマセン。何度やっても爆弾が。仕方なく機能拡張は無視して
立ち上げ、機能拡張のなかから元凶となっている(かもしれない)ヤツをはず
して再起動をくり返したがダメ。そのとき、デスクから、バスエラーの原因は
フレッツじゃないんですか、OS9.2とむちゃくちゃ相性が悪いって情報があり
ますよ、と連絡(サブのiBOOKはネットにつながっている)が来た。

そこでフレッツ接続ツールをはずして再起動したらみごとに立ち上がった。元
凶はコヤツだったのだ。フレッツ接続ツールの説明書を読んだら、動作環境は
OS7.6~9.1とある。わたしの前のOSは8.6だったから順調だったが、9.2に上げ
たからこんなことになったのだ。ネット情報によれば、NTTには9.2対応のバー
ジョンが用意されているとのことだったが、ソイツが置いてあるフレッツ・ス
クエアはそう簡単にはアクセスできないのであった。難解な説明を解読すると
フレッツ接続ツールCD-ROMの試験接続状態から入るらしい。しかし、フレッツ
接続ツールを使おうとするマックは、バスエラーで爆弾なのだ。フレッツ・ス
クエアには永遠にアクセスできない。どうすりゃいいんだ! フレッツの接続
設定ガイドに電話したら、ではVer.6のCD-ROMを116に請求してくれトノコト。
結局、CD-ROMをNTTにとりに行くことになった。

デスクがネットにあるユーザーの情報を送ってくれなかったら、いまだにG4は
立ち上がらず途方にくれているところだ。1台しかマシンがなかったら、そん
な情報も入らないわけでゾッとする。どうして前日までOS9.2とフレッツVer.2
の組み合わせで動いていたのだろうか? ガイドに聞いてみたら、そういう不
安定さがあるからバージョンアップしたのです、という。たまたま僥倖で動い
ていたのね。ところで、iBOOKは9.2.2である。それでもフレッツにはつながっ
て順調に動いている。なぜか、たぶんエアマック経由だからなんでしょう。エ
アマックの設定は忘れちゃったけど。iBOOKからフレッツ・スクエアにアクセ
スしてみようとCD-ROMを入れたら(インストールする)、たちまちバスエラー
で凍り付いた。あわててアンインストールした。くわばらくわばら。(柴田)

・姉妹誌「写真を楽しむ生活」の後記で、ピンホールカメラについて騒いでい
たら、金沢のS氏からキットを買ったよ~、との報告あり。「これを持って何
かを撮りたい気持ちでワクワクします。こんな気持ちは久しぶり」って。わか
りますっ! 少し前の後記で、カメラは「一瞬を切り取る」なんて表現をした
けれど、ピンホールカメラはデフォルトで「空気を写し込む」「時間を取り込
む」って感じ。微妙な感じが好き。今どき映らない失敗なんて少ないから、失
敗する楽しさのあるピンホール写真は面白いと思うんだ。  (hammer.mule)
・「写真を楽しむ生活」をよろしく!  http://dgcr.com/photo/
 ピンホールについては10号、11号、13号に。研究(同好)会作ろうかな。

<応募受付中のプレゼント>
 「ウェブサイト制作のワークフローと基礎技術」1151号。
 「ベンチャー失敗の法則」1152号。
 「図解カラーマネージメント実践ルールブック2002-2003」1158号。
 「レイアウトスタイルブック」1158号。
 「おしえて!! Macromedia FLASH MX」1160号。

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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
アシスト    島田敬子 

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