[1174] 連邦の白いヤツ

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1174    2002/10/09.Wed発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 21425部
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        <星飛雄馬とアムロ同じ声だし(^_^;)>

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 連邦の白いヤツ
 笠居トシヒロ&まつむらまきお

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 三井英樹

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■MKチャット対談
連邦の白いヤツ

笠居トシヒロ&まつむらまきお
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かさい: まいど笠居ですー、先週はオヤスミしちゃってすいませんでしたー、
    でもぼくが悪いんじゃないからね~(笑)
まきお: すんません、あっしが悪いんです~。もう身体ボロボロっす~ (;_;)
    のまつむらっす
かさい: 暇なときは不安になるくらい暇だけど、忙しいときは死ぬほど忙しい
    ってのがこの仕事の常だからねえ~~(^^;)
まきお: ほんまになぁ。無理せんように計画立ててても、結局外的要因でボロ
    ボロになるしねぇ(^_^;)
かさい: まあしょうがないっすよ、この商売、受注生産だし(笑)で、何とか
    なりそうなん?
まきお: なんとかせんと、上田に行けないではないですか~
かさい: ですね(笑) 今週末ですが、長野県の上田市で企画されたセミナー
    にマツカサで行ってきますです。
まきお: めっちゃ楽しみ♪無料なので長野県民はぜひおいでくださいませねー
かさい: セミナーの後のバーベキューが楽しみなんと違うか?(^^;)
まきお: それだけが、今の生きる望みっすよ(^_^;)
かさい: (笑)温泉も近いけど、寄ってる時間がなさそうなのが残念やね

●なぜいまガンダム

まきお: さてさて、今日のお題ですが
かさい: へいへい、なんでしょ?
まきお: みなさん、お待ちかねの「ガンダム」です(^_^;)/
かさい: 誰か待ってたのか?(^^;)
まきお: みんなですよ、みんな(笑)いや、この週末、深夜でガンダム映画三
    部作やっとったんだよね
かさい: やってましたねー、金曜の晩は一応見ようとしましたがねー(^^;)
まきお: あれは土曜日の夕方に始まった新ガンダムの景気付けだったのだよ
かさい: そうみたいだね。21世紀最初のガンダムとか… 
まきお: でね、もともとのガンダム(以下ファーストガンダム)が「宇宙世紀
    0079」てなもんで、1979年なんだよね。すでに20年以上たってて、新
    作はあるわ、プラモデルやら食玩はあふれてるわ、と。いったいこれ
    はなんなんだろうとね 
かさい: そう考えると、STARWARSと似てるな、現象的には。
まきお: 現象的にはね。ただ、SWは継続中の作品であるのに対して、ガンダム
    は一応過去の作品だよね
かさい: シリーズもの、って考えずにファーストガンダムだけならそうだね。
まきお: 今回始まったやつは、今までの「宇宙世紀」とは全然設定が違うよう
    だよ。数年前やってた、「ターンエー」も、数世代あとの話で直接つ
    ながりはない。
かさい: まあ、ガンダムって冠がタイトルについてても、殆んど関連性のない
    ストーリーが多いから、別のものだね 
まきお: そそ、仮面ライダーみたいなもんね 
かさい: たしか一つか二つファーストガンダムの数年後のストーリーのがあっ
    たよね。ZZだっけ?
まきお: えーと、z(ゼータ)とzz(ダブルゼータ)ね 
かさい: 正直なところ、ぼくはリアルタイムで見てないんだよね、ガンダムの
    放映は。Zとかもレンタルビデオで見たんだわ。
まきお: えらいやん、ぼくはファーストはリアルタイムだったけど、それ以外
    のガンダムは見たことありません(^_^;)
かさい: べつに偉くはない(^^;) なんとなく借りてみたらハマったんだ<Z
    かつての主役が、脇役として出てるっていうのが結構好きなんだよ、
    オレ(笑)
まきお: 1回目をTVで見て、全然ついていけなかったワシ(^_^;)。で、さすが
    に20年以上、作品数も多いから、世代によって思い入れは違うみたい
    ね
かさい: そうだろうなあ。っていったい何作品あるのかよく知らないんですが
    (^^;) 何種類あるの?<ガンダム
まきお: TVに映画にビデオに実写に....あとゲームまでいれたら、ものすごい
    だろうなぁ
かさい: 実写もあるのか?
まきお: 何年か前に、アメリカだかオーストラリアだかで撮ったのが。キャス
    トは全員ガイジンねー 
かさい: へぇ~日本以外でも作られてるのか。知らんかったー(^^;)
まきお: いや、制作は日本、公開も日本。日本人の為の、洋画風邦画(^_^;)
    日本ではこれだけビッグタイトルなのに、他国ではそれほどは人気な
    いみたいね、ガンダム全般 
かさい: あーそうなんか(^^;) ふーん。そういえばファーストガンダムも、放
    映初期は人気なかったらしいね。
まきお: SF好きは飛びついたけど、あれ、それ以前のロボットプロレスだと思
    ってみると、話が全然わかんないからね(^_^;)
かさい: マジンガーZの流れのアニメね。いわゆる巨大ロボットもの
まきお: そーそー。それまでは「悪の組織vs正義の味方」という図式だったと
    ころに、「戦争」という図式を持ち込んだのがガンダムが最初だねぇ
    ヤマトでも、アイテム類は戦争モノだけど、内容的には悪vs正義だし
かさい: そーね、基本的に結構高年齢層を狙ったストーリーになってたんだな
    セリフとか今聞くとハズカシーのが多いけど(^^;)
まきお: あ、あのセリフがいいんじゃないですか、ガンダムは(^_^;)
かさい: ガンダム好きはそう言うねー(^^;) でもオレは無理、あれ(笑)
まきお: いやー、見直してもね、あのセリフはすごいと。監督、今の僕らより
    も当時年下だったはずで、いや、ただごとではない(笑)
かさい: たしか放映当時って高校生だよね?ワシら
まきお: そう。学校から飛んで帰って見てました(^_^;)
かさい: 見てなかったんだわー、これが(^^;) なんでかな?
まきお: 放映時間が早かったんよ。5時台だったはずよ 
かさい: あーそうなんや、そら見てないわ。オレ結構部活とかまじめにやって
    たもん(笑)
まきお: そうそう、「ガンダム専門誌」ってのがあるの、知ってる?
かさい: 専門誌?ガンダムのことだけ載ってる雑誌なのか?
まきお: そそ、すごいでしょう(^_^;)
かさい: スゴイ!(笑)で、広告とかもガンダム関連商品の広告ばっかりとか
    …(^^;)?
まきお: もちろん(笑)で、その雑誌のメイン連載が、安彦さんのマンガ版フ
    ァーストガンダムなの 
かさい: え、それって今現在発行されてる雑誌なの?
まきお: うん。 隔月刊でね、毎号100ページ安彦ガンダムが読めるので、つい
    買ってます(^_^;)単行本もすでに出てるよん
かさい: ううーむ(^^;) 今、んでメインが安彦さんの漫画かー、なんちゅーか
    食玩とかとターゲット層一緒のような…(笑)
まきお: 餌食にされてますね(^_^;)。でまぁ、ファースト以外のガンダムです
    が、どうもね、リアルになりすぎると、無理があるちゅーか
かさい: そっすね、こないだの深夜放映のとき、新しいガンダムのCM見たけど
    ちょーっとメカとキャラクターにギャップを感じましたなー(^^;)
まきお: 画面の情報量とか、めちゃくちゃ高くなってるんだけど、なんてのか
    しら、ファーストはリアルっぽさと、マンガっぽさのバランスがいい
    というか。SWもそうなんだよね。
かさい: うん、あまりね、リアルにされると、逆に細かい「ウソ」が目立っち
    ゃって、ストーリーにのめりこめないんだよ、こういうのは。
まきお: だいたい18メートルっすからね、ガンダム(^_^;)。そのリアルとベタ
    のバランスって大切なんだなぁと思うよ。長く愛され続けているタイ
    トルって、ほとんどそういう指向だよね
かさい: 18メートルかぁ…奈良の大仏さんの座高よりすこーし高いねぇ(笑)
まきお: あの速度では動けないっす(^_^;)
かさい: 物理的に不可能なのかな?(^^;) なんかすげー発明とかで、すばやく
    動けるようになるとか(笑)
まきお: 無理~(^_^;)だいたい、腕だけで10メートル、ライフルの銃身いれた
    ら15メートル、15メートルの竹竿を振り回すコト考えてみー(笑)
かさい: わはははは(笑)だいたい、二足歩行の人間型巨大兵器を作る必然性
    がないもんなあ(^^;)
まきお: 必要性という意味では、ガンダムはかなり一所懸命必要性、有効性の
    描写にはがんがってたけどね。
かさい: そうなんや、詳しく知らんのだが、どういう点でがんばってたのだ?
まきお: もともと、コロニー落としの為の兵器で、いや、そんなことはどーで
    もよいのだ(^_^;)
かさい: なんだなんだ(^^;) じゃあ重要な話は?

●素材としての魅力

まきお: 作品論の話ではなくてね、商品として20年以上持つというコトに興味
    があるのだよ
かさい: ふむふむ、最初に戻るわけやね。人気の秘密はなんやと思うわけ?
まきお: ひとつは、プラモデルとの関係だろうねぇ。ガンプラっていうやつね
かさい: ガンダムのプラモデルだからガンプラかぁ まつむらさんの部屋にも
    あったねぇ でもそれが人気を保つ要素として重要なのか?
まきお: もちろん、SWの例を見ても、オモチャって要素は非常に重要だけどね
    ガンプラってのは、プラモデルとアクションフィギアの両立みたいな
    もんでね、これが先のストーリーの絶妙さ同様、絶妙だったんだろう
    なぁと 
かさい: ははぁ、そういえばガンダムのプラモって、可動箇所が多いんだった
    な。関節が動くプラモのハシリだったのかしらん?
まきお: ぼくがはじめて作ったプラモデルはひょっこりひょうたん島のトラヒ
    ゲとドンガバチョで、関節は動いたよ(^_^;)
かさい: おいおい(^^;) まあプラモの人気はわかったが、それが価値を持つた
    めには、作品の人気が不可欠でしょう?
まきお: いや、その両方のバランスと普遍性なんじゃないかな。たとえばサン
    ダーバードがプラモデルブームとして大きかったけど、ガンダムと比
    べると、今見るとノスタルジックの対象だよね、大金持ちが出てきた
    り、家族だけで運営してるとか。人形劇だから、人同士のアクション
    シーン、群衆シーンがないのも、今みるとイタイ
かさい: たしかになぁ。まあ、いわゆる「メカ」の面白さを鑑賞する作品だっ
    たかもしれないね
まきお: とかいいつつ、食玩はきっちり買い集めるのですがね(^_^;)。ガンダ
    ムはいわば「枯れている」んだよな。
かさい: 枯れてる…というと?
まきお: 戦記もの、集団劇、青春劇…普遍的ってことかな。王道だよね~悪く
    言えばひねりがないというか(^_^;)
かさい: (笑)ただ、その要素をアニメに持ち込んだのが斬新だったってこと
    かな
まきお: なにが斬新だったのか、よくわかんないんだけどねぇ。SF好きはSF的
    に見ちゃうんで。ああ、しっかり考えてやってるな、みたいな 
    普遍的なドラマというのは、それ以前のアニメはいわば、ほとんどが
    そうであるよね。
かさい: んーでもやっぱりガンダムを境に「勧善懲悪」という図式を持たない
    青少年向けドラマが増えたような気はするな。
まきお: 明日のジョーとか巨人の星とかに近いのかもなぁ。
かさい: そういえば、ライバルと戦いながら主人公が成長していくってのは、
    スポ根ものの定番ストーリーだなぁ(笑)
まきお: 悩むしね、みんな(^_^;) 星飛雄馬とアムロ同じ声だし(^_^;)
かさい: 悩む悩む(笑)しかし、なんでそんなにみんながハマったのか、まだ
    スッキリ納得は出来ないなあ…<ガンダム
まきお: 安彦さんの絵の魅力も大きかったねぇ。しかしだ、だからといって、
    なぜに30~40のおっさんたちが今でもガンダムのオモチャとか買わね
    ばならんのだ?(^_^;)
かさい: なんでなんだ?(^^;) ハマってる人にそんな疑問符を投げてこられて
    も、ハマってない私にはわからんよ(笑)
まきお: はまってないよぉ、そんなには(^_^;)……あ、わかった~
かさい: なんだぁ?(^^;)
まきお: さっき、リアルさと、マンガっぽさのバランスって話したでしょう?
    もしね、カンペキに世界観がリアルに構築されてしまっていたら、そ
    れで完結しちゃうんだよね 
かさい: ふむ、ところが?
まきお: 18メートルのザクがさぁ、腰ひねるのよね、あのデザインで(笑)
    無理じゃない?どう考えたって。そこに罠があるわけだ
かさい: 何が言いたいのだぁ(^^;)
まきお: だからだねぇ、リアルなようで、リアルでないようで、というモノを
    見てるとね、想像力をかき立てられるのよ。観客が考えて楽しむ余白
    を残すといえばいいのだろうか
かさい: ははあ、本当はどうなってるんだろう?って考えた連中のなかにガン
    プラやフィギアを制作した人達もいるわけだ
まきお: そうそう。もちろんね、原作者はある程度考えてるわけよ。ウソも含
    めて。そうでないと世界観が破綻するからね。でもそれを語りすぎな
    い。語らず、いかにも考えてある様にみせる。これ大事だよなぁ
かさい: それが人気の秘密
まきお: うん。たとえばね、SWだとスピンオフ小説ってのがあるのよ。いわゆ
    る外伝ね
かさい: ああ、そういえば一冊だけ読んだことあるな。そういうの 
まきお: これが、映画の中のセリフの一言、それは映画の中ではさして意味は
    ない言葉や人物をとりあげて、小説ひとつ作っちゃうの
かさい: なるほど、そういえばガンダムのそういうのも読んだことあるのを思
    い出した。
まきお: そういうのも、もともとの作品がもっていた余白なんだろうなぁと。
    それと、そういう想像力で遊ぶためには、世界観がきっちりしている
    ってのも重要だよね。SWの時にも言ったけど
かさい: ガンダムやSWは、ひとつの作品でありながら、同時に素材でもあるっ
    てことかな
まきお: あー、そうそう! 素材。うん、これはヒットの要因だなぁ
かさい: 自分だけのものとして加工できる余地があるってことだね。鑑賞する
    だけじゃなく、所有する喜び…
まきお: よし、まとめましょう(笑)「普遍的な題材」「想像力を働かせる余
    白」「魅力的な世界観」イコール、素材として魅力的であり、商品展
    開も幅広いと 
かさい: そういうものを作れたら、大ヒット間違いなし。末永~~く、それで
    食べていけますよ、と(笑)
まきお: よし、明日からワシもベストセラー作家じゃ(^_^;)/
かさい: そんな簡単に出来たら苦労せんわ(^^;)
まきお: 実際は、これらは必要条件であって、これらを満たしているからとい
    って、絶対ヒットするわけではないからねぇ(^_^;)
かさい: でもヒットしたら何かおごってくれ(笑)
まきお: まぁ、ビール一杯くらいならおごってあげましょう(笑)
かさい: シブチンやなー(^^;)

【笠居 トシヒロ/WEB&グラフィックデザイナー】
先々週のコラムに、いくつかメールで反響が。ファイル共有の仕組みについて
詳しい説明をくださった、おおつねさん。自宅サーバーを立てる際に役立つ情
報を寄せて下さった片山さん。どうもありがとうございました。勉強になりま
したー(^^)/
<http://www.mad-c.com/>

【まつむら まきお/まんが、イラスト、アニメーション作家】
ファーストガンダムの富野監督による演出論「映像の原則」(キネマ旬報社)
は映像、アニメーションをやる人必読のテキストですよん。
<http://www.makion.net/>

●上田市マルチメディア情報センターから

Macromedia Flash をフィーチャーしたイベント【Hallo Flash 2002 in UEDA】
を上田市マルチメディア情報センターで行ないます。ご自分のWEBサイトをお
持ちでFlashに興味のある方、Flashをこれから仕事に活かしたいと思っている
方、Flashの技術を習得して就職活動に役立てたいとお考えの学生の皆様など、
沢山の方のご参加をお待ちしています。また、当日は笠居トシヒロさん、まつ
むらまきおさんの講演会と屋外でのベーべキュー大会などもお予定しています。
日時 10月12日(土)13時~16時/10月13日(日)10時~12時
宿泊申し込みにつきましては10日(木)が締切となっています。
・イベントの詳細 
http://flash.wda.jp

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■電網悠語:Ridual開発記編(12)
会議

三井英樹 / ※Ridual=XMLベースのWebサイト構築ツール
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はるか昔、神からの使命を受けて、誰とも相談せずに世界最大のプロジェクト
に挑んだ男がいた。巨大な箱舟を丘に建造し、世界中の動物達を載せ、豪雨を
乗り越えた。「ノアの箱舟」のノア。

そのノアについて、クリスチャン雑誌「clay(クレイ)」にこんな文書が載っ
ていた、「ノアが箱舟建設委員会を設けていたら、きっと箱舟は完成しなかっ
たろう」。

Web開発関係者で、これを読んでふき出す人は多いと思う。現場に近いほど共
感できる感覚かもしれない。サイト開発には多くの、とても多くの会議が必要
とされる。そして、その議場で、時間が非常に有意義に進むと感じる現場担当
者は少ないと思うのは、私の思い込みだろうか。議論をすればするだけ選択肢
は生まれる。どれにするかが問題ではなく、どれかに決めること自体が問題と
される場であることも多い。しかし、民主的にとかコンセンサス等の言葉に
よって、決断がズルズルと延ばされる。

御厨さと美氏の作品の中でこんな台詞がある、「君が合議的な場を作って物事
を進めたがる理由を言ってやろうか? 実戦経験の無さから自分の指揮能力に
自信を欠いているからだ(ルサルカは還らない/Vol.2)」。即断できない同僚
(形式上は上司)に対する台詞だったが、無意味な会議にイライラしていた私
には、「そういうことだったのか」と眼から鱗のショックだった。それ以来、
やたらと会議の場を作りたがる者に、怒りではなく、可哀想にと思うようにな
れた。

いつまでも交差点に立ち止まり迷っている訳にはいかない。どこかで決断が必
要だ。そしてそうした決断は、経験が必要だ。Webはそうした練習にもってこ
いだと思える。そもそもWebは作って「お終い」ということはまずあり得ない。
常に作り続けなければならないモノだろう。だから一度や二度の失敗は合って
良いのだと思う。サイト管理者自身も育たなくてはいけないのだから。

自分の目で確かめた訳ではないが、amazon.com はある時期ユーザによって見
える(見せる)サイトを変えていたそうだ。どういったデザインが良いのかを
実地検証していた。最終的には(エンド)ユーザに聞けという鉄則を実際に行
なった訳だ。会社規模と知名度を考えると、そのフットワークの軽さに拍手を
送りたくなる。先日の9.11に喪に服した yahoo.com サイト等にもサイト運営
者自身の意思と開発とが直結しているのが見えて、感動的だった。こんなこと
ができるのは、セミナー等机上の知識からではない。自ら決断して、自ら確認
する、そういった指揮能力の向上と共に培われた感覚なのだと思う。

別に海外だけが優れていたわけではない。例えば、リクルート。3日間徹夜で
3~4人で作られたサイトの話。しかも静的サイトではない住宅情報の検索サイ
ト(1997年頃)。アイデアを出してその場で試作、その場で試して試行錯誤し
て、完成させる。デザイン感覚からスクリプト、動作保証検証のセンスまで一
流の者が集まる必要があるが、それが実現されていた。そのスキルにも驚くが、
そうした権限を与えてしまう組織にも息を呑む。「任せた」の一言なのか。こ
れで燃えなきゃ嘘だろう。セミナーで講演したその開発者の眼は、当時誰より
も輝いているように見えた。羨ましかった。

誰にでも実現できるものとそうでないものがある。上述のような環境は与えら
れ様がなかった。だから自分達だけでできることを探した。会議はできるだけ
短くする。ガンクビ揃えて決めるべき事項か考えて各人が動く。疑問が湧けば、
その時に責任者を掴まえて解決する。基本的に「却下」と「了解」の即断即決
で対応する。そして、昨日の結論と矛盾しても謝れる間柄も作る。信頼する。
信頼される。不必要なドキュメントは作らせない。必要かどうかは、まず処理
できるかで判断する。一週間後の会議までにその担当者が読んで処理すること
が現実的なのかどうか。積読されて、会議の場で数秒で斜め読みされるのが分
かっていたら省く。熱意で説得可能だと思えたら先行して作って、自分達の意
志高揚も図る。

もちろん会議自体が敵なのではない。そこに潜む何かが敵なのだと思う。それ
は、時に責任回避を目的とし、時に何人を率いているかという自己満足を目的
にしたりする。サイト開発のリーダは、その進捗を妨げるモノを可能な限り排
除すべきだ。リーダになる人は、そういった仕組みを見つめ直し、自分も含め
て開発活性化を阻むモノが何かを見極めねばならない。

世界を救う使命がノアだけに降ったように、担当するサイトを「救う」使命は
大きな人数には示されないように思う。聖書はあっさりと書いてあるが、苦し
いこともあった筈だ。だが、少数精鋭で短期間。ノアは大洪水の後に「約束の
虹」を見る。Webサイト開発のヒントがここにもある気がする。

ref:
・日本聖書協会(ノアの話は創世記6~9章)
http://www.bible.or.jp/main.html
・クレイ
http://www.harvesttime.tv/
http://www.harvesttime.tv/Products/Clay/Clay.htm
・御厨さと美
 http://www.mangaseek.net/search/m/index.php?mid=1604&PHPSESSID=0c7758499a41301d03b1363ac0f113a0

【みつい・ひでき】 h-mitsui@nri.co.jp / info@ridual.jp
御厨さんの作品では「イカロスの娘」が一番好きだ。飛行機のりの話だが、パ
イロットには、このまま飛ぶか着陸するかの決断をしなければならない高度と
いうのが決まっている。この話が印象的。連載の全てがコミック化された訳で
はない。実は未だ3巻目を待っている。

・Ridual(XMLベースのWebサイト構築ツール)公式サイト
http://www.ridual.jp/
・超個人的育児サイト(書籍は絶版中)
http://member.nifty.ne.jp/mit/MilkAge/

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プロの写真家によるPhotoshop7.0のカラー管理、フォトレタッチ、出力に特化
した解説書です。Photoshopはプロが印刷物を作成する上で、非常に強力なツ
ールとなりえますが、そのような専門書は数が少なく、バージョン7.0に対応
したものはありません。本書は、デジタル写真の撮影のノウハウから色管理、
色合わせそしてレタッチといったPhotoshopのキモとなる事柄について、豊富
な実例とともに詳細に解説します。また、16bitの画像処理テクニックに関し
ても言及しています。付属CD-ROMに本書で使用したサンプル画像、アクション
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▼「写真を楽しむ生活」のほうでも同じプレゼントがあります。

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■編集後記(10/9)
・壬生義士伝、フロム・ダスク・ティル・ドーン2、敗者から見た明治維新、
散歩の達人の書籍、モンスターズ・インク、そんなものを最近見たり読んだり
した。「CG美少女」サイトでこんな内容の日記を掲載しているが、それでも固
定の読者さんがいるようだ。当初はきちんと段落のある文章を書いていたが、
あるときメール体にしちゃったら、こっちのほうがお手軽でお気楽で無責任で
元に戻れない。ビール飲んだあとでええ加減で書いておるのですが。(柴田)
http://allabout.co.jp/diary/virtualbeauty/

・尊敬する人のひとりに石井和義正道会館館長がいる。学生の時、正道会館の
学生部に所属していた。学内での練習がほとんどで、本部に行く機会は少なか
ったが、大会の受付やコンパニオン代わりにパーティでのおさんどんをしたこ
とはある。今ほど華やかな頃じゃなかったので(歳ばれる…)コンパニオンを
雇う費用はなかったのかもしれない。ところが、事前にモデルスクールの講師
を呼んで、立ち方やらお辞儀の仕方を学ばせ、にわかコンパニオンを作り上げ
た。ミットやサポーターを作る会社(?)を作った。強制はされないが、どこ
で買っても同じならと皆は買う。道場生が増えれば増えるだけ、練習量が増え
れば増えるだけ儲かる仕組み。頭いいなぁ、ビジネスマンやなぁと思う。K-1
が存在する前の全日本大会でも、吉本の芸人をトーナメントに参加させた。フ
ルコンタクト空手をする他の道場や、プロレスラーと交流を持つ。あの頃から
そうだった。メディアミックス。敵対するんじゃなくて飲み込む器の大きさ。
今度は全日、武藤だって。K-1が面白くなくなってきて、もうダメだと言われ
はじめていた頃、新日やPRIDEと交流したのにも驚いた。サップとシュルト、
サップとバンナの試合が生で見たいよ~。ノゲイラをあそこまで追いつめ、ホ
ーストのローが通用しないサップをバンナが止めるところ見たいよ~。うます
ぎる。繁華街で屈強な男達に囲まれた館長から「君、君」と呼び止められたこ
とがある。パーティのにわかコンパニオン程度の人間を覚えていて、声をかけ
てくる。学生部の文化祭の試演数十分のために数時間かけて代理人出さずに自
ら出向く。真似できない。もう覚えていないとは分かっているのに、そんなさ
さいなことを思い出にしちゃってる。ファン作るの上手いなぁ。そんな館長の
発展を喜んでしまう私だが、これはどうなんだろうと思うのが「石井和義の押
忍!」肩書きもK-1プロデューサーじゃないよ、ファイティングプロデューサ
ーになっちゃってるよ。おーい、館長、どこまで行くの?  (hammer.mule)
http://www.k-1.co.jp/news/a02_10_07.htm  聞きたいけど圏外
http://justice.i-mediatv.co.jp/ishii/010205/01.html ビジネス誌取材して
http://www.urban.ne.jp/home/geh02166/history/-87.htm  年表
http://www.allnightnippon.com/ishii/  やってたのねっ
http://www.k-1.co.jp/top/ss1207.htm  SRS席で見たい~。ケガ欠場許さん

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発行   デジタルクリエイターズ <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
アシスト    島田敬子 

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