[1377] 一攫千金を夢見る

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1377    2003/09/05.Fri発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 20205部
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         <アフガニスタン・バナナスタン…>

■映画と本と音楽と… 182
 一攫千金を夢見る
 十河 進

■かりん島
 マル覆の女
 北川かりん

■ライフスライス研究所
 オリジナルデジカメ開発奮闘記(2003年9月5日金曜日)
 第18回「バリアフリーデザイン一考」
 ユビキタスマン

■展覧会案内
 フランスコミック・アート展 誰も知らないバンド・デシネの世界





■映画と本と音楽と… 182
一攫千金を夢見る

十河 進
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●犯罪者グループには悪女がひとり必要だった

スティーブン・ソダーバーグ監督の「オーシャンズ11」は、なかなか面白かっ
た。ソダーバーグ監督は、インディペンデント系の「セックスと嘘とビデオテ
ープ」で出てきた人だが、ハリウッドのメジャー作品やスターシステムの作品
もきちんとこなしている。

この映画はジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、アンディ・ガルシア、
ジュリア・ロバーツという「出演料は一体いくらになるんだ!」的顔ぶれを揃
えたハリウッド大作そのものだが、殺伐とした銃撃戦と爆発シーン、殺し合い
ばかりを見せる最近の映画に較べ、強奪計画のアイデアとシャレた駆け引きで
見せてくれる。

僕は昔の犯罪映画を思い出したが、この映画自体が1960年に制作された「オー
シャンと11人の仲間」というフランク・シナトラ主演映画のリメイクなのであ
る。しかし、ストーリー、アイデア、強奪する金額は大幅にグレードアップし
てあった。

11人の仲間たちがラスベガスのカジノの金庫を襲うストーリーは同じである。
しかし、現代の厳重に監視された金庫からはとても簡単に盗めそうもない。昔
だって大変だったのだが、綿密な計画を立てれば可能な気がしたものだ。観客
もそれなりに納得できた。

だが、今のコンピュータシステムで鉄壁のように守られている地下の金庫室か
らどう大金を盗み出すのか、観客を納得させるのはむずかしい。お手並み拝見
という気分で僕は見始めたのだが、どんでん返しにつぐどんでん返しで畳みか
けられる快感を久しぶりに味わった。

43年前に制作された「オーシャンと11人の仲間」は、シナトラ一家総出の映画
と言われている。その顔ぶれはディーン・マーチン、サミー・デイビス・ジュ
ニアなどだ。その中にひとり、我が愛するアンジー・百万ドルの脚線美・ディ
ッキンソンが混じっている。

アンジー・ディッキンソンという人は60年代犯罪映画に欠かせない女優で、後
に大統領になるレーガンの情婦を演じた「殺人者たち」(原作はヘミングウェ
イで監督はドン・シーゲル)やリー・マービンが悪党パーカーを演じた「ポイ
ント・ブランク」(これも数年前にメル・ギブソン主演で「ペイバック」とし
てリメイクされた)などにも出ている。

彼女は後にテレビで「女刑事ペパー」という主演シリーズを持ち、日本でも放
映されたのだが、やはり刑事より情婦役が印象に残る。中年になってからやた
らに脱いだ人で、ロジェ・バディム監督「課外授業」やブライアン・デ・パル
マ監督「殺しのドレス」などでは、惜しげもなく裸体を晒している。

彼女は、やはり悪女が似合った。ファム・ファタールと言われる男を滅ぼす運
命の女である。年齢を重ねても「百万ドルの脚線美」に衰えは見せず、「女刑
事ペパー」のタイトルロールでは、螺旋階段を彼女が降りてくる設定だった。
僕は毎週、彼女の足首が写り次第に脚線が見えてくるシーンをテレビの前で待
っていた。

●ラストで幸せな気分になれる犯罪映画

綿密な計画を立て様々な困難や予測しない事態を乗り越えて大金を手にする、
つまり強盗計画の最初から結末までを語る犯罪ものをケイパー小説というのだ
と小鷹信光さんが書いている。「悪党パーカー」シリーズを日本に紹介した小
鷹さんである。そちら方面は、とにかく詳しい。

「悪党パーカー」は強盗のプロフェッショナルであるパーカーが、計画を立て
仲間を集め仕事(強奪)を決行するのが毎回の主たるストーリーである。ただ、
彼は仕事のためなら躊躇なく人を殺す。病的な殺人者ではないが、邪魔者は容
赦しない冷酷なヒーローだ。

「悪党パーカー」の作者はリチャード・スターク。すでにハードボイルド派と
して名を成していたドナルド・E・ウェストレイクの別名だ。悪党パーカー・
シリーズを血まみれにしてしまった(ほとんどの作品で二桁以上の死体が出て
くる。一度数えたら一作の中で数十人になったこともある)ことを反省したの
か、ウェストレイク名義で「ドートマンダー・シリーズ」を書いている。

ドートマンダーはプロの泥棒である。その相棒で、妹の亭主であるケルプがい
つも仕事を持ち込んでくる。彼は錠前屋でどんな鍵でも開ける(ことになって
いる)。それに車マニアのマーチ母子(逃走車の運転担当)など出てくるキャ
ラクターは性格が極端で、みんなドジである。だから、腕がよくマジメな泥棒
であるドートマンダーは胃痛に苦しむのだ。

ドートマンダー・シリーズを映画化したのがロバート・レッドフォードの快作
「ホット・ロック」である。「熱い石」とは「サハラの星」と呼ばれる巨大な
ダイヤモンドを意味している。原作も笑い転げる場面ばかりだが、映画は犯罪
ものとしてのサスペンスを維持しながらコメディにならず、それでも笑えるシ
ーンが続く。絶頂期だったレッドフォードが苦笑いしながら、軽妙な演技を見
せてくれる。

ファーストシークェンス、出所早々のドートマンダーは迎えに来たケルプの車
に轢かれそうになる。盗んだばかりで、ケルプが車に馴れていなかったからだ。
ケルプは仕事の話をするがドートマンダーに「ドジなお前とは組まない」と言
われて拗ねる。

それでも依頼主に会うことになり公園のベンチにいくと、依頼主はアフリカの
某国の国連大使。長いベンチに離れて座った大使とケルプとドートマンダーは、
大声で強奪計画を話し合うことになる。大使との間の空いているベンチにおば
あさんが座り鳩にエサをやりだす。何だかとてもおかしい。

大使の依頼は昔から隣国と所有権を主張し合ってきた「サハラの星」がニュー
ヨークの博物館で公開されることになったので、それを盗んでほしいというこ
とだった。ふたりは引き受け、経費や計画実行までの生活費の保証などを交渉
するのだが、そのやりとりも笑ってしまう。

博物館からダイヤを盗んだドートマンダーたちだが、仲間のひとりがダイヤを
持ったまま逮捕され、逮捕の直前に呑み込んでしまったところから、てんやわ
んやが始まる。仲間を州刑務所から脱獄させたものの彼は警察署の留置所にダ
イヤを隠したので、次は警察署を襲撃する羽目になる。しかし、話はさらに二
転三転し……

「ホットロック」は、犯罪映画の醍醐味を感じながらクスクスと笑え、最後に
スッキリした気分になり、鼻歌交じりで映画館を出て来れる貴重な映画である。
そして、きっと「アフガニスタン・バナナスタンド」というフレーズが頭から
離れなくなる。1972年の公開時に見て以来、時々、僕は「アフガニスタン・バ
ナナスタン…」とつぶやいている己を発見する。

●人生の苦さを感じさせる犯罪映画

ケイパー小説やそれを原作にした映画の多くがカジノや競馬場の売上金などを
強奪する(あるいは「ホットロック」のように国から盗む)のは、誰も直接の
被害に遭わないからという理由なのだろう。観客に反感を持たれにくいし、悪
どく稼ぐ奴らから盗むのなら共感さえ得られる。

「オーシャンズ11」でもカジノ王を演じたアンディ・ガルシアの方が完全に悪
役になっていて、犯罪者集団はヒーローに見える。それに現代の犯罪は割に合
ってしまうことが多い。犯罪が成功し、大金を持って幸せに暮らしましたとさ、
という結末が増えている。一攫千金の夢が叶うのだ。

昔はハリウッド映画も規制が厳しくて、犯罪者やギャングは最後に必ず報いを
受けるストーリーだった。たとえばスタンリー・キューブリック監督の「現金
に体を張れ」(ゲンナマと読んでください)は競馬場を襲う話だが、犯罪者た
ちは自滅していく。

ジョン・ヒューストン監督の「アスファルト・ジャングル」(新人の頃のマリ
リン・モンローが出ている)は宝石店を襲う話だったと思うが、やはり仲間割
れで犯人たちは自滅する。主人公が最後に死んで終わるのである。だから、そ
うした映画に出る役者は限られていた。

フランス映画にはかつてフィルム・ノアールというジャンルが存在し、多くの
犯罪映画が生まれた。ジャン・ギャバン、リノ・ヴァンチュラ、アラン・ドロ
ンなどが主役を張った。「地下室のメロディ」は、ギャバンとドロンが共演し
た映画である。

刑務所から出たばかりのギャバンは、引退のために一攫千金を狙い最後の大仕
事を決意する。長い時間を棒に振った男の最後の賭け……。その相棒に選んだ
のが若きドロンである。彼らは南フランスのカジノから大金を強奪する計画を
立てる。

ハリウッドの犯罪映画と異なるのは、老境を迎えたギャングの悲哀やハンサム
なだけで貧しい育ちをしたチンピラの屈辱といったものを犯罪計画の進行と共
に描いていることである。彼らが一攫千金を夢見るのは自らの人生を変えよう
とする必然であり、彼らの犯罪は人生を切り開くための何かを象徴する。

要するに、犯罪者たちの人生が描かれているのだ。金持ちの若い男に化けて高
級ホテルの客になったドロンは、様々なシーンで階級社会の現実にぶつかる。
その時のドロンの屈辱に僕は共振れするし、何年ぶりかで見るパリ郊外の変貌
に虚しさを感じ老いた己を自覚するギャバンの心情にも共鳴する。

だからこそ、ラストシーンの虚しさが伝わってくるのだ。40年も前に見た「地
下室のメロディ」のラストシーンが鮮やかに甦る。盗みに成功したものの大金
の入ったバッグをプールに隠すしかなくなり、バッグが開いて札束が浮かび上
がる。やがてプール一面を札束が覆ってしまう。

鮮烈なラストシーンだった。一攫千金を夢見ながら、そんなことはなかなか実
現しないという人生の現実をほろ苦く感じさせる何かが、そのシーンにはあっ
た。まだ十代だった僕は、そのシーンから確実に何かを学んだ。

犯罪は結局、徒労に終わるという結末は、なかなか味わいがあって僕は好きだ。
フランスの犯罪映画には「地下室のメロディ」のような一筋縄ではいかないラ
ストシーンが多くて、やはりアメリカとは文化的深度が違うなあ、人生に対す
る認識が単純じゃないなあ、と思う。

【そごう・すすむ】 sogo@mbf.nifty.com
仕事の種類が変わり生活のリズムも変わった。何だかまだ落ち着かない。すっ
かり朝方になり、休日も6時前に目が覚める。原稿も朝に書くことが多くなっ
た。単に歳をとっただけかもしれませんが……。

旧作が毎週金曜日に更新されています
http://www.118mitakai.com/2iiwa/2sam007.html

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■かりん島
マル覆の女

北川かりん
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夏の夕闇に「焼肉」の赤いネオン管で書かれた文字がハツラツと光り輝き、店
舗ファサードにディスプレイのように人々群がっている。リニューアルオープ
ン記念で飲食料金の半額バックキャンペーンをやっているせいだ。今日から三
日間はお店をお客様にアピールする勝負の日。どんな店に仕上がっているのか
楽しみだ。

最近私に、新しい仕事が舞い込んできた。それは、「覆面調査」という今まで
に経験したことのない仕事だ。具体的には、調査依頼のあった店舗に出向いて、
素性を隠して飲み食いし、密かに料理の良し悪し、店員の良し悪しを査定する
というものだ。

これは、私がグルメだからだとか、居酒屋バイト歴が長いからではなく、単に
一般のお客さんならどう思うか? という判断が欲しいというので、私に白羽
の矢がたったのである。調査対象店は私が勤めているメーカーのお得意さんの
お店である。

お得意様の悪口・・・もとい、改善点を書いてもいい! しかも飲み喰いタダ!
これをエサにまんまと釣られ、初めての居酒屋での潜入調査でレポート用紙3
枚にびっちり他人の粗探しを書き込んだら、これが見事先方の社長に気に入ら
れ、続けて2、3件覆面調査の仕事が入った。

今回のターゲット店は焼肉屋で、近所に今流行りの焼肉チェーン店が進出して
きたので、体制強化の為にリニューアルを図ったとの事。若い男の子のグルー
プから家族連れまで、「半額」の文字に吸い寄せられた人達が列を団子状態で
待たされて、イライラしている。

ここで、まず、「チェーーック!(渇!って感じで)」
空腹の状態でお預けをくらった人間の恐ろしさをこの店はまだ理解していない。
きちんとした客さばきができていないな。なんて、思いながら店員を探すが、
店員がおどおどして硬直してしまっている。この店はユニホームがないので、
店員なのか客なのか見分けがつかない。

何とか茶髪の硬直したお姉ちゃんに笑顔で語りかけ、予約している事を理解さ
せたが、彼女は「少々お待ち下さい・・・」といって人ごみに消えてしまった。
しばらくすると、店長らしき男性が出てきたが、こいつもパニックに陥ってい
て、顔から笑顔がすっかり消えている。

無愛想に「こちらです・・・」というと、私の顔も見ずにさっさと歩き出した。
アルバイトのお姉ちゃんが無愛想なのは、トップの君が無愛想だからだよ!
と心の中に小さくメモした。きっと真剣にやっているのだろうが、悲しいかな
他人からはただの無愛想な人にしか見えない。今や外食産業は娯楽産業だ。食
のエンターテイメントを演出するスタッフに笑顔がないというのは、かなりの
マイナスポイントである。

店内は今流行りのモダン和風。席数の割り振りも、計算しつくされた設計で見
事! 七輪で焼くという流行のスタイルを取り入れて食の楽しみを盛り上げて
くれている。そして、お待ちかねの肉が運ばれてきた。遅れてきた同僚とこっ
そり店員に見つからないようにメモをとりながら、「では、カルビ焼いてみま
す」とまるで実験のように肉を焼く。

ひと通り食べ終わってみて、出た感想は「フツー。」だった。激マズでもなけ
れば激ウマでもない。値段も激安でもなければ激高でもない。どの点をとって
も中間点で感動がない。言い換えれば、記憶に残らない店、ぜひもう一度来た
いと思わない店だ。

私は先に書いた通りグルメではない。しかし、うちの家は昔から金に困っても
食べる事には欠く事がないというのが家風で、食には縁があるらしい。本音を
言えば、白飯に納豆だけでも一週間位全然平気で過ごしていられる程で、あま
り、食に対して貪欲ではないが、私の周囲の人間はグルメが多くて、うまい店
をたくさん知っていて、結構色々な店に連れていってもらったので、知らない
内に私の中でのランキングが出来上がっていて、焼肉なら、昔食べたあの店よ
りはここの方が上とかそういう評価を下している。本当に何が役に立つか分か
らないものだ。友人達に感謝である。

今、外食産業で流行る店の最も大事な条件は何か? 業界本によると、うまい
店にこした事はないが、一番大事なのは、「おいしそう」に見える事らしい。
なるほど、確かに大しておいしくもないのに流行ってる店ってあるよね。

そういう視点から見ると、この店は合格だ。でも、次回、自腹を払ってでも食
べに来たいと思わないのは何故だろう?

料理業界の事は何もよくわからないのに、文句を書き連ねるのは気が引けるが、
同じ何かを創り出す事を生業としている立場から言わせてもらえば、もっとこ
の店のこだわりというか、匂いが欲しいなーと思うのだ。

その辺、一般のお客さんだってそろそろ分かってきてるんじゃないかな? お
食事料金というよりは、お洒落なカフェでのんびり休日を楽しむ自分の演出料
を支払ってる気にさせるお店も結構あるけど、私はどちらかというと、本当に
「おいしい!」と思える感動にお金を払いたい。貧乏人はそんなチャラい事に
お金を払う余裕なんてないんだよ!

家に帰って、先ほどのメモを取り出し、受付、座席の案内、お絞りの出し方、
オーダーのとり方等、細かく分類された100項目もあるチェックシートに書き
込んで採点を下す。

今回は今までで、最低だった。でも、時給の安いアルバイトに極上のプロのサ
ービスを求めるのも可哀想だ。不景気なのは分かってるけど、お金に流されて
プロフェッショナルを育てる土壌が少なくなっているのは、とっても残念だ。

しかし、私は冷酷な覆面調査員。私情は禁物よ。今回は事細かに私が感じた不
愉快だった点をつらつらと書き出してやった。これが、結構快感なのよねー。
出来上がりを担当者に渡すと、辛口すぎて先方に渡すのが怖いとビビっていた
が、何とこのレポートが先方の社長さんに好評で、今チェーン内で回覧されて
いるらしい。

そして、このレポートを読んだ別の店舗から又、調査依頼が入った。
次回は焼き鳥屋だ。
フッ、又あたしに調査されたいのはどいつだい?

【北川かりん】
●TASU ART WORK
http://www.h3.dion.ne.jp/~tasu/

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■ライフスライス研究所
オリジナルデジカメ開発奮闘記(2003年9月5日金曜日)
第18回「バリアフリーデザイン一考」

ユビキタスマン
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グッドデザイン候補商品を前に目が止まったのがバリアフリーデザインです。
バリアフリーデザインの本場(?)である医療用品や福祉用品は、すべての製
品がバリアフリーであるのは当然としても、なにげない家庭用品に注目すべき
ジャンルがありました。

それは「シャンプーの容器」の一群でした。

泡で目をつぶっている状態や、視力の弱い人でも判別しやすいようにこれらの
容器に突起がついていることはよく知られたことですが、ここではポンプ式の
ボトルからいかに簡単に手にとるか? という機能に対してさまざまなアプロ
ーチが見られました。ボトルの容器の上に乾電池式の電動ポンプをつけて押す
力を軽減させようという商品。防水仕様のせいか、プラスドライバーが必要な
電池の交換フタが面倒だな? と見ていると、その横にはさらに優れた商品が
ありました。

電池を使わずに、通常の半分の力でシャンプーが出せる製品。それは発想の転
換をしている製品でした。ボトルの上にやわらかいゴムでちょうどせっけん皿
くらいの大きさの受け皿がついています。その受け皿から水洗便所の水が出る
ところのように曲がったパイプが出ているのです。このやわらかいお皿の部分
に手の「甲」を乗せて下に少しだけ力を入れると手の「平」にシャンプーが出
てくるというわけです。

この製品がすぐれているのは両手を使うことを片手でできるようにしていると
いうバリアフリーの発想と、差し出した手にそのままシャンプーを出すという
動作的な自然さを、動きのデザインとして製品内に取り込んでいることにあり
ます。

自分が作るカメラも、こういった自然だけども「!」を感じさせる製品にした
いと思いました。(続く)

ライフスライスブランドカメラ発売まであと182日!
ユビキタスマン(川井拓也) jp_kawai@lifeslice.net
http://www.lifeslice.net/

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■展覧会案内
フランスコミック・アート展 誰も知らないバンド・デシネの世界
http://www.biwa.ne.jp/~sg-kinbi/exhibition/exhibition_next.html
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会期:9月6日(土)~10月13日(月)9:30~17:00
休館日:月曜日休館、9/15日、10/13は開館、9/16は休館
会場:滋賀県立近代美術館(大津市瀬田南大萱町1740-1 TEL.077-543-2111)
入場料:一般900円、高大生650円、小中生450円
内容:日本、アメリカに勝るとも劣らないコミック大国フランスでは、コミッ
クは「第9番目の芸術」と呼ばれ、独自の進化をとげているそうだ。知られざ
るフランスコミック「バンド・デシネ」略して「B.D.(ベデ)」の全貌と、そ
の芸術的な世界を紹介する、公立美術館としては初の試み。

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■編集後記(9/5)
・昨日の朝日夕刊の広告で、浦沢直樹、手塚治虫という大きな文字が。さらに
「21世紀の“鉄腕アトム”明日降臨!」とある。「ビッグコミックオリジナル」
の浦沢直樹新連載「PLUTO」の広告である。今日の朝早く、セブンイレブンに
走った。マンガ雑誌を買うのは久しぶりだ。ロボットが人間と共存する時代、
ロボット法擁護団体の幹部が殺害され、また林野庁所属ロボットがばらばらに
破壊される事件が起きる。奇怪なことに、それぞれが頭部に角を模したオブジ
ェがセットされている。その犯人を追う、ユーロポールの特別捜査官ゲジヒト
という不機嫌な顔をした男が主役らしい(いや狂言回しか)。二つの事件の犯
人はロボット以外に考えられない。8年前、人間を殺害するロボットが出現し
た。その再来か。ゲジヒトは言う。「ロボットだろうと、人間だろうと、そい
つには悪魔がやどっています」ここで第一回は終わり。手塚治虫の鉄腕アトム
「地上最大のロボット」のキャラクター、頭部に角があるプルートウが悪魔と
して登場するのだろうか。手塚治虫のキャラクターがこういう発展形で現れる
とはおもしろい。それで、浦沢直樹、手塚治虫が並んでクレジットされている
わけか。ゲジヒトは実はロボットである。しかし冒頭では普通の家庭生活を営
む人間のように描かれていて、違和感がある。なにか意味があるのだろう。同
時発売された「21世紀少年14」ももちろん買った。早く読みたい。 (柴田)

・仕事でぴりぴりしている時に、母親から電話がかかってきた。「西の空の飛
行機雲がきれいよ~。夕焼けで赤く染まっているの。早く見ないと消えるよ。」
当然見に行きましたとも。三重の虹って見たことある? 二重プラス一とか。
うちの母親は、そういうのを見つけては教えてくれる。そういうのが当たり前
だと思って育っていたから、何年か前、ある会社の社長さんと歩いている時に、
月がきれいですね、と言ったらびっくりされた。もう何年も月を見ていないと
いっていた。                      (hammer.mule)

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デスク     濱村和恵 <mailto:zacke@days-i.com >
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アシスト    島田敬子 <mailto:keiko@days-i.com >
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