[1452] ヨルダンからバグダッドへ

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1452    2004/01/26.Mon発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 20060部
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     <赤ジャケットにテンガロンは街では一番目立っている>

■KNNエンパワーメントコラム
 ヨルダンからバグダッドへ
 神田敏晶

■ライフスライス研究所
 オリジナルデジカメ開発奮闘記(2004年1月26日月曜日)
 第68回「ベンチャーフェアの集客効果は抜群」
 ユビキタスマン

■デジクリトーク
 ミーハーなローマでの映画作りの裏話 3
 監督ルカの自然体
 midori



■KNNエンパワーメントコラム
ヨルダンからバグダッドへ

神田敏晶
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KNN神田です。

一体、今日は何曜日かがわからないような生活が続いている。
スケジュールはあってないようなもの。
インドのムンバイで3日並んでも、ヨルダン行きのチケットがとれず、いった
ん、タイのバンコクまでもどり、カオサン通りの安宿街でチケットを取ると、
翌日に簡単に取れてしまい。安宿をキャンセルして、ヨルダンに到着!

ヨルダンにつくやいなや、とても寒くて、半ズボンにサンダル履きをさっそく
着替える。いきなりカバンを持ち、あれやこれやと世話をやいてくれるが、チ
ップのおねだり攻撃が始まった。アラブ圏にはいると、これまでの東南アジア
の様相と雰囲気がガラリと変わる。

乗り合いバスでアンマン市街地へと向かう。バスの中では、コーラン(お経の
ようなもの)の歌が鳴り響き、早くもi-podでコーランの歌を阻止する。i-pod
は旅の強力なツールだ。

やはりいたイラク入りする日本人のプレスと合流して、彼らの予約している安
宿へ向かう。途中で両替すると一万円がたったの52ヨルダンディナールに化け
てしまう。すごくさみしい感じだ。しかし、物価は安いので、ちょっと安心。
手袋と帽子とセーターを買って、8ディナール。

ホムスというチックピースという豆のペーストとナンに似たピーターブレッド、
そしてシシカバブとコーラで約2ディナール。インドに比べると高いが、食費
も安い。モスリム(イスラム圏)であるが、酒を飲める場所は密かにいっぱい
存在している。

頭に独特のかぶりものをしながら、水パイプを吸い、かくれてビールを飲んで
いる彼らの宗教観はなんなんだろう? 当然、女性は旅行者しかいない。

ヨルダンでは、外を歩く女性は、ほとんど、布で頭を隠している。とても神秘
的である。外のレストランでは、ひげもじゃの男同士が大声でいつもたむろっ
ている。女性はその場にはほとんどいない。

このヨルダンでは、女性は家にいて家庭を守るのが最大の仕事らしく、外を歩
くときには、肌や顔をできるだけ露出しないそうだ。しかし、市場にはエロチ
ックな女性用の下着がたくさん販売されている。しかるに、外で鬱積している
ことが、家では相当にいやらしいことをしている国民性なのかもしれない。

街角では、ニセモノDVDが1ディナールで販売される約175円。東南アジアとほ
ぼいっしょだ。「タイムライン」と「キルビル」と「スクールオブロック」を
お土産に買ってみた。まともなのは「キルビル」のみで「タイムライン」は映
画館で撮影したもので、前の男の頭が時々、動く(笑)。不思議なもので、映
画館で見ているような気になる。ノイズもひどい。「スクールオブロック」は
2枚組みのCD-ROMに焼かれたもので、コマ落ちもひどくとてもみれたものでは
なかった。

ヨルダンで一泊すると、夜にプライベートリムジンでバグダッド行きがチャー
ターできた。80ディナール。3人で割ると1000キロ近くある片道なのにとても
安い。バスだと24時間だが、リムジンでいくと15時間くらいだそうだ。

さて、22時になった。出発だ。アラビア語でなんだかドライバーとホテルのエ
ージェントがいいあらそっている。なんだか80ディナールを前金でないといけ
ないそうだ。そんな理不尽な話はない。結局、いろいろと討議をかさね、半額
前金、半額はバグダッド到着後ということになった。いつも中東アラブ圏では
このような交渉ごとにまきこまれるので面倒くさい。

プロレスラーのタイガージェットシンを太らせたドライバーとプレス3人を乗
せたリムジンという名の単なるシボレーは、アンマンをスタートしたのは11時
ちかくだった。1時間もしないうちに、ジェットシンはパン屋にのりつけ、膨
大な数のピタブレッドを購入し、後ろのトランクにつみこむ。これはきっとイ
ラクにはパンがないものと思い、僕もパンを買いこんだ。1ディナールで山ほ
どピタブレッドは購入できた。

夜中の2時にはヨルダンの国境に到着した。パスポートを持って、並ぶ。夜中
でもかなりたくさんの人が並んでいる。税金を払って出国。いよいよここから
はイラクだ。イラクに入国するとここでもパスポートを見せる。官僚的で車か
らオフィスにいって見せてもどってくるだけだ。

荷物のチェックもなにもない。テロリストは簡単に武器をヨルダンからイラク
に持ち込むことができる。途中でアメリカ兵が2人で護衛している。手には自
動小銃。さすがにアメリカのアーミーはカッコいい。ふと、小さな頃から、タ
ミヤの模型やGIジョー、コンバットなどで、アメリカの軍服がかっこいいと刷
り込まれている自分を理解した。

ジェットシンは、1時間に一度休憩するが、道路を平均150キロ、最高速は210
キロほど出している。ドイツのアウトバーンよりもすごい。さすが石油の国で
アスファルトは無尽蔵にある。直線の距離が地平線のまだ向こうにまで伸びる。
ジェットシンが居眠り運転しないことを祈る。なんどか路肩から外れて、砂漠
につっこみそうになるが、ジェットシンは時速200キロでイラクのアウトバー
ンをぶっ飛ばす。

朝の7時頃になると、バグダッドの西のパルージャに入った。アメリカ兵の戦
車が道を封鎖。ヨルダンからの車は、道なき道を迂回して新たなバグダッドへ
の道を作る。このアラブの精神はすごすぎだった。普通、通行止めであればそ
こでおとなしく待っている日本人のボクにはとても彼らの行動は新鮮であった。

またしばらく行くと、戦車で封鎖。また新しい道を砂漠に作る。まるで「アラ
ビアのロレンス」の気分だ。アメリカ兵に取材しようとすると、ビデオは厳禁
で撮るなと忠告される。同盟国なのに冷たい対応。

10時になるとバグダッドに到着。黒焦げになった家や砲弾で爆破されたビルを
探すが、ほとんどどこにもなし。ごく一部攻撃をされた地区をみることができ
るが、ほとんどが普通の状況に見える。インドから来たせいか、インドのスラ
ムのほうがよほどひどい状況だ。

11時、テレビの報道で有名なパレスティナホテルの前に到着する。残りの半額
をジェットシンに払い、フセイン大統領の銅像が引き倒された公園前で、よう
やくバグダッドにきたことを確信する。

とりあえず、今日からの安宿さがしだ。3人で手分けして、安宿を探す。「新
潮」のライターの上原さんは、一ヶ月以上もこちらで滞在するそうなので真剣
だ。タイから来た渡邊さんは電話があるところを、ボクはネットカフェの近所
とそれぞれが宿をさがす。

とりあえず、一泊US30ドルのホテルをみつけ、そこに荷物を放り込んだ。バグ
ダッドは電気の供給が安定しておらず、ホテルの前では強力な自家発電のジェ
ネレーターがとてつもなく大きな音をたてており、フロントで大声で交渉し部
屋に入った。

とりあえず、お湯は5分くらい待つとでたので、シャワーをあびて、真ん中が
へたんだベッドでも体を横にして休息をとるとあっという間に夕方である。あ
わてて赤ジャケットに身をつつみ取材活動開始。

赤ジャケットにテンガロンは街では一番目立っているらしく、誰もがしゃべり
かけてくる。アラビア語はわからない…。しかし、取材するにはとても便利だ。

街角のポルノ映画館は大人気のようだ。イスラム圏でもやはり男は男で、抑制
されているだけその反発は大きい。このインターネットカフェ(1時間2USドル)
でもブックマークには、みみず文字(アラビアの文字)のブックマークが並ん
でいる。

バグダッドに到着して数十時間たったが、バグダッドでは、何もない戦後の一
日がはじまっていた。人道支援などの意味は、このバグダッドにはないように
感じる。インタビューした中では、戦争前の経済制裁のほうが物資は大変だっ
たようだ。現在は、アメリカ兵がいるためにさらに物資が入りやすくなったと
いう。

バグダッドの街には、バリケードにかこまれたパレスティナホテルに世界のメ
ディアが暇そうに待機しているが、米国兵のいるグリーン地帯や刑務所などの
ほうにいったほうがエキサイティングなようだ。

もちろん、サモアには自衛隊がきているので、一斉にそちらに300名近い取材
陣が動いているという。サモアまで南下するかどうか、ちょっと今は興味がう
せてきた。このバグダッドにいても何もエキサイティングなことはないし、サ
モアの状況もほぼ読めてきた。自衛隊が来ても何も変わらないだろう。日本が
協力したという証拠づくりのためようにしか思えない。

少なくとも、バグダッドには、物資よりも、エンターテインメント用のDVDプ
レイヤーをたくさんあげたほうが支援になるんではないだろうか?
日本で報道されていることと現場の日常のギャップほど面白いものはない。
インターネットでしか日本の状況はわからないが、日本のテレビでの自衛隊派
兵はどのように報道しているのか興味ぶかい…。

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■ライフスライス研究所
オリジナルデジカメ開発奮闘記(2004年1月26日月曜日)
第68回「ベンチャーフェアの集客効果は抜群」

ユビキタスマン
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ニュースなどによって初めて知ったのですが、ベンチャーフェアは600社の出
展応募があり、そのうちの250社が選ばれて出展しているとのこと。出展料無
料ということもあり、殺到するのでしょうね。

実際には、ブース出展料は無料。ただし、電気工事代などがかかりますので、
3万から4万くらいはかかります。うちの場合は展示台ひとつとスポットライト
ひとつ。展示物はすべてワゴンタクシーで搬入しました。

展示はプラズマやプロジェクターを持ち込んでいるところから大きなパネルま
でさまざま。色の配分やポスターのデザインで、目立ち度が左右されます。

さらに人垣の心理とも言えるのが、ひとり足を止めるとどんどんと人が集まっ
てくるという現象。ガマの油売りよろしく、「こちらでご紹介しますのは、カ
メラ付携帯やデジカメに飽き足らない人にご紹介する新しいデジカメ付の日記
キットです! 私の首にかかっているカメラ、これは特別なカメラで……」と
やりはじめるとすぐに人垣ができるわけです。これを1日50回くらいやってい
ると集まってきた人から出る質問や、目線の傾向などがつかめてきます。それ
によって2日目のブースのレイアウトや展示物の再考が行われます。

今回のブース出展の目的は、「ライフスライス」の販売代理店募集と一般予約
のふたつです。来場する人は全員業界の種別により色分けされたネックストラ
ップをつけていますから、黄色い卸し関係、紫の投資家、など遠目でも分かり
ます。説明しながら余裕がでてくると足を止めてくれた人を見渡しながら、黄
色と紫の人に目配せをしながら説明していくなどもできるようになってきまし
た。しかし、こういう下心が出るとやはり説明がふらついて良くありません。

トライ&エラーを繰り返し、一番いい方法論を見つけました。それは、聞いて
いる人の中で一番「楽しそうな顔をしている人」に向けて説明を続けること。
その人ひとりと会話しているように話すことですで、回りの人も引き込まれて
くるのです。

つまり、その人を個人的に口説いているつもりで話すことが重要です。その楽
しげな顔をした人が左を向けば、「そう、この左のポスターは世界中で」と話
題を展開し、右を向けば「ですから、ご覧のようにお子さんからお年寄りまで
簡単に……」と対応させます。これはちょうど優れたMLの注目される投稿者が、
ある特定の個人と話をしているように見せながら、常に登録者全体を意識して
有益な情報を共有するスタイルに似ています。

私たちのブースでは1日に50人くらいの人と詳細な情報を交換して名刺を頂戴
しました。販売契約してもいいという方から、うちのお店に置いてもいいとい
う方、パッケージなら相談してという方までさまざまな出会いがありました。
終了後にメンバーはフェミレスに集まり、出会った人の名刺を並べて報告会。
今週は、ここで出会った人達と商談です。

※ベンチャーフェア出展者リスト
http://www.vfj2004.com/vfj2004_10.php

ライフスライスブランドカメラ発売まであと40日!

ユビキタスマン(川井拓也)jp_kawai@lifeslice.net
http://www.lifeslice.net

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■デジクリトーク
ミーハーなローマでの映画作りの裏話 3
監督ルカの自然体

midori
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前回までのお話、覚えていらっしゃるでしょうか。
ローマで映画作りに関わるようになった話です。
あの「寅さん」イタリアバージョンを作る、という大計画です。

イタリア人監督、イタリア人プロデューサー、日本人プロデューサーと日本へ
行くことになり、初めてのビジネスクラスではしゃいだ…というのが前回の話
でした。

●山田洋次監督との会見

今回の日本行きは、監督のルカに「日本」と「寅さん」を知ってもらうため、
というのが大きな目的のようだった。それとイタリア人プロデューサーと、監
督を日本の関係者に顔合わせをさせ、企画が進んでいるよ! と披露する事。

だから今回の主人公はルカだ。

ルカは飛行機が成田に着くと、「駄目だと思うけど…」と自分の携帯をつけて
みた。やっぱり圏外で当然使えるわけがない。まじめな顔にふっと笑みを浮か
べる。ルカ、日本との初接触。黒いコートを羽織って、ルカ、日本へ降り立つ。

空港へは熊田さん一行のお迎えと、私の母が来ていた。母は昔気質に最敬礼で
深々と頭を下げて熊田さんに挨拶をする。娘がお世話になっている人へのとい
うことと、熊田さんは亡き夫の大学時代の同窓生で、そんな縁が母をちょこっ
と感傷的にさせるようだ。

久々に日本へ帰ると感じる、町のチマチマした感じを全身に受けつつ、実家へ。

翌日、山田洋次監督との会見へ行った。
http://epa.hp.infoseek.co.jp/meehaa/image/tora2.jpg

「たそがれ清兵衛」製作発表記者会見の前に時間を取ってもらった。記者会見
をするホテルの別室で、だ円形のテーブルを囲んで山田監督とルカが握手をす
る。「『寅さん』はイタリアにも通じる話だと思う」と言うルカに「楽しみに
しています」と山田監督。

簡単に食事を、となった。ルカは日本へ何度も来ているフランチェスコのまね
をしてカレーを頼んだ。不安なのか、好奇心があるのかよく分からない。ほと
んどコメントを漏らさない。イタリア人には珍しく表情にもあまり変化がなく
て、その心情を読み取るのが難しい。私はサンドイッチ。通訳をしながら何か
食べる時は、すばやく噛んで飲み込めるものがいい。

黒服に蝶ネクタイをした給仕が、しゃちほこばって注文を聞き、しゃちほこば
って運んでくる。ぎりぎりと奥歯を噛み締めているようで、こちらも思わず力
が入る。

記者会見が始まるので、急いで去る山田監督と握手を交わして私達はゆっくり
と会場へ行く。

入り口には大きなポスターがあり、立派な装丁の冊子をもらう。大きな部屋に
びっしりと記者、関係者が集まっている。部屋の後方には長い表彰台のような
ものがあり、三脚の上のビデオカメラがビシーッと並んで壮観。

ちょっとだけ、「『寅さん』イタリア版製作発表記者会見」のイメージを重ね
てみる。うふっ。まぁ、イタリアではやらないだろうな。

正面のテーブルの真ん中に山田洋次監督、両脇に主要な俳優が並ぶ。俳優は撮
影用の衣装カツラをつけている。いやが上にも雰囲気がもりあがりますな。若
い主演男優と女優の仲を詮索する質問が出る。かなりしつこい。

私たちはビデオカメラ群に近い後方に陣取る。記者会見の内容を知りたがるル
カにいちいち(できるだけ)通訳する。でも、遠慮して「もっと声を小さくし
て…」と恥ずかしがる。どう説明しようかに集中すると音量が上がってしまう
らしい。

●ルカと日本

別の日には松竹の視聴室へ行って、寅さん映画を一本見た。日本的な表現を全
部訳すのは難しい。しかもほぼ同時通訳で。でもルカは全部知りたがった。
NHKへハイビジョンカメラとそのデモを見に行き、葛飾の寅さん博物館へも行
った。
http://epa.hp.infoseek.co.jp/meehaa/image/tora1.jpg

ほんとにコメントしない人だ。興味がないわけではない。逆に興味津々で見る
ものすべて吸収しようとしている。ただ、ルカと「ニッポン」の間になにか壁
があるように見受けられた。初めてだから?

ルカの希望で刀剣博物館へ行った。どこにあるか知らなかったので、見当をつ
けて本屋へ入り、東京案内の本をめくって見つけた。住所と電話番号を手帳に
書き写し、その本は棚に戻した。情報万引き! このまま本屋を出るのは気が
引けたので、当たりを見回し、あっ!と思った本を購入した。「千と千尋」の
ストーリーボードだ。

刀剣博物館は新宿のはずれの小さなビルの中にあった。刀剣の売買をする会社
らしい。最上階が博物館になっている。鎌倉、江戸時代のものを中心に刀がガ
ラスケースに入っている。この博物館の中で、ルカは、いつものイタリア人に
しては乏しい表情ながら、その熱を感じさせた。見るものに自分の意識を投じ
ている感じ。

隅田川下りをしたときも、浅草のお寺へ行ったときも、興味はあるようだが、
そこに「見ておかなくちゃ!」という「義務」のようなものがあったようだ。

渋谷のカフェで数回に渡ってカップチーノとティーラミスーを口にした。最初
はこわごわと。でも本場と変わらぬ味がして、安心して、お気に入りのカフェ
になった。そして、このカプチーノとティーラミスーの前でも、刀剣に接した
ときのように、壁がとれたのだった。

もう一人のイタリア人フランチェスコは、というと、まるで隣町にきたように
すっかりリラックスしていた(電車の中で居眠りする姿は20年くらいサラリー
マンをやってるベテランの日本人のようだった)。もう何回も来ているから…
というのもあるけれど、フランチェスコの日本の受け入れ方は自然だった。

「フジヤマ、ゲイシャ」といった東洋の珍奇な習慣への興味でなく、「ゼン、
瞑想」への東洋の神秘への傾斜でもない。刺身をローマの自宅で自分で用意す
るほど、食事をはじめ日本の生活をよく知っている。それを吹聴するでもなく、
バリエーションが増えたくらいの、実に自然な受け入れ方。どこへ行ってもそ
うなんだろうな。

こうして1週間が過ぎ(私は合間に友人に会ったり、母の手料理を食べたりし
て忙しくも充実した故郷の日々を過ごした)、またビジネスクラスでローマへ
帰った。熊田さんは日本へ残り、東京―ローマ日航直行便(アリタリアとの提
携便でこの飛行機はアリタリアだった)のビジネスクラスはルカとフランチェ
スコと私の三人だけだった。

ビジネスクラス付きのスチュワーデス(スッチーっていうらしいですね)の一
人は結婚するまで私の自宅のそばに住んでいたとかで話が弾み、あっという間
(?)の12時間だった。

フューミチーノ空港に着くと、ルカはすぐに携帯をつけた。

これは2002年1月の話。
寅さんイタリアバージョンの冒険はまだまだ続くのだった…

【mdori】jamadait@inwind.it

姑(82歳)が転んで手首を骨折した。家の中で転んだのだ(家の中の事故って
多いらしい)。石膏でひじの上まで固め、自由が利かずにイライラして連れ合
いに当たる。連れ合いは、食事のしたくも掃除もできるし、辛抱強く姑の世話
(トイレに連れて行ってパンツをさげるとか)もする。私も手伝いにいくけど、
あまり色々やらせてもらえない。
「彼」が姑を盗んで40年。愛情表現のかわりに言葉で互いに傷つけあって40年。
私に期待される役目は二人の舞台の観客になること、「羅生門」のように食い
違う「事実」の告白を拝聴すること。


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■編集後記(1/26)
・土曜日に秋葉原に行ってみた。あの、ピンクに萌える聖地・アキバだ。人が
多いところは嫌いなので、本当はあまり行きたくなかったが、コラムのネタ探
しである。アキバは本当にアニメやエロゲー、同人誌などのマニアに占領され
たのだろうか、それを確認するのが目的だ。結果としては、どうやらそれは本
当らしかった。入るのをためらうようなショップにも行ってみたが、偏見を承
知で言えば、3D(ナマ身)の女の子より2Dのキャラに熱中するタイプの男ばか
りがつめかけて不気味な熱気があった。そのおちゃらけレポートは、近くAll
About「CG美少女」で写真入りで掲載する。よかったこと、ひとつ。路上禁煙
条例はけっこうなことだ。繁華街はみんなこうなればいい。    (柴田)
http://allabout.co.jp/computer/virtualbeauty/

●読者のPOSとさんからメール。「TVで見たんですが、おしり歩きがききます
よ。大腰筋を鍛えると腰痛にいいです」とのこと。アドレスまで紹介してくだ
さり、ありがとうございます! 早速、無理しない程度にやってます。鍛錬し
ます~! POSとさんは肩こりがひどいそう。肩こりの場合は、以前紹介した
「両手を耳の横にそろえて(バンザイして)床をごろごろ転がる」や水泳、水
泳ごっこ(クロールやバタフライの手真似)がいいですよん。肩を揉む時も、
肩だけでなく、首の付け根(後頭部、頭髪との境目)や首、背中、腕まで揉む
と楽になります。目の疲れから来る場合もあるので目の周りやこめかみもプッ
シュ。血行をよくするために入浴も長めにすると良いそうです。お互い健康生
活を送ってタフに行きましょうぞ!            (hammer.mule)
http://homepage3.nifty.com/tewaza/syorei_houkoku/youtuutaisaku.htm

<応募受付中のプレゼント>
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編集長     柴田忠男 <mailto:shibata@dgcr.com >
デスク     濱村和恵 <mailto:zacke@days-i.com >
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