[1597] 東京拘置所獄中記-3

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1597    2004/09/13.Mon.14:00発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 18328部
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■KNNエンパワーメントコラム 
 東京拘置所獄中記-3
 神田敏晶
 
■電網悠語:Ridual開発記編(64)
 RIAコンソーシアム
 三井英樹

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 アニメ作画のしくみ~キャラに命を~



■KNNエンパワーメントコラム 
東京拘置所獄中記-3

神田敏晶
https://bn.dgcr.com/archives/20040913110100.html
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KNN神田です。

読者の皆様、この獄中記ですが、誤解がないようにお伝えしますが、すでにボ
クは出所しておりますので、ご心配なく。面会にいらしてもいませんのでご注
意ください。お気持ちだけいただいておきます。ありがとうございます。

堀の中は、タオルと歯ブラシしかないので、すべて記憶で書いております。ま
た、この獄中記と共に、セグウェイ事件の全貌が先週の「週刊アスキー(毎週
火曜日発売)」から4週連続で連載されていますので、そちらでは写真とイラ
ストつきでお楽しみください! デジクリの方が展開は早いので、メルマガと
週刊誌で「獄中記」をどうぞ!

●ここは北京の安ホテルと思えばいいんだ

さてさて、今週の「東京拘置所獄中記-3」は、二日目の最初の朝のお話です。
なんだか「冬のソナタ」ならぬ、「塀のカナタ」にしてもよかったかな?

ボクはふだんはベッドで寝ている。畳の上で寝るのは旅行の時くらいだ。冷房
完備の東京拘置所の独房は、畳のいい香りにつつまれて敷き布団とシーツと上
掛布団で眠りに包まれていた。

朝は7時にラジオで起床の挨拶が流れるという。その5分後に着替えて座り、刑
務官の点呼に応じるというところまでは前日に、ケーシー高峰な「先生」に教
わった。独房だったので、いびきや歯ぎしりで文句を言われることもなく、旅
館に泊まっているかのような寝心地だった。さらに畳が、低反発する心地よい
寝心地を楽しんでいたが、突然その静寂は打ち破られた。
「起きろ! 起きろ! 200番! カンダトシアキ!」とドンドンとドアをた
たく。いきなり温泉旅館に無礼者がやってきたような気分だ…。超低血圧でテ
ンションが低い朝のボクの反応は、刑務官を満足させなかったようだ。

「いつまで寝てるんだ~! ラジオで起きろ~!」とドヤされる。前と前右、
前左の独房の人も興味本位で覗き込んでいる。どうやらボク前の独房は三部屋
とも外国人のようだ。

突然、刑務官が、「すまんすまん、ラジオのスイッチを入れてなかったかぁ…」
とボクに謝っているようだ。頭が徐々に動きだしてきたが、まだ意識が鈍い…。
いつもなら、この鈍さを楽しみながら、タリーズコーヒーのダッチマンズブレ
ンドを6、ミルクを4のラテが、ボクを睡眠界から人間界へ誘ってくれるはずだ
った。

しかし、ココではそんなブツはない。「今、点呼なので、名前と番号をいって」
と刑務官にバツが悪そうに言われた。「200番 神田敏晶です!」といきおい
よく言ったつもりだが、声が裏返ってしまって、ちょっとこちらもバツが悪か
った。

「すぐに朝飯がくるから、ふとんをノートに書いてあるようにたたんで、小机
を出して待っていなさい」といって隣の部屋の点呼を取った。「201番 アダブ
カダブラ(?)…」「202番 サイモン○△□×□ 」どうやらこの房は、外国
人だらけのようだった。

「"いよいよ朝ご飯だ! "」
なぜかコーヒーが飲めなく、覚醒していなかったが、TVも何もなく、そしてす
ることがない。ほんの数分の"す"が耐えられないほどの暇な時間だ。朝ご飯を
食べたいのではなく、部屋に変化が訪れることが待ち遠しかった。

ガラガラと数人が食事を運んでくる。本当に旅館にいる気分だ。ホテルでも朝
食は、バイキングという名の自分で取りに行かされる労働を強いられるのに、
ここではデリバリーのまかない付きだ。ちょっと、愛想とサービス精神に欠如
しているが、北京のサービスだと思えば許せる。そうだ。ここは北京の安ホテ
ルと思えばいいんだ。

独房には、外から鍵が掛けられた引き戸があり、その横にB4サイズほどの窓と
A5サイズの物を置けるスペースがある。どうやって受け取るのかわからなかっ
たが、ドアにかけられた「新入」の文字を見てかどうかはわからないが、給食
を届ける53番のやさしそうな先輩(年は20代前半かな)が教えてくれた。

「最初にご飯用の食器をお願いします」「あっはいはい」といって黄金色のア
ルマイトの食器を差し出した。テキパキと受け取って、ご飯をよそってくれて
受け取る。「あちち!」。まさかこんなホカホカとは思わなかったのでビック
リした。「次はおかず用のまるい皿をお願いします」「はい」。みそ汁がこれ
でもかというほど、なみなみと注がれる。

さらに優しい先輩は、具も追加してくれた。さらに、納豆とのりが最後に登場
してきた。そして、もう一皿と合図されて期待して出すと、それには、醤油が
たっぷりと注がれただけだった。ちょっとがっかり…。

しかしである。これはヘルシーの玄米ご飯定食で「ザ・めし家」や「大戸屋」
あたりでは、390円はするだろう。卵があればさらによかったのだが…。納豆
パックにはカラシ付きで醤油とまぜて、玄米ご飯に海苔をのせて食べる…。
「う、まいう~!」と古いギャグが出そうなくらい美味かった。難をいえば醤
油がちょっと合成っぽかったが、これを100%大豆にすれば、旅館としても立
派になりたつかもしれないと思った。

部屋に時計がないので時間はわからないが、7時10分が朝食なので、7時30分く
らいだろう。また、することがなくなってしまった。そうだ、食事はもっとゆ
っくりと食べないと、することがなくなってしまうことに気づいた。だから、
食器は丁寧にゆっくりとゆっくりと洗った。

少し便意を催したが、外をバタバタ刑務官がうろついているのと、ついたてで
局部は隠されているが、胸から上がまる見えなので、あとにすることにした。
やはり小の時もなぜか、外の気配を感じながら、人気がない時に用を足すよう
になっていた。自分が、なぜか気の弱い小動物になったような気がする。

自分のアイデンディティーがあるものが、タオルと歯ブラシだけなのはつらい。
今まで自分を演出するモノにあふれて生活するだけに。歯ブラシひとつになっ
た時に、どれだけ自分を維持できるかという事態は初めての経験であった。し
かも自分の歯磨きは預けて、部屋にある歯磨き粉で磨くのだ。味がなんだか妙
だが、なかなか自然な磨き心地だ。

今は、8時頃だろうが、労役は、まだかとずっと待ち続ける。本当に何もする
ことがないので、1分が30分くらいに感じる。ノートもペンもないので、この
中の出来事をどれだけ記憶にとどめることができるのかと不安に感じる。

すると、しばらくしてから、ラジオ体操の時間だという。第一だ!。運動する
つもりがなかったので、ねそべってリズムだけを足で刻む。それも退屈なので、
ウラで拍子をシンコペしたりしたりするが、あまりそれ向きの曲ではない。仕
方なしに体操に参加しようとしたら、突然終わってしまった。あらら、ついて
ない。

その後、ラジオというよりも、拘置所内放送からNHKのニュースが流れる。ア
テネオリンピックの結果が伝わってくる。「谷選手、金!」でアナウンサーも
嬉しそう! しかし、なんで俺はこんなところで金メダルのニュースを聞いて
いるんだろうと思った。「たかがセグウェイ、されどセグウェイ byかんだと
しあき」みたいな気分だ。

ラジオは次に音楽となってきた。いくつか流れたが、アニマルズの「朝日のあ
たる家」がお気に入りのチューンだ。独房の窓を眺めると、さらに外にくもり
ガラスサッシがあり、直接太陽は見えない。しかし、朝日を感じることができ
た。まるで、刑務所映画のオープニングのように、アニマルズのサウンドが心
にしみいる。

しばらくすると、新聞が回覧されてきた。何時かわからないが、15分後にブザ
ーを押して、次にまわすこと…といわれる。「15分ってどうやってはかればい
いんですか?」と、あわよくば時計を借りたい趣旨の質問をすると。「だいた
いで、いい」という。うーん。だいたいだなんて…。

読売新聞が回覧される理由が知りたいなあ。朝日や毎日や日経でなく、読売を
取らないといけない理由が拘置所にあれば、癒着かなとか、いつものように身
勝手な推理ゲームで楽しむ。

新聞があってよかった…。その後、ブザーを押して新聞を返した。また、暇な
時間がやってきた。返すのではなかったと少し後悔する。怒られてもいいので、
人にかまってほしいゾ!。

地獄のような退屈な時間を過ごすと、昼食の時間だという。とても食べきれな
いけど、やはり変化が部屋に訪れることがうれしかった。そういえば、美味し
かった朝食も量が多かったので、今度は少なめにしてみよう。

お昼ご飯が届いた。旅館ごっこもそろそろ飽きてきたゾ。「すいません、ご飯
は半分でいいです」というと、優しい先輩は、「規則で全員同じ量です。半分
はできません。残してください」と言われる。なんと残してもいいと、国営の
施設が税金でまかなっているとは思えない無駄を発見してしまった。普通、ご
飯は少なめにして、犯罪者には反省させるべきだと思うのだが…。拘置所にい
ると、絶対に太ってしまうぞ。栄養もバランスもばつぐんで…。

お味噌汁は朝と同じ味付けだが、ジャガイモと油アゲとタマネギとなんと三品
も入っている。自分で作るみそ汁でもこんなに三品もいれていないから嬉しい。
お昼はパスタ…というよりも、古い喫茶店の「ナポリタン」だ。うわー、嫌い
なケチャップたっぷり、アルデンテの反対の麺。しかもお決まりのグリーンピ
ース。…と思ったらもう一品。鶏肉のピカタのご登場である。すごい豪華!
お昼でメインが二品もあるではないか? ひなびた喫茶店では780円ランチバ

ューだ。夜はどんなフルコースディナーが登場するのか、あまり食べずに残し
てダイエットしておくことを決めた。

しかし、食後のあとにコーヒーがないのがとてもつらい。コーヒーがないだけ
で、これだけつらいので、タバコを吸う人はきっと死んでしまうだろう。夜に
なるとビールが飲みたくなりそうな自分が怖い。

次号へつづく…。

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■電網悠語:Ridual開発記編(64)
RIAコンソーシアム

三井英樹 / ※Ridual=XMLベースのWebサイト構築ツール
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ひょんなことからRIAコンソーシアム(RIAC)という団体に関わることになった。
RIAとは「Rich Internet Application」の頭文字。語源的には Macromedia 社
が提唱する、Flash中心の次世代Webアプリケーションの総称。そのMacromedia
とビジネス・アーキテクツとITフロンティアの三社が発起人になり、2003年末
に発足した。

NRIとRIACとの接点は、「中立」であろうとする点。圧倒的なシェアを持つ技
術であろうと、NRIは中立性を保つことを基本としている。コンサルティング
部門の歴史と政策提言などまで行なう企業スタンスの現れである。今回もRIA
関連製品企業との中立性を条件にRIAC発足時から幹事企業として加入した。

RIACの事実上の活動は、2004年4月からと言っても良く、公開セミナーと会員
企業間の勉強会を中心にしている。まだまだセミナー内容は Flash が多くは
あるが、「中立」への意識は強い。製品戦略上は接点を避けているようにさえ
見える、Biz/Browser や Curl にも同じ壇上で語ってもらっている。Flash に
偏りがちなのは、不特定多数に見てもらえる環境と知名度の点から、ある程度
はしょうがない部分であるだろう。

メーカの思惑などから、市場には「リッチクライアント」や「スマートクライ
アント」等様々な言葉が既に存在してしまっているが、既存技術との本質的な
違いは、ユーザインターフェース(UI)の表現力の差だと言えると思う。RIACで
は、それを、UI部品的部分と、標準技術等との連携、開発プロセスの整理、と
いう三視点を三つの分科会で議論している。「HTMLを越えた次世代Web系開発
基盤」を何と呼ぼうと、これらの整理がよりよいUIアプリケーションの普及を
促進させるものになると信じ、最終的には何らかのガイドライン作成を目標と
している。

現時点の成果をまとめるのは難しいが、少なくとも会員企業間では自社内のみ
でやっていたのでは至れない技術交流が成立しつつあり、技術を見る目も肥え
てきた。例えば、前出の Biz/Browser は国産の VisualBasic ライクな開発環
境であり、Curl は MIT で生れた世界標準を強く意識した技術である。生れも
育ちも異なる技術の現時点の到達位置を、そのメーカ自らの語る言葉をベース
に比較すると、自力で調査してきた以上に色々と考えさせられる。

外国産だからというのが、日本語変換部分のサポート状況の言い訳にならない
ことも明白にされたし、頻繁に使われるだろう機能の開発手順や、情報提供の
質と量の差等興味深い発見が続いている。様々な状況やお家事情が重なって各
製品の「今」があるのだろうけれど、メーカを中心に見るのではなく、使う
我々を基点に肌身を通して比較ができる点は、今までにない場の提供であり、
成功点として数えられるだろう。



システムインテグレータ(SIer)が、アニメーションツールとして生れた Flash
にまで注目をしているのは、何故だろう。私見だが、既存のアプリケーション
の定義では、使われる現場からのニーズに応えられなくなっているためだ。

通信環境は、少し前よりも確実に良くなり続けている。しかし、利用者の感覚
は、そのスピード以上に早くなっている。数年前なら10秒待てたのが、今だと
5秒待たされてもイライラする。こうした即応性だけでなく、ユーザビリティ
に属する部分も、SIerや経営者の考えを越えて進んでいっている。不便な使い
勝手や、理不尽な(無意味な)入力強要システムへの嫌悪感は明らかに上がって
いる。我慢してはもらえないのだ。

上司や経営者がこれを使えといっても、現場が暗黙の拒否権を発動する時代に
なった。勿論、現場はたてつくように文句は言わない。しかし、数字がものを
言う。そのシステムを導入することで生産性が上がったかどうか。理が分かる
経営者には、その無言の叫びが数字を通して届いている。

HTMLは、そうした現場の査定にあいながら、既存のクライアントサーバ(C/S)
システムと比較された場合、明らかに嫌われてきた。余りに反応が遅いし、使
い勝手が悪いのだ。そもそもページ配信という概念自体が、時代とずれてきて
いるようにも思う。もてはやされるように導入されたHTMLシステムが、ここ数
年憂き目にあっているという記事が各種メディアで取上げられているけれど、
それは氷山の一角でしかない。

作ったものが使われない。これを、制作費は払ってもらえたので何とも思いま
せんと言える開発者はいない。居たとしたらどこかおかしい。喜んで使っても
らえることに汗を流してきた意味がある。

システムが、今まで思われてきた「システム」であり続けられるのか。何か別
の魅力を持つべきではないのか、何か今まで見過ごしてきた「価値」があるの
ではないか。焦り始めているのはまだまだ少数派だ。しかし確実に増えている。

価値の下落が始まったなら、打てる手立ては新たな付加価値をつけることだ。
そうした状況で、システムが今後「まとうべき衣」とは一体なんだろう。ある
人達は、標準技術やオープンソースと答え、ある人達は特定技術の世界制覇だ
と答え、ある人達は高性能化だと答える。そして、UIの洗練だと答える人達も
いて、その人達が、今RIAに注目している。



システム屋の Flash 等へのラブコールは、実は救済依頼をしているような状
況だ。もはや、DBやプログラム言語やフレームワークでは、システムを魅力的
にできないところまで行きついている分野が出てきている。そして確実にその
領域は広がっている。

エンジニアは声を上げている、誰かに助けて欲しいと。その声の先にデザイナ
やクリエイタと呼ばれる層がいる。しかし、HTML時代にエンジニアとデザイナ
は良好な関係構築を果たせなかったツケが回ってきている。お互いにどう話し
ていいのかさえ分からない。

実は、まだ詳細は書けないが、現在私は某Flashプロジェクトに関わっている。
サーバ連携の部分と、ユーザビリティを含めた演出の部分と、お互いに補完し
ながら新たな価値を生み出せる領域に入れたと感じる。エンジニア技術とデザ
イン技術は何ら矛盾することなく、エンドユーザのお役に立てることを、実証
できつつある(多分に自画自賛的だが)。関わっていて、格段にハラハラしクタ
クタになりつつも、それ以上にワクワクしている。

世間には、アニメーションが初心者、上級者ほどActionScript(エンジニア系)
という、漠然とした雰囲気がある。誰が言い始めたか知らないが、業務アプリ
を開発し出すとそれが間違いだとはっきりと気付く。担う役が違うのだ。

どんなに多くの魔法を詰め込んでも、そのランプをこすらなければ何も始まら
ない。どんなに魅力的な呼び鈴だろうが、ろくでもないお化けが出てくるので
あれば、その呼び鈴は使われることはない。便利な機能を満載した家には、そ
れに相応しく使い勝手も美しい玄関が必要だ。優秀なエンジニアリングには、
有能なデザインが寄り添っていて欲しい。



業界的に不足している職種がある。UIデザイナ。言葉として定着するのか不明
だが、「日経デザイン」等を中心に最近ハードウェア系で多少関心が高まって
いる、プロダクトデザインや、家電製品やケータイ等の操作性向上を担う職種。
私の周りには既に何人か存在して、今は彼らと話をする時間が一番楽しい。

TVリモコンの操作性で毎回ボヤく人や、電車の切符売り場で考え込んじゃう人、
留守番電話の設定が全然憶えられない方で、それを他人と理屈を伴った形でコ
ミュニケーションできるなら、多分誰でも素養がある。

活躍の場の中心は、インターネットというよりはイントラネット。対象ユーザ
は不特定多数ではなく、ある程度限定された有スキル者。人気がなければ消滅
するタイプよりは、ある期間は必ずある程度のユーザが使用することが保証さ
れる(ユーザは義務的に使わされる)。エンジニアとの折衝は、インターネット
よりも増加する傾向を持ち、使用者からのフィードバックは、求めるならば必
ずもらえる(義務として答えるユーザが割り当てられる)。姿の見えないユーザ
ではなく、名前まで知りうる人達の日々の仕事を、UIを使って「滑らか」にす
る仕事。但し、チャンスがあれば不特定多数のそれにもチャレンジできる。そ
して、そのチャンスは徐々に大きくなっている。

アニメーションや3Dだけがクリエイティブと呼ばれる時代が過去のものになる
かもしれない。業務アプリケーションの操作性の向上に携わる場面で、クリエ
イティブという言葉が使われる時代が来るかもしれない。

ゲームや映像の世界ほど注目は浴びないが、実は長い歴史を持ち、未だに改良
の進んでいる分野。今後は、メインフレームの無味乾燥した画面で情報処理を
やっていた人から、ケータイで親指だけで小説がかけてしまう世代までが使う
IT環境のデザイン領域が待っている。

書き連ねると苦労話の連続になってしまう。先駆者としての苦労は山ほどある。
が、実際に幸せにできる対象は全サラリーマンかもしれないという対象の広さ。
日常業務から「苦」を駆逐するという古くて新しい分野。知っているモノ全て
を投入し尽くせる奥の深さ。...そんな職種が生れつつあるということ、UIデ
ザインという領域のエキサイトさを、若いデザイナに知ってもらいたい。

ref)
RIAコンソーシアム : http://www.ria-jp.org/
(まだコンテンツが少ないですが、徐々に増やしていく予定です。また、内部
情報ですが、10/6(水)に品川でセミナーを開催予定です。来週中に正式アナウ
ンス予定)

【みつい・ひでき】 h-mitsui@nri.co.jp / ridual@nri.co.jp
濱村デスクと初めてお話させていただいた。神田さんとも。ここまでお顔も知
らないで続けてきたプロジェクトは当然初めて。そういえばここの執筆もひょ
んなことから始まった...その話は今度。ひょんなことは大切にしたい:-)
RIACの活動は、予算上まだまだ東京中心。でも、色々と頑張れば、概要セミ
ナーを大阪でもできるんじゃないかな、と画策中。リクエストあれば下さい。

・Ridual(XMLベースのWebサイト構築ツール)公式サイト
http://www.ridual.jp/
・超個人的育児サイト(書籍は絶版中)
http://homepage3.nifty.com/mitmix/MilkAge/

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<前号で著者名とリンクにあやまりがありました。お詫びして訂正します>

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発売:2004年9月下旬 ワークスコーポレーション刊
ISBN4-948759-63-5
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●本誌をワークスコーポレーションよりデジクリ読者2名様にプレゼント。
応募フォームをつかってください。締切は9月17日(金)14時。
当選者(都道府県、姓)はサイト上に9月下旬頃掲載予定です。
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<応募受付中のプレゼント>
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 アニメ作画のしくみ~キャラに命を~ #1596号(9/17締切)
 松永 真、デザインの話。+11 #1596号(9/17締切)
 
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■編集後記(9/13)
・先日、ビデオに録画しておいた藤岡弘のアマゾン探検の番組を見た。苦笑の
連続だが、やっぱりおもしろかった。冒険「エンターテイメント」なんだから、
あれでいいんでしょう。ヤラセとかなんとか、野暮な批判をしちゃあいけませ
ん。つっこみは返上。「この謎の未確認生物の正体を解き明かすべく、急遽、
調査用の機材を準備し、発見現場へ向かいました。船でアマゾン川を1か月間
捜索。現場近くの村での聞き込み調査。危険な野性生物との遭遇。行く手を阻
む大自然。奥地に住む謎の裸族との出会い。一寸先は闇。次々と起きるハプニ
ングは、これまでの探検の中でも壮絶なものでした。そして我々はついに未確
認生物を追いつめ死闘を……」というのは、テレ朝サイトにあったテキスト。
まあ、そういうことなんですが。とにかく、撮影がすばらしい。探検隊のよう
すを前から(笑)横から、後ろから、間近から、遠くから、冷静にしっかりと、
とても絵になる場所から撮っている。ハプニングもみごとにキャッチしている
(笑)。一番危険にさらされたのは撮影隊ではないのか。アマゾンの美しい自
然を見ているだけでも価値がある。それにしても、探検隊がおもに探索して回
る密林って、明るいハイキングコースみたいに見えて仕方なかった。(柴田)

・フラッシュパワーセッション2004が終わった。時々、どっと笑いが出る、そ
んな和やかな雰囲気だった。受付や裏に引っ込んでいることが多く、ほとんど
セッションは見ていないんだけど、休憩する人たちの楽しそうな笑顔を見るの
が嬉しかった。あともうちょっと後かたづけをして、今回のイベントは終わり。
少し寂しい気もする。毎度のことながら、いつもたくさんの人に支えられてイ
ベントは行われる。今回もお礼のいいたい人がいっぱい。人との出会いに感謝。
ありがとうございました!                (hammer.mule)

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発行   デジタルクリエイターズ <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
リニューアル  8月サンタ
アシスト    鴨田麻衣子

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