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[1968]魂の発露を見るために

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1968    2006/05/12.Fri.14:00発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 17910部
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             <突然、理解できた>            

■映画と夜と音楽と…[290] 
 魂の発露を見るために
 十河 進

■Otaku ワールドへようこそ![27]
 コスプレ写真で日伊文化交流
 GrowHair

■展覧会案内
 粟津潔デザイン曼荼羅

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■映画と夜と音楽と…[290] 
魂の発露を見るために

十河 進
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●僕はジャクソン・ポロックじゃない

少し前に話題になった「僕はジャクソン・ポロックじゃない」(白水社)とい
う短編集を読んでみたが、ジャクソン・ポロックは比喩的に使われているだけ
で、彼が登場するとか彼について何か書かれているということではなかった。
しかし、ジャクソン・ポロックのアメリカでの知名度を僕は再認識した。

アートのメッカはずっとパリだった。しかし、今はニューヨークである。その
アメリカン・アートの地位向上(?)に貢献したのがジャクソン・ポロックで
ある。その後、1960年代にはアンディ・ウォーホルが活躍し、1970~80年代に
なるとバスキアなども登場し、ニューヨークはアートシーンの中心になる。

若いときから髪が薄いにもかかわらずエド・ハリスはなかなかかっこよくて、
「アビス」のようなアクションSF大作の主人公を演じたりしてきたが、元来は
演技派の俳優だと思う。そのエド・ハリスが監督・主演したのが「ポロック」
(2004年)だ。妻の役を演じたマーシャ・ゲイ・ハーデンがアカデミー助演女
優賞を受賞した作品である。

僕は美術関係にはあまり詳しくないし、絵を見てわかるかと言われれば「よく
わからない」と答えるしかないのだが、「ポロック」を見て初めて抽象画を描
く意味がわかった気がした。元々、ジョアン・ミロやパウル・クレー、シャガ
ール、ムンク、キリコなどが好きだったのだが、彼らがなぜあのような絵を描
いたかが「ポロック」という映画を見ていて、突然、理解できたのだ。

そんなとき、ちょうど八重洲のブリヂストン美術館で「雪舟からポロックまで」
という美術展が開かれていて、連休中、久しぶりにカミサンと出かけた。僕は
どうしてもポロックの作品を実際に見てみたかったのだ。開館の直前に美術館
に着くと、すでに二十人くらいの人が待っていた。

しかし、その展覧会にはポロックの作品は一点しか展示されていなかった。そ
れも最盛期のものではなく、死の五年前、1951年の作品だった。ポロックは晩
年の二年間はまったく絵を描かなかったというから、その作品は彼の作品歴の
中では後期のものになる。

その展覧会を見にいく前に僕はポロックの画集をかなり熱心に見た。初期の抽
象画からアクション・ペインティングと呼ばれる速乾性の絵具をキャンバスに
垂らす手法(ドリッピング)で制作した作品群、その後の黒の時代の作品など
年代を追って詳細に検証してみた。僕は絵画や美術作品は直感的に見る方だっ
たが、ひとつひとつの作品の解説を読みながら見たのは珍しい。

それは、映画「ポロック」を見たからだと思う。エド・ハリスが演じたポロッ
クは実際の画家によく似ていたし、その制作シーンも実にリアルだった。ムー
ビーフィルムに残っているポロックの制作風景、ライフ誌などに掲載された写
真などをエド・ハリスは忠実に再現する。

●精神の痛みや苦しみが伝わってくる

バイオグラフィは伝記と訳されるが、日本で言う「伝記」には偉人伝といった
ニュアンスがつきまとう。アメリカはバイオグラフィの発行が盛んらしく、自
伝や伝記の類が多く出ている。ハリウッド・スターはほとんどが自伝を出して
いるか、ライターが伝記を書いている。中には、訴訟問題になっている場合も
あるけれど…。

「ポロック」も原作はポロックの生涯を綴ったノンフィクションであるようだ。
したがって、当たり前だが現実のポロックの人生をなぞることになる。だが、
その人物の人生のどこから語り始めるのか、それはとても重要なことだろう。

映画「ポロック」は、開巻からニューヨークのグリニッジ・ビレッジで兄夫婦
と同居するポロックを描く。酔っ払ったポロックを深夜に兄が連れて帰るシー
ンだ。階段の途中でポロックが大声をあげ、兄が口を押さえる。それを兄嫁が
部屋の前からうんざりした顔で見つめている。

──ピカソの野郎、全部やりやがった。

ポロックが叫ぶのはそんな内容だ。二十世紀の前半、すでにピカソが大きな影
響を与えていたのだとわかる。

1941年、太平洋戦争が始まる直前の頃である。すでにヨーロッパではシュール
レアリズム運動が盛んになっている。1924年に「シュールレアリスト宣言」を
発表したアンドレ・ブルトンが「シュールレアリズムと絵画」を発表したのが
1928年だった。

1941年、ジャクソン・ポロックは29歳。後に結婚するリー・クラズナーと知り
合う。もっとも、ふたりはかつてあるパーティで出逢っていたのだが、ポロッ
クが泥酔してよく憶えていなかったようだ。

スクリーンに登場した段階でポロックはすでにアルコール依存症であり、精神
的に不安定な人物として描かれるが、それらの説明は省略されている。もしか
したらジャクソン・ポロックについては多くのアメリカ人が基礎的な知識を持
っているのだろうか。日本人の多くが太宰治の生涯についてあるイメージを共
有しているように。

結局、ポロックは生涯にわたってアルコール依存症に苦しめられ、精神的な治
療を受け続けることになる。そのことが、最後の悲劇を引き起こしたのかもし
れない。映画を見終わるとそんな印象が残る。ポロックが残した作品を見れば
見るほど、彼の精神の痛みや苦しみのようなものが伝わってくるのだ。

ゴッホも精神を病んで入院し、自殺に到る前の二年間に素晴らしい作品を残し
た。だが、その時期の作品には明らかに精神の異常さが見て取れる。燃えるよ
うな麦畑、黒く塗り込められた昏い空、不気味に飛び交う鴉たち、筆の跡は渦
を描いてめまいを誘い、色彩の鮮やかさに絵画の世界に吸い込まれそうな怖さ
さえ感じる。ゴッホの精神に共振れする。

ムンクもそうだった。絵を描くことで解放されるべき精神は、創作を続けるこ
とでさらに混迷し、おどろおどろしいほどの世界を描き出す。有名な「叫び」
の絵ではないが、まるで精神が悲鳴を上げているような作品ばかりである。そ
んな状態に耐えかねたのか、四十半ばでムンクも精神病院に入院する。

●ジャクソン・ポロックの魂に共鳴する

ところで、先ほど僕は「ポロック」は1941年のグリニッジ・ビレッジから始ま
ると書いたが、実際は別のプロローグがある。幻想的な描き方のファーストシ
ーンだ。

ライフ誌の表紙がアップになり、女性らしき手がページを開く。その雑誌を持
ってポロックに近づいていく。ギャラリーのオープニングパーティーのようだ。
ポロックがペンを出しサインをする。そんなシーンが最初に短く描かれ、「9
年前。グリニッジ・ビレッジ、1941年」とスーパーがスクリーンの下に出て物
語が始まるのだ。

プロローグの意味は映画の後半になって判明する。1950年、ポロックの最も成
功した時期の展覧会シーンである。ライフ誌で大きく特集され、アクションペ
インティングの斬新さが評価され、美術界だけでなくセンセーショナルな話題
になった頃のポロックなのである。栄光の絶頂を極めた時だ。

映画はその絶頂期にたどり着く前の9年間を描き、その絶頂から下降し、つい
にはスキャンダラスな死に至るまでを描いた。結局、44年間の人生の中で彼が
得意の絶頂にあったのは、数年間にすぎない。1947年にドリッピンクで絵を描
き始め、1950年、制作風景を撮影させている時に二年間やめていた酒を再び呑
み始めるまでが、彼の絶頂期だった。

1951年頃からポロックは黒の絵具だけで真っ白いキャンバスに具象的なイメー
ジにあふれた絵を描いた。自動車用塗料のエナメルなどを使用した。その二年
間ほどの黒の時代を経て、再び色彩感覚にあふれた作品を制作し始める。画集
でそれをたどると、ポロックの精神の振れに共鳴する。

頂点を極め、高い評価を得、誰でも知っている有名人になり、金銭的にも恵ま
れ…、しかし、彼自身は自己模倣の悪夢にうなされていたのではないだろうか。
頂点を極めれば、そこから落ちる怖さを想像するだろう。同じような作品ばか
りを作っている自分を否定する気分も湧き起こってくるに違いない。

そんな苛立ちやプレッシャーで彼は絵が描けなくなる。映画はそんなポロック
を描く。妻は「絵を描かないポロックなんて意味がない」と責める。自らが画
家であり、最初にポロックの作品の価値を発見した妻のリーは最大の理解者で
あるが、同時にポロックを精神的に追いつめる存在でもあったのだろう。

リーがヨーロッパ旅行へ出かけた留守にポロックは愛人とその友人を連れてパ
ーティに出席し、ひどく酔ったまま車を運転する。1956年8月11日午後10時15
分、ポロックは女性ふたりを乗せたまま樹に激突する。44年間の人生だった。
それが彼にとって短すぎたのか、あるいは長すぎたのかはわからない。

 「絵というのは魂の表現なんですの?」と彼女が訊いた。
 「そうですよ。」 「抽象画でも?」 「抽象なら一層そうでしょう。」
これは福永武彦の長編小説「海市」の一節だ。主人公は抽象画の画家である。
この小説を数十年前に読んでいながら、「ポロック」を見たことで僕はようや
くこの意味がわかった。頭で理解したのではない。かっこよく言うなら、魂に
触れたのだ。

「ポロック」を見て以来、僕は「海市」を再読し、同じ福永武彦の美術エッセ
イ「藝術の慰め」を読み返し、自宅にある現代美術全集をひっくり返している。
画家たちの魂の発露を見るために…

【そごう・すすむ】sogo@mbf.nifty.com
連休明け、雨の出勤。バスは積み残し、電車は混雑。なかなか社会復帰できま
せん。しかし、夜になると、また飲み屋へ。連休中は控えていたのに、そちら
の復帰は問題なし。

デジクリ掲載の旧作が毎週金曜日に更新されています
<http://www.118mitakai.com/2iiwa/2sam007.html>

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■Otaku ワールドへようこそ![27]
コスプレ写真で日伊文化交流

GrowHair
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3年前に原宿でイタリア人コスプレイヤーに声をかけて撮らせてもらったのが
発端で、日伊文化交流団体のイベントでコスプレ写真を展示してもらえること
になり、開催に合わせてイタリアに行ってきた。その経緯は[25]3/31に書い
たが、今回はそのご報告。……の多分前編。

準備の土壇場で薄氷を踏む思いをしたものの、無事に15点の写真を展示するこ
とができた。出展者や来場者の方々とたくさん話ができ、単なる観光旅行とは
一味違った形で、初めてのイタリアを堪能した。

●写真が届かない!

4月29日(土)、30日(日)の開催に向けて、多少は余裕を持たせたつもりの
日程で展示用の写真の準備を進めていた。

まずはポジフィルムをフィルムスキャナで読み込み、その画像をL判に紙焼き
し、それをトリミング見本および明るさ見本として添えて、元のポジフィルム
から展示サイズに紙焼き注文した。ワイド四つ切が14点とキャビネサイズ4枚
組が1点。これが仕上がったのが4月13日(木)。

外出仕事の合間に時間を盗んで新宿のヨドバシカメラに立ち寄って写真を受け
取り、新宿郵便局からEMS(国際スピード郵便)でYuzuの自宅宛に発送した。
4日ぐらいで届くので、フレームをつける作業に週末1回をあてられるという段
取りである。その作業はYuzuにお願いしてある。

ところが、待てど暮らせど届かない。ネットで追跡できるので見てみると、翌
14日(金)のフライトに乗せられ、19日(水)にマルペンサ国際空港に到着し
た記録がある。5日間も飛んでるかね? そして、その後出てくるはずの通関
記録がいっこうに出て来ない。その間には、Yuzuが日本へ注文したローゼンメ
イデンの同人誌が追い越して、3日間で届いている。

それでも今に届くだろうとのんびり構えすぎた。さすがにもうひとセット用意
しておかないとまずいぞ、と焦り始めたのが、開催3日前の26日(水)。同じ
方法では3日間かかるので、もう間に合わない。残された手段は、自分でフィ
ルムスキャナにかけて、画像データから紙焼きする方式。これなら1時間ほど
で仕上がる。ただし、それには4347×3036画素の画像が必要。今ある見本用
の1286×888画素の画像ではボケボケの絵になってしまう。徹夜作業して、な
んとか読み込み終えた。

1時間ばかり寝てから、27日(木)の午前中、ヨドバシカメラでプリント。色
がきれいで、細部の再現性もよく、品質的に展示水準に達している。特に色に
関しては、スキャンする際にRGBそれぞれのトーンカーブを心ゆくまでいじっ
ているので、フィルムからのプリントよりもいいかも。受け取ってから出社し
たら、14:30ぐらいになってしまった。13:00からの会議に大遅刻。危うし、俺
の社会生活。

翌28日(金)は仕事を休み、13:00成田発のフライトでミラノに向かう。展示
用の写真を手に持って。もしたどり着けなかったり、手荷物を紛失したりすれ
ば展示に穴が開く。この気分をたとえると、山登りしてて、山頂近くまで来た
かと思ったら、最後は、鎖に頼っての切り立った崖登りだった、みたいな感じ。
手を離せば奈落の底じゃ~。スタミナドリンクの宣伝の掛け声が頭をよぎる。

●初めてのイタリア、冒険気分

同日の18:00ごろ、マルペンサ空港に到着。ここからミラノを経由してブレー
シア(Brescia)へと向かう。成田空港で買った「地球の歩き方」を機内で読
んで調べた経路にしたがい、列車、地下鉄、列車と乗り継ぐ。

イタリア語についても、その本からの付け焼刃の知識。意外に何とかなりそう。
例えば「中央駅」は英語だと「セントラル・ステーション」だけど、イタリア
語だと「チェントラレ・スタツィオーネ」だ。それ風に読み替えるだけじゃん。

中央駅で列車の切符を購入したところで、Yuzuに電話。留守電だったが21:05
発の列車で向かう旨を残しておいたら、21:55にブレーシアに着いたところで、
出迎えてくれた。Yuzuママの運転で、友達のエリザ(Elisa)と一緒に。どち
らも初めまして、だ。

Yuzuは金髪碧眼、ぽっちゃりして可愛らしいが、Elisaは黒髪に茶色い目で、
彫りの深い、芸術的な鋭さをたたえた顔立ち。2人ともデザイン専攻の大学生
で、日本のアニメやゲームが大好きなオタクで、コスプレイヤーという共通点
がある。

ブレーシアはけっこう大きな町で、都会的な景色だ。4人でイタリア料理のお
店へ。ハムとモツァレラチーズのピッツァを注文。これが閉じてあって、巨大
な餃子みたい。カルツォーネというそうだ。なかなか美味。だけど、よく日本
で出されるイタリア料理は日本人の口に合わせて味を変えてある、と言われる
意味がよく分かった。こってりと濃厚な味なのだ。ひと口ふた口はよいのだが、
沢山は無理。

聞きたいことがいっぱいあって、会話がはずんだ。イタリア人の働きぶりにつ
いては、南の方ではぐうたらが多く、昼休みを何時間も取ったりしてるけど、
ミラノやブレーシアではみんなまじめに働いているのだそう。他にも言語や天
候や地理のことなど、話題は尽きない。真夜中ごろ、お開きに。写真をYuzuに
渡した。あとの作業はやってくれるという。

●ぎりぎりの作業で設営完了

翌29日(土)がイベントの開催当日。10:00の開場までに設営を終えなくては
ならない。タクシーで20分ほど行った、ボッティチーニ(Botticini)という
田舎町にある劇場。山並みが近くまで迫り、大理石を切り出した跡が垂直の崖
になっている。周辺は野原だったり、牧歌的な家並みだったりして、会場の近
代的な建物がちょっと不釣合いなほど。

9:00ごろ到着してみると、外にYuzu、Elisaほか十数人のスタッフが所在なげ
に立っている。鍵を持ってる人がまだ到着しないんだとか。おいおい! ほ
どなく来たけど、1時間しかないやんけ~! 入ると、観客席200席ほどの劇場。
左右と後ろの3方の2階、3階、4階が画廊として利用でき、我々は4階左側一画
をもらっている。

ElisaはYuzu宅に泊まり、2人して朝4時までかけて、写真に縁をつける作業を
してくれたんだとか。15点すべてが黒い厚紙で縁取りされていた。絵が締まる
感じで、重厚感が出ている。これを両面テープで壁に直接ぺたぺたと貼ってい
く。タイトルをつけて、完了。間に合った。やれやれ。

他には日本の寺社などの風景写真、書道、折り紙、着物、盆栽などの展示があ
った。午前中、会場にいたが、来場者はぱらぱらぐらい。

●来場者から昼食に招かれる

2日目の昼近く、隣で写真を展示しているフランチェスコ(Francesco)が、ち
ょっと来てくれ、という。彼とは前日に親しくなり、午後には彼女のマリー
(Mari)とYuzu、Elisaとともに5人でブレーシアを観光している。

行ってみると、60代ぐらいの夫婦が熱心に質問している。展示写真の中に鎌倉
の長谷寺で撮ったのがあり、高さ30cmぐらいの小さな仏像が何百体と縦横に整
列している。水子の霊を祀るものだと昨日教えてあげたら、それをこのお客さ
んに伝えたようで、もっと聞かせてほしいと突っ込まれ、私に助け舟を求めて
きたというわけである。

事情があって中絶せざるを得なかったけど、その後、罪の意識にさいなまれた
り、赤ん坊の泣き声が聞こえるなど霊に取り憑かれたようになったりして悩ん
でいる人々に対して、霊をなぐさめて成仏させてやるお寺なんだと説明した。
また、日本では年間30万件もの中絶が行われているが、あまり問題視されてい
ないことなども。

そんな話をしていると、「拙宅で昼食などいかがですか」と誘ってくれた。フ
ランチェスコとマリーと私の3人で。えーっ、いいんですかぁ? 車2台に分乗
してブレーシアの町を通り抜け、さらに、小高い丘をずんずん登っていく。大
富豪の住む地域で、映画のセットかいね、と思えるような大邸宅が次から次へ
と。相当登ったところに老夫婦の家はあった。

両開きの大きな鉄扉が厳かに開き、進入。入ってすぐのところはバラ園になっ
ていて、まだほとんどが蕾だが、ぽつぽつと赤いのが咲いている。たとえるな
らば、鎖場を登り切ったら山頂は楽園だったという気分。

車を停めると、まず、庭を案内してくれた。三色すみれなど、春の花が咲き誇
る。日本の草木をたくさん植えたのだという。入口近くには桜の木もある。家
の向こう側の下り傾斜にも庭が続いており、大きなプールがある。日本の風景
さながらに、桃の木、柿の木、りんごの木、いちじくの木が植わっていたり、
あやめが大きな紫の花をつけていたり、ガクアジサイや花アジサイがそろそろ
だったり。他にも、アーモンド、オリジナルのローズ、パッション、マンダリ
ン、仏手柑、ジャスミン、バジリコなど。

歩きながら、ご主人が咲いてる花を摘んではどんどん手渡してくれるので、し
まいには大きな花束のようになってきた。その向こうはレタス、トマト、ズッ
キーニなどの家庭菜園とブドウ園。昼食用にレタスを2つ、もいでくれた。

家に上がると、応接間の大きな窓からは、ブレーシアの町が一望の下に見渡せ
る。窓辺には蘭の花がいっぱいに咲き、ゴムの木なども置かれている。部屋中
央には大きなシャンデリアが下がり、その下にテーブルが用意されている。摘
んできた花はガラスの花瓶に生けられ、テーブル中央に置かれた。

老夫婦の息子さん2人も加わり、7人で昼食。息子さんたちは20代後半ぐらいに
見える。奥様は小児科・産婦人科のお医者さんなのだとか。あ、それでさっき
の質問だったわけだ。手作りパスタ、サラダ、小さい蛸の煮付け、白身魚など
を白ワイン、赤ワインとともにいただく。

会話はほとんどイタリア語かわされ、私は小さくなってた。しかし、黙ってメ
シだけごちそうになって帰ったのでは日本人の名折れだ。思い切って、旦那様
に、どういうきっかけで日本が好きになっていったのか英語で聞いてみたとこ
ろ、仕事で札幌や室蘭に行って、日本の自然に魅了されたのだという。奥様に
は、日本のどんなところが好きかと聞いてみたところ、日本人が自然を愛する
心を持っているところだという。予想外の高尚な答えに面食らったが、私から
は、日本人は自然との調和という考えを大事にしており、お寺の石灯籠は苔む
してこそいっそう美しくなるんだ、と説明。

弟さんが、何やら化学の実験装置のようなものを持ち出してきた。水煙草を吸
う装置なのだという。どういう原理なのか聞くと、ベランダに出て実践してく
れた。煙草は真っ赤っ赤で福神漬けのようだ。パッケージにはヘブライ文字が
のたくる。装置の下部は水を入れるフラスコになっていて、吸い口が2本突き
出している。真ん中から煙突のように金属パイプが立っていて、上部に皿があ
る。その皿の中にタバコを入れ、アルミ箔で蓋をして、ぷつぷつと穴を開ける。
その上に炭を乗せて、火を点ける。

吸い口から吸うと、炭が赤くなり、煙がアルミの穴から吸い込まれ、タバコを
通り抜けて煙突を下り、ぶくぶくぶくと水をくぐり、吸い口に至る。さほど煙
たくはなく、トロピカルフルーツの香りがする。それでもふーっと吐き出して
みると、普通の煙草のような煙である。特に効果も感じられず、調子に乗って
ぶくぶくぶくぶくやっていたら、立ち上がろうとしたときに、ふらっときた。
平衡感覚がまるでおかしくなっている。一歩一歩気をつけて歩かないと転びそ
う。食後の一服としては、ちょっと重かったかな?

ごちそうさまでした、ということで、再び車で会場まで送り届けてもらった。
ご主人様がどんなお仕事をしていらっしゃるのか、恐くて聞けなかったが、水
煙草の息子さんとは連絡先を交換した。ラストネームはフェラーリ(Ferrari)
さんだった。あの車の? まさかね。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
国際親善カメコ。4/29(土)に福岡県芦屋町で開かれた「あしや人形感謝祭」
にも行きたかったのだが。ポスターにはローゼンメイデンのキャラが起用され、
「真紅」バスによるツアーも行われた。Kotoiっちはスーパードルフィー2体を
連れていって、ポスターを実写再現していた。詳しくは仲間の弓月水晶氏がブ
ログに書いているので、どうぞ。
<http://crystalcroissant.blog20.fc2.com/blog-date-200605.html>

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■展覧会案内
粟津潔デザイン曼荼羅
<http://www.printing-museum.org/jp/exhibition/pp/060429/index.html>
───────────────────────────────────
会期:4月29日(土)~6月4日(日)10:00~18:00 月休
会場:印刷博物館(東京都文京区水道1-3-3 トッパン小石川ビル)
入場料:無料(印刷博物館本展示場に入場の際は入場料が必要)
内容:あらゆるメディアを表現の場としておよそ50年にわたり活躍しているグ
ラフィックデザイナー、粟津潔氏の作品約300点を展示する。


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■編集後記(5/12)
・大阪出張往復の新幹線車中+αで「ダ・ヴィンチコード」を読み終えた。+
αというのは、大阪の超安ホテルのタバコくさい部屋のベッドで午前2時まで。
これは久しぶりに出会った面白いミステリーだった。基本的に翻訳物はめんど
うくさいから敬遠しているのだが、こいつは違った。登場人物が少ないのがい
い。わずか数日間の話であるところがいい。主人公のふたりがフランス司法警
察に追われて逃げる。逆転また逆転、なんという巧みなストーリーなんだ。ふ
たりは度重なる絶体絶命の危機をどう乗り越えるか、そして暗号にかくされた
謎解きと宝探し、さらにこの事件の黒幕・導師の正体は誰か、続きが気になっ
て仕方ない、いわゆる「徹夜本」だった。「この小説における芸術作品、建築
物、文書、秘密儀式に関する記述は、すべて事実に基づいている」と冒頭にあ
る。だからといって、真実の物語ではない。トンデモ系の疑似科学を巧妙につ
ぎはぎして、都合よくつくりあげた虚構の世界だ。上手な娯楽小説である。キ
リスト教のうんちくが満載の教養小説、歴史小説だと思ったらとんでもないぞ。
インディ・ジョーンズみたいなもんだ(と思う)。それにしても、出てくるネ
タは興味津々、陰謀史観や疑似科学が大好きなわたしにとって、至福の数時間
であった。「ダ・ヴィンチは、その微笑みに、何を仕組んだのか。」というの
が映画の惹句になっているが、それでいいのかなあ。モナ・リザの謎解きは本
書の中にあり、けっこうたわいないというか想定内というか……。 (柴田)

・みんな大好き塊魂のベストが出るぞ。/近所にPlayStationスポットが出来
たので、体験版ダウンロードにトライ。販売しているお店で自分のPSPを取り
出すのって、違和感があってとっても恥ずかしい。説明書を見てこなかったの
で「店内で体験版ダウンロードができるよ」云々のPOP近くに行き、もたもた。
きっとこれなんだけど~なメニューを選ぶが反応なし。いったん店の外に出て、
ケータイとPHSからPSP公式サイトを見に行くが、ダウンロードの詳細ページは
表示せず。諦めて店員さんに聞いた。店員さんは「あっ。何をダウンロードし
たいですか?」などと話しつつ、POP近くに展示されているPSPのケースを外す。
そしてソフトを起動しようとしたが、そのPSPは最新版にアップデートされて
いなかったようで、アップデータをダウンロードし、再起動し~と一苦労。受
信側でダウンロードしたいゲームを選べないみたいなことを言っていた。GW前
頃からスタートしたそのお店でのダウンロード第一号かもしれない……。/ス
ポットに行かなくてもダウンロードできるロコロコ体験版にはまってしまう。
面白い。赤い実あと1つ、ムイムイ2人まではゲットできたんだが。平和的なゲ
ームは好きだなぁ。                   (hammer.mule)
<http://www.locoroco.jp/home/>  体験版で十分遊べる
<http://www.jp.playstation.com/psp/pss/>  スポット

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発行   デジタルクリエイターズ <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
リニューアル  8月サンタ
アシスト    鴨田麻衣子

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★日刊デジクリは、まぐまぐ<http://mag2.com/>、
E-Magazine<http://emaga.com/>、カプライト<http://kapu.biglobe.ne.jp/>、
Ransta<http://ransta.jp/>、melma!<http://melma.com/>、
めろんぱん<http://www.melonpan.net/>、MAGBee<http://magbee.ad-j.com/>、
のシステムを利用して配信しています。配信システムの都合上、お届け時刻が
遅くなることがあります。ご了承下さい。

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