2回に分けてLLPのアウトラインを説明しましたが、具体的には下記のような業種/業態が向いているとされており、実際に立ち上がっているLLPも少なくありません。
・コンテンツ製作
・ソフトウエア開発
・中小企業連携
・ベンチャー/研究開発
・法律の専門家集団
などなど・・・
・コンテンツ製作
・ソフトウエア開発
・中小企業連携
・ベンチャー/研究開発
・法律の専門家集団
などなど・・・
●法律の専門家集団
実はこの中で「法律の専門家集団」は、現在立ち上がっている日本のLLPの中で圧倒的に多い業種です。
私たちもそうでしたが、新しく出来た法律なので誰に相談すればいいのか? という問題に直面します。実際、今でもLLP関連の法律や会計に関する相談に尻込みをする士業の方は少なくありません。
そんな時、実際にLLPを運営している、しかも法律の専門家集団ということになれば、心強く、安心して相談出来る・・・つまり「LLPを立ち上げるためのLLP」というコンサルティング系のLLPとなり、ここにビジネスチャンスがあると考えた士業の方が多いということでしょう。
この方面のLLPとしては「インブルームLLP」が有名で、LLPの法律自体がまだまだ未成熟であることを背景に、自身のLLPを使って様々なチャレンジをしているようです。
インブルームLLP
< http://www.inbloom.jp/
>
この方面に関しては私自身が詳しくないので、触れるのはこれくらいにしておきますが、現状ではLLP自体の認知度が低いため、このようなLLPが実質的に活躍するには、まだ少し先のようです。
●中小企業連携
次に「中小企業連携」ですが、日本には高いレベルで特定の技術に特化した中小企業が多く、日本の産業を支えているという事実があるにも関わらず、大手メーカーや国レベルで何らかの施策や成果が見えにくい現在においては、LLPは重要な役割を果たすのではないでしょうか。
そんな製造業で、かなり早い時期にLLPを設立した「アッセンブリ119LLP」があります。
苦境にあえぐ大阪の町工場が専門技術を結集した、という分かりやすいLLPの事例としてよくメディアに取り上げられていますが、LLP化することで窓口を一本化し、様々な案件にワンストップで受注できるようにした点が大きいのではないかと思います。
アッセンブリ119LLP
< http://www.assy119.com/
>
●住宅などの建築や店舗開発、産学連携も含めたベンチャーや研究開発
製造業とは若干違いますが、住宅などの建築や店舗開発のためのLLPも有効でしょう。
実際に住宅に関わる職人さんの技術だけでなく法律的なサポートも必要ですし、店舗開発にいたってはマーケティングやプロモーションなども必要で、それらをワンストップで解決出来るのであれば、大手に負けない技術やサービスを提供できるのではと思います。
産学連携も含めたベンチャーや研究開発においてもLLPは今までにない効果を発揮するでしょう。
大学教授などのアイデアを持った個人と、大手メーカーによる技術や製品の開発というパターンは今でも多く見られますが、出資額が圧倒的に多いメーカーに利益が集中し、アイデアを出した個人への恩恵が少ないという現状を覆す事が可能となります。
スピンオフベンチャーの場合も、子会社化するのではなくLLPという組織形態にすることで、主と従ではない新しい関係が生まれる可能性があります。
●コンテンツ製作
そして、なんといっても「コンテンツ製作」です。
知恵やアイデアとそれを生み出す人材自体が主軸となるような業種は、LLPと非常に相性が良いです。
コンテンツ製作といえば、日本ではアニメーションを筆頭とした映画ということで、企画・広報を行なう広告代理店、製作を行なうプロダクション、興行を行なう映画会社、そして流通やメディアという異なる領域の企業が手を組む必要があります。
LLPが出来るまで日本では「製作委員会」という名前で作品ごとに民法組合を設立する方法が一般的でしたが、民法組合は無限責任なので、万が一映画が大コケした場合のリスクはかなり大きいと思われます。
そのため、例えば新進の映画監督やシナリオライターなどが自身のプロジェクトを起こすことは不可能だったのですが、LLPであればパートナー次第では可能になります。
よくメディアに取り上げられるLLPとしては「ジャパニメーション・パートナーズLLP」や、攻殻機動隊で脚光を浴びたプロダクション・アイジーとトランスコスモスによる「amimo LLP」などがあり、映像/映画業界は積極的にLLPを導入することで新しい取り組みによる業界の活性化が期待されます。
ジャパニメーション・パートナーズLLP
< http://www.japanimation.co.jp/
>
amimo LLPの運営サイト「clappa!」
< http://clappa.jp/
>
従来の「製作委員会」方式と同じように作品やプロジェクトごとに設立・解散が容易で、しかも有限責任ということになれば、スティーブン・スピルバーグ監督らが設立したアメリカの「DreamWorks LLC」のように、日本でもLLPベースの製作委員会が常識となるでしょう。
次にソフトウエア開発ですが、WebをはじめとするIT系もこれにあたります。企画、プログラマー、SE、デザイナー、営業など、お互いの専門的な技術等を持ち寄って、より大きな事業を展開することが可能です。
さらに時代の流れに合わせて、LLPの構成や大きさを変えたりすることも比較的に容易なため、柔軟な対応が可能になるということも考えられます。
そしてソフトウエア開発の性質も持っているコンテンツといえば、日本が最も得意する分野の一つであるゲームが挙げられます。
現状では目立った動きが見られず、水面下ではそのような動きがあるのかも知れませんが、これこそLLPを積極的に導入するべきだと思います。
今は合併や吸収により、どんどん会社が大型化していますが、逆に、企画、プログラム、ビジュアル、音楽、流通、広報、など各領域ごとに分社化し独立させ、ゲームのプロジェクトごとに最もマッチする組み合わせを行ない、そのゲームのためだけのLLPを「製作委員会」方式で立ち上げればいいのではないかと思っています。
そうすることで、各領域のライバル会社同士の差別化や専門化が進み、より高いレベルでの開発が可能になるだけでなく、ロスやリスクの回避にもなるのではないかと思われます。
バビル6LLPはコンテンツ製作とソフトウエア開発が主軸となりますが、厳密にいうと上に挙げたどのパターンとも微妙に違っています。
このあたりもLLPならではで、どのような形態でどのように運営していくのかという自由度が高いともいえます。
ということで、次回はバビル6LLPがどのような経緯で設立することになったのかという「前夜」について書きたいと思います。
【ふかがわまさひで】
バビル6 LLP(有限責任事業組合)組合員
※バビル6 LLPは日本第一号のLLP(有限責任事業組合)です
< http://www.b6p.jp/
>
実はこの中で「法律の専門家集団」は、現在立ち上がっている日本のLLPの中で圧倒的に多い業種です。
私たちもそうでしたが、新しく出来た法律なので誰に相談すればいいのか? という問題に直面します。実際、今でもLLP関連の法律や会計に関する相談に尻込みをする士業の方は少なくありません。
そんな時、実際にLLPを運営している、しかも法律の専門家集団ということになれば、心強く、安心して相談出来る・・・つまり「LLPを立ち上げるためのLLP」というコンサルティング系のLLPとなり、ここにビジネスチャンスがあると考えた士業の方が多いということでしょう。
この方面のLLPとしては「インブルームLLP」が有名で、LLPの法律自体がまだまだ未成熟であることを背景に、自身のLLPを使って様々なチャレンジをしているようです。
インブルームLLP
< http://www.inbloom.jp/
>
この方面に関しては私自身が詳しくないので、触れるのはこれくらいにしておきますが、現状ではLLP自体の認知度が低いため、このようなLLPが実質的に活躍するには、まだ少し先のようです。
●中小企業連携
次に「中小企業連携」ですが、日本には高いレベルで特定の技術に特化した中小企業が多く、日本の産業を支えているという事実があるにも関わらず、大手メーカーや国レベルで何らかの施策や成果が見えにくい現在においては、LLPは重要な役割を果たすのではないでしょうか。
そんな製造業で、かなり早い時期にLLPを設立した「アッセンブリ119LLP」があります。
苦境にあえぐ大阪の町工場が専門技術を結集した、という分かりやすいLLPの事例としてよくメディアに取り上げられていますが、LLP化することで窓口を一本化し、様々な案件にワンストップで受注できるようにした点が大きいのではないかと思います。
アッセンブリ119LLP
< http://www.assy119.com/
>
●住宅などの建築や店舗開発、産学連携も含めたベンチャーや研究開発
製造業とは若干違いますが、住宅などの建築や店舗開発のためのLLPも有効でしょう。
実際に住宅に関わる職人さんの技術だけでなく法律的なサポートも必要ですし、店舗開発にいたってはマーケティングやプロモーションなども必要で、それらをワンストップで解決出来るのであれば、大手に負けない技術やサービスを提供できるのではと思います。
産学連携も含めたベンチャーや研究開発においてもLLPは今までにない効果を発揮するでしょう。
大学教授などのアイデアを持った個人と、大手メーカーによる技術や製品の開発というパターンは今でも多く見られますが、出資額が圧倒的に多いメーカーに利益が集中し、アイデアを出した個人への恩恵が少ないという現状を覆す事が可能となります。
スピンオフベンチャーの場合も、子会社化するのではなくLLPという組織形態にすることで、主と従ではない新しい関係が生まれる可能性があります。
●コンテンツ製作
そして、なんといっても「コンテンツ製作」です。
知恵やアイデアとそれを生み出す人材自体が主軸となるような業種は、LLPと非常に相性が良いです。
コンテンツ製作といえば、日本ではアニメーションを筆頭とした映画ということで、企画・広報を行なう広告代理店、製作を行なうプロダクション、興行を行なう映画会社、そして流通やメディアという異なる領域の企業が手を組む必要があります。
LLPが出来るまで日本では「製作委員会」という名前で作品ごとに民法組合を設立する方法が一般的でしたが、民法組合は無限責任なので、万が一映画が大コケした場合のリスクはかなり大きいと思われます。
そのため、例えば新進の映画監督やシナリオライターなどが自身のプロジェクトを起こすことは不可能だったのですが、LLPであればパートナー次第では可能になります。
よくメディアに取り上げられるLLPとしては「ジャパニメーション・パートナーズLLP」や、攻殻機動隊で脚光を浴びたプロダクション・アイジーとトランスコスモスによる「amimo LLP」などがあり、映像/映画業界は積極的にLLPを導入することで新しい取り組みによる業界の活性化が期待されます。
ジャパニメーション・パートナーズLLP
< http://www.japanimation.co.jp/
>
amimo LLPの運営サイト「clappa!」
< http://clappa.jp/
>
従来の「製作委員会」方式と同じように作品やプロジェクトごとに設立・解散が容易で、しかも有限責任ということになれば、スティーブン・スピルバーグ監督らが設立したアメリカの「DreamWorks LLC」のように、日本でもLLPベースの製作委員会が常識となるでしょう。
次にソフトウエア開発ですが、WebをはじめとするIT系もこれにあたります。企画、プログラマー、SE、デザイナー、営業など、お互いの専門的な技術等を持ち寄って、より大きな事業を展開することが可能です。
さらに時代の流れに合わせて、LLPの構成や大きさを変えたりすることも比較的に容易なため、柔軟な対応が可能になるということも考えられます。
そしてソフトウエア開発の性質も持っているコンテンツといえば、日本が最も得意する分野の一つであるゲームが挙げられます。
現状では目立った動きが見られず、水面下ではそのような動きがあるのかも知れませんが、これこそLLPを積極的に導入するべきだと思います。
今は合併や吸収により、どんどん会社が大型化していますが、逆に、企画、プログラム、ビジュアル、音楽、流通、広報、など各領域ごとに分社化し独立させ、ゲームのプロジェクトごとに最もマッチする組み合わせを行ない、そのゲームのためだけのLLPを「製作委員会」方式で立ち上げればいいのではないかと思っています。
そうすることで、各領域のライバル会社同士の差別化や専門化が進み、より高いレベルでの開発が可能になるだけでなく、ロスやリスクの回避にもなるのではないかと思われます。
バビル6LLPはコンテンツ製作とソフトウエア開発が主軸となりますが、厳密にいうと上に挙げたどのパターンとも微妙に違っています。
このあたりもLLPならではで、どのような形態でどのように運営していくのかという自由度が高いともいえます。
ということで、次回はバビル6LLPがどのような経緯で設立することになったのかという「前夜」について書きたいと思います。
【ふかがわまさひで】
バビル6 LLP(有限責任事業組合)組合員
※バビル6 LLPは日本第一号のLLP(有限責任事業組合)です
< http://www.b6p.jp/
>