[2074] 表現の可能性と倫理の相剋

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<日本人のくせに鶴が折れない>

■笑わない魚[207]
 表現の可能性と倫理の相剋
 永吉克之

■デジアナ逆十字固め…[25]
 一眼レフにドアスコープを
 上原ゼンジ

■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト[124]
 オークランド日記〜ベイエリアという場所〜
 茂田カツノリ


■笑わない魚[207]
表現の可能性と倫理の相剋

永吉克之
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昔、価値の低い粗悪な銭を「びた」(鐚)と呼んだことから「びた一文出さない」なんて言い方が生まれたわけだが、これには一円も払わない! いや一銭一厘一毛払わない! という強固な意志が感じられる。

そこで、およそ人と呼べるものは誰もいない、もう徹底的にいない、無人よりもっといない、という状況を伝えるのに「びた一人いない」という表現を使いたくて使いたくてしかたがないのだ。

他にも、「晴れ渡った空には雲がびたひとつなかった」「そんな気持はびたもない」「そういえばそんなことが、びた一度だけあった」なんて使い方がしたいのだが、それはできない。もし、いたいけな子供がそれを読んで、そういうふうに言ってもいいんだな、と思ってはいけないからだ。

自分の御子様であろうがよそのガキであろうが、将来の日本を背負って立つ子供たちの前では大人は模範的な行動をとらなければならない。ポイ捨てはもちろん、恐喝も放火もすべきではない。とりわけ日頃から、盲目的に日本の文化を賞讃している、その私が日本語破壊の一翼を担うわけにはいかないのだ。

                 ●

国語の破壊はひとりの人間の、無意識的あるいは意識的な誤用から始まるのではないのか。たとえば私がここで、そんな気持はまったくない、ということをさらに強調して伝えたいあまりに「そんな気持はネコの額ほどもない」と書いたとすると、それがアーカイブに残るから、将来、どこかの物好きが日本語破壊の犯人探しで検索していくうちに、この号にたどりついて、私が「ネコの額ほど」の本来の意味を破壊した立役者にされてしまうのである。

「昔捨てた女が転職した会社の上司だったとは、ひき肉なめぐり合わせだよ」
「隣のガキはよく客喰うガキだ」
「ポン酢が病苦にジョーズにホースの屁をこいた」
「ゲッゲッゲ鳩ゲッゲ」(鳩ポッポのメロディと鬼太郎の雰囲気で)

モノカキが国語を崩して使うときは、表現性と倫理性との間で折り合いをつけておかなければならない。その意味で上のように、将来、誤用されたまま定着してしまいそうな使い方は絶対にしてはならない。

しかし崩しても、意味的にも文法的にも間違っていなければ、そのあたりに新たな日本語表現開拓の可能性が見えてくるのではあるまいか。要するに、なんか変だけど間違ってはいないような気がする日本語である。

【口が裂ける】

「そればかりは、口が裂けても言えない」という表現があるが、そりゃあんた、口が裂けたら痛くてものが言えないだろうさ、と子供心に思っていたものだ。これは要するに、心の中にしまってあるものは、たとえ口が裂けたって外には出さない、という喩えなのだろうが、こういう言い方が許されるのなら、

「あんな奴の話なんか、耳が裂けても聞くもんか」
「そんなくだらない映画、目が裂けても見るもんか」
「こんな不味い料理、満腹中枢が裂けたって喰いたくなるもんか」

なんて言い方があってもいいはずだ。あまり聞かないが、少なくとも間違ってはいないから、子供が真似をしても大丈夫だ。

【出没する】

先日、大阪の南海本線の混んだ電車内で、若い女が周囲の目も気にせず、携帯で「あ、サチ? これから難波に出没しに行くねん。あんたもけえへん?」と大声で話をしているの聞いて、カッとなった私は思わず「出没という言葉はそんな風に使うんじゃないんだあ!」と叫んで、窓ガラスを破ってその女を外に放り出そうとしたが、ちょっと待てよ、と思いなおした。というのはこの女の言った「出没しに行く」という言い方は、よく考えてみれば間違ってはいないからである。

出没というと「この辺りにはクマが出没する」のように、ときどき現れては消えるようなイメージがあるが、「出没」を大辞林で調べてみると「現れたり隠れたりすること」とだけある。つまり、一度でも現れて隠れれば、それで出没は成立するのである。だから難波に出て、遊び終わってそこを立ち去れば、もうそれは「出没」なのである。だから「今朝、寝坊してね、トイレにも出没できずに家を出てきたよ」なんて言ってもいいのだ。

いやーしかし、間一髪でそれに気づいてよかった。もし、その女を電車の外に放り出していたら、「あの女の日本語が間違っていたから」という言い訳が通用せず、暴力行為の罪に問われていただろう。

【起爆剤になる】

「その景気刺激策が起爆剤となって、日本に好況の波がやってきた」

なんて使い方をしている限り文学に将来はない。Wikipediaによると、起爆薬(起爆剤)とは「少しの刺激を受けただけで爆発する爆薬」で、それがさらに大型の爆薬に点火されるのだ。つまり起爆剤自体が爆薬なのである。だからその辺の危機的なニュアンスを表現しなければならない。

「ひとり生徒のアクビが起爆剤になってクラス全員が居眠りを始めた!」
教師の能力が著しく低下し、生徒も授業に関心をなくしてしまった教育の現場の荒廃を如実に表し、若者たちが担う将来の危機を暗示している。

「ワカメの味噌汁を食べたのが起爆剤になって『サザエさん』を見た!」
もしそれがシジミの味噌汁なら、サザエさんに気がつかず大惨事になるところだったという、紙一重の危機感が充満している。

「郵便局員が書留を持ってきたのが起爆剤になって、私はハンコを押した!」
書留で送ってくるとは重要な手紙に違いない。裁判所からの通達か、サラ金からの督促状か、それとも脅迫状か、といった切迫した脅威が伝わってくる。

【ながよしかつゆき/非国民】katz@mvc.biglobe.ne.jp
恥ずかしい。日本人のくせに鶴が折れない。もう日本人を中止しよう。

・無名芸人< http://blog.goo.ne.jp/nagayoshi_katz
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・EPIGONE < http://www2u.biglobe.ne.jp/%7Ework
>
・Metabolism< http://www.maxwald.co.jp
>最終回

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■デジアナ逆十字固め…[25]
一眼レフにドアスコープを

上原ゼンジ
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携帯電話にドアスコープを付けた魚眼カメラというのは、ひじょうにお手軽ではあるけど、やっぱり解像力という点では物足りない。そこで一眼レフを使って工作してみることにした。

私が工作によく利用しているのは、黒い段ボールの波々になった紙だ。って、よく分からない説明だな。巻段ボールというのかな、ワインをラッピングしたりするのに使うもの。それの黒いものを使っている。私はホームセンターで買ったが、文房具屋のラッピングコーナーなんかにありそうだ。

この巻段ボールのいいところは筒状にするのが簡単なところ。まず一眼レフの交換レンズをクルッと巻いて黒いテープで留める。そこに蓋をして小さな穴を開け、ドアスコープを差し込めばオーケー。

ズームレンズで試してみたのだが、ファインダー上でピントが合うことが確認できた。一眼レフでも、交換レンズの先にドアスコープを付ければ魚眼になるというわけだ。

最初はレンズ径の大きな一眼レフの交換レンズに、レンズ径の小さなドアスコープを付けてもバランスが悪くなってしまうのでは? というイメージがあって、コンパクトカメラや携帯電話のカメラで実験をしてみたのだが、別に一眼レフでも何の問題もないことが分かった。

であれば元々大きなイメージセンサを持つデジタル一眼のほうが、解像度の高い画像が得られるということになる。

ズーミングをすると、ファインダー内の円形に見えている範囲が変化する。広角にすると円形に見える範囲が小さくなる。つまりトリミングが必要になるので、解像度も下がってしまうということだ。反対に望遠側に変えると見える範囲はどんどん大きくなり、最後には円形ではなくなり、黒い部分もなくなってしまう。

しかし、これだと画角が狭くなってなり、魚眼の魅力を損なってしまう。出来ればファインダー内で、円形部分がなるべく大きく広がり、しかし切れてはいない、という状態の画角が望ましいということだ。ズーミングをしながら最適な焦点距離を探ろうと思ったのだが、イマイチ使い勝手がよくなかったので、単焦点レンズにしてみる。

24mmのレンズだと円形部分は小さくなり、60mmだと少し切れてしまう、50mmでだいたいちょうどいい感じになった。つまり、APS-Cサイズのイメージセンサを持つD200にドアスコープを付けた場合には、50mmの交換レンズの先にドアスコープを付けた場合に一番相性が良かったということだ。

●フィルターを使えば工作が簡単に

巻段ボールでレンズをくるむ方式で試作品を作ったが、イマイチ調子が良くなかった。ピント合わせでレンズが繰り出してもオーケー、なるべく光が入らないように、ドアスコープがグラグラしないように、という条件で工作できないかと思いながら、ジッとレンズを観察する。

そして、フィルターのガラスがはまっている部分を厚紙に変えて、そこにドアスコープを嵌めたらどうかというアイディアが浮かんだ。ガラスを割ってしまうなどという野蛮なことをしなくとも、分解用に購入した工具を使えば、簡単にはずせるはずだ。

ただ、ちょっと不安なのは、金属製のドアスコープが直接レンズにぶつかって傷付けてしまうこと。さーて、どうしてくれようかとフィルターを眺めながら思案していると、どうやらガラスは付けたままでも、巻段ボールを嵌め込めそうだということが分かってきた。

フィルターのガラスの前の部分には2mmぐらいのゆとりがあるから、巻段ボールを円形に切れば、うまく嵌め込むことができる。あとは真ん中にドアスコープを差し込む小さな穴を開ければいい。サークルカッターを使い、工作は簡単にできた。

テスト撮影してみたが、なかなか調子がいい。なにしろ円盤を一つ作ればいいだけだから、手軽でスマートだ。魚眼レンズというのはかなり高価なものだが、それがドアスコープ一つで出来てしまうんだから素晴らしい。

◇フィルター式魚眼レンズ
< http://kitschlens.cocolog-nifty.com/blog/
>

さて写りのほうはどうか? まず、このドアスコープが真鍮製なのだが、レンズ内部でも真鍮がそのまま露出しているので、思いっきり反射してしまっている。デジタルカメラのレンズ設計では、いかにレンズ内部での反射を抑えるのかということが重要だそうだが、反射が写りに及ぼす影響を学習するための、格好の教材となるだろう。

解像感も最低。携帯電話と比べれば画素数は相当に多いが、まあボケたような画像だ。有効画素数10.2メガピクセルが泣いている。しかし元より私は素晴らしい解像感なぞは求めてはいない。安っぽいレンズを使って、キッチュな味わいの写真が撮ってみたいというコンセプトなので、これは大成功だ。

今まで見たことがある、魚眼レンズで撮影した映像とはちょっと違った感じだ。何を撮っても世の中がドアスコープで覗いたような写真になるのだ(そのままやんけ)。ピーピングマニアには何か訴えるものがあるかもしれないな。

まあ、高価な魚眼レンズには相当負けるが、なにしろ安くて簡単に工作が出来るから、ちょこっと鼻デカ犬を撮ってみたいなんていう場合にも最適。これは遊びとしてやってみてもいいんじゃないかな。

【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇MD研究会の画像フォーラム
< http://community.imaging-park.jp/
>
◇ZEN STUDIO
< http://www.k5.dion.ne.jp/~color/
>

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■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト[124]
オークランド日記〜ベイエリアという場所〜

茂田カツノリ
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カリフォルニア州オークランド市にある顧客先を訪問し、一週間カンヅメ作業をしてきた。

サンフランシスコ湾周辺のいわゆるベイエリアは、IT産業の世界的中心地。およそIT業界に携わるものなら、ぜひここで仕事したいと思うような、いわば聖地だ。イスラム教徒にとってのメッカ、仏教徒にとっての金龍山浅草寺、鋳物屋にとっての川口、オウム信徒にとっての南烏山のようなものだ。

日系企業というわけでもないのに、太平洋を越えてお仕事いただいているのは、とってもうれしい。そしてアメリカの普通の会社と仕事することは好奇心の刺激になり、いろんな点で勉強になった。

なので今回は、そのへん行ってみて感じたことをいろいろと書いてみる。

●ベイエリア地域案内

ケーブルカーで有名なサンフランシスコ市は、観光客の多い街。日本はもちろん世界中に知られていて、飛行機もたくさん乗り入れている。しかし人口規模でいうとサンノゼなどのほうが大きかったりする。

サンフランシスコ市自体は半島になっていて、この周辺地域まで含めた範囲は「ペニンシュラ地区」と呼ばれている。

そしてそこからもうちょっと南に行ったところがいわゆるシリコンバレー。オラクル、アップル、FileMaker、Google、Adobeなどの著名なIT企業が揃っている。地元の人は「サウスベイ」と呼んでいるこの地区は治安の良さが特徴で、殺人事件発生率が日本並みという市もあり、雰囲気もなんだか落ち着いている。

●そしてオークランドというところは...

今回出張したオークランド市は、MLBのオークランド・アスレティックスがあることで知られている街で、サンフランシスコから湾を挟んで対岸に存在する。

「イーストベイ」と呼ばれてるこのエリアは、実は周辺でもちょっと怖いところと認識されている。今回訪問した会社の人も、「オークランドは怖いのでサンフランシスコに宿泊して、BART(地下鉄)で通ってください」「ここから日本まで行くのに一番危険なのが、事務所から駅までの徒歩です」といっていたくらい。

そして印象に残っているのが、17時になると一気に人が帰ってしまうこと。残業割り増しが1.5倍だから、とにかく帰らねばという雰囲気。そしてみんな家族が第一だからといっていたが、その点は僕も性に合いそうな気がする。そのかわり、朝は早い。

●Walnut Creekに見た格差社会

先方社長の奥様に、オークランドから郊外に向かった「Walnut Creek」という街に連れて行ってもらった。ここは結構田舎方面なところなのだが、BARTが通っていて通勤しやすいことから、近年急速に人気の上がっているそうだ。

ここの駅周辺には、アメリカには珍しくたくさんのお店があり、どこも新しくてきれいで、道をゆく人の身なりも良く、そしてホームレスはまったく見あたらなかった。実に高級感がある街で、家族連れて引っ越すならこういうところがいいなと思う反面、凄まじいばかりの格差社会の一面を見た気もした。

・Walnut Creek市のサイト
< http://www.ci.walnut-creek.ca.us/
>

●あっちでお仕事するという選択肢

日本が好きかアメリカが好きかと聞かれたら、僕はもちろん日本が好きと答える。でも、好奇心や向上心という意味からすると、アメリカで仕事し生活するということも、とても魅力を感じる。だから、ちょっと引っ越してみようかなあという思いもあったりするのだった。

特にIT系なお仕事してるなら、あっちで仕事するということも選択肢の一つとして考えてみるべきなんじゃ、と思う。スペシャルな能力が尊重される社会であり、日本語ネイティブというのもスペシャルだと認められるものであるし、ね。

今回、クルマで走っていたら偶然PIXARスタジオの前を通った。ここだって、あるいは他の多くの企業で、仕事したいならいつでも作品を送ってねと門戸を開いているから、チャレンジはぜひすべきだろう。

・PIXARの作品応募要項ページ
< http://www.pixar.com/companyinfo/jobs/howto.html
>

・FileMaker Inc.の人材募集ページ
< http://filemaker.com/company/hr/jobs.html
>

●イベント「FileMaker Fun Night! AppleStore銀座」
11月04日(土)18:00〜19:30(←土曜夕方6時スタートねっ)
< http://www.sevensdoor.com/event.html
>
FileMaker ユーザのためのマンスリーイベント「FileMaker FunNight!」。今回は「リレーションがなくっちゃ始まらない」と題して、FileMaker 7以降大きく変わったテーブル構造とリレーションを取り上げます。

●イベント「ファイルメーカー選手権」
毎日コミュニケーションズ主催で、FileMakerのテンプレートコンテストが開催される。毎月締切があり、その都度審査して月間MVPにはMacBookがもらえるという嬉しい内容。第1回の締切は11月15日だ。こういうのは周知される前のほうが競争率低いというものだから、ぜひ第1回締切を目指して応募しよう。
・ファイルメーカー選手権
< http://fmcontest.jp/
>

●書籍ご案内「FileMaker Pro大全」
< http://www.rutles.net/books/156.html
>
Geoff Coffey & Susan Prosser=共著/小山香織=訳/茂田カツノリ・蜷川晋・今泉みゆき・竹内康二=共訳・技術監修/定価:3,990円(本体3,800円+税5%)

【しげた・かつのり】shigeta@amonita.com
Webコンサルタント/プランナー & FileMakerデータベースデザイナー。
毎月恒例の「FileMaker Fun Night!」で、Skype使ってサンフランシスコから参加したのがウケたのをまだ自慢している41歳3児の父。次回イベントも、ウケ狙いだけの理由でサンフランシスコ行こうかな。ちなみにこの原稿は帰りの機内で書いている。ノースウエストのA330はエコノミーでも23列目まではAC100Vの電源が取れるので、実にありがたい。

[有限会社アモニータ(Web制作/プランニング/出版プロデュース)]
< http://www.amonita.com/
>
[有限会社レクレアル(FileMakerソリューション開発)]
< http://www.recrear.jp/
>
[Max_blog —“インターネット拾いモノ”でも執筆中]
< http://www.maxwald.co.jp/
>
[mixi —“永吉克之Fan☆Club”コミュニティ]
< http://mixi.jp/view_community.pl?id=94983
>

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■編集後記(10/26)

・チェルノブイリ原発事故からもう20年が経過したのか…。あの地域の放射能汚染問題も風化しつつあると感ずる。そんなときに、第13回読売国際協力賞が「日本チェルノブイリ連帯基金」に贈られるという新聞記事を読んで感動した(読売10/21)。この基金の理事長は鎌田實さん、あの「がんばらない」「あきらめない」など多くの著書のある現・諏訪中央病院名誉院長だ。旧ソ連ベラルーシの原発事故汚染地への医療支援と文化交流を目的に1991年に設立、これまで85回の訪問団を派遣、医療専門家による医療知識・技術の伝達と医薬品や医療機器の供与を続ける。こうした支援総額は6億円を超える。新聞記事には感動実話もいくつか紹介されていて、思わず涙ぐんだものである。読むべし。純粋に人道的見地から、15年の長期にわたって困難な活動を続けてきた医師、ボランティアの方々の努力に敬服する。読むべし。知らなかったが、この活動で鎌田さんは「信濃毎日新聞賞(国際医療協力)」「平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞」「永井隆・平和記念・長崎賞」などを受賞、また2001年にはベラルーシ共和国大統領より「フランチェスカ・スコーリヌイ勲章」を受章している。ノーベル平和賞はこういう方にこそ授賞すべきだ。鎌田さんの新しい著書「ちょい太でだいじょうぶ」を読まなくては。最新医学データを調べると、「ちょい太」(ちょっと太め)の方が死亡率が低い、免疫力が高く、がんにもなりにくいとわかり、自信を持ちなさいという内容らしい。すばらしい。安心させてくれる。やっぱり、ノーベル平和賞でしょう。(柴田)

・所幸則さんの講演を聞きに、成安造形大学に行ってきた。以前サインを貰い損なったというヘタレ後記を読んで、まつむらさんが背中を押してくださったのだ。内部学生対象の講演に、学校関係者でもないのに特等席で聞いてしまった。学生の時にこういう講演会があったら人生変わっていたかも〜と思ったなぁ。学生さんたちが羨ましい。第一線で活躍している人が、作品についての技術的なことから、現場の雰囲気、逸話、姿勢、コンセプトを話される。学生の質問にすぱっと回答される。リアルで説得力がある。私は所さんの作品を写真というよりは、絵画的に見ている。作品ができるまでの写真ゆえの苦労を解説されると、そうだった写真だった〜と思っちゃうぐらい。色や光、構図や世界観が好きなのよ。全国の写真・アート系大学や専門学校の皆様、携わる方々、所さんの展覧会や講演会を開催してみませんか。学生さんたちの全員はその価値をいま理解することはできないかもしれない。でも将来壁にぶつかった時、所さんの言葉を思い出すかも。片道2時間の旅。京都駅からはすぐの場所。近辺の方はこの機会にどうぞ。私は4つの電車とバスに揺られて小旅行気分。琵琶湖が見えた時ははしゃいでしまったよ。(hammer.mule)
< http://www.seian.ac.jp/event/artsite/artsite_2006.html
>  11/2まで

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CHIAROSCURO 天使に至る系譜
所 幸則
美術出版社 2006-02
おすすめ平均 star
starクリエイター必携!
star天使の世界へと旅する扉
star所幸則という写真家の世界観に圧倒される一冊。
starフォトグラファー、所幸則氏のエッセンス集
star天使に心を射抜かれます♪

by G-Tools , 2006/10/26