■映画と夜と音楽と…[355]儚くもろい美しさと凛とした強さ/十河 進
●宝の山で見付けた昭和三十八年公開の二作品
先日、週の後半になって体調を壊し土日は寝て過ごそうと思い、金曜日の帰りがけに秋葉原の石丸電気の邦画DVDのフロアーに寄った。まあ、本当に沢山の映画が並んでいて、宝の山に入った気分だった。黒木和雄全集だとか、大島渚全集などというものまである。
吉田喜重監督の作品もほとんど出ていて「ろくでなし」から「水で書かれた物語」「エロス+虐殺 ロングバージョン」まで並んでいた。かつて、それらの映画を見るために、地の果てのような名画座まで追っかけた頃は何だったのか、と思ってしまう。
三十年前、四十年前に、こんな時代がくるとは予想できないから、僕らは見たい映画を見るためには、相当な努力をしなければならなかった。しかし、先日、金城一紀の「映画篇」という書き下ろし短編集を読んだが、そこに出てくる主人公たちは、みんな見たい映画を求めてビデオショップへいく。

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