[2210] 二足ワラジ講師のオイシイところ

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<いつかプロ対プロとして仕事をしような>

■ネタを訪ねて三万歩[28]
 一セット三冊組12kgの限定本と、今さらのWindows XP
 海津ヨシノリ

■デジクリトーク
 二足ワラジ講師のオイシイところ 〜元非常勤講師の極私的ソーカツ(3)
 Rey.Hori


■ネタを訪ねて三万歩[28]
一セット三冊組12kgの限定本と、今さらのWindows XP

海津ヨシノリ
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●ネタの整理法(適当に絞り込む編)

ネタがないときのコラム原稿はどうしたらいいかで、いつも悩んでいた時期がありました。書ける時と書けない時の落差が大きいからです。多分コレを生業としているのであれば、それなりのリズムを掴んでいればいいのですが、そうではないから少々難しくなってしまうわけです。

そんなときは、とりあえず手当たり次第に事件や騒動、気になったこと、腹の立ったことなどをつらつらと書き綴ってみます。だいたいこれで一気に一万文字ぐらいになってしまいます。いつもの私のこのコラムのほぼ三倍です。そして、そこから消去法で、誤解されそうなネタや表現を削除するというわけです。そうしていくとだいたい1500文字ぐらいに縮小されてしまうので、その1500文字に肉付けをするというわけです。

これでとりあえず今のところ何とかなっています。かなりいい加減といえばいい加減ですが、色々と神経使っているのは確かです。まっ、だからと言って大した内容ではないので意味ない作業かもしれませんね。そもそも授業用の資料作成や仕事の書類作成などで、書き綴っている文章は、概ね毎週一万文字は軽く突破してしまうので、とにかく書き綴ることから始めないと先に進めません。誤字脱字誤変換の嵐ですが……。

●アマゾンで古書を検索

てなわけで本題です。前回アマゾンで本を買う話をしました。そのアマゾンでかなり古い本を衝動的に検索してみたら、ほとんど引っかかったのには仰天してしまいました。そして極め付けは、「それなら」と、小学校二年の時に影響を受けた折り紙の本をふざけ半分に検索したことです。結果は、当然しっかりと引っかかってしまいました。もちろん絶版品ですから、古書として誰かが売りに出さない限り手に入らない状態でしたが、激しく便利です。

昔、立原えりか全集の第一巻だけがどうしても手に入らずに、とうとう全てを手放してしまったことを思い出すと、今は入手できないものはないぐらいの状況かもしれませんね。もちろん、売りに出されたらの話ですけど。ちみに私は折り紙を手放すつもりはありません。私にとっての宝ですから。

ところで古書と言えば、連休中に実家から父の蔵書をかなりの冊数借りてきました。中でも父の蔵書中最大級の重量を誇る、一セット三冊組12kgの和紙に関する限定本は圧巻です。ということで、今回は合計40kgを超える本の山を借りてきました。

まだまだ父の蔵書は山盛りなので、気がついたら借りてこようと思っています。かなりマニアックな古い本や雑誌があるので、宝探しのような感じです。私も随分と本は溜め込んでいましたが、引っ越し毎に少しずつ処分してしまい、かなり情けない状態になっています。

古いといえば、ブックオフも実はけっこう頻繁に利用しています。車で数分のところにかなり大きな店があり、小まめに出かけることで掘り出し物を手に入れています。といっても、105円コーナーの文庫や新書が主ですが、一般の書店は本当に新刊しか置いていないので、気になっている本は小まめにメモしておき、いつでも探せるようにしています。でも、だいたい予定外の本を買ってしまうんですよね。ここだと。

本当は読みたい本が図書館にあれば一番いいのですが、最近の図書館は怒りが込み上げてくるほど利用者のマナーが悪く、ページが切り取られていることなど当たり前の状態を何度も体験するに至り、ここは本当に日本なのかと嘆きたくなります。

どうしてこんなに公共マナーが悪くなってしまったのでしょう。真面目に行動している者が気分の悪くなる世の中に、どれほどの未来があるのか本当に疑問です。しかし、それが今の日本の現実なのでしょう。

●今だからWindows XP?

さて、リリース直後から色々悩んでいたWindows Vistaですが、用途としては新しいマシンの購入ではなく、MacBook Proへのインストールでしたので熟慮の結果、あえてWindows XP Home Edition SP2を購入することにしました。

Vistaの場合は、最低のHome Basicでも20MBもハードディスク容量を必要とする(らしい)点が最大の理由です。私にとって、OSを使うのではなくてソフトウェアを使うことが目的だからです。

確かに新しい環境は魅力的ですが、とりあえず現状で二兎を追うつもりはありません。お金がかかり過ぎですから。更に、MacBook ProにWindows XPをインストールする最大の理由は、大学での講義のためです。メイン環境はあくまでもMacintoshですので、この選択は間違っていないと感じています。余力があれば専用のマシンを購入してもいいかもしれませんが、難しい問題です。

とにかく、時間が迫っていたのが最大の判断材料です。実は緊急で大学での用途とは別に、Windows環境での書類作成が迫っていたからです。確かに現在デスクトップ環境を持っていますが、五年近く使い続けているのでさすがにゴミが溜まって動作はカメ状態。さりとて、一発奮起でフォーマット後に再インストールすることも、いくつかのソフトウェアの常軌を逸したプロテクトの関係で躊躇しているわけです。

ということで、Boot Campをインストール後にWindows XPをインストールしました。そして、Adobe Creative Suite2をインストールし、アクティベーション処理をしている段階で「セキュリティー関連のツール」がないことに気がつき、処理を完了してから慌ててシステムをMacOSXに切り替えました。Macintoshと違ってセキュリティー処理は必須ですからね。

そして色々考えた末、Boot CampでWindows XPを忍ばせたMacBook Proで、私はメール処理の予定はないので、一般的なネット処理で問題が発生しないようにツールを探すことにしましたが、さすがに問題ない(だろう)とはいえ、Mac BookPro上のWindows環境なのでWindows Live OneCareで決め、ツールもすべてMS製とすることにしました。

しかし、一応正式対応しているはずのAirMacをなぜか認識してくれない悲しい現実。とりあえずAirMacを経由しない回線からEtherケーブルを引っ張ってきて、必要最低限のネットワーク処理を済ませたら、疲れが一気に出てしまいました。極め付けは、Photoshop用に作成していたパーティションが設定できなくなってしまったこと。まっ、このあたりはサポート外(現状では)のツールなので文句も言えずに苦笑い。

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●今月のお気に入りミュージック
"Tout tout pour ma cherie" by Michel Polnareff in 1971
 ※"cherie"の最初の"e"はアキュート・アクセント ( ´ )
"Raindorps Keep fallin' On My Head " by B.J.Thomas in 1961
"Listen to What the Man Said" by Paul McCartney & Wings in 1975

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●来月(6月18日19時より)のアップルストア銀座のセッション
Made on a Macとして画像処理セッション
『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol.11 絶対に外せないデジタルメイクアップ技法2/メンズ編』を行います。予約無用・参加無料です。
< http://www.apple.com/jp/retail/ginza/week/20070617.html
>

【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター

Adobe Creative Suite 3日本語版がリースされました。既に多くの方がコメントしてますので私は省略しますが、Adobe製品のほぼ全てがCreative Suite化してしまったのは驚きですね。そしてGoLive、ImageReady、FreeHand(Studio 8で既に外れていました)が外れてしまったのは仕方のないことなのでしょう。

最初のCreative Suiteがリリースされてから既に3年半。時代の流れを感じます。私自身も既にCreative Suiteすら忘れかけています。ですからそれ以前の環境に関して質問されても正確に答えられないだろうな〜といった状態です。

と、ここまで書いていたら、5月16日にFreeHandは現行のFreeHand MXで開発は終了と、Adobe社のPhotoshopの開発責任者John Nack氏が自身のBlogでコメントしてしまいました。残念ですが、これで一つの時代が終わってしまいました。

が、感傷に浸っている暇はなく、今年はFlashやAfterEffectsを今まで以上にドップリと使い込んでみようかと計画中です。特にFlashは、Macromedia時代と異なりIllustratorとのデータ互換が高くなっている分だけでもワクワクしてきます。

yoshinori@kaizu.com
< http://www.kaizu.com/
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< http://web.mac.com/kaizu/
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■デジクリトーク
二足ワラジ講師のオイシイところ 〜元非常勤講師の極私的ソーカツ・その3

Rey.Hori
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講義をするのは手間がかかる。人前で喋ることへの適性(*7)を別にしても、講師を引き受けるにはその覚悟が必要だ。資料やハンドアウト、作例も用意しなくてはならないし、通勤時間も入れれば拘束時間は意外に長い。しかもCGの講義は他の美術系の講義と違って、アプリやOSのアップデートがあると色々作り直しになる。本業の制作仕事があるなら、そのほうが経済効率は高いと断言できる(よほど羽振りのいい学校はともかく)。でも、メリットがないわけではないので、二足ワラジ講師のオイシイところを。

◇(それでもある?)講師のメリット

・講師のメリット(1)運動不足(のささやかな)解消
どんなに講義が不毛でも、学生がスカポンでも(笑)、筆者のように電車通勤ならこの点はカタイ。なるべくエスカレータを使わないようにしてたし。そんなの運動のうちに入らないと言われればそうなのだが、日に十何時間もマシンの前に座りっぱなしで一週間、というのに比べれば週に何回か講義に出かけるだけでも十分に効果的なのだ。その証拠に講師を辞めた途端、運動不足による足腰の弱りに悩んでいる。散歩でもすっかな(老)。

・講師のメリット(2)引きこもり解消
上記の項目に似ているが、例え自動車通勤でもこのメリットはある。本業仕事が煮詰まっていたり、火を噴いていたりしても、それで講義をスッポカすわけにはいかないので「えーい」などと言いつつ出かける。ある意味「出かけさせられ」ているわけだが、講義前後の時間にアイデアがポンと出たり、いい具合に吹っ切れたりすることが多かった。人間、やっぱ引きこもっててはダメなのだ(*8)。

・講師のメリット(3)社会的信用
筆者は講師生活期間中に一度引っ越した。借家から借家への引っ越しだったので、不動産屋から信用確認のためと称して、やれ代表的なクライアントのリストだの、過去数年分の確定申告書のコピーなどを求められて閉口したのだが、その中でものすごく効いたのが非常勤講師の肩書き。意外というか、なんじゃそりゃというか。

・講師のメリット(4)理解の再確認
筆者の場合、学生たちに教えていたのは3Dにせよ2DにせよCGの基礎の基礎。教えていることそれ自体が自分にとって未知の領域になることはなかったのだが、系統立ててなるべく分りやすく学生たちに説明しようとすると、ちょっとでも理解の曖昧なところがあるだけでシドロモドロになったり、説明の流れがうまくできなかったりする。少なくとも、教えようとしている範囲内について、自分の理解を再確認できるのだ。

・講師のメリット(5)精神衛生
(2)に通じるかもしれないが、他の講師や助手さんたち、職員の方と話す、学生たちと喋る、のは単純に気晴らし/気分転換になる。「元気をもらう・力をもらう」という言葉は好きではないが、まあそんなところ。講義のマクラで学生相手に仕事の愚痴を言ったりとか(って、これは問題アリ)。

・講師のメリット(6)アカデミーディスカウント(なかったけど)
他の学校で講師をされている方に話を聞くと、これが使えるオスミツキがもらえるらしい。この言い草でお分りの通り、筆者のいた学校には非常勤にそういうものはないらしく、個人的にはメリットなし。せいぜい学生たちに「学割が効くうちに欲しいアプリは買っておけ」とアドバイスした程度(泣)。

・講師のメリット(7)長いつきあい?
まだ講師を辞めたばかりなので、教えた学生たちと長いつきあいができるかどうかはサンプル数と経過時間が少なくてよく分らない。でも何年も前の卒業生からいきなり電話で「先生、助けて下さい。今仕事で使っているIllustratorで……」なんてな緊急質問電話があったりするのは、かなり嬉しい。また、これもサンプル数はものすごく少ないが、クライアントに就職した卒業生と仕事の打ち合わせをするのは最高に嬉しい。いつも各期の最後の講義のしめくくりに「いつかプロ対プロとして仕事をしような」ということを(我ながらキザだけど)言ってたのが実現するのは、講師という仕事で多分最高の至福の瞬間かもしれない。

*7:この適性、筆者についてはむしろ低いものと思っている。毎期、最初の講義前にはナーバスになったし、学生がドッと沸くような面白いことだって言えないし。

*8:最寄り駅から学校までのバス道はイチョウ並木で、季節の変化が楽しかった。学校の立地によってはこういう楽しみもある。これも引きこもっていては味わえない。

【Rey.Hori/イラストレータ】reyhori@yk.rim.or.jp

講義に行かなくてよくなった時間をオリジナルの制作と、あとは自分の勉強に充てようと思った。AS3にApolloにカラマネに etc.……でも仕事上の必要に迫られないとなかなか勉強しないんだよなー。学生たちのことをエラそうには言えないなー。3DCGイラストとFlashオーサリングを中心にお仕事をお請けしてます。
サイト:< http://www.yk.rim.or.jp/%7Ereyhori/
>

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■編集後記(5/30)

・夕食でビール飲みながらテレビ見ていて思う。こんなありえない組み合わせがよく通用しているなと、ずうっと前から感じているのは島田紳助と教育関係のCMである。たしかに絶妙な仕切りを発揮する、芸人としての突出した才能は認めるが、容貌をふくめた全体の雰囲気は、知性とか教養とか勉強とか受験とか知育とか品性とか、そういったものとはかけ離れている。だから反面教師的な笑えるCM内容かというとそうでもなく、模範的な教育パパみたいな演出なんだから(本人がそうなのかどうかは知らん)そりゃないだろう、誰も支持しないだろうと思うが、長いことCMが続いているのでその会社としては本気なんだろう。でもCMつくっている人たちは、バカバカしいと思っているだろうな。最近のありえない組み合わせは、仲間由紀恵とインスタントラーメンだ。あの豊かな髪を顔の左右に垂らしてラーメンをすするシーンは、ぜったいにぜったいに美しくない。食べるシーンさえなければいいけど。髪の毛と食品の関係って微妙だ。例の長髪をぶん回して妙なアクションする学者タレントが、ある番組の試食コーナーで、できあがった料理の上で髪をぶん回したときには「こいつは死刑だ」とテレビに向かって宣告した。わたしが料理長だったらぶん殴るよ。ありえないことと断言はできないが、ほとんど架空の世界と思えるのが高島礼子の日本酒のCMだ。最近はたしか「見てたのね」とかいうの(夫が美しい妻を見とれていたという設定か)。CMを確かめようとサイトに行ったが、ポスターしかなかった。とにかく、いまどきこんな妻がいるものか、ありえない、しかし欲しいわ(笑)。必ず「こんなヨメいないぞ」と言いながら、妻の目を盗んでけっこうしっかり見てしまう。(柴田)

・今朝から雨。今の気持ちだと雨がありがたい。雨音を聞いている。/昨日の補足。真面目に語らないといけない事件ってあるよね。犯罪に限らず、たとえば景気の話なら、頑張っているワーキングプアより刑務所の中にいるほうが体に良い美味しいもの食べられるとか、年金よりも生活保護をもらった方が良い生活ができるとか、物を作り出す人たちよりも、それを転売(中古)する方が利益率高いとか。談合や海外情勢だとかいろいろと気にはなるし、これを適当な話題で誤摩化してはいけないとは思う。少年犯罪は実は減っていると聞いた時には驚いた。増えているように感じているのっておかしいよ。世の中どんどん悪くなっているのだと思っていた。楽しい話題やニュースだってあるはずだ。コメンテーターの煽るような主張よりは、たんたんと事実だけを流してもらった方がいい。楽しく感じられるものがもっと流れて欲しい。未来を信じたい。/確かに図書館で書き込みのある本を借りる羽目になった時は怒りが。論文もどきのレポートのためだったので、怒りつつも読んでいたら、大事なところには全部線が引かれていて、ほほぅと関心したことはある。いやぁレポートが楽だったよ(笑)。あ、見当違いなところに線が引かれてある本なら、わからないのに書き込みするな〜と逆に怒りがこみ上げる時も。手書き傍線があると意識が分散され、わかったつもりになって自分で考えなくなっちゃうんだよなぁ、私の場合。(hammer.mule)
< http://kogoroy.tripod.com/hanzai.html
>  少年犯罪は急増しているか
< http://www.n-seiryo.ac.jp/%7Eusui/news/toukou6.18.html
> 増加、凶悪化?
< http://ja.wikipedia.org/wiki/
>  「少年犯罪」で検索
< http://ameblo.jp/hiromiyasuhara/entry-10011113761.html
>
少年犯罪報道急増化データ