■Episode of ガテン系デザイナー[3]チョー多忙で時間がないというクライアント/相子達也
●いわゆる「業界人」みたいな人がクライアントになると
北関東にもいまは懐かしい所謂「業界人」みたいな人がいます。やや長めの髪、上から下まで黒い服、靴もクロでぴかぴか、おまけに肌まで黒い。腰や手首などにジャラジャラなんか付いてます。私の苦手なこんな人がクライアントになることもしばしば。本日はちょっとしたデザイン物と携帯サイトの打ち合わせです。
このときくれぐれも注意が必要なのが相手の言葉を鵜呑みにしないことです。鵜みたいに後で吐き出せるなら大丈夫です。自分で変換出来ない場合は、その筋に詳しい通訳を同行させましょう。また特徴的なのが、関係ない話が打ち合わせのほとんどを占めるという非効率さが顕著な点です。
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「お世話になります。早速ですがこちらの資料から…」
言い終わらないうちに勝手に話し始めます。
「最近どう? いや忙しくてもーまいっちゃうていうかチョー多忙で時間がないんだよね」
忙しいということですね。
「ほらあのタレントの○○と一緒にプロジェクトやってさー」
遠巻きに見てただけですね。
「ボクが言えばすぐよ。アポとっとく?」
実現した試しがないです。
「そういえば前ボクがやったビッグな企画(筆者注:笑うところ)の話したっけ?」
聞きたくないです。
「ボクね取引先別に携帯4台持ってんだけどねー」
どれが鳴ってるかわからなくてバックの中探さないように。
「この間もデカイ金が動いたよね。もうちょいで億? みたいな」
人のお金です。
話はひたすら脱線をつづけて線路がどこやら駅がどこやら踏み切りはどこにいったの指さし確認したのか乗り換えはあるのか精算すんの忘れるなよでダイヤは大混乱。そして我々は乗せてもらえず、最終に乗り遅れてどっと疲れがでた時のような徒労感の中打ち合わせは進む。
最後に「…という機能でいいですね?」
「うーんなんだっけーなんかよくわかんないねー」
ああやっぱり。
「できたらみせてよ。まかせるからアッハッハ」と退室。
………なんという時間のムダ。
こんな彼と携帯番号を交換すると、ものすごい勢いでどうでもいい電話がかかってきます。後フォローも大変。
「あ、ボクだけどさこの間の話? 仕事の出来る子いっぱいいるんだけどさ」
んじゃいますぐ連れてきてください。
「ボクの身体が空かないのよ」
その子達だけ来ればいいんでないの。
「う〜ん。明日じゃダメ? あ、明日埋まってるな。えーと」
なんで電話してきたのかと。忙しい自慢なのかと。暇つぶしなのかと。
●建設現場報告 掘ったらわかる
建設現場ではよく穴を掘ります。とにかく掘りまくります。そのための機械も沢山あります(そんな機械関係の話は後日)。
マンホールを設置するときは、深さ5メートルとか普通に掘っていきます。そうするとよくわかるのが、その土地の地盤構造です。つまり、地面の下にどんな性質の土があるのかがわかります。堅くて掘れない岩盤のようなものから、砂が多く掘ったところから崩れるもの、粘土質でベッタベタのもの、昔は沼だったとかで「葦」の根が積み重なってふわふわのもの、などなど。
あまりにひどい土質だと思わず付近を見回ったりします。これが原因で、建物や道路にひび(穴を掘る上に大きな機械が動いてますから)が入ったりするので事前に写真を撮っておきます。つまり苦情対策ですね。ここでもクレーマーとの戦いが勃発することがあります。
ある新興住宅地でのこと。掘り始めるとなかなか良い土質でしたが1.5メートル辺りから水抜きの砕石層が出てきます。この層の中にパイプを通して地下から上がってくる水を排出するようになっていました。「ははぁ、この辺りは地下水位が高いのか」と思いつつさらに掘り進んでいきます。砕石層を30センチほど超えるといきなり土質が変ります。まるで堅めのヘドロみたいな粘土です。パワーショベルのバケットにはり付いてなかなか落ちません。はずれると一塊の粘土のままダンプの上にドッパーン。付近に粘土が飛び散ります。「総員退避ー」驚いたことに地下4.5メートルまで掘っても粘土のままでした。
聞くところによるとここは昔、大きな沼だったそうで何度か洪水が起きて土砂で埋まりその上で耕作をしていたようです。その後開発されて住宅地として造成されたとのこと。昔の面影は全くなくなってしまったそうです。
こんなところに家を建てるのかと聞かれれば「私はそんなチャレンジャーじゃないです」と答えるほど問題のある地盤でした。例えて言うなら豆腐の上にキッチンペーパーを敷いて、その上に家を建てているようなものです。絹ごしだとやばいです。せめて厚揚げぐらいの強度があれば、いや高野豆腐なら……すみません。
欠陥住宅も問題ですが、地盤調査をちゃんとやらずに建ててしまうのも怖いです。地震で揺すられたり豪雨で水位が変った時に液状化や地滑りなどまずいことになります。最近は事前に調査されていることが多くなってきてますが、まだまだほったらかしのところもあるようです。
地盤が悪いと地盤改良したり基礎工事を増強する必要がでたりで、設計変更になってしまう(費用がかさむ)ので、家を建てる予定があるなら絶対に地質調査をやってもらいましょう。「いままでは大丈夫だった」が通用しないのは報道の通りです。
【あいこたつや】aitatz@gmail.com
災害のニュースが多いですね。地震や先日の台風など被災された方々にはお見舞い申し上げます。ありがたいことに今までのお付合いであちらこちらから仕事をいただいています。色々なつながりが大切なんだなぁと再認識。
もちろん、どんなクライアントさん(笑)でも大歓迎です。
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