[2303] 二つの夢が実現したCintiq12WX

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<三刀流(Vista、XP、MacOSX)免許怪伝>

■グラフィック薄氷大魔王[110]
 以前から冗談みたいに言ってた二つの夢が実現
 液晶タブレット Cintiq12インチ
 吉井 宏

■ネタを訪ねて三万歩[33]
 FlashやMotionネタで映像処理に火がついたかも
 海津ヨシノリ

■セミナー案内 JPC定例セミナー
 「DTPからWeb制作へ:業務領域を拡大/転換しよう!」
 〜グラフィックデザイン・DTP業界向け「Web制作講座」〜


■グラフィック薄氷大魔王[110]
以前から冗談みたいに言ってた二つの夢が実現
液晶タブレット Cintiq12インチ

吉井 宏
< https://bn.dgcr.com/archives/20071031140300.html
>
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先週、Cintiq12インチのプレス発表会でデモしました。準備のため一週間ほど借りて使ってました。せっかくなので個人的な感想と、会場でしゃべったことを混ぜてまとめてみました。

これは、以前から冗談みたいに言ってた二つの夢が実現した製品なのです。「タブレットPCのフタの製品化」&「intuosの描画面が液晶になった」。

●小型で手軽

タブレットPCのフタっていうか液晶部分で、あんな薄さと小型化を実現できてるんだから、そういうのを作ってよ〜、WACOMさん。って感じだったのです。今までの液晶タブレットは、たいてい据え置きとして使うものだけど、Cintiq 12なら本棚にでも突っ込んでおいて、使いたいときに引っぱり出して使えるし、片付けも簡単。

今までは本体サイズのデカさのために、必要なときだけちょっと出して使うってことがほとんど不可能だった。いつも机の上を大きな液晶タブレットにど〜〜んと占有されるのは、僕の使い方からするとちょっとしんどいと思っていたので、この手軽さはうれしい。

欧米では、タブレットは手に持って使ったり膝の上で使うことが多いらしいですが、それも想定されてデザインされてるそうです。

また、液晶タブレットを持ち歩くなんて、タブレットPCを除いて完全に不可能だったけど(本体サイズは小さくても、ケーブルやコントローラがゴチャゴチャついてるのですが)、ケーブルを含めて2kgならノートパソコンと一緒に鞄に突っ込んで持ち歩くことが可能。

液晶タブレットは近くで見るものなので、解像度が粗いと描きにくい。12インチじゃ小さすぎると思われるかもしれないけど、目から15センチ先の12インチ液晶はけっこう巨大。表示は1280×800ドット(注)、近くで見ても緻密に感じます。大きな液晶タブレットでは腕全体を使って描くのに対し、12インチではシャープペンシルでノートに描くように使えます。以前、「10インチかそこらのタブレットPCで絵を描くのは無理」と言ってましたが、タブレットPCとCintiq(中身はintuos)のタブレットユニットは性能がぜんぜんちがいますので念のため。

●マルチディスプレイ切り替え

ずっと冗談で「intuosの描画面が液晶になってたら最高だな〜」と言ってきたことが実現。サイズもデザインもまさに新型intuosと言われても違和感がない。小型なことももちろんですが、マルチディスプレイや描画範囲の切り替えがボタン一つでできるところがキモ。普段はintuosのような別モニタ+板タブとして使い、絵を描くときなどここぞというときにポチッとボタンを押して液晶タブレットとして使うことができる。で、またボタン一つで通常の作業に戻れる(僕の場合、試用中に接続していたのがモニタ出力が一つしかないMacBook Proなため、仕事で使う場合にどんな具合か未検証)。

●スクロール・ズーム

intuosやCintiq21インチのようなファンクションキーやトラックパッドがついてます。僕的にはキーボード・ショートカットに慣れてるため、それほどありがたみを感じなかったのだが、実際、単にスケッチをものすごい勢いで大量に描くような作業や、PainterやPhotoshopでじっくり描き込みするときに便利なようだ。

●裏のボッチ

底面の真ん中に白いゴムのボッチがついてます。これ、賢いなあ〜と思いましたよ。Cintiq12インチはスタンドを畳んで平らに置けるのですが、このボッチを軸にクルクル回せます。つまり、紙の角度を変えながら描くことが、こんな簡単な仕掛けで可能に。

……ところで、液晶タブレットはもう7年くらい使ってて、絵を描く仕事のときには欠かせないです。画面に直接思い通りに描けることはもちろん、とにかく速く描けるところがいい。締め切り前のラストスパートで一週間分の作業を一日で、みたいな使い方をしてました。まあ、最近は仕事が「絵」じゃないことが多いので、それほど常時使ってるわけじゃないですが。あと、Cintiq17インチのドライバが特殊で、他のタブレットと共存できないという理由もありました。

また、液晶タブレットに完全に慣れちゃうと、普通の板タブで描けなくなるのがクヤシイというのもあります。板タブは、いつも描いていないと感覚がどんどん鈍ってしまうのです。そもそも、机の上に大きな液晶タブレットをセッティングするのが面倒だったことが、使わなくなってきたおそらく一番の原因なのですが、Cintiq12は、使いたいときだけちょっと使うみたいな気軽さがいい。こんな製品を待ってました。ちょっとヨイショ記事っぽすぎるけど、でもホントです。

WACOM Cintiq 12 WX < http://cintiq.jp/product/cintiq12.html
>

(注)1280×800ドットの解像度をサポートするマシンでしか、比率を正しく表示できないので注意が必要。現行Macではほとんどオーケーなはずだが、PCではサポートしないものもある(ビデオカードのドライバを最新にすると大丈夫な場合があるそうです)。

【吉井 宏/イラストレーター】hiroshi@yoshii.com

Mac OS X Leopard。今まで必ず発売日にインストールしてきた僕にしてはめずらしく、まだ未購入。もちろん真っ先にメインマシンのMacBook Proにブチ込みたいところなんだけど、タイミングが悪い。いくつかのアップグレード版を入れたばかり&届くの待ってる最中なので。あと、Leopardを待ってマシンのBootCampのXPを含むリカバリー&アプリ環境の全再構築、あるいはHDDの増量載せ替えをするつもりだったけど、ちょっとそこまでの大作業を今やる気にはなれない。アクティベーションが必要なソフトが多いし。また、BootCampのXPもついでになんとかしたいので、セッティングの手間が二倍(今までのBoot Campベータは使用期限がLeopardリリースで切れたため設定変更などができないそうだ。インストール済みのXPを使い続けるのは問題なし)。じゃあ、サブマシンのMacBookに入れればいいかというと、ウイルコムの通信カードがLeopard対応になってくれないとダメ。これはたぶんかなり先。ちょっとずつやるような作業じゃなくて、全部いっぺんにやらないと仕事が止まっちゃうんで大変。年内には入れたいな〜。

HP < http://www.yoshii.com/
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■ネタを訪ねて三万歩[33]
FlashやMotionネタで映像処理に火がついたかも

海津ヨシノリ
< https://bn.dgcr.com/archives/20071031140200.html
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セミナーの内容はほとんど自分で作成していますが、年に数回ほどは内容にかなり細かい指定が入る場合あります。それらも含めて台本作りは色々と苦労しています。一日ぐらいで一気に整理できてしまうときと、一か月でもまとまらない場合もあり、それらは毎回予想できません。大切なのはアイデアなのですが、素材探しもかなり大変なのは確かです。何度も行っているために発生する、悪い意味での麻痺は本当に怖いです。常に初めて行うという姿勢は持ち続けたいと肝に銘じています。ですから、アップルストア銀座でのセッションはよい刺激になります。

●Motion3で止めの一撃を食らったが

そんなアップルストア銀座でのFlashやMotionネタで、中断(一発芸的な仕事は継続中)していた映像処理に火がついてしまいました。もちろん他でも色々と怪しい事をしていたのですが、特に作品がメディアを騒がせるといった事もなかったので、表向きにはいつもの「変なおじさん」でした。もっとも、ハマると暴発するので「危ないおじさん」かもしれません。

とりわけAppleのMotionは癖になっていますが、Motion3で止めの一撃を食らったという感じですね。しかし、こんなにコストパフォーマンスが高いソフトなのに、Appleはどうして単独販売をやめてしまったのでしょう。確かにFinal Cut Proとの連携は不可欠かも知れませんが、これはこれで単独でも思いっきり使えます。なにより機能の割に低価格だったのが印象的。

複雑なことが出来るかわりに、インターフェイスがグチャグチャだったりしたら意味ないですからね。特にモーショングラフィックスは動画と静止画の中間のような、新しい世界なので、是非とも単体での販売を再開してもらいたいと切望しています。あるいは、Final Cut Express HDにサブセット版をバンドルして欲しいです。なんて書いていますが、7月以降の使用頻度は圧倒的にWindowsなのです。そんなわけで現在は三刀流(Vista、XP、MacOSX)免許怪伝(正しくは「免許皆伝」ですが、これは意図的誤変換)状態です。

●Motionのアイコンが地球ゴマなのはどうして?

ところで、Motionのアイコンが地球ゴマ(ちきゅうごま)だということが随分気になっていました。地球ゴマは、フランスの物理学者レオン・フーコー(Jean Bernard Leon Foucault /Leonのeはアキュート・アクセント[´]付き/Sep.18, 1819 - Feb.11, 1868)が発明(正確にはシステムの命名であり、原理の発明は彼の後)した、ジャイロスコープの原理を基にした純国産のオモチャだからです。

男の子だったら誰もが一度は買っているはず。USでもポピュラーだということなのでしょうね。調べて見ると、名古屋で大正10年(1921年)に創業した株式会社タイガー商会がその年にリリースし、6年後の昭和2年(1927年)にはアメリカに輸出され、世界的に広まったそうです。とんでもない昔からあったのですね。

最盛期は昭和30年代から40年代(1960〜1970年代)で、かなりのバチものが横行したようです。私が買った(正確には弟が買った)ものは株式会社タイガー商会という名称が面白く記憶に残っていましたので、恐らく本物だったと思いますが、自信はまったくないです。なお、本物は職人の手による手仕事で現在も製造されているそうです。

●iLife'08、iWork'08は、パワーアップしすぎ〜

とにかく、ささやかな仕事とは別に、私は私なりの変な使い方を研究中で、ある程度定期的にMotionネタをApple Store Ginzaで行う予定です。もっとも映像処理には音響も不可欠なので、苦手なこの分野はなんとかGarageBandとSoundtrack Proで克服といった感じです。最近は真剣に小型のキーボード(鍵盤だけの電子ピアノもどき)が欲しくなっています。そして、Final Cut Pro6も交え、画像処理した素材を怪しく動かすのもなんだか贅沢な遊びみたいですが、モノづくりって、本人が楽しいと感じないと、リズムに乗れないですからね。

あっ、GarageBandで思い出しましたが、iLife'08、iWork'08は、パワーアップしすぎぐらいの大盤振る舞いですね。GarageBandは更にマニアックになっていますし、iMovieはヤバイくらいに簡単。そんな中、特にiWork'08から加わったNumbers'08は流石だと感じました。普通(大多数)のユーザーはこれで十分。余計な機能は百害あって一利なし。ただし、Microsoft Office 2008 for Macが年明け早々にリリースされると発表になったので、Word欲しさに一番安いファミリー&アカデミックは買ってしまうでしょう。アップデート出来る事を祈りつつ。

なにせWordは、好き嫌いに関わらずデファクトスタンダードですから。もっとも私はMacintosh版のWordしか世の中に存在していなかった頃(漢字TALKが出る前)に、SweetJAMで日本語化し、かなり使い倒していましたので、基本的に嫌いではないです。最近は仕事の元データがコレで、かなり苛められていますが……。

で、話を戻すと、iWork'08のKeynoteは色々なシーンでかなり使い込んでいますので、新機能の「アクションビルド」「インスタントアルファ」「スマートビルド」は既に癖になりつつあります。どうしてメインがMacintosh環境なのかと質問されたら、「Keynoteがあるから」と即答するでしょう。それほど気に入っていますし、重宝しています。でも、この原稿の草稿はWindows Vista上のMS-Office Word 2007で書いています。

●大容量のハードディスクを買う必要が

しかし、今回は少し誉めすぎてしまったかも知れませんね。買うのはLeopardが出てから(既にリリースされましたね)でも良かったのですが、やはり我慢できませんでした。もちろん気になっている点も有ります。例えばiPhotoはデータを溜めるとハードディスクを圧迫します。空き容量不足で、Final Cut Studio2をフルインストール出来ずにデータを整理していて、iPhotoのオリジナルデータフォルダが30GBもハードディスクを圧迫していることを知り、かなり仰天してしまいました。データ数6000カット程です。今回のバージョンで取り込みファイルを選別できるようになりましたが、やっぱりLeopardを入手したら容量の大きいハードディスクを買う必要がありそうですね。

ところで今思い出したのですが、地理的に一番近いアップルストア渋谷店に私は一度も出かけたことがありません。別に避けているわけではないのですが、かなり妙な現実です。何度もあっち方面には出かけているのですが、思い出そうとしても視野に入った記憶がないのです。これって都市伝説になるかな?都市伝説と言えば、マイクロソフトストア銀座とかあったら面白いのに。真面目に協力しちゃいますよ。なぜかWindowsがらみで、グラフィックに関わるセッションの話をあまり聞かないので、逆に不気味なのです。

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今月のお気に入りミュージック
"Till There Was You" by The Beatles in 1963, Original by Meredith Willson in 1957
"やりきれない気持ち" by キャロル in 1973
"時間よ止まれ" by 矢沢永吉 in 1978
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◇来月(11月12日19時より)のアップルストア銀座のセッション

Made on a Macとして画像処理セッション『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol.16』IllustratorとPhotoshopによるパズル遊び』 IllustratorをベースにPhotoshopも組み合わせ、ユニークな幾何学模様などの作り方を整理してみます。単純な図形も、ほんの少しの工夫でユニークなグラフィックイメージに生まれ変わります。難しいことを考えずに、まずは四角形や円からデザインを始めて見ましょう。Motionなどにも活用出来ます。予約不要・参加無料。
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【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター

大学で随分前から気になっていた授業のひとつに、「人間関係と芸術」という参加型またはグループワークによる講義があります。担当の先生とは雑談を交わせる仲。なにより、私の授業時間とは重なっていない幸運に導かれ、聴講させていただくことにしました。過去には、かつての恩師の授業を聴講したことはありましたが、そうではないケースとしては初めての経験です。

ところが、聴講するよりも参加したほうが面白いので、是非という言葉に甘え、グループ分けされた学生達に紛れ込み、当日の授業内容であるスクイグル法により、クレヨンで絵を描くという時間を過ごしました。一部の学生が私の授業を履修していたのでかなり「何がどうなっているのか?」状態でしたが、話し込むうちにフランクな関係になり、ほとんど私は「この空間」が気に入ってしまいました。

一方的に話すだけ、あるいは質問してくる生徒に対して個別に対応するだけでは、一方通行でしかないように感じていました。もちろん、そんなスタイルを否定しているわけではありません。しかし、相互に本来のコミュニケーションが成立した上で、「その先」について何かをお互いに求め合うといった雰囲気は大切だと、改めて痛感したというわけです。あまりにも当たり前のことなのですが、ついつい日々の流れの中で麻痺してしまい見落としてしまうことです。

そんなわけで、年度末までこの授業に参加することにしました。本当は他にも色々と聴講したい面白い授業が山のようにあるのですが、諸般の事情で今季は断念で残念〜。何かチャンスがあれば、美術系以外の大学の専門外の講義を覗いて見たいものです。

yoshinori@kaizu.com
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< http://web.mac.com/kaizu/
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■セミナー案内 JPC定例セミナー
「DTPからWeb制作へ:業務領域を拡大/転換しよう!」
〜グラフィックデザイン・DTP業界向け「Web制作講座」〜
< http://www.jpc.gr.jp/jpc/seminar/071106.html
>
< https://bn.dgcr.com/archives/20071031140100.html
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いまや、広告・販促プロモーションにWebは欠かせないものになっています。クライアントから、グラフィック制作とWeb制作を同時にオーダーされることも珍しくないことでしょう。また、ここへ来て制作環境の移行が加速しており、Mac OS9からOS Xへ、G4からMac Proへ、そしてアプリケーションはAdobe Creative Suite 3へとバージョンアップを行い、『印刷やWeb、インタラクティブパブリッシング、およびモバイルパブリッシングに対応する、デザイナーにとっての夢のツールキット』を入手している方も多いでしょう。

しかし、ツールだけが進化しても、これまでグラフィックデザイン・DTP制作を生業としてきた人が、Web制作ができるようになるかというと、決して簡単な話ではありません。紙媒体とWebとでは「常識」からして違います。一方でWeb業界では、グラフィックデザイン業界のノウハウや編集スキルを発揮できる人材が、もっともっと必要とされているという現状もあります。いまがチャンスです!

今回のセミナーでは「DTPからWeb制作へ」業務領域の拡大、転換を考えている方を対象に、株式会社スイッチ代表、鷹野雅弘氏を講師としてお迎えし、グラフィックデザイン・DTP業界向け「Web制作講座」を開催いたします。

◎主な対象者
グラフィックデザイン・DTP業界のデザイナー、オペレーターで、これからWeb制作を取り組もうとされている方
グラフィックデザイン・DTP業界の経営者、管理職で、Web制作への業務領域拡大、転換を考えている方
Web制作をかじってはいるが、改めて基礎からちゃんと勉強したい方

日時:11月6日(木)13:30〜16:30(13:15〜受付開始)
会場:アップルジャパン株式会社セミナールーム(東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティータワー32F)
< http://www.apple.com/jp/employment/overview.html
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参加費:無料(JPC会員限定)
※非会員の方は会員になって頂くことで受講できます。入会のご案内はこちら。
< http://www.jpc.gr.jp/jpc/join/index.html
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講師:鷹野雅弘(株式会社スイッチ代表)
DTPを基軸に、1996年に制作会社をスタート。その後、Web制作、コンサルティング業務に少しずつシフト。トレーニングやテクニカルライティングなどにも意欲的に取り組む。Web標準を取り巻く状況にスポットを当てるCSS Nite主催。著書『Illustrator CS2完全制覇』(翔泳社)、『Dreamweaverプロフェッショナル・スタイル[CS3対応]』(毎日コミュニケーションズ、共著)他多数。

→鷹野雅弘氏のコラム。バックナンバー
< https://bn.dgcr.com/archives/16_/
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■編集後記(10/31)

人妻魂・嵐山光三郎「人妻魂」(マガジンハウス、2007)を読む。「文人悪食」「文人暴食」など、意外なアプローチから文人を解剖した痛快な作品の流れを期待していたが、テーマとしては平凡な「明治、大正、昭和の人妻史」で、わりと軽い内容だった。「ダカーポ」に連載されたものだから、ひとり4ページで収まっており、やや食い足りない感じもある。でも、この人の得意な調査が行き届いているから、じつにおもしろい。先輩から譲渡された人妻、男を惑わす魔性の人妻、華族出身の乱れ人妻、さびしい美貌人妻、ふしだらなインテリ人妻、男を渡り歩く豊満の人妻などなど、53人もの人妻は個性あふれたキャラクター揃いで、普通の男ではとても太刀打ちできない。やはり、かたっぱしから女性を食い物にしてきた輩の多い、文人というある種人外の存在でないとつきあいきれないだろう。作者は「昔の人妻は化物だ」言う。まさしく昔の人妻は強かった。一見弱く見える人妻がじつのところしぶとい。女性偏見の時代でも、いま以上に自分を主張していてみごとなものだ。捨てられた夫が気の毒な例も少なくない。もちろん、超化物である文人に蹂躙されて、壮絶な一生を送った人妻もいる。悪妻がいる夫は、この本を読めば気が楽になる、悪妻本人が読めば「このままでいいのだ」と自信がつき、独身女性が読めば「わたしも悪妻になって一丁人妻魂を見せてみようかしら」と気合いが入る、と著者は本書の効能を語る。わたしの場合は、…気が楽になりました(笑)(柴田)

・底面白ゴムボッチすごい。/今年の夏、うちの母のアイデアで、甥二人がヘリコプター遊覧飛行を体験した。ヘリの移動ってとっても早く、大阪八尾から京都市街地まで40分程度で往復できちゃう。きっかけはTVで飛行船遊覧クルーズをやっていて、(うちの母と私が)乗りたいなぁという話から。ヘリコプター(ハロルド:きかんしゃトーマスに出てくるヘリ)好きで、近くをヘリコプターが通ったら見せろとせがむ甥二号に実体験させたいな、カップルが夜行飛行するのってあるけど昼間のはあるのかしら、高そう、とネットで調べていたら、わりと近くの飛行場からの遊覧飛行があることを知った。早速問い合わせて見ると、子供達でも問題ないとの話。子供は乗ってすぐに寝ることが多いから、最短15分コースでいいのではないかとの提案もあり、そのコースにした。私も乗りたかったのだが仕事があってお留守番。甥三号の子守りで行けないうちの妹は子供用の黄色い毛布(プーさん)を持ってきて、近くのグラウンドで振ろうよ、とまで言い出すお祭り騒ぎ。ヘリは通常コースの後、うちの家の上空で、ずっとくるくるまわってくれていた。甥らも毛布を発見できたと嬉しそう。数日前にヘリ落下事故があって、うちの母に、あそこじゃないよね? と聞いたところ、そこだと言う。亡くなられた方はその時の操縦士ではなかったらしいが、TVでうつっていた人たちには見覚えがあるらしい。あの会社の人たちは皆とても親切で、子どもらと遊んでくれたり、丁寧な対応をしてくれた、よりによってどうしてあの会社なんだろう、事故は残念だと言っていた。(hammer.mule)
< http://www.nac-airship.com/
>  ツェッペリンNT

photo
人妻魂
嵐山光三郎
マガジンハウス 2007-08-23
おすすめ平均 star
star名著「文人悪食」「文人暴食」のオマケ。サラッと楽しめるが物足りなさは残る。

米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F) とっておきの銀座 悪党芭蕉 ポル・ポトの掌 ごはん通 (平凡社ライブラリー)

by G-Tools , 2007/10/31