■映画と夜と音楽と…[373]屈折せずに下降志向で生きていけるか?/十河 進
昔、ある写真展のオープニング・パーティの二次会で大手出版社の週刊誌編集者たちと一緒になったことがある。その場には、かつてのその週刊誌の編集長だった人の夫人もいて、なぜか僕はその人の話を聞くことになった。相手の年齢に関係なく、僕は女性にとってよい話し相手だったことはない。
僕は当時、四十代半ば。夫人は五十代後半に見えた。そのせいか、僕としては気楽に話ができた方だと思う。相槌を打ちながら話を聞いていた。彼女の夫は名編集長と呼ばれた人らしく、スタッフたちにも敬愛されているという。だから、夫人も編集部のスタッフたちのことはよく知っているようだった。そのうち、彼女はこう言った。
──週刊誌の編集者なんて、みんなヤクザよ、インテリヤクザ。

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