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■気になるデザイン[14]お札、大好き。/津田淳子

突然ですが、みなさん、お金は好きですよね? 私ももちろん好きで、その中でも福沢諭吉が描かれているものが一番好きなわけですが、印刷・加工好きでもある私としては、お札の印刷技術についても、ひとかたならぬ興味を抱いている。

現行の日本のお札は世界的に見ても、偽装防止のための印刷・加工技術は非常に高いものだそうだ。私の手元で留まっていることが少ないながら(苦笑)、お札をじっくり眺めてみると、昔ながらの白透かし(光に翳して見ると肖像画が白く透けて見える。対して黒透かしは、透かした部分が黒くというか濃く見える透かし)や精密な肖像画、ルーペで見ればマイクロ文字が見えたり、角度を変えて見ると色が変わって見える偏光パールインキが使われていたり、数字の部分が凹版印刷で盛り上がっていたり、ブラックライト下で発光したり、ホログラムがついたりと、特殊印刷の宝庫だということがよくわかる。
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話はちょっと逸れるけど、ほとんど使うことのない2000円札。今でも一億枚以上が流通しているらしいので、全国民一枚ずつくらい持っていてもおかしくはないのに、どこにいってしまったのだろうか。お札は10000円、5000円、1000円と長辺が順に5mmずつ短くなっているが、2000円はその方式の中には組み込まれておらず、1000円と2mm違い。ここからみても、なんだかあまり計画的につくられたものじゃない気がしますな。

閑話休題。偽造防止策満載の日本のお札も大好きながら、私は海外のお札も非常に好きだ。近年見てビックリしたのが、オーストラリアのお札。なんとお札の中に透明な窓のような部分があるのだ。

ひょえー。これは「ポリマー紙幣」と呼ばれるもので、合成樹脂でできたお札。現在ではオーストラリア以外にもサモア、シンガポール、パプア・ニューギニア、クウェート、ニュージーランド、ベトナムなどでもこのポリマー紙幣が発行されているのだが、どうしてこれらの国でポリマー紙幣が使われるようになったのかわかるだろうか? ヒントはこれらの国の気候を考えれば……。

お札は一般的には強度のある原料を使った紙でつくられている。日本ではコウゾやミツマタと呼ばれる植物が原料になっている。普通の紙に比べて耐久性は高いものの、お札のように何度も何度も出したりもらったりを繰り返すものだと、その耐久性にも限度がある。特に高温多湿の地域では、耐久性はなお落ちることは想像に難くない。

そう、ここまでくればわかるだろう。ポリマー紙幣は合成樹脂でできていて、紙に比べて耐久性が高いため、高温多湿の地域でいち早く導入されていているのだ。ちなみに海外の人は、お札を折り畳まず、ズボンのポケットにグシャッと入れる人も多いのでよりお札が痛みやすい、という説もあり、よけいにこのポリマー紙幣は必需品なんでしょうな。もちろん、耐久性以外にも偽造防止強化の意味もあるそうだが。

ポリマー紙幣
< *http://ja.wikipedia.org/w/index.php?oldid=19577697 >

ポリマー紙幣以外にも、アフリカ諸国のお札には動物が描かれているものが多かったり、マダガスカルのお札には有名な「バオバブの木」が描かれていたりと、そのビジュアルを見ているだけでも、プチ世界旅行をしているような気分になれて面白い。

そうそう、お札にはその国の重要人物の肖像が入っていることが多いが、世界中の現行のお札で、一番多く描かれている人物ってだれだかわかるだろうか?すぐに正解を言ってしまってはおもしろくないので、こたえはまた別の機会に(※すぐにでも知りたい方がいらっしゃれば、メールください)。

肖像画と言えば、日本の昔のお札は、肖像画をキヨッソーネという外国人がつくっていたため、神功皇后の顔が、日本人らしからぬ掘りの深い肖像画になっていたり、やはり調べていて興味が尽きることがない。

神功皇后
< *http://www.77bank.co.jp/museum/okane/02.htm >

そんな国内外のお札の現物や歴史が見られるのが、貨幣博物館。特別な催し物がない限りけっこう空いていて、じっくりと世界のお金を見られておもしろい。超超超インフレのお札なんて、ゼロが何個あるか、数えるだけでも一苦労。機会があればぜひ一度足を運んでみてください。

日本銀行金融研究所 貨幣博物館
< *http://www.imes.boj.or.jp/cm/htmls/index.htm >

この貨幣博物館には「一億円を持ってみよう」というコーナーがあり、実物の一億円と同じ重さの札束風のものを持つことができるのだが、その重さは約10.5kg。お米袋ひとつ分くらいで、けっこうひょいっと持つことができる。「あの3億円事件はこれが3つ分なら、けっこう軽く持って行けたんだなぁ」などとこっそり話をしていたら、まわりにいた警備をしている人(?)が「当時は1000円札もかなり入っていたので、そんなもんじゃなかったですよ」とのこと。なるほど。

【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp
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