気になるデザイン[17]カップヌードルの「ド」はなぜ小さい?
── 津田淳子 ──

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皆さんは、発売日が待ち遠しい雑誌ってありますか? 私は昔はたくさんあったのですが、今はそこまで熱中している雑誌はほとんどなく、毎月買っているという雑誌自体もかなり数が少ない。うーむ、どうしてだろうか。もっとワクワクしながら発売日を待つ雑誌がほしいものよのぅ。

と、いきなり横道から始めてしまいましたが、そんな数多でている雑誌の中で、デザイナーなら誰でも知っている『デザインの現場』という雑誌に、約8年にわたって掲載されていた、「これ誰がデザインしたの?」という連載が非常に好きだった(残念ながら今年に入って連載が終わってしまった)。

身の回りの身近なものは、だれにより、どのようにデザインされたのかを調べ、まとめてある。例えば、ゴムバンドのあの黄色と茶色の箱のデザインの話とか、デパートの包装紙のデザインの話とか、ヤクルトの容器のデザインの話とか。ヤクルトの容器の真ん中あたりがくびれてる理由ってご存知でしたか? 私はこの連載で初めて知りました。


ちなみに、過去の連載は二冊の本にまとまっているので、ご興味のある方はぜひご覧ください(って、他社の出版物を薦めてどうするのだ。とつっこまれそうな気もするが、おもしろいのでいいのだ)。

これ、誰がデザインしたの?
・「これ誰がデザインしたの?」
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4568502691/dgcr-22
>
これ、誰がデザインしたの? 続 (2)
・「続 これ誰がデザインしたの?」
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4568503523/dgcr-22
>

あっ、そうそう。ブログもあります。
< http://blog.excite.co.jp/dezagen/
>

で、『続 これ誰がデザインしたの?』は発売された1か月程前(もうちょっと前だったかな?)、青山ブックセンター本店で、発売記念トークショーがあったので行ってきた。取材裏話やよりつっこんだ内容で面白かったのだが、その会場で、トークショーで取り上げるために、日清のカップヌードルが配られた。これのデザインの変遷や海外版のデザインについても、本書で取り上げられているのだ。

私はカップラーメンというものをほとんど食べないので、カップヌードルの実物を手に取るのはかなり久しぶりだった。もしかしたら、10年くらい手にしていなかったかも。

そんな久しぶりに手にしたカップヌードルのパッケージで気になったのが、カップヌードルの日本語ロゴ(?)の表記、「ド」の文字だけ他より小さいんだけど、どうして??
< http://www.cupnoodle.jp/index.html
>

本書にも載っていなかったのだが、気になり始めるとどうにも知りたくてたまらなくなって調べてみた。

うーむ、なるほど、そういうワケだったのか。って、皆さんも知りたいですよね? すみません。

カップヌードルが発売された1971年当時、まだ「ヌードル」という単語が、みんなに定着していなかったために、「ヌード」と見間違えないようにという配慮から、「ド」を小さく表記したそうなのだ。

へー!

今はそんなことありえないけど、今から37年も前は、そういう状況だったんですねー。いやぁ、おもしろい。

そして、カップヌードルを久しぶりに手に取って感心したこともあった。今、さまざまな食物アレルギーを持つ人が多くなったため、アレルギー物質の含有表示がなされているものが増えて来たが、カップヌードルはこの表示が非常にわかりやすい!
< http://www.nissinfoods.co.jp/com/news/news_release080321.html
>

今年3月から「ECOカップ」と名付けて行われた、リニューアルの一環として、アレルギー物質表示もされるようになったみたいなのだが、大きな文字でアレルギー物質が一覧表示され、含まれているものだけベタ白抜き文字になっていて、一目瞭然。

ただでさえ、パッケージという限られたスペースしかない中で、アレルギー物質表示に割くスペースをこれほど大きくとるなんて、なかなかできそうでできないことだと思う。でもアレルギーを持った人にとっては、最悪命にもかかわる重要なこと。ここまでわかりやすく表示するって、本当に大切なことだよなぁ。えらいぞ、カップヌードル!(というか日清!)

いやぁ、ひとつひとつのパッケージには、本当にいろいろな秘密や努力がつまっているなぁ。これからは、いろんなカップラーメンのパッケージも調査してみるぞ!(って、ちゃんと料理もしろ! 自分!!)

【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp
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>

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