KNNエンパワーメントコラム レーシック手術体験レポート(3)レーシック手術でウェブ2.0から視力2.0へ!─いよいよ手術
── 神田敏晶 ──

投稿:  著者:


KNN神田です。

いよいよ、神奈川眼科クリニックの心臓部、手術室へと向かう! 間違えられてた誓約書も、ダウングレードされた「CRレーシック用」となり、いよいよ人生初めての手術へとGO!

別のナースさんに案内され、ロッカールームに向かう。メガネをはずし、荷物を置き、手ぶらになり、さらに奥へと入る。ナースさんの顔を見る余裕もなくなってきた。なんだかとっても奥が広いオフィス構造になっている。人の数も減ってくる。

いよいよ、緑色の部屋に入ると、すでに、ケープ(?)と手術の時に頭にかぶるキャップをかぶっている人が一人おられた。軽く、よく見えない目で会釈して、隣へと座る。別のナースさんが、奥からあらわれた(だんだん年齢層が上がってきて、なぜか安心する…)。靴を脱ぎ、ケープとキャップを着る。はじめて、手術への実感が湧いてきた。麻酔の薬を打ちますと、目薬を2滴づつ、両目に…。意識が遠のくような気がしてくる。



隣のボクと同年代(?)の女性に「緊張しますねぇ?」と同意を求めると「いいえ」とキッパリ。この状況で緊張しないなんて、女性はなんてスゴイ生命力かと思った。しばらくして、「キッパリ女性」が呼ばれて、奥へと向かった。緑の部屋にひとりとなる。いやな瞬間だ…。そうだ、と携帯を取り出し、手術へ向かう自分の最後の撮影を行う…。バージンアイを捨てる最後の一枚だ。いままで、一緒に人生を過ごした角膜にお礼をこめて。iPhoneでは自分の撮影が難しいので、携帯カメラとして、以前のエクシリムケータイで。

「かんだとしあきさーーん」と、先ほどのナースさん。いよいよ、手術執行室へ連れていかれる。「ここからは携帯は遠慮くださいね!」「あ、すみません」。ん? 何で知ってるんだ? と思いながらも、そりゃ監視されててもおかしくないなと考えた。足で踏むと、ドアがグワーンと開く廊下へ案内。ここからは、まるで半導体工場のような感じで、エアーシャワーか? と思うとそんなのはなく、ただシースルーの手術室が5部屋くらいつながる廊下だ。

無造作に医薬品の段ボールが積み上げられている。また、やたら寒い。ナースさんが、ペタペタ音をさせ、足で踏んで自動ドアを開けながら、「神田さんは、『CR』ですね」と確認して、一番奥の場所へ案内する。ここはさらに寒い。すると、ちょっと寒いですねと毛布をかけてくれた。「緊張しますねー」というと、「みなさん、そうですね。でもすぐに終わりますから」と笑顔をいただく。

体にメスを入れるのは、生まれて初めての経験だ。しかもレーザーで。別に病気でもない、やめるなら、まだ間にあう。でも、この2週間にわたるノーコンタクトレンズの日々の努力が…、CRでなく、もっと今のいい手術にしておいたほうが…、品川クリニックだったら、もっときれいなんだろうなぁ? などと、いろんな妄想が頭をかけめぐる。

その瞬間、自分の手前の、手術室から、ヒトが出てきた。おお、手術直後の人だ。なんだか、数分後の自分の姿かと思い、しかと凝視した。手をひかれながらも、スタスタと歩いている。意外だったが、ちょっと安心する。

「神田としあきさん、もうすぐですからね。手術室を殺菌して準備していますからね」なんだか、もう宇宙へ旅立つ気分になってきた…。お父さん、お母さん今までありがとう! やはり、初手術は怖い! 神にもすがる想いで、待っていると、ガチガチ震えてくる。足で踏むドアがあき、ナースさんが、再度麻酔の薬を注入。「もうすぐですからね」といって、また手術室に戻る。

もう目は、なんだかボワーンと麻酔が効いている。長い。この待たされる時間ほど不安なものはない。ファーストクラス料金では、さっさと待たずに手術というコースがあればセレブには受けるかもしれないと思う。ようやく、ボクの手術の番となった。手をひかれ、手術室へ…。ナースが足で踏むと、自動ドアが開いた。あ、あ、明るい!! 手術ルームには、先生が2〜3人かと思ったら、7〜8人はいる。そうか研修中でもあるんだ。ベッドは頭がくぼんでいる特殊なベッドである。

いよいよベッドに横になる。頭のくぼみに後頭部をあわせた。頭部から、さかさまになった顔で「わたくしが本日、メインで担当します。木下です。よろしくお願いいたします」と挨拶される。さかさまの顔であいさつをされると、どんな顔なのかを認識するのは大変だ。記憶には、福笑いのような顔でしか残っていない。

「生年月日名前をお願いします」と木下先生。
「1961年10月12日神田敏晶です」とボク。
「CRレーシックでまちがいないですね?」
「はい、CRレーシックでまちがいないです」と答える。
ようやくこれで、間違いはないことが確認できました。
「それではこれから、手術にはいります。お気分は大丈夫ですか?」
「はい」
「まず、目を閉じないように、これから目が開いた状態にさせていただきます。力をぬいてください」。
「はい」

耳のあたりに、脱脂綿をたくさん置かれる。眼を洗うので、耳に入らないようにとのことだ。もうここからは、自分ではなにもできない。まさにまな板の上の鯉。時計仕掛けのオレンジのような、目を見開く拷問道具の登場かと思うと、バンソウコウのようなテープで引っ張られる感じ。右目はいいが、左目が少しきつい。

「ちょっと左目がきついのですが…」
「我慢できますか? すぐにおわりますので大丈夫です」
「我慢できると思います」
「まずは右目からいきますよ」「眼の前の黒い点だけを集中してみてください」
「動いてはだめですよ」「いいですよ〜」「いいかんじです〜」「もうすぐ、一瞬暗くなりますからね」

次の瞬間暗くなります。おお、これは。未来の自分の状況を教えてもらえるのはなかなかいい。なんだか、催眠術のようでもある。

「はい。もうフラップはつくれました。これからレーザーですよ。チチチと音
がしますが、まっすぐ黒い点をみつめてくださいね」

手にも背中にも、いやな汗がぐっしょり。しかし右目は黒い点と戦う。レーザーでダメージを受けているのに、目をあけて一点を見つめる。なんだか、ボクシング選手が3分間格闘している気分だ。激痛ではないが、いやな痛みがある。「はい、終わりましたよ〜」「きれいにふきますからね」

白いコットンで目の上を拭いているのが、拭かれている目から見える。妙な感覚。こんな状況を初めて見た。自分の目なのに、拭かれるのが、とても客観的に見える。こんな患者側の体験ビデオも、販売促進ビデオとしてぜひ作るべきだろう。それだけでも手術全容が理解できる。

そして、右目のばんそうこうがはずされて、一気に力が抜けた。
「うまくいっていますよ。同じことで左ですから、がんばってくださいね〜」
これが、値段を安くしようとして、タイやハワイで手術を受けていたとしたら、この安心感は、とても得られなかっただろう…。日本語で、しかも男の先生の、太い落ち着いた声が安心感を与えてくれる。

そして、ゴングは、鳴らないが、左目で第2ラウンドが始まった…。同じことのくりかえしなのだが、目のばんそうこうが強いせいか、すべてのアクションが目に響く。
「先生、右目よりも痛いんですが…」
「もう、すぐですからがんばりましょう!」。「は、はい〜」
「いいですよ〜いいですよ〜」「フラップうまく切れてます」「じっと点をみてくださいね」。

左目は右目の20倍は痛かった。逃げ出しそうになるのをシーツの下の右手で左手を、なぜか押さえていた。チチチ…とレーザーが来た。ここで負けてはと、涙なのか補充される目薬なのかわからないが、ダラダラ流しながら点を見つめ続ける。まるでリングの上で目を殴られ続けているけど、天井のランプを見つめるだけのボクサーだ。審判もセコンドも助けてくれない。

ついに3分間の死闘を終え、ボクの目の上にタオルが投げられた。そのタオルは、ボクの左目の流した血をぬぐうはずだが、レーシック手術では血を見ることがまったくない試合だった。

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