[2586] 「いま」を開花させてくれたあの時

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<印刷会社が印刷物を減らす提案>

■音喰らう脳髄[64]
 もう一度やってみる
 モモヨ

■アナログステージ[09]
 「いま」を開花させてくれたあの時
 べちおサマンサ

■つはモノどもがユメのあと[02]
 mono01:ココロ揺らす大きさと形──「SONY SPORTS FM WALKMAN」
 Rey.Hori

■ニュース&解説
 無駄な印刷物を作らない「フレッシュプリント」の3つのメリット
 大野義貴


■音喰らう脳髄[64]
もう一度やってみる

モモヨ
< https://bn.dgcr.com/archives/20090217140400.html
>
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前回、ここで御知らせしたように、2月5日、新宿ロフトで、BOXセットリリースを記念してのギグ(ライブ)があったが、おかげさまで、つつがなく完了。

人口密度の高い場所でも音楽を楽しんでくれた来客のみんな。計画の段階から力をつくしてくれたスタッフの面々とライブハウスのスタッフ。81/2、ダークサイドミラーズなど共演バンドのメンバー。そして今回の特別な日に私と同じステージに立ってくれた4人。そうした全てが有効に機能した結果、実現した素晴らしい夜になった。

なんて書くと、殺伐としたイメージを与えてしまうかもしれない。関わった人々それぞれのハートあればこその一晩だった。生涯においても希有な時間を過ごせた、そう思う。

ベースを担当したワカは、25年程、ベースから、いや音楽から離れていたが、さすが、かつて某音楽雑誌のベーシストランキングで1位になった男である。数か月間、彼なりにトレーニングを積んだ結果、彼にしかプレイできない、破壊的ベースプレイには、往年のキレが戻っていた。

こんなことをばらすのは彼の意にそぐうはずもないが、毎日、1時間のランニングと2時間の練習である。それを仕事の合間、プライベートな時間にこなすわけで、文字で書けば簡単だが、実行するにはとてつもないエネルギーが必要なのは誰でもわかるだろう。

彼のベースプレイを皆さんに見てもらうだけでも意義ある一夜だったが、それをサポートするキースのドラムがよかった。キースは、長い間ARBのドラマーをつとめた男である。いまや俳優として知られる石橋凌のバックでドラムを叩いてきた。私とは30年来の悪友である。いつか一緒に演奏しようと約束していた間柄とはいえ、彼のドラムがこんなにワカのベースにあうとは思ってもいなかった。

リズムセクションが上手く機能すれば、バンドは当然うまくいくにきまっている。選曲は、どちらかというと、私の初心確認という意味もあり、ストレートなロック、パンクな味わいのものが多かったが、アレンジは以前と違う。今しかできないものに変えていた。それが素直に演奏できたことには、我ながら驚いた。もう一度、やってみよう。そんな気になる夜だった。

そして先週。友人や関係者から、ねぎらいの電話がよせられ、感想を綴ったメールも受け取った。その多くが、当夜のメンバーによる新作が聴きたい、そう言ってくれた。そうした結果をうけて、土曜日にキースと電話で話したが、彼も同じことを言っていた。

「もう一度、やってみようよ」
私たちは、そう言って電話を終えた。

Momoyo The LIZARD 管原保雄
< http://www.babylonic.com/
>

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■アナログステージ[09]
「いま」を開花させてくれたあの時

べちおサマンサ
< https://bn.dgcr.com/archives/20090217140300.html
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●困ることの勢いは止まらない

もの凄い勢いで行き詰ってます。もう、なに? 何がどうなって、そうなったの? なんで? なんで? というくらい、困るところが行き着いた「真の困る」を身をもって体験させていただいております。いやぁ、困った、困った。困っている原因のひとつに、ユーザ間とのやり取りがドイツ語というのが、困り加減を加速させております。

翻訳サイトでドイツ語を日本語に訳して読んでみても、「これ、絶対にこんなこと書いてないよね。ドイツ語は分からないけど、これは直感でわかる。『ウチの馬が障害の原因とは限らない』って、なんで馬? ウマ、関係ないし。あー、英語で書いてきてくれないかなぁ。」という具合で、進捗停滞。

その困り加減を真正面から受け止めていると、人として困った人格になりかねないので、適度なガス抜きをするように努めているのですが、どうも、自分自身に強制的に言い聞かせているようで、あまり好ましくありません。好ましくないというよりも、ガスが抜けている気がまったくしないのです。

前回、前々回のコラムと内容が被ってしまうところもありますが、仕事の合間をみての散歩で、「そこまでの時間を強制リセット」する、スローな気分転換時間を設けるようにしてから、早1か月半。河原に生い茂っている雑草を見ているだけで、ヒーリング効果が抜群です。単純だなぁ。

仕事で時間に追われるている状況は、とても喜ばしいことかも知れませんが、何事も、適度にほどほどが大切。某メディア業界では、3日間で睡眠時間が7時間しかない……などは、忙しくて睡眠時間を削るのではなく、ご自身の寿命を削っているようにも感じますが、その業界で働くうえで、どうしても避けられない「モノ」がありますよね。

それこそ、追われている側からすれば、「1分1秒が惜しい!」となるのは当然のことで、ワタクシも同じような雰囲気で仕事を黙々と進めておりました。企画・構想段階での時間の追われ方と、製品・作品などの仕上げ段階での追われ方は、体感時間も違っていることかと思います。

制作途中での時間の追われ方は、自分の頭の中に組図が出来上がっている状態なので、最終段階までいっきに進めてしまっても、さほど苦にはなりませんが、初期構想段階で追い詰められると、負のループから抜け出すことが難しくなったりもします。

追われていながらも、合間をみてスローな時間を差し込んでみると、煮詰まっていた「モノ」が中和されてきたり、突如、インスピレーションの神様が降臨し、新しい打開策を拓いてくれたり、知恵を授けてくださったりと、なかなか具合がよろしかったりするものです。

ワタクシの場合、最近だとオンラインゲームで真剣に遊んでみたり、用もないのに散歩がてら、コンビニや書店に足を運んでみたりと、強制的に時間をリセットする、セルフ・メンタルヘルスが、大変助かっております。

会社勤めでは、休憩時間以外に「心と脳を解放」することが難しいかも知れませんが、貴重な休憩時間を利用して、ぜひ、自分だけのセルフ・メンタルヘルスを見つけてみてください。きっと、仕事にも私生活にも、助けになってくれることでしょう。

●自分にあったスローライフを

もの凄い勢いで困っている最中にも拘わらず、東京・代官山にある、「アートラッシュ」 < http://www.artsrush.jp/
> で開催されている「アリス展」に足を運んできました。久しぶりの代官山、閑静な周辺と落ち着いた街並みは、相変わらず「違いが分かる大人」になったような勘違いをさせてくれます。

昨年の暮れに、桑島幸男さん(kuwaさん)を通じてお知り合いになった、デジタルアーティストの、なりた麻美さんも出展する情報をキャッチし、もの凄い勢いで困っている場合ではないと、ウキウキ気分で訪廊。待ち合わせ時間に余裕があったので、代官山駅・東口にあるオールハンドメイドのシルバーワークショップ、「POW-WOW」 < http://pow-wow.jp/
> へお邪魔してきました。

シルバーアクセサリー職人であり、店長をされている篠原昌三さんは、ワタクシ前職のお師匠で、数年間、篠原さんに師事しておりました。当時、ワタクシも篠原さんも銀細工師をしていたのではなく、某アーティストとして活動していたのですが、活動拠点を渋谷に移してから1年も経たないうちに、ワタクシの家庭事情が混沌とし、篠原さんの下から離れることになってしまったのです。

再会のきっかけとなった昨年2月、東京・下町の地域と文化に再度魅了され、ネットでフラフラと情報収集していたら、なにやら見覚えのあるお名前を発見。興味津々でクリックしてみると、おやまぁ、師匠(篠原さん)じゃないですか。もしかすると、同姓同名なだけかなぁ……と、ウェブサイトに貼ってある画像をみると、十数年ぶりに見る師匠の横顔を発見。確証を得た後の行動は早かった。

平日の昼間にも拘わらず、工房がある代官山まで押しかけ、感動の再会。仕事中に長話も申し訳ないので、後日、食事の約束をして、工房をあとに。数日後、自由が丘で食事をしながら、当時を懐かしむ話から始まり、一緒に仕事に携わっていた、あの人はいま? 的な話まで、十数年の時間を埋めるように、ゆっくりと会話を楽しみました。

ワタクシが辞めてしまった数年後、篠原さん自身も、諸事情で活動の機会を減らしていたのと同時に、シルバーアクセサリーのアーティストとしての道を歩み始めていたそうです。工房で作品の数々を初めて見せていただいたとき、「あー、やっぱりなぁ、この(作品)繊細さは昔から変わらないんだなぁ」と、当時と変わらぬ職人気質肌と、手先の細かさに安堵感をおぼえた。

先日お邪魔したときは、今月初めにアメリカで仕入れてきたという、天然石使った作品をデッサン中に突撃。アポなしで突然お邪魔してしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいだったのとは裏腹に、数十年間離れてしまった時間を埋めたい気持ちが後を引く。翌々は、田舎で工房を構え、デザイナーでもある奥様とスローライフな生活を送るのだという。いずれはワタクシも、そうなりたいと思ってはみるものの、性格的にたぶん無理だろう。

一緒に活動していた当時の、鬼気迫るものは抜け落ち、「いま」という時間の流れをとても楽しんでいるように見えた。そういえば、初めて出会ったときも、再会したときと同じように、何の連絡もなしに突然、ワタクシが押しかけて弟子入りしたんだっけ。あの時あの場所で、篠原昌三という人間に出会っていなければ、いまのワタクシは、全く違う仕事につき、違う人間になっていただろう。

●簡単にCMを作ってみる

また面白いものをみつけた。その名も「かんたんCM作成サイト コマーシャライザー」 < http://cmizer.com/
> 。自分のCMを作って、BLOGなどで宣伝しよう! というものだ。作り方はいたって簡単。まず数種類あるテーマを選択し、好きな画像を、必要に応じた枚数をアップロードする。次に場面ごとに挿入されるキャッチコピーを入力したら、自身のBLOGやウェブサイトのURLを記入して終わり。

キャッチコピー挿入時には、画面左側でプレビューしながら、テキストを入力できる親切っぷり。ユーザ登録をしなくてもCMの作成は可能のようですが、公開設定を変更したい場合などは、要登録。ということで、早速、ウチのイヌを使って作ってみました。

『サイトハウンドとよばれる理由』
< http://cmizer.com/movie/31497
>

いやー、面白いなぁ。こんなオモチャを無料提供されたら、延々とCM作って遊んでしまいそうだ。

【べちおサマンサ】 pipelinehot@yokohama.email.ne.jp
FAプログラマーと某ナノテク業界のR&D。
・テニス肘のことで、読者の方からアドバイスをいただきました。薦めていただいたサポーターを購入し、その効果にびっくり。ものすごい楽になり、運転するハンドルも軽い。早く治します。ありがとうございました!
・次回から、また対話シリーズを再開します。べちおは「普通の人」だったと心配して下さった皆様、本当に普通のオトコですみません。
< WEB SITE:http://www.ne.jp/asahi/calamel/jaco/
>

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■つはモノどもがユメのあと[02]
mono01:ココロ揺らす大きさと形──「SONY SPORTS FM WALKMAN」

Rey.Hori
< https://bn.dgcr.com/archives/20090217140200.html
>
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音楽を外で聴く、歩きながら聴く、電車で聴く、移動しながら聴く、ようになったのが自分史上いつだったのか、が正確に思い出せない。最初に手にした携帯音楽プレーヤは、大学時代に比較的羽振りの良かった友人から中古品を安く譲ってもらったものだったのだが、ではそれをすぐに持ち歩くようになったかというと、どうもそうではなかった気がする。

いきなり脱線するが、CDを初めて聴いたのが同じ時期のことで、大学のすぐ近くにあった小さなオーディオショップでの事だったのは鮮明に記憶している。今思うとかなりデカいプレーヤでクラシックのCDを試聴したのだが、再生ボタンを押すと何のノイズもない状態からいきなり鳴りだしたのに感動したものだ。

もとい。確実に習慣的に外で何かを聴くようになったのは会社勤めを始めてからなので、1985年以降ということになる。通勤の行き帰りもそうだが、社員寮に入ったため休日は必ず一人で出歩いていた。寮にいても何も面白くなかったせいだが、その時には携帯音楽プレーヤを必ず持ち出していたのを覚えている。

また脱線。携帯音楽プレーヤという単語を二度使ったが、昨今この単語を何の注釈もなく使うと、やはりいわゆるひとつのデジタルオーディオのプレーヤということになるのだろう。ゲームというとビデオゲームを指すのと同じことだ。筆者の時代感覚だとゲームといえばカードゲームやボードゲームのことであって、画面でやるヤツはテレビゲーム、ビデオゲームと呼ぶのが当たり前だったのだが、今はもう慣らされてしまったし、うっかりこういう事を言うと周辺の大気圏が若干の加齢臭を帯びるので言わない。

その頃に持っていた携帯音楽プレーヤとは、もちろんカセットテープのプレーヤのことである(今危うく「カセットテープレコーダ」と書きそうになったが、録音機能は当然ない。危ない危ない)。えーい、面倒なのでやはりWALKMANと書かせてもらう。友人から安価に買ったのはSONYのベストセラー機、正真正銘のWALKMAN WM-2であり、就職して買い替えた次の機械はメーカは忘れたがSONY製ではなく、小さなグラフィックイコライザが付いていたのに惹かれて買ったのを覚えている。

それらWALKMAN達にも想い出はあるが、今はもう手元にはなく今回採り上げる「モノ」(定義は前回の記事を参照)ではない。今回のモノは、ある日会社に現れた別のものだ。

会社の先輩が自慢げに見せてくれたそれは、カセットテープを音源とするWALKMANよりも薄く小さくて軽く、黄色く細長い角丸直方体のシンプルな形と絶妙な寸法に何よりも惹き付けられた。WALKMANの名前を冠してはいるが、それは携帯型でステレオのFM専用ラジオなのだ。

SONY SPORTS FM WALKMAN SRF-6である。
< http://www.dgcr.com/kiji/RH/mono01.html
>

今の目で見ると、ちょうどiPod nanoに大きさが近い気がする。Appleのサイトで調べてみると最新のiPod nanoは幅38.7mm、高さ90.7mm、奥行き6.2mmとあるが、FM WALKMANは実測で幅38.6mm、高さ100mm、奥行き15mmとやや厚いが正面サイズが非常に近い。筆者は今のではなくて初代のiPod nanoが出た時、あの形と大きさに激しくココロが揺れたのだが(結局買わなかったけど)その揺れとFM WALKMANを見た時の揺れは、きっと同じ根っこが震源になっていると思っている。

というわけで、自分でもこれを手に入れ、イヤというほど持ち歩いた。バッテリーの持続時間のデータは不明だが、カセットテープ型のWALKMANとは比較にならないほど長時間聴くことができ、音源であるカセットテープをがちゃがちゃ持ち歩かなくて良い。電源は単4乾電池2本なので、もしバッテリーが切れてもどこでも入手できるし、カセットテープ群に代わって予備の電池を持ち歩くぐらい何でもなかった。

その上(筆者にはあまりメリットはなかったのだが)防水構造が特徴的だ。電池のフタの合わせ目部分には樹脂のパッキンが仕込んであり、ネジでがっちりとフタをとめる構造になっている。当然スイッチやダイアル類も防水仕様である。選局と音量はダイアル式なのだ。

ラジオなので選局の自由はあっても選曲の自由は当然ないわけだが、これを持ち歩き始めた時期に関東圏のFM界にはかなり鮮烈な事件があった。J-WAVEの開局である。同局のサイトによれば開局日は1988年10月1日となっているが、本放送開始日以前、かなりの長期間に渡ってCMナシ・時折ジングルが入るだけであとは音楽ノンストップ、という試験放送を流していたのだ。これを聴きながら、あちこち昼夜歩き回ったのは、かなり楽しくてちょっとだけ淋しい(←財布もハートも)記憶なのである。

時代背景的に書き添えておくと、昭和天皇の崩御や湾岸戦争の開戦もこのFM WALKMANで通勤途中に第一報を聴いた覚えがある。シューマッハがレース終了後になってペナルティを食ったニュースをこれで聴いた覚えもある、ということは少なくとも94年までは持ち歩いていたことになる。J-WAVEの深夜番組で流れていたサッポロビールのシリーズもののCMが、残業帰りの耳にとても印象的だったのを記憶してもいる。

筆者についての外で音楽を聴くデバイスの想い出は、このFM WALKMANがなぜか突出していて、携帯MDプレーヤをほんのちょっとカスった後、一旦外では何も聴かない時代を経てから、世間よりやや遅れてiPod時代へ移り現在に至っている。FM WALKMANについては、SONYからも後継機は出なかったような気がしている(出てたかも、ですが)。FM WALKMANで聴いたJ-WAVE試験放送に近いものとして、今仕事中はiTunesのネットラジオでジャズやバロックやピアノのインストを流しっぱなしにすることが多い。

今、筆者のiPod touch(初代モデル)には好きな音楽ばかり数百曲と、好きなラジオ番組2時間×2年分ほどが入っていて、大抵の場所で自由に選んで聴けるわけで、何かを外で聴くという点では機能的にほぼ満腹状態だし、何よりラジオとデジタルオーディオを直接比較するのもどうかと思うのだが、「モノ」として壊れても(防水構造の電源ボタンのカバーが破れてはがれ落ちてしまった)捨てられずにいる点で、FM WALKMANは現役バリバリのiPod touchと互角以上の存在感を筆者に対していまだ放ち続けている。iPod touchは大好きなデバイスだが、将来同じように思い入れをまとった「モノ」になっていくのかどうかはまだわからないのだ。

【Rey.Hori/イラストレータ】 reyhori@yk.rim.or.jp
若い頃の街中の一人歩きを思い出して、なにやら内省的な空気の漂う(漂ってない?)おセンチな文章になってしまいました。それにしてもラジオ、深夜のAMはともかく、FMは全く聴かなくなっちゃったなあ。Pazz & Jops、懐かしいなぁ。ラジオ方面のモノねたはまだまだあるぜ。
3DCGイラストとFlashオーサリング/スクリプティングを中心にお仕事をお請けしてます。
サイト:< http://www.yk.rim.or.jp/%7Ereyhori
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■ニュース&解説
無駄な印刷物を作らない「フレッシュプリント」の3つのメリット

大野義貴
< https://bn.dgcr.com/archives/20090217140100.html
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◎デジクリのサイトを支援してくださっている新潟県五泉市の株式会社吉田印刷所は、環境に対する取り組みとして、以前よりフレッシュプリント(鮮度保持印刷)を提案してきた。この度、これまでの取り組みを、国際的環境印刷大賞である「ハイデルベルグ・エコ・プリンティング・アワード2008」に応募したところ、全世界で2社選ばれる大賞のうちの1社として、革新的ソリューション部門(Innovative Solution)での大賞を受賞した。「フレッシュプリント」とはなにか、同社の大野義貴さんに説明していただいた。しかし、印刷会社が印刷物を減らす提案をするとは……。(柴田)
< https://www.ddc.co.jp/news/archives/20090203-150000.html
>

                 ■

吉田印刷所では、無駄なものを作らない「フレッシュプリント」の提案で、第一回・ハイデルベルグ・エコ・プリンティングアワード(国際環境印刷大賞)において、革新的ソリューション部門の大賞を受賞しました。

ハイデル・エコ・プリンティングアワード 2008開催(英語)
< http://www.heidelberg.com/www/html/en/content/articles/press_lounge/drupa_information/080528_eco_printing_award
>
ハイデル・エコ・プリンティングアワード2008受賞発表
< http://www.jp.heidelberg.com/www/html/ja/content/articles/recent_news/news2009/090129_ecoprintaward
>

印刷物を作るのに、「無駄なものを作ろう」と思っている人はいないはずです。「無駄なものを作らない」という言葉は、最終的に不本意ながら無駄になってしまう印刷物のことを指します。

印刷会社が、印刷物を減らす提案をするなんて、印刷会社の存在意義を否定しているのでは? と思う方もいるかもしれません。しかし、印刷業は、他の業界と比較すると環境問題への取り組みが遅れていると言われており、自社の利益のみを追求するのではなく、他業界との調和や、環境との調和が求められているのです。

●「フレッシュプリント」って、なんだろう?

連続稼働が前提となっているオフセット印刷機の生産システムにおいて、コスト面のみを追求すると行き着く「大量一括印刷」に対し、フレッシュプリントの仕組みは、「年間契約で料金を定め、複数回で分割印刷を行う」というものです。これにより、次の3つのメリットが生じます。

1──情報鮮度の維持

印刷物の鮮度といえば、掲載されている情報の鮮度のことになります。情報の鮮度は、印刷物が完成したときから時間が経てば経つほど陳腐化しますので、従来の大量一括印刷では情報更新が追いつかずに、結果的には印刷物が廃棄されていました。
「フレッシュプリント」では、分割印刷時に改訂をかけることにより、常にフレッシュな情報を提供する印刷物が生産できます。

2──在庫管理が改善

印刷物を生産すると、生産した印刷物の置き場所が必要になります。従来の大量一括印刷を行うと、大量の在庫保管スペースが必要でした。また在庫管理も煩雑になります。
「フレッシュプリント」では、分割印刷数を適正にすることで、保管場所が少なく済みます。

3──資源の消費を抑えられる

大量印刷を前提に印刷をすると、印刷した分を長期間にわたり使用することになります。印刷の段階では、需要の見通しが不明瞭なままだったりしませんか?そして、大量印刷のコストメリットから、多めに印刷しておけば間違いはないとして印刷することになります。その結果、実際の使用量が予想を下回り、未使用の印刷物の廃棄につながることが多々ありました。印刷物の廃棄、それは、「経費を捨てて、かつ資源も捨てている」ということに他なりません。
「フレッシュプリント」の分割印刷を前提にした発注形態では、分割生産の間隔となる短い期間での需要予測に応じて発注を行うことにより、最終的に廃棄することになる印刷物が最小限に抑えられます。

このように、従来の印刷物生産の常識「大量に作ると安くなるから、大量に作ってしまいましょう」を改め、「適正な量を分けて作る」ということで、今までの問題が解決する点が、環境大賞受賞につながりました。これは、2000年より行ってきた「小ロットオフセット印刷」から始まる、吉田印刷所にとってはあたりまえのサービスが認められたということでもあります。

他の環境対応につきましては、以下のページで掲載しています。
・乾燥促進印刷・パウダー削減
< http://www.ddc.co.jp/eco/powder.html
>
・現像液不要CTP刷版
< http://www.ddc.co.jp/furnishing/processless-plate.html
>
・温室効果ガス対策
< http://www.ddc.co.jp/eco/environment-report.html
>

印刷業では、いままで大量生産・大量消費に基づいて企業活動をしていた面は否めません。しかし「無駄な印刷物を作らせない」地球環境に配慮した企業活動をすることで、印刷業が今後も社会に必要とされる産業となるよう、これからも環境問題に真摯に取り組んでまいります。

【大野義貴】yositaka@ddc.co.jp < http://www.ddc.co.jp/
>
吉田印刷所の中で、よそとはひと味違ったサービスを開発・提供しています。
エコ関係以外では、PDFフォント○×チェッカー< http://pdf.printjapan.com/
>が皆様のお役に立てると思います。Mac Internet Explorer 5でも使える親切設計(?)です。

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■編集後記(2/17)

地球外生命体捕獲 [DVD]・「地球外生命体捕獲」という、身も蓋もないタイトルの映画DVDを見た。あの「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の監督が再び森を舞台にした恐怖の扉を開く、と銘打った作品である。「15年前、宇宙人に拉致された男たちが、今度は宇宙人を捕獲・監禁! 凄惨な拷問シーンと生々しい心理描写によって、かつてない恐怖が描かれていく!」という、ちょっと見るのをためらうような内容であることは分かる。だが、これもBC級SF映画の旅の途中だ。どうせおバカ映画に決まっていると、思い切って鑑賞することにした。武装した3人の男が森を襲撃して宇宙人を捕らえて、もう1人の男(主役)の家に運んで監禁する。その宇宙人をどう始末するか、4人の男の考えはそれぞれ違っていて、感情のぶつかりあいが起る。5人の少年が森で宇宙人に拉致され、3人はすぐに解放されるが、数日後1人だけ帰って来た(ということは、彼らの会話で初めてわかる)。恐怖のトラウマをかかえて成長した男たちの、15年後の復讐劇である。だが、この不気味で凶暴な宇宙人が縛めを抜けて反撃開始、血みどろの戦いが始まる。こういう展開には必ずKYな女が登場するものだが、期待通りやはり出ている。宇宙人を殺すな、殺すと人類は皆殺しにされる、と主役は主張するのだが……。設定自体が珍妙な上、理解できないシーンも少なくない。かなりグロなシーンもあって、よい子には見せられない。見なきゃよかった映画。予告編はうまくできている。怪物みたいなのは宇宙人ではなく、宇宙人に噛まれてゾンビ状に変化していく男だ。グロい。(柴田)
<
> 予告編YouTube
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00111P6LU/dgcrcom-22/
>
アマゾンで。評価ばらけてます

・ライブ行きたかったな……。/コマーシャライザー面白い! 手軽にできちゃうなんて。/ラジオネタ楽しみ〜。/年間契約とはいえ……。/スーパーで、お米やお肉が当たるという応募カードを貰ったので、投函しておいたら、二等の日帰り旅行が当たってしまった。お米やお肉は三等だったと記憶している。権利譲渡は出来ず、招待は本人のみ。この一名当選というのは旅行会社の罠だと思っている。同伴者は正規料金で、とあり、結局半額でバスツアーに行けるってことだよね。日帰りバスツアーで工場見学、バイキングに温泉、渦潮見学。一人旅ならいざ知らず、バスツアーでこのルートをひとりというのはつらそう。ルートに興味はないし、辞退するつもり。権利譲渡させて〜。当たって悲しい懸賞であった……。しかしよく当たるなぁ。懸賞マニアだと思われてしまうよなぁ。/以前書いた芸人さんのタクシーネタ。R-1グランプリのサバイバルステージで見たよ。ナオユキさんっていう方のだった。面白かったのに決勝に進めないとは。モノマネや形態模写も良いが、純粋に話芸で勝負しているナオユキさんには、もう少し票が入っても良かったのになぁ。(hammer.mule)
< http://www1.odn.ne.jp/wisecracker/
>  ナオユキ
< http://naoyuki.otaden.jp/
>  エンタの神様に出るらしい
< https://bn.dgcr.com/archives/20081015140000.html
>  これ