[2615] 妖しくも物狂おしい春

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<いやしかし、これ、延々と見続けちゃうね>

■音喰らう脳髄[66]
 妖しくも物狂おしい春
 モモヨ

■アナログステージ[12]
 腹肥商事社内プレゼン その3「ヨメはいつでもどこでも怖い」
 べちおサマンサ

■ローマでMANGA[18]
 「授業」しながらあらためて漫画の構成要素を理解する
 midori

■イベント案内
 デザイナー(グラフィック・Web)のための「広告著作権セミナー」
 「なぜ野菜ジュースを支給するの?〜クリエイターの理想郷を創り、年収
 1000万円を生み出す秘密」

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■音喰らう脳髄[66]
妖しくも物狂おしい春

モモヨ
< https://bn.dgcr.com/archives/20090331140500.html
>
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桜の開花宣言が出てから花寒が続き、我家近くのソメイヨシノも三分咲きがいいところ。早咲き品種のみが元気よく咲き誇るのみで、まだまだ蕾の方が目だつ有様だ。が、これはこれで、開花が早すぎた去年、学校の入学式が開催される頃には花が散り終えてしまったことなどを思えば、一概に悪いことではなかろう。

それでも、開花宣言を聞けば花が恋しくなる。先日、気が早い私は、ソメイヨシノ発祥の地、駒込は染井の墓地から六義園を歩いてきた。当然、桜目当てだったのだが、花はまだまだで、ただ肌寒いだけだった。

六義園では例年のごとく三月いっぱい『しだれ桜と大名庭園のライトアップ』という催し物をやっていた。タイミングがよければ、満開のしだれ桜の背景に、ソメイヨシノの花がたなびいていたりするわけだが、今年は、当然ながら背景も寒色が濃い。ただ二本のしだれ桜のみが妖艶な満開の姿を誇っている。そんな感じだ。

それでも相当の人出で、普段の閑散たる園内を知っている私からすれば困惑するのみなのだが、この人出、やはり桜の魔力のなせる業なのか、日本人の心性の根底に何か魔物が潜んでいて、春になると桜を訪ね歩くべく私たちを駆るものか、それは知らぬが、とにかく、なにやら怪談じみた底知れぬ凄まじさを感じさせるものがある。

もちろん、上野の花見のように酒を呑んで裸踊りをするまでの舞踏病じみた狂騒状態とは程遠く、人々は、ただひたすら園の中心にある池のほとりをひたひたと歩むのみなのだが、その様もまた少し妖しく見えてくる。といってもその実はただの団体旅行だ。その一群が隊列をくみ、ゆっくりと動いていく。まるで巡礼のような峻厳さをおびて見えてしまうのは、私の錯覚に他ならないが、そんな感覚も、二もとのしだれ桜の花しべが園内に煙っているせいかもしれない。

おしなべて花というものは、私たちにとって、他界を意識させる存在である。そこから性と死を演繹してあれこれ繰言をつらねることも可能だが、死も狂気も、そしてセックスもありふれたこんな時代である。毎日、電車のダイヤは乱れている。いまさら性も死もあるまい。

こんな時代、私は、ただひたすら生命の豊饒を花に見たい、生命の力強さを花に見たい、そう思う。

ちなみに、六義園のしだれ桜とソメイヨシノのラプソディ、今週末くらいが一番、きれいかも。花は潔くなんて散らない。けっこうしぶといんだよね。

Momoyo The LIZARD 管原保雄
< http://www.babylonic.com/
>

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■アナログステージ[12]
腹肥商事社内プレゼン その3「ヨメはいつでもどこでも怖い」

べちおサマンサ
< https://bn.dgcr.com/archives/20090331140400.html
>
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【前回のあらすじ】
健康促進グッズの製造・販売をしている腹肥商事は、社長の山本と微妙なアイデアマン、相川の二人で切り盛りしている会社。年末の慌しい中、あのひと検索で「あの人」を探して時間を潰すと同時に、出産のために里帰りしたまま、8年も帰ってこない妻を探し始める。
< https://bn.dgcr.com/archives/20081216140300.html
>

「今年もよろしく頼むよ、相川くん。」
「今年もよろしくって……もう桜が咲き始めてますよ。」
「このまま出番がなくなってしまうんじゃないか、すごく心配だった。」
「3か月ぶりの出番ですもんね。べちおさん、デジクリではコラムは書かないって断言していたのに、年明けからコラムばかり書いてましたよね。」
「嫁さんから、『あんた、こんなのばかり書いてていいの? 編集長からクレームこないの? 普通にコラムっぽいのは書かないの?』って、編集部に迷惑をかけているんじゃないかと、チクチク言われたそうだ。」
「あー、あの奥さん、ストレートですからね。それでコラムみたいなのを書き始めていたんですか。」
「しかも、コラムの感想を訊いたら、『ごめん、途中から読むのが面倒になって、ほとんど読んでないや、アハハハ、ごめん』だって。」
「キツいですね……。 ところで、社長は奥さんとは連絡取れたんですか?」
「ぜんぜん。」

《デジタルクリエイター向けなのに、あんたの書く話って、全然クリエイティブじゃないよね。と痛いところをつかれて、かなりへこんでます。》

「最近、新幹線で移動することが多くて、首や腰が痛くてねぇ。」
「新幹線なんか乗って、どこに行ってるんですか?」
「もちろん、仕事に決まってるじゃないか。わざわざ横浜から新幹線に乗って、大阪まで酒を飲みに行ったり、名古屋にきしめん食いに行ったりなんかするわけないでしょ。」
「そういえば、先週の金曜日も大阪に行きましたよね。また永吉さんや、やましたさんと飲みに行ったんじゃないですか?」
「行ってない。時間が切迫していて、その日のうちに横浜に戻らなきゃいけなくてね。帰りも、東京行きの最終がギリギリだった。あれは危なかった…。新幹線で移動とはいえ、日帰りで横浜─大阪はキツい。翌日、朝起きたら、体があちこち痛くて痛くて。普段、腰なんて痛くならないのに。」
「濱村デスクの編集後記で、バレエの話題がでるじゃないですか。」
「うんうん。」
「先週の月曜日と火曜日に、姿勢について書かれていたけど、あれって、本当に腰痛で悩んでいる人には効果あるんですよ。」
「そうなのかね?」
「ええ、ある時期、ボクも腰痛に悩まされていたとこがありましてね。子供の頃からバレエをやっている友人に、何気なく腰痛の話しをしたら、濱村デスクと同じようなことを言っていたのを思い出したんです。」
「でも相川君、文字というか、テキストだけでその体勢を思い描くのは、バレ
 エを知らない人には難しくないかね?」
「いまさらですけど、UNIQLOCK < http://www.uniqlo.jp/uniqlock/
> で、濱村デスクが仰っていたような姿勢がでてきますよ。ただ、時間帯やタイミングで踊りが違いますけど。深夜にアクセスすると寝ていたり。」
「どれどれ。お、なるほど、こういうことか! こう、背筋を伸ばして、お尻のここに体重を乗せるように、なるほどなるほど……いやしかし、これ、延々と見続けちゃうね。」
「余計なものが殆どないですよね。5秒ごとにシーンが切り替わるのも、飽きさせない。これって、インターネットの特権ですよね。テレビのCMも、時間制限がある中で、いろいろなモノを詰め込まないといけないのは分かりますけど、必ず視聴者に伝わるかといえば、かなり微妙だと思いますし、簡単に言ってしまうと、能書きがくどい。」
「ほうほう、確かに遠回しなセリフや演出が多いような。」
「あと、『あなたを心配しています』みたいな、某金融関係のCM。金貸しなんて、所詮は金貸してナンボの世界なんだから、心配したり、同情するような演出なんて要らないはず。『貸すけど、ちゃんと返してね。』でいいと思いませんか?」
「まぁ、確かに。」

《姿勢を正すことは、内臓への負担も減らし、呼吸も正しくなる。健康体の基本ですよ。と、整体の先生。意識していないと、すぐにだらけた姿勢になってしまい、なかなかきれいな姿勢を保っていることが難しい。1時間に1回でも、気がついて正すような習慣を身に着けることが先かも。》

「そういえば、5月13日から、東京ビッグサイトで『組込みシステム開発技術展』が開催されるね。」
「あー、もうそんな時期ですか……早いですね。同時に『ソフトウェア開発環境展』と『情報セキュリティEXPO』も開催されるのがいいですね。デジクリの読者さんだと、『Web2.0マーケティングフェア』のほうが馴染みがあるかも知れませんね。」
「前回のデジクリで、べちおくんがタッチパネルのことに触れていたけど、この展示会で、タッチパネルメーカも何社が出展しているから、タッチパネルとグラフィックの、新しい関連性を知り得る、いい機会かもしれない。」
「今後は、間違いなく需要が伸びるジャンルですよね。」
「しかし、今回のWeb2.0マーケティングフェアの講演は、面白そうな講演者がいっぱいだねぇ、困っちゃうねぇ。全部聴講したいねぇ。」
「べちおさんは、組込みシステム開発技術展の専門セミナーに涎が垂れっぱなしらしいです。しかも、3日間行くつもりらしいですよ、彼。」
「それも仕事のうちってって言い出しそうだ。」
「会社勤めのサラリーマンのくせに、自由業みたいな動きですね……。ところで、いまさら気がついたんですけど、うちの会社って、組込み開発もWeb2.0も、ぜんぜん関係ないですよね。」
「相川くん、そういうキャラ設定の話を、読者さんの前で喋っちゃダメじゃないか。」
「健康促進グッズの会社っぽい話しって、初回だけでしたね。」
「……。」

・組込みシステム開発技術展 < http://www.esec.jp/
>
・ソフトウェア開発環境展 < http://www.sodec.jp/
>
・情報セキュリティEXPO < http://www.ist-expo.jp/
>
・Web2.0マーケティングフェア < http://www.web20-expo.jp/
>
ほか、同時開催あり。Web事前登録で無料招待券が貰えます。

【べちおサマンサ】 pipelinehot@yokohama.email.ne.jp
FAプログラマーであり、ナノテク業界の開発設計屋。
< WEB SITE:http://www.ne.jp/asahi/calamel/jaco/
>

・立飲み屋さんでのアンプラグド、遅刻しながらも何とか参加。久しぶりにアコースティックギターを弾いて楽しかったり。
・Googleもついに人員削減かと思いきや、ワタクシの関係会社さんも4月より人員削減を決行するらしい。うかうかしてられないなぁ。
・中川多理さんの人形たちが、どうしても頭から離れない。その中の一体が、ついに夢の中にご出演。しかも連日。その理由を模索中。
< 中川多理さんのBLOG:http://kostnice.blog105.fc2.com/
>

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■ローマでMANGA[18]
「授業」しながらあらためて漫画の構成要素を理解する

midori
< https://bn.dgcr.com/archives/20090331140300.html
>
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で、デ・アゴスティーニの仕事が続いている。いまやっとこ20号、21号掲載分の講義やら記事を書いていて、編集部では14、15、16号の作業をしているらしい。ときどき、「14号の画像が一枚壊れててあけられません」とか「16号の画像のコメントをつけてください」とか、メールが入るのだ。

記事を書くのに疲れるとメールチェックをして、こうした編集部からの要望や、絵描きさん達のラフにコメントを送ったりして、結局仕事をしていて、そのせいか、もう老眼鏡が離せない体になってしまった。

●キャラを立てる…(って言うんですね。業界では。)

数日前に書き終わったのは「キャラクターの作り方」。いざこうして課題として目の前に出されてみると、よくわかってないことに気がついて焦った。何しろ漫画家さんだったのは2年ほど。しかも自分の生活を題材にしていて、特に「キャラを立てる」という作業はしなかった。キャラクターの性格をはっきりさせる、ということは漠然とわかっていたのみ。

購読しているメルマガ『復活! これが"マンガ流"脚本・シナリオの書き方だ!」でキャラの話をしていたのを思い出した。
< http://www.mag2.com/m/0000264161.html
>

Lesson70が『キャラが弱い』と言われたら……というタイトルのレッスンだった。作者のこくぼじんさんによると、持ち込みして編集者さんに「キャラが弱いよ」と言われたら、以下の何かが欠けているそうな。
・シンプルな自己主張や信念、目的。
・分かりやすい特技や特徴。
・主人公の発想や行動の徹底ぶり。
・脇役たちから向けられる主人公へのフォーカス。

さらにLesson74の「君たちはリアクションが弱いワン! ニャ、ニャンですってー!」では、『アクションとリアクションのワンセット』を教えてくれていた。主人公の強さあるいは弱さ、あるいは、かわいさでもなんでもともかく主人公の特徴は、それに対するリアクションがあって初めて、読者にその重要さをわからせ、際立たせることになる。

●わたしの「授業」はこんなかんじ

さらにネットやら手持ちの漫画の描き方系の本を読み返して、8ページの「授業」をまとめることができた。授業の輪郭を明確にするために、具体例を出すことにして、読者層に合わせて、18歳の男女を主人公として、その性格付けをすることにした。そしてストーリーの核は、この二人が反発しながら惹かれ合い、ラストで恋人になる……というそのへんにありそうな話。核自体はありふれていても、料理の仕方でおもしろくなるはず。

▼性格を決めるためのベース

最初の2ページでは、最低の条件を決める話をした。性別、年齢、仕事でおおよその輪郭をキャラクターに与える。日常生活でも、初めて人に会うと、無意識にこの3つの項目を穿鑿している。

そして男女別に18歳という設定で背の高い人、低い人、強そうな人など4種類ずつの人物例を出した。服装も真面目っぽいジャケットだったり、露出部分が多かったりで性格が出るでしょ? ということを強調した。

▼外見に出ない部分も決める

次の2ページでは、外見以外の性格付けの条件。ギャップをつける、という話をした。強いキャラだったら弱い部分を、弱いキャラだったら強い部分をつける。人間は複雑なものだから、ひとつの方向だけの性格では不足する。それにプラスこくぼじんさんの教え、キャラ立てに必要な4つの要素を採用した。

18歳の女性キャラは強い性格ということにした。時には攻撃的。ギャップとして男性不信。へらへらと言いよってくる男子に容赦なくがなり立てたり、時には平手打ちが飛ぶかもしれない。外見は背が高く、出ているところは出てかなり女っぽい、それ故に彼女が苦手な男性から注目されてしまう。それが嫌で、あまり女っぽい服装をしない。でも、本当は女であることを否定していないので、髪は長い。

一方、男性キャラは、女性キャラの反対。つまり弱い。でも芯は強い。温厚で争いを嫌う。ギャップとして彼も女性不信。双方で異性が怖いのだから、関係がスムーズに行くはずがなくて、良い設定じゃありませんか。外見も女性キャラと反対で、背が低めで痩せている。例えば、ラストで恋人になった時、背が伸びていて彼女を超えているのもおもしろいかも。

こくぼじんさんの「わかりやすい特徴や特技」で、女性キャラはフェミニストでベースを弾く。男性キャラはバイクに詳しい。としてみた。

▼見えない部分をもっと掘り下げる。

次の2ページでは「キャラに過去を与える」話をした。ストーリーの中で重要な要素として語る必要はないにしても、キャラクターの行動の理由付けとして、作者には大切な要素だ。

女性キャラの男性不信は、独善的な父親の影響だ……とした。例えば、母親は弱い性格で、しばしば父親の攻撃に泣いていた。その姿を怒りを持って見ていた幼い女性キャラが成長してフェミニスムに共感した。小さな体で男性を率いる、70年代の女性ボーカル・ベーシストのスージー・クアトロをどこかで見つけて大いに憧れを抱き、ベースに興味をもった……、と何となく浮かんだ特技のベースにも結びつけることができた。

男性キャラの過去。彼の女性不信は、女性キャラとは別の理由にしなければいけない。ネット検索で参考になるものを探していて、目についた「恋人が死んでしまって、新しい恋をすることに罪悪感を覚えてしまう」という設定が頭から離れず、「2年前の16歳のときに真剣な恋をして、しかも辛い別れ方をしたので、恋をするのが怖い」ということにした。バイクへの興味は、若い男の子なら誰でも持つものだけれど、別れた子のことを考えないためにも、女の子に目を向けないためにも、熱中した……という設定にした。

▼リアクションの役割

そして最後の2ページで、それまで設定してきた二人の主人公の「アクション」に対する「リアクション」を起こすための脇役達を設定した。

女性キャラのフェミニスムを強調するために、彼女を支持する女の子、正反対に男好きのする肢体を持って主人公のフェミニスムを馬鹿にする女の子。この女の子は男子主人公の女性不信を強調するために、彼に言い寄ることにしてもいい。彼女を無視する男子は許せない彼女だったりするのだ。男性不信を強調するために、主人公に言い寄る背が高くハンサムな男の子。この男の子は、男子主人公の温厚な性格を強調するために、押せ押せの自信たっぷりな性格を与えてもいい。またバイク好きを強調するために、主人公はバイクが好きでも家庭の事情で買えないのに対し、この色男は家が裕福で、高価な400ccを持っている……ということにしてもいい。

「異性不信の男女が惹かれ合いながら反発して最後には恋人になる」というストーリーの核があり、主人公二人の過去や性格や外見が決まり、それをフォローする脇役を決めたら、様々なエピソードが際限なく出てくることに気がついて、私が漫画を描いているときに、こういうことをちゃんと把握してたら……とタイムマシンを作りたくなってしまった。

学校でも、サイトに読者が寄せてくるストーリーでも、うわっつらな設定の状況をストーリーだと提示してくることが多いけど、キャラの設定をしっかりすることで漫画のかなりな部分がなり立つことを、私もこの「授業」を書いてはっきりわかった。これを読んで頭の電球が点く子達が出てくるか……と楽しみになった。

授業では、デ・アゴスティーニの発売に先駆けて、このキャラの性格付けの話をしてみたところ、皆かなり熱心に聞いていた。デ・アゴスティーニの記事書きのおかげで、私もいろいろ漫画の構成要素についてわかってきた。イタリアの漫画家志望者に、こうして伝えることができるのはイタリアでは私だけだ!の意気に燃え、ますます記事書きに精を出して老眼鏡の度数を上げて行こうと思う。

●図々しい募集ですが……

私がマンガセミナーの授業を持つ、ローマの漫画学校の校長がマンガ雑誌を創刊することにしました。イタリアの漫画界は貧しくて、既にどこかで発表されたマンガの出版権を買って発刊するのがほとんど。書き下ろしはディズニーか、チーム編成の続き物のみ。マンガ雑誌は70年代の終わりから5年ほど盛り上がって消えてしまいました。雑誌構成は読者にいろいろな作家や作風を紹介できるという利点がありますが、企画して複数の作家とやり取りは手数とお金がかかって大変。既成の出版社はどこも手を付けようとしません。

そこで、校長さんが腰をあげることにしました。ただし、予算がない。30年業界にいるので作家の知り合いには事欠かず、過去の作品を無料で提供してもらうことにしました。かつてのイタリア漫画の旺盛を知らない、若い人にも知らせることができます。オールカラーで二ヶ月に一度の発刊。

図々しい募集の内容です。校長さんは日本のMANGA作品も載せたいと考えました。ただし、他のイタリア作品から浮いてしまうのはよくない……ということで、劇画風の作品を考えています。
(鄭問さん、荒巻圭子さんを例に挙げてました)
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%84%AD%E5%95%8F
>
< http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Miyuki/5602/gallery.html
>

劇画風の漫画作品を描く方で、無料提供、掲載時に原稿反転、カラーリング処理を施す……という条件をのんで、提供してくださる方なんていらっしゃるでしょうか。

当面、作家さんへのメリットは「ヨーロッパで作品を発表する」ということのみですね。イタリアの漫画界から見れば、「あんな大きい目の人間がいるわけがない」なんて言ってMANGAに近づこうとしない既成作家や、「大人」の読者にMANGAを知らせることができるという文化的価値があります。

校長さんは、4、5号あたりから利益が出始めると思う、と言ってます。広告を取れるようにがんばる、とも言ってます。こんな慈善事業的なことをしてもいいと思われる作家さんがいらっしゃいましたら、わたしにコンタクトをお願いします。
midoriyamane@nekonoashi.com

< http://www.dgcr.com/kiji/20090331/01 >
18歳男女のそれぞれ四通りのキャラのラフ。元教え子のエミリア画。

< http://www.dgcr.com/kiji/20090331/02 >
でっち上げたキャラ集合のラフ。エミリア画。
そうそう、エミリアはコスプレイヤーでもあります。
< http://emiliacosplayart.splinder.com/archive/2007-11
>
名古屋の国際コスプレサミットの2005年で優勝をしました。
< http://www.tv-aichi.co.jp/wcs/2005/victory_result/index.html
>

< http://www.dgcr.com/kiji/20090331/03 >
「euromanga」2号の表紙。「ブラックサッド」ファン・ディアス・カナレス作、フアーノ・ガルニド作画。

【みどり】midorigo@mac.com
3月9日にEUROMANGA 2号が出ました。
< http://www.euromanga.jp/
>
イタリア人作家のSkyDollの訳をしました。それはともかく、ヨーロッパの漫画が集まった日本語の雑誌の2巻目というのはめでたい、めでたい。講談社のMANDALA 3号も準備が着々と進んでます。後が続くか………。

イタリア語の単語を覚えられます! というメルマガ出してます。
デ・アゴスティーニの仕事のせいで、何ヶ月も休んでしまってますが……。
< http://midoroma.hp.infoseek.co.jp/mm/menu.htm
>

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■イベント案内
デザイナー(グラフィック・Web)のための「広告著作権セミナー」
< http://www.massmedian.co.jp/guidance/seminar/0056.html
>
< https://bn.dgcr.com/archives/20090331140200.html
>
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<主催者情報>

マスメディアンが、ゲッティイメージズとのコラボレーションにより開催。広告業界でスキルアップを目指す方へ。広告制作において留意すべき、抑えておきたい著作権の基礎知識、広告使用における最新事情と対策、著作権と肖像権の利用許諾方法などを、事例を含めてご説明いたします。

日時:4月23日(木)19:30〜21:00(19:00開場)
定員:50名(先着順)
参加費:無料
会場:マスメディアン東京本社(東京都港区北青山3-3-11 ルネ青山ビル7F)
< http://www.massmedian.co.jp/corporate/map_tokyo.html
>
申込:サイト参照

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■イベント案内
デジタルトキワ荘 Presents
「なぜ野菜ジュースを支給するの?〜クリエイターの理想郷を創り、
年収1000万円を生み出す秘密」
< https://cri.smartseminar.jp/public/seminar/view/62
>
< https://bn.dgcr.com/archives/20090331140100.html
>
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<主催者情報>

前編は「クリエイティブビジネスの裏側」と題して、会社資源である「ヒト・モノ・おカネ」をテーマに、起業の際の資金調達法やゲーム開発のファイナンスの捉え方、社員のモチベーションを高める仕組み作りについてお話します。

後編は、「クリエイティブビジネスの表側」と題して、メインコンテンツ立上げから成長、拡大までの実例を追いながら、様々なクリエイターとの協業や、現状のマーケット状況も見据えた新規事業の立ち上げ術、社会貢献に関わるプロジェクト実績と今後の展望などについてお伝えします。

「プロジェクトファイナンス」「年収1000万」「利益50%の成果報酬」「CGM発のコンテンツ」「クリエイターだから!の社会貢献法」といった話題の詳細を突き止めたい方、ご興味がある方にとって有益情報が詰まった講演です。是非、ご参加下さい。本講演は2回構成となっておりますが、日程の都合やテーマによって単回のみ希望される方のご参加も心よりお待ちしております。

「なぜ野菜ジュースを支給するの? 〜クリエイターの理想郷を創り、年収1000万円を生み出す秘密」

日時:4月15日(水)・22日(水)19:30〜21:00 全2回

1……4月15日「クリエイティブビジネスのウラ側 会社の血液 お金の作り方、使い方 お金は会社の生命線」

・貯金10万円で独立した事の意味
・お金の作り方は誰も正解を教えてくれない
・実は借金も貯金もダメ。
・お金の使い方は社長しか責任を持てない
・成功"しない"フリーランスの条件
・独立して必ず成功する方法

2……4月22日「クリエイティブビジネスのオモテ側 新しい事業 社会貢献」

・クリエイターの給料が下がっている?
・年収1000万円を実現する仕組み
・野菜ジュースを会社で支給する意味
・クリエイターの理想郷を目指す
・社会貢献は、社会だけに貢献ではない?
・役員がいない会社の経営会議
・思いつきをカタチに「サンデーゲームスタジオ」
・常に副業OKの思わぬ効果

講師:栢孝文氏(株式会社シグナルトーク 代表取締役)
定員:40名 申込順 定員になり次第締切
会場:株式会社クリーク・アンド・リバー社 2Fホール(東京都千代田区麹町2-10-9 TEL.03-4550-0002)
主催:株式会社クリーク・アンド・リバー社
料金:4,500円(2回参加) 1回のみの場合は2,500円
学生の方は学生証提示で3,000円(2回参加)
申込:サイト参照

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■編集後記(3/31)

・学生時代に耽溺した山田風太郎の忍法帖シリーズ。だって、エロいんだもの。いや、エロだけじゃなくてとてつもなく面白かったから。あの世界が40年ぶりに帰って来た。山田正紀「神君幻法帖」を読む(徳間書店、2009)。このナンセンスなストーリー設定は、徳川三代将軍を竹千代にするか国千代にするか、忍者たちを戦わせて決めるという「甲賀忍法帖」にそっくり。幻法者の山王一族7人と摩多羅一族7人は、天海僧正からあい争うよう命じられる。戦わなければならぬ理由がはっきりしないまま、無惨な殺し合いが展開する。風太郎忍法と同様、異形異能の幻法者たちが奇想天外の術を用いて戦う。その集団バトルのおもしろさといったら。術の科学的裏付けのこじつけのすごさといったら。最先端医学、遺伝子工学、ITなどの用語を駆使した、もっともらしくてナンセンスな説明が笑える。最終的に、この殺し合いをしなければならなかった真の理由が明かされるが(なんと本の帯に書かれていた)、無惨に死んでいった幻法者たちが気の毒になるくらい説得力がない。もっとも、その後日談でうまくまとめているが。エロティシズム、ナンセンス、ニヒリズムの3拍子そろった風太郎忍法を「CG使ってリメイクしたもの」と作者も語っているが、たしかにそんな感じだ。それぞれの若き頭領が恋仲になるとか、術の組み合わせで勝敗が二転三転、複雑に展開する(読んでいてわからなくなる)など、風太郎忍法の作法をきちんと踏襲した、まさに「甲賀忍法帖」へのオマージュである。次作は「くの一忍法帖」をベースにするというから、いやがうえに期待は高まります。だって、エロいんだもの、きっと、必ず。(柴田)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198626804/dgcrcom-22/
>
アマゾンで見る

・UNIQLOCK見に行ってみたけど姿勢はなかった。テキストだけでは……うう、すみません。開脚前屈時に、先生にまっすぐ座れと言われ、座ってますがな、硬い体なりに、と焦っていたら、ここが落ちてるのよ、と腰を押された時の驚きは今でも忘れられない。腰痛防止は椅子より姿勢だと気付かされました。背もたれの柔らかい椅子より、骨盤と背骨が自然と立つ椅子の方がいい。事務機メーカーさん、共同開発しようよ〜。自分の体ってわかっているようでわかってない。コントロールできそうで全然できない。訓練が必要。/UNIQLOCK初めて見たんだけど、ほんと延々と見続けちゃうね。よしもとなら、中山功太とよしもとギャグでのYoshiClockはアリだな。え、パクリ?/(続き)見積もりをお願いするために電話をする。その対応によって、会社のイメージが勝手にできてしまう。対応の良いところは、アフターサービスが良さそうだとか、具体的な質問をして来られるところは、今までトラブルを乗り越えてこられたんだろう、経験値高そうとか、そういうの。ある会社は、友人が実際に頼んだところだったので質に問題はなく、そこに頼もうと90%決めていた。価格だけが知りたかったのだが、電話応対が気になってしまった。見積もりのため、必要項目をFAXするという話になった。応対した人の名前を聞こうとして名乗ったら、一瞬の間。失礼ですが〜と切り出したら、名乗られず「ちゃんと担当者に渡しますので」と言われてしまった。別のいくつかの会社は営業さんが直接電話に出られたみたいで、FAX後に電話がかかってくるし、見本を郵送してくれるとのこと。けれどその会社だけは事務の方が受けられたみたいで、FAXで終わり。営業がフォロー電話をかけられない、電話係を専用に置かないといけないぐらい忙しいのかもしれない。ならそういうところに頼んだ方が安心。実際、電話がかかってくるとこっちも時間がとられるので、FAXだけでもかまわないといえばかまわない。(hammer.mule)