おかだの光画部トーク[14]ちゃんと撮れない感じを楽しむ「トイカメラ」で遊んでみよう(フィルムカメラ編)
── おかだよういち ──

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今回はちょっとデジカメの事を脱線して、ちゃんと撮れない感じを楽しむことができる「トイカメラ」の話をしてみましょう。

トイカメラとは読んで字の如く、おもちゃのカメラですが、よくファミレスのレジのあたりにあって、小さい子供にカメラ気分を味わせるために買い与える、本当のおもちゃカメラとは違います。トイカメラはちゃんと写真が写せます。でも、その写真はレンズも精度が悪くピントの具合も微妙。おまけに周辺の光量が暗くなってたりするので、仕事で使うようなかっちりした写真を撮ることはできません。

でも、マニアの間ではこの「ちゃんと写らない感じ」がウケています。狙って撮れない、偶然性を楽しむと言うか、とにかく適当に撮った写真でも出来上がった絵はちょっとしたアートっぽい感じになっちゃうところが楽しいのかもしれません。


トイカメラブームの火付け役となったのは、LOMO LC-Aではないでしょうか。LOMO LC-Aは1980年代にソ連で作られた、35mmフィルムを使うコンパクトカメラです。当時の生産ラインでは品質が安定しなかったため、一台一台微妙に写り具合が違うので、当たり外れもあるとてもアナログなカメラです。

現像するまでどんな風に写っているのかわからないというアートな描写に、ロシア以外の国で愛好者が多く、特にウィーンでは活発な芸術家達ファンによって、Lomography(ロモグラフィー)という芸術活動が始まり、熱烈なファンの支援でソ連崩壊後もロシアで生産が続けられ、2005年4月末まで販売されていました。

わたしも、2000年12月にLC-Aを手に入れたのですが、届いた梱包を解く段階からワクワクさせる楽しいカメラでした(当時、梱包を解く様子を写真に残していましたので、アップしてみました)。
< http://www.flickr.com/photos/okadayoichi/3543303082/in/set-72157615670331003/
>
< http://www.flickr.com/photos/okadayoichi/3543303442/in/set-72157615670331003/
>
< http://www.flickr.com/photos/okadayoichi/3542495397/in/set-72157615670331003/
>
< http://www.flickr.com/photos/okadayoichi/3542495781/in/set-72157615670331003/
>
< http://www.flickr.com/photos/okadayoichi/3542496171/in/set-72157615670331003/
>

中にはカメラ本体以外に、Lomographyのミニ写真集やフィルムなどが可愛くパッケージされていました。

最近話題のアニメ“けいおん”の中にも出てくる女の子の一人がこのLOMO LC-Aを使うシーンがありますので、また新たなブームがくるかもしれませんね。
http://www.tbs.co.jp/anime/k-on/

http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_ss_gw?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Daps&field-keywords=%82%AF%82%A2%82%A8%82%F1&x=10&y=18


今ではロシア製の完全未開封モノはなかなか購入できないようですが、2006年に多重露光機能や高感度フィルム使用可などの機能を追加したLC-A+が中国で生産再開されたので、新しい中国製のものは購入できます。

最近では、カラーフラッシュやリングフラッシュなど、様々なオプションパーツも充実していて、楽しく遊べそうです。
< http://www.lomography.jp/microsite/lca+jp/
>

LOMOで撮った写真がどんな風に素敵なのかは、flickrの多くのGroupに投稿されている作品を参考にしてみるとよくわかると思います。
< http://www.flickr.com/search/groups/?q=lomo
>

最近では、昨年秋に一風変わったトイカメラが誕生しています。
名前は“blackbird, fly”。LOMOと同じく35mmフィルムを使いますが、ボディはちょっと大きくレンズがふたつ付いた二眼レフカメラです。デジカメ全盛の時代にこういうアナログなアプローチは、巷で流行っているスローライフやスローフードのような、のんびりゆったりした時間を写すのにはいいツールかもしれません。
< http://www.superheadz.com/bbf/
>

このカメラが変わっているのは、35mmフィルムを3通りのサイズに使えるところです。中判のブローニーフィルムを6×4.5、6×6、6×7など違うフォーマットで使うのと似ていて、このカメラは24×24ミリ、24×36ミリ、36×36ミリの3サイズで撮れます。特に36×36だと、フィルムいっぱいのパーフォレーション(フィルムを巻上げる上下の穴)までイメージが写し込まれます。35mmフィルムで、真四角のスクエアフォーマットが撮れるなんてちょっと素敵じゃないですか?

ただ、これ一般のサイズとは異なり、かなり特殊なので普通に街の写真屋さんに現像を出してしまうとちょっと困ったことになるかもしれません。普通の自動現像機だとフィルムをカットする間隔とかも決まっているので、スクエアで撮ったものだと途中で切れちゃったりするかもしれないからです。

でも、大丈夫。blackbird,fly専門で、インターネットで現像・プリントを注文できるお店がちゃんとあります。
< http://www.cpp-royal.com/analog/bbf.html
>
< http://calamel.jp/Blackbird%20Fly%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88/item/9947252
>

blackbird,flyのグループも、flickrにありますので参考にしてみてください。
< http://www.flickr.com/groups/842894@N24/
>

これら、トイカメラのキッチュなアナログ感を楽しむのは、パソコンのモニタ上ではなく、プリントして部屋の壁一面を埋め尽くすとか、アルバムに貼って文字などとコラージュするなど、実際に手に取って見られる方が向いているかもしれませんね。

上手く撮る必要がなく、感じたまま純粋にシャッターを押すだけ。そういう行為をただ楽しむというのも、また贅沢な写真の楽しみ方かもしれません。

フィルムのカメラはちょっと面倒。もうちょっと気楽にトイカメラしたいという人に、次回はデジタルのトイカメラをご紹介してみますね。

【おかだよういち/WEBクリエイター・デザイナー+フォトグラファー】
< http://s-style-arts.info/
> < mailto:okada@s-style-arts.com >

OFFTIMEという自転車買いました! 自転車に乗って見る"流れる景色"がとても新鮮です。