おかだの光画部トーク[17]ホワイトバランスって何だ?
── おかだよういち ──

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わたしの周辺だけかもしれませんが、最近初めてデジタル一眼を購入してテンションが上がっている人が更に増えているような気がします。一眼レフではないですが、先日発売されたばかりのオリンパスPEN E-P1に物欲をそそられている友人も何人もいますし、すべてオートのカメラ任せ簡単コンパクトデジカメに、そろそろ飽きてきた時期なのでしょうか。

今回は、ちょっと上級機を使う場合に知っておきたい、ホワイトバランスを勉強してみましょう。

ホワイトバランス自体は上級機でなくても、コンパクトデジカメや携帯カメラでも設定項目はあるはずです(iPhoneにはないですが)。ただ、このクラスでは設定ができるとは言っても、「太陽光・曇り・電球・蛍光灯・オート」のどれかを選択する程度なので、かなり大雑把です。コンパクトデジカメでも上級機や、デジタル一眼などは、任意でホワイトバランスを設定できたり、色温度を設定できますので厳密な色を再現するのには安心です。

では、そもそも「ホワイトバランスって何よ?」「色に温度があるの?」ってことですが、デジカメはオートに設定(AWB)しておけば、基本的に特に意識することなく、屋外でも蛍光灯の下でも、それなりに自然な色に写ります。これはデジカメならではの機能です。



フィルム時代は、デイライト用やタングステン用など光源によって使うフィルムを使い分けるか、レンズに色を補正するフィルターを付けて調整するなどかなり面倒なことをしていました。そのような調整なしで、デイライトフィルムを蛍光灯の室内で撮ると、出来上がった写真は緑っぽい感じの、なんだか気持ち悪いものになっちゃった記憶があるかと思います。

何故、目でみたままではなく、変な色に写っちゃうのでしょうか? 実は人間の目はちゃんとその場の色が見えているのですが、賢い脳が本来あるべき色に補正して認識しているのです。例えば、白い車は昼間見ても、夕日を浴びてても、夜に水銀灯の下で見ても、白と認識します。人間の脳は凄いですね。でも、本当は夕日を浴びてオレンジ色っぽい色だったり、水銀灯の下ではちょっと緑っぽいはずです。

デジカメのオートホワイトバランスは、人間の脳ほど優秀ではないので、なんか違う感じに写ったり、同じ場所で、同じ設定で連続で撮ったのに前後でまったく違う色で写ったりすることがあります。

まず、前提となる色温度の説明をします。ケルビン(K)という単位で表します。温度というと熱を想像しますので、感覚的には赤が温度が高く、青が低いような気になりますが、色温度は反対で、赤が低く青が高い。具体的には、ろうそくの炎=2000K、白熱電球=3000K、蛍光灯=4000K、晴天=5500K、曇り=6500K、晴天の日陰=7500K。

最近では、蛍光灯でも色々な種類がありますので、厳密に言うと個々に色温度は違いますが、だいたいこんな感じです。コンパクトデジカメなどでのホワイトバランス設定は、この大まかな色温度がプリセットされているということになります。

これらのシチュエーションに当てはまらない時や、電球や蛍光灯や窓からの外光や色々な光が混ざっている時などは、とても微妙な色温度になるはずなので、細かく設定する必要が出てきます。

通常、遊びで撮影している場合はそれほど気にすることはありませんが、例えばネットショップ用の商品を自分で撮影する場合など、商品の色をできるだけ厳密に再現したいので、ホワイトバランスをオートやプリセットにせず、自分で設定して撮影します。設定の方法はカメラによって違うので、マニュアルを参考にして頂くのが一番ですが、ここではホワイトバランスを設定する時にあると便利な物を紹介してみます。

何がなくともグレーカード。18%のグレーで露出の基準でもあり、色の基準にもなります(露出の基準ということに関してはまた別の回に詳しく説明します)。このグレーカードでホワイトバランスを設定して、更に一枚グレーカードを写し込んだカットを撮っておくと、後からパソコンで修正する場合の基準にできるので便利です。

このグレーカード、コダックと銀一の製品があり、コダックの方が紙が厚くしっかりしていて、通常の用途では使いやすいと思います。携帯に便利な小さいのも付いているのでお得です。
< http://www.rakuten.co.jp/mitsuba/445268/302172/535726#571772
>

銀一の方は、ちょっとペラペラな感じですがこれはカットして輪を作って立体加工しやすいようになってるので、用途によってはこちらもいいでしょう。
< http://www.ginichi.com/product_info.php/products_id/2740
>

その他、最近ではレンズの先にフィルターのように取り付けて、入射した光を測る“デジタルホワイトバランスセッター”というものがいくつか出ています。一番よく使うレンズの径に合ったサイズのものを、カメラバッグにひとつ入れておくと便利です。
ExpoDisc
< http://www.komamura.co.jp/expodisc/index.html
>
デジタルホワイトバランスセッター
< http://item.rakuten.co.jp/kenko-k/c/0000000461/
>
レンズキャップ型ホワイトバランサー
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001KVXTTW/dgcrcom-22/
>

これらの道具を使ってカメラに基準となる白を設定すると、オートで使うよりもその場の光源の色温度により厳密に合わせることができますので、どれかひとつ持っておくと重宝します。

【おかだよういち/WEBクリエイター・デザイナー+フォトグラファー】
< http://s-style-arts.info/
> < mailto:okada@s-style-arts.com >

先週、東京に行ったついでにお台場の「等身大ガンダム」見に行ってきました。想像してたより遥かにカッコよかった。