[2680] メディア芸術について「さらに」考えてみる

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<必要なのは規制じゃなくてレーティングなんだよ>

■MKチャット対談
 メディア芸術について「さらに」考えてみる
 笠居トシヒロ&まつむらまきお

■グラフィック薄氷大魔王[187]
 きれいに描かないほうがいい
 吉井 宏

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 F-site トップランナーの制作現場 〜デザイン&アニメ編〜
 「デザインスーパー」メビック扇町クリエイター塾


■MKチャット対談
メディア芸術について「さらに」考えてみる

笠居トシヒロ&まつむらまきお
< https://bn.dgcr.com/archives/20090722140400.html
>
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R35:くだらない表現、えらそうな表現が含まれています

かさい: まいどー、笠居です。 毎日暑いですねえー。あ、今日(これの配信日)は皆既日食ですね!! 皆さん見られましたか〜?

まきお: どもども、まつむらです〜 amazonで日食グラス仕入れたのだが、なんか曇り空っぽいなぁ…orz

かさい: そうなのよねー(この原稿は19日の日曜日に書かれています)日食グラス、オレも買ったんだけど、無駄になると悔しいなあ

まきお: まぁそんときゃ、太陽の黒点観察しましょ〜♪

かさい: 立ち直り早いな(^_^; ま、太陽撮影用のNDフィルター(2万〜)を買い込んじゃった人よりは、ダメージも少ないんですけどね

まきお: それいうなら、ン十万かけて遠征している方、ご幸運をお祈りします(^_^;

かさい: 沖縄地方は、晴れだし、ほぼ真円の皆既日食になるらしいのでうらやましいですわー#あとで調べたら、トカラ列島や小笠原諸島あたりがこれに該当する#みたいですね、沖縄本島は外れてるのね


まきお: さてさて、前回話題にした、メディア芸術センターなんですが、あれからもうちょい調べてみたんすよ

かさい: ほほう、どんなことについて?

まきお: まずは「メディア芸術」っていうくくり方についてね

かさい: ふむ。どうせなんもわかってないやつが作った言葉じゃろー、って切り捨ててしまいましたが、真相やいかに

まきお: 朝日新聞に記事がでてまして、引用しますと
 >「浜野保樹・東大教授は「当時の文化庁『芸術選奨』にないジャン
 >ルを集めた」と話す。」
寄せ集めでしたー\(^O^)/
< http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200907110085.html
>

かさい: やっぱり orz あまりにも予想通りで力抜けるわ

まきお: しかも、
 >「その『メディア芸術』も昨年から芸術選奨に入った。」
ってことで、今やなんの根拠も論拠も理由もないやん(笑)

かさい: そもそも「芸術選奨」自体、文化庁主催の賞でしょ?

まきお: そうだよ

かさい: じゃあ、主催の文化庁が、範囲広げりゃよかっただけの話じゃね?アニメやマンガでも芸術性が高い作品には賞あげます、って言やぁすむことじゃん。わざわざメディア芸術なんて枠作らなくてもさ

まきお: すむすむ(笑)まぁそこに、各ジャンルからの思惑もあって、そのまますすんじゃったんだろうねぇ。で、もうひとつ、調べました

かさい: なんでしょうー

まきお: メディア芸術センターの今の計画、延べ床面積が1万平方メートルなんですが、これがどれくらいの規模なのか。

かさい: 一万平米って広いんだか狭いんだか…東京ドームで言うと何個分だ?

まきお: グラウンド面積が1.3万平米なので、0.769個分、って東京ドームと比べて実感わくんか?(笑)

かさい: 東京ドームを単位にするときは、建坪を基準にするらしいよ

まきお: なんじゃそりゃ(^_^;

かさい: 建築面積は46,755平米なので、0.23個分だな。東京ドームの約4分の1

まきお: ドームと比べてもわからんわい(^_^; えと、国立新美術館が4.7万平米。西洋美術館でも1.7万平米あるんです。で、京都に国際マンガミュージアムというのがあるんですが、これが廃校になった小学校を改装した建物でね、これが5千平米。梅田のジュンク堂も5000平米
 ※すべて延床面積

かさい: ふむふむ、約半分ね

まきお: あと、梅田のヨドバシが11.3万平米

かさい: (笑)まぁ8階まであるしね

まきお: いやいやいや、ビル全体だと地上13F、地下2F全部で15層なので、1フロアで7500平米。

かさい: こっちもちょっと面積でわかりそうなとこ調べてみたんだけど、京都市美術館が、本館・別館併せて1万平米強なのね

まきお: 個人的にはそれ、めっちゃわかりやすい(笑)うちの大学、かなり規模ちいさいけど、卒業制作展、それくらい埋まってるで〜

かさい: そそ、オレの母校(京都芸大)もまつむらさんが教えに行ってる成安も、卒業制作展をそこでやるんだよね。要するに小規模の美大の卒業・進級制作展をやると、満杯になっちゃう程度の広さってことです

まきお: そうなんだよ。全然小さいの。マンガ、アニメ、映画、メディアアート、ゲーム5ジャンルで均等に割ると、1ジャンル2000平米にしかならない。展示スペースとしても小さいし、ましてや「作品の収蔵」なんてことができる規模では絶対にない

かさい: ま、データで収まる系のものに関しては、サーバを置くスペースはとれるだろうw でもまあ、マンガだけであふれるわな

まきお: あふれるよぉ〜〜〜 だから「国立マンガ喫茶」と言うのはあたってるなぁ、と思った(笑)みんな幻想抱きすぎだよ〜

かさい: いやー、厳選された芸術性の高いものしか置かないから、市井のマンガ喫茶ほどにはラインナップがそろってません、てなことになるんじゃない?w

まきお: なるんだよなぁ、きっと。じゃあ、どこで、マンガの芸術性の有無に線をひくつもりなんだろうね?

かさい: それそれ。ほんとに芸術的マンガだけを保護収蔵しますってんなら、それはそれでいいんだけどさ、誰がきめんのかね? ハッキリ言っちゃうと、オレは鉄腕アトムは芸術じゃないと思ってるので、アトムが収蔵されるってことなら、基準はあてにならんとおもうんだけどね

まきお: ちゅーか、手塚プロが原画わたすわけなかろう(笑)

かさい: (笑)そうだよなー

まきお: そもそも、そのアトムだって、60年代には散々悪書として攻撃されてきたのだ。前回も書いたけど、芸術か否かの評価には時間がかかるのだ。今、判断できるってこと自体がうさんくさいとおもわん?

かさい: くさいくさい。オレは芸術の定義には二面性があると思ってるんだけど、客観的評価には、まつむらさんのいうとおり時間がかかると思うよ。芸術を目指して生み出されたものがどうか、という判断はすぐにでもできるけど、それを世間が芸術として評価するかどうかは別の話

まきお: そういえば、同じくマンガ文化論みたいな人たちから最近非難があがっていたのが、児童ポルノ規制

かさい: ああ、単純所持がどーとか、宮沢りえのサンタフェは児童ポルノか、とかアホな議論ばっかやってたやつね

まきお: 国会解散で廃案になる見通しだけど

かさい: そりゃ結構なことで…って、全然結構じゃないわ!

まきお: (笑)

かさい: 気に入らん! なんか決まっても、解散して内閣が代替わりしたら、もう前に決めたことは関係ないとか、アホか!

まきお: まぁ、それについては論点がずれるので置いておいて(笑)

かさい: ムカムカー(--#)

まきお: (^_^; なんか、ドラえもんのしずかちゃんの入浴シーンはどうだ?とか、ワカメちゃんのパンツはいいのか? とか、そんな話にまでなってたって?(笑)

かさい: そんな細かいとこまではチェックしてないけど、そもそもこの法案自体が本末転倒な話なのに、そんな枝葉の部分を議論しなくちゃいけないなんて、本当に程度が低すぎてイヤになる

まきお: 果ては、マンガ文化の衰退につながる、という話まで出てて、ひっくりかえった(^_^;

かさい: マンガ文化ねえ…んなもんがあるなら結構なことだが… まぁ、大本の話ってのは、セックス産業をトリガーとした虐待から子供を守りましょうね、ってことなので、そんなのあたりまえやん、ちゅー話なんだが、なんでそれが、作ってるほうじゃなくて持ってるほうに矛先を向けてきたのかが謎。しかも、子供が裸だったら何でもかんでも児童ポルノ、とか、果てはモデルが実在しなくても子供に見える絵はアウトとか、ヒステリーのオバハンの発想としか思えん

まきお: そうなんだよ〜。去年公開された「スカイ・クロラ」ってアニメがあったんだけど

かさい: あー、見たいんだけど、まだ見てないなー

まきお: あ、見るといいよ。ぼくも公開時に見てなかったのが、最近DVDでみたら、えらくよかった

かさい: 見る予定で予約リストに入れてます

まきお: で、この映画の登場人物は「年をとらない子供(青少年)」なんですが……

かさい: ヌードとかセックスとか出てきますか

まきお: セックスも出てくるが、映画の中で、これらの登場人物、みんなタバコを吸うんだよ。やたらタバコを吸う場面が多いの

かさい: まぁ、そういうのは出てきてもおかしかないわな。で?

まきお: それに対して、日本禁煙学会って団体が質問状を出したんだって

かさい: どんな?

まきお: 質問状を引用しますと「喫煙シーンは、この作品になくてはならない、というものでないと思われますが、なぜこれほど多くの喫煙シーンを取り入れているのでしょうか?」いやもう、もうしわけないが「バッかじゃないの? あんたら!」と思ったよ
< http://www.nosmoke55.jp/action/0808skycrawlers.pdf
>

かさい: バッカじゃないの、ホンマ。そのシーンが必要かどうかは作り手が決めるんだよ。それ見て、観客が「あー、このシーンはいらんなー」って思うのは自由だけどね。でも、見てないからアレだけど、タバコは必要だから入ってるんだろ?

まきお: あたりまえだー(笑)みりゃわかるよ。ネタバレになるから、説明はしないが。でまぁ、児童ポルノ法もねぇ、同じような人たちだと思ったわけ

かさい: そういう良識ぶった顔して徒党組んでる連中ってのは、ほとんど同じようなアタマの構造してるんじゃないか?

まきお: 誤解のないよう、言っておきますが、喫煙も児童ポルノも、社会的にNGというのはあたりまえのこと、と思ってますよ、はい。おかしいと言ってるのは「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という考え方、ということっす

かさい: そこなんだよな。当然規制しなきゃいけないものだ、というスタンスに立たなきゃいけないんで、サンタフェはポルノなのか? なんていう些末なところから切り込まなきゃいけないことになるんだよ

まきお: ほんとにそんな法が必要なほど、一般常識が通用しない、良識が通用しない社会になっとるんか? そういうことは良識がどうか、であって、法的にどうこう、ではないと思うし、児童ポルノについて、そういう法律がないと、悪質な業者や親を罰することができないのであれば、それはそれでおかしい

かさい: 児童ポルノを作ってたり売ってたりする連中を裁くのは、現行法で十分可能なんだそうだ

まきお: でしょう〜〜〜〜???

かさい: あたりまえじゃん。そんなことも規制できないような法律おかしいでしょう。しかしまあ、こういったセックス産業ってのは、ご承知の通り人間の原初的な欲望に結びついてるんで、そうおいそれと根絶できるものでもない、ってのが問題になるのはわかるんだけどね

まきお: で、ですね、だからといってね、マンガやアニメのそういった描写に何も問題がない、とは言えないと思うんよ

かさい: わかりにくいw 整理して具体的に言ってくれ。どんなののが規制されたらいいと思うか

まきお: すまん(^_^;)規制じゃなくて、良識があるのか、ってことで。京都の国際マンガミュージアムに行くとですね、自由にマンガ本が読めるので、休みの日なんか親子づれとかがいっぱい来て、芝生の庭やら、階段やらでマンガを読んでいるわけです

かさい: ふむ

まきお: で、そのマンガは児童マンガばかりじゃなくて、青年マンガも(えげつないのはないけど)。性的な描写や暴力描写のある本でも、小学生が好きに読める状態にあったの。それを見てですね、あたしゃとても「日本のマンガ文化はすばらしい」と言う気分にはなれなかった

かさい: ふむ、R指定ぐらいはしないといけないね。ただ、さっき規制っていったけど、オレ自身は法的規制なんてものはあってはならんと思ってます

まきお: ぼくも本来は規制はいらんと思うが、映画やゲームが業界独自でレーティングをしているのに、マンガはまったくの野放しって、どういうことなんだろうね? と。これらのコンテンツは中を見るまで、わかんないじゃない? 内容が

かさい: うん、そこはホントに作り手の良識って話ですね

まきお: そう、そこなんです。はっきりいって、日本のマンガ、とくに出版社に、良識があるとは思えない。けしてポルノなどではない、未成年に見せて悪影響がない、と胸を張って言えるのか? ってことです

かさい: オレはその辺は門外漢だけど、まつむらさんはどっちかって言うと中の人だもんな。より深刻だとは思うが

まきお: ほんとね、こんなことやってると、どんどん、マンガがダメになっていくんだよ。アニメもさ、エヴァにしたって、あれだけ暴力表現てんこ盛りなのにレーティングされていない

かさい: あれ、主人公達って14〜5歳の設定だよな

まきお: 14歳だな。あ、暴力っていうのは、戦闘のことね

かさい: わかってるよ。人間同士じゃないけど、かなりグロいもんね

まきお: 喰い合いするし(笑)

かさい: 戦闘以外でも未成年の裸は出てくるし、TV版ではオナニーシーンもあったし、アグネスが見たら、絶対「児童ポルノだ! 規制しろ!」っていうなw

まきお: そういう気持ちもわかるってこと。アグネス好きだったし(笑)でも、必要なのは、規制じゃなくて、レーティングなんだよ。暴力シーンが含まれる、性的表現が含まれる、そいうったことを、DVDとか、TVとか、マンガとかが、ちゃんと表記してないって状態はおかしい。中を見るまでわからないってのが絶対おかしい

かさい: 結局、そういうことを自分たちでちゃんとやってかないと、今回みたいな「法で規制しましょう」なんて話になってしまうんだよな。で、周辺産業も迷惑することになる

まきお: 自主規制が表現の自由を奪うなんて論調もあるけど、レーティングは必要な情報を明記するだけで規制ではないよね。今回の法案流れるからっていって、出版社、アニメ業界、ちゃんと反省してほしいと思う。政治がバカなのも、役所がおかしいのも、根っこはそういうところにあるような気がするんだよ

かさい: まったく。とはいえ、しつこいようだけど、規制しようって考え方自体はおかしいですよ。そこはハッキリ言っとくよ。そんなことやると、将来の歴史の教科書に、言葉狩りや焚書と同列の愚かな事件として載っちゃうよ

まきお: そうそう、レーティングがあって、それを見るのかどうかは、個人や家庭が判断すればいい話。法律が多い社会はバカが多い社会、ってことだからねぇ。もっとまともにならないと

かさい: だね。今回取り上げた二つの問題にしても、並べて考えるとおかしすぎるだろ。片方では芸術として持ち上げ、片方ではポルノとして抹殺しようとする。どっちやねん! と

まきお: たしかに(笑)メディア芸術センターでは、墨塗りやモザイクがかかったマンガやアニメを展示するんか…(笑)

かさい: 同じ国会で議論してるんだろ? それぞれ担当が違うの? そんなの国民知らないよ?

まきお: もっと真剣にマンガやアニメ、表現のことを考えて欲しいなぁ。ちなみに、デジクリのレーティングは…?

かさい: んー、このチャットについて言えば、R35くらいかしらんw

まきお: ですね(笑)じゃあ今回から冒頭に「R35:くだらない表現、えらそうな表現が含まれています。」としよう(笑)

かさい: 自主規制(笑)

まきお: 規制じゃないよ〜(笑)


【笠居 トシヒロ/WEBクリエイター・デザイナー、デジハリ大学院客員教授】
< http://www.mad-c.com/
> < mailto:kasai@mad-c.com >

先日のCSSNiteで濱村デスクと遭遇。なんか太ったと言われてしまった。orz
夏期休暇まで1ヶ月弱、もっと走り込んで贅肉落とすぞぉー。

【まつむら まきお/まんが家、イラストレーター・成安造形大学准教授・
TSUTAYA会員】
< http://www.makion.net/
> < mailto:makio@makion.net >

森巧尚さんの本「基本からしっかりわかるActionScript 3.0」(毎日コミュニケーションズ)のイラストを描かせていただきました。あのかわいくない(笑)ActionScript3がちょっとはかわいく思える(笑)いい本です。
それから、8月1日、F-siteにてFlashお絵かき教室やります〜。きてね〜。
< http://f-site.org/
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■グラフィック薄氷大魔王[187]
きれいに描かないほうがいい

吉井 宏
< https://bn.dgcr.com/archives/20090722140300.html
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ここ5〜6年くらい、それ以前はほとんど意識してやったことがなかったドローイングをやってるわけですが、最近になってようやく気がついてきたことがある。誰かに見せる作品じゃないドローイングやスケッチって、なるべく汚く描くほうがいいみたいです。

いろんな人のスケッチブックやノートを見て、迷いがない美しい線で描かれたドローイングにあこがれ、あらためて紙に描くようになったのですが、僕は昔から「きれいな線画」を描くのが苦手。それを克服するために摩擦の大きい色鉛筆を使ったり紙を選んだり、鉛筆の持ち方のフォーム改造などして、快適にきれいな線が描けるように工夫してきたわけです。

スキャンして単品のスケッチ(僕の場合、キャラクター単品のドローイングがほとんど)を一つずつ切り離して、500pixelサイズに揃え、番号をつけて一つのフォルダに入れてある。ときどき見返しては少しずつ手を入れたりするんだけど、ここで問題が。きれいな線画のドローイングは、もうそれ以上何か変更したい気持ちが起きにくいのです。つまり、きれいに描いてしまったものはそこで完結してしまっており、発展させにくいってこと。

美しく描けたスケッチは、後でいじるときに躊躇してしまう。汚く描いておけば、後でいくらでもいじり放題。また、きれいでカッコイイ線を描くのに神経や時間を使うのはムダ。以前書いたように「ドローイングこそがクリエイティブそのもの」という考えに立てば、多少汚くても素早くアイディアに形を与えるのが目的なんだから、それでいいはずです。

それに気がついてから、紙や筆記具の種類を基本的に問わなくなった。描けりゃあ何でもいいです。でも、力を入れないと描けない種類の画材はどちらかといえば向かないかな。2Hの鉛筆とか、安い色鉛筆はある程度力を入れないと濃い線が出ないので疲れる。逆によく使うようになった画材としては、油性ボールペンとかサインペンの類。これらは力を入れなくても描けるのでラク。

具体的なやり方としては、まず、油性ボールペンの黒でグリグリグチャグチャと描きます。油性ボールペンは以前はなめらかすぎて嫌いだったのですが、汚く描くことにおいてはピッタリの筆記具。何か形ができたら、サインペンや黒の色鉛筆などで線を強調したり、別の紙を上から当ててテキトーにトレース。同じボールペンでもいい。描いたらそのままで放っておく。また何かいじりたくなったら修正を加えてまたトレース。いじる必要を感じなくなった段階で、ようやくスキャン。デジタル化したドローイングは基本的にPhotoshop等で加筆などせず、ドローイングフォルダへ。人に見せる必要のあるスケッチ、つまり提出ラフなどは、形が出来上がってから、あらためてきれいにトレースすればいい。

デジタルでドローイングする場合は、線に気を使わないで済む一つの方法として、Photoshopの鉛筆ツールがお勧め。筆圧もなし。ジャギジャギの線で、形状だけ描く。形を追求するにはそれで十分。線をきれいに描くための努力はなるべく避ける。消しゴムツールもモードを鉛筆にしておけば、完璧に消せる。

もっとも、線画を描くのが得意な人はそのまんまでぜんぜんイイと思いますけどね。そういう人はうらやましい。

余談。ドローイングフォルダは日付順にしておく。変更を加えて上書き保存したものは更新日が新しいので上のほうに集まる。すると、手を加える気のおきないドローイングが下のほうに自動的にたまっていくという、押し出しファイリング的便利さもあります。

【吉井 宏/イラストレーター】  hiroshi@yoshii.com
HP < http://www.yoshii.com
>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
>

DVDで「クローバーフィールド」を観た。内容は置いといて、手持ちカメラの手ブレ酔いには本当に参った(Wikipediaによれば「3D酔い」というらしい)。僕はマリオカートが5分と続けられず、テレビの天気予報で地図のCGが画面でパンして急に止まるところで「ウッ」となってしまうほど、不自然なカメラの動きに弱い。この映画は最初から最後まで手持ちのハンディビデオで撮影した映像なので、3D酔いの極致。シロウトが撮影したビデオって設定だもん、まさに拷問です。もうずっと気持ち悪く、10分観ては休憩って感じ。見終わっても半日気持ち悪かった。送別パーティを撮影していたカメラがそのまま大惨事を撮り続けるという設定なので、すごいリアルで臨場感がある。だからといって、ずっと手持ちカメラの映像である必要もないような気がする。だって、映画って基本的に観客がある事件に居合わせたかのように撮られてるもんでしょ? 映画見ててカメラの存在って意識しないでしょ? 事件をビデオカメラで撮った映像だってことを終始感じさせているってことは、事件に居合わせるんじゃなくてビデオを通して事件を見てることになるじゃない? せっかくリアルな現場なのに、フィルタを一枚通しちゃうことになる。まあ、あそこまで徹底してるからこその面白さは確かにあるけど、この手法を使うのなら、3D酔いに弱い人にもうちょっと配慮してほしいなあと。観てないが「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」は完全にダメなんだろうなあ。それから、新しい「スタートレック」も手持ちカメラ風味が大きく盛り込んであるようで、ちょっと心配。

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■セミナー案内
F-site トップランナーの制作現場 〜デザイン&アニメ編〜
< http://f-site.org/articles/2004/03/25003056.html
>
< https://bn.dgcr.com/archives/20090722140200.html
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demo1「Flashサイトにおけるアートディレクションとデザイン」
Metamosphere 櫻井優樹(50分)
< http://www.metamosphere.com/
>
demo2「Flashお絵描き使いこなし技」まつむらまきお(50分)
< http://www.makion.net/
>
demo3「TVアニメ制作のワークフロー」マックス・ワイントラウブ(60分)
< http://maxweintraub.com/
>

日時:8月1日(土)13:15〜17:00
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟4階 416室(東京都渋谷区代々木神園町3-1)
募集人数:160名
参加費用:1,000円(会議室使用料など)
本編終了後、新宿に移動後割り勘(4,000〜5,000円)で二次会(宴会)実施。二次会のみの参加は受け付けていない
申し込み受付:サイトから

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■セミナー案内
「デザインスーパー」メビック扇町クリエイター塾
< http://www.mebic.com/seminar/1261.html
>
< https://bn.dgcr.com/archives/20090722140100.html
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〈主催者情報〉
コミュニケーションデザインの領域が広がり、デザインに求められる役割が大きく変化しています。How ToからKnowledgeへ。スーパーな講師の視点を皆さんに投げかけることで、デザインの価値と本質の発見を試みます。

「研究型デザインのすすめ」
日時:8月26日(水)19:00〜21:00
講師:松下計/アートディレクター

「Design × Printing = GRAPH」
日時:9月2日(水)19:00〜21:00
講師:北川一成/GRAPH ヘッドデザイナー

「新たな価値観・サスティナブルデザインの創出“ゆりかごからゆりかごへのモノ創り”」
日時:9月7日(月)19:00〜21:00
講師:植松豊行/東北芸術工科大学大学院教授、(財)日本産業デザイン振興
会理事、(株)パナソニックデザイン社社長

「菓業と家業と私」
日時:9月16日(水)19:00〜21:00
講師:荒木志華乃/(株)荒木志華乃デザイン室 代表取締役

「デザインよもやま話し 飲みながら話そう」
日時:9月24日(木)19:00〜21:00
講師:長友啓典/アートディレクター

会場:メビック扇町2F(大阪市北区南扇町6-28 水道局扇町庁舎2F)
費用:2,000円(各回・税込)
定員:60名(各回)
プロデュース:杉崎真之助(グラフィックデザイナー)
申込・問い合わせ:サイト参照

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■編集後記(7/22)
・YouTubeには時間をどんどん盗まれそうなので、普段はあまり見ないのだが、たまたま自民党ネットCM「プロポーズ篇」を発見(あちこちのブログにも貼ってあった)けっこうおもしろかった。ヘンな目つきの若い男が「ボクの方がキミを幸せにできる。ボクに交代してみないか?」とオイシイことをいくつも挙げて、自信たっぷりに(いや、ただの棒読みか)口説く。あまりの調子の良さに、女性が「お金は大丈夫?」と聞くと、男は身を乗り出して「細かいことは結婚してから考えるよ!」と言い放つ。「えぇー???」と困惑する女性。まさしくこの男は鳩山@民主党だ。「根拠のない自信に人生を預けられますか?根拠がある自民党。」とナレーション。うまい。このアニメシリーズを連発したら効果的だな。ほかにも「政権交代」としか言わない民主党に対して、この言葉は誰のためでしょう? 交代をして何をしたいのでしょうか? と淡々と迫る、金のかかってなさそうなCMもあった。その後も、YouTubeの政治関連動画を次々と見てしまい疲労困憊。「民主党 鳩山由紀夫幹事長がニコニコ生討論 外国人参政権について」動画にはさすがに温厚なわたし(?)もキレる。「地方参政権ぐらい与える度量の広さを日本人として持つべきだ」とは。そのうち北方四島ぐらい竹島ぐらいと言い出しそうだ。「日本列島は日本人だけの所有物ではないんですから」とまで言い切るんだから、この人やはり鳥類脳みそ。一時期、鳩山さんの顔が変わって来て、物言いもけっこう頼もしいと妻と話したことがあったが、錯覚であったのか。顔といえば、このごろよくテレビに顔を出す岡田克也幹事長、すごく悪相になってきた。今日の新聞に「日本の未来が危ない。」という自民党の意見広告が出た(危なくしたのはお前らの責任だろうが)。安保、教育、憲法について民主党との意見の違いを明らかにしている。この正攻法もシリーズ化して連発せよ。わたしとしては、意地悪い動画のゲリラ戦のほうが好きだけど。/せっかくの日、雨が降っている。(柴田)
< http://www.excite.co.jp/News/society/20090721/JCast_45740.html
>JCASTニュースでも取り上げられていた自民党ネットCM

・太ったなんて言ってない〜。筋肉で胸板が厚くなられたのではと思っただけなのだ。マッチョな方がいいのに〜。/宝塚星組「太王四神記 Ver.II」を観てきた。柚希礼音さんのお披露目公演。以前にも書いたことがあるのだが、柚希さんとプルキル役の涼紫央さんは、自分と同じ高校出身ということで親近感がある。何年通われたのかは知らないが、座布団兼の防空頭巾を被っての避難訓練は受けたのだろうか、とか。早すぎる就任と思っていたが、堂々としているし、歌はうまくなっていて良い。あと数作やれば色気も出てくるであろう。楽しみ! この人の踊りが好きなので、お披露目がお芝居一本ものなのは残念。ダンスシーンは余裕があって、観ていて気持ちいい! 娘役とのデュエットダンスより、男役引き連れて踊るのが似合っている気がする。涼さんのダンスシーンも良かった。髪を振り乱して激しく踊られていて目立つ。一緒に行った友人も同じ感想で、他の人を見ようと思ってたのに、とのこと。(hammer.mule)
< http://kageki.hankyu.co.jp/revue/131/
>太王四神記 Ver.II
< http://www.tca-pictures.net/shop/press/090203_alacarte.html
>買うなら黒燕尾だな
< http://www.asahibeer.co.jp/factory/brewery/suita/night/
>アサヒビール工場見学ナイトツアー