自分を「カスタマイズ」する
── 杏珠 ──

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デジクリ読者の皆さん、はじめまして。私、フリーランスでエディトリアルデザインを中心に10年ほど(この業界に入って14年)仕事をしているディレクター/デザイナーの杏珠(あんじゅ)と申します。

今回ひょんなことから、コラムを書かせていただくことになりました。自分の文章力のなさは自覚していますが、今までの経験と考え方を自分なりにまとめて、その気持ちを心を込めて伝えることで、読んでいただいた方がちょっとだけでも幸せになってもらえれば……と思いながら、お話させていただきます。

今回お話する内容は「『カスタマイズ』ってなんだ?」です。

みなさん「カスタマイズ」って言葉、聞いたことがありますか? これを簡単に言うと、「ソフトウェアの設定や設計を、ユーザの好みに合わせて設定すること」といえると思います。

DTPを仕事にされている方の中で、「わたしは機械が苦手なので、Mac(PC)はできれば触りたくない」という方も多いと思います(私の周りでも結構いらっしゃいます)。その理由を聞くと、上位では「むやみやたらに触ったら壊れそう」「操作方法が分からない」「昔(OS9)と環境が変わった(OSX、Adobe CS等)」「お金がかかる」「まわりに詳しい人がいない」という答えが出てきました。


ほうほう…なるほどー…と、天国体質の自分としては、この答えから「好きになる」まではいかなくても、そういった問題に直面されている方に「理解してみよう」「ちょっとやってみようかな?」という気持ちまでどうにか持って行けないか? と考えてみました。

現行のAdobe製品では、ショートカットを自分で設定(カスタマイズ)することが可能になっています。「私はショートカットを使っていないよー」という方は、まずはショートカットを覚えることでもいいんです。ショートカットをひとつ覚えることが、自分に対するカスタマイズになると思うのです。

たとえば「ガイドラインの表示、非表示」という機能を、IllustratorとInDesignで同じショートカットに設定します。そうすることで、InDesignでもIllustratorでも、ガイドの表示に関しては同じショートカットを実行することで、同じ結果が出ます。

次に「QuarkXPressで慣れているから、QuarkXPressで使っていたショートカットをAdobe製品のショートカットと合わせてみてはどうだ?」と考えて設定してみる。そうすると、メーカーが違っても同じショートカットが使えるようになります。

通常、メニューバーから「ガイドを表示/非表示」を選択して実行していたことが、Illustrator、InDesign、QuarkXPressでも、共通のひとつの動作で済むことになります。

出来上がるデータが同じ結果であれば、ワンクリックでも少なくする努力が、大きな効率化の第一歩になります。それが数百、数千となると、その時間は結構な時間効率化になります。

これだけでも、実際にやっていただいた方の多くは「あ、こんなんでいいの?」「おお、他にもこういったこと、自分にも出来るかな?」と興味を持って下さいます。

こうして興味と選択の幅を広げてみようと考えた瞬間から、自信に繋がり、自分でもやれば出来ると感じる。それがクセになると、さらに加速する…といった具合に、いい方向のスパイラルが生まれてきます。

人間は、環境、感情、行動などの変化が大きいほど「いつもの自分」に戻ろうとする力が強く働きます。それはダイエットでいう「リバウンド」と同じ原理ですね(私はこの法則を「ひっぱりの法則」って勝手に名付けてます)。変化は小さいほどいい。気がつかないくらいがいい。いつのまにか「あれ? こんなことまでできちゃったの、私?」というのが、自分の成長過程の理想的なかたちです。

「0か100」ではなく「1でも2でもいいし、0+1でもいい。前に進む数は自分で決められる」と考えてみませんか? そこから幅を広げてみてもいいし、深く追求してもいい。

いきなりMac(PC)を買い換えなくても、ソフトをアップデートしなくても、今、この時点で「これなら出来そうだな」と、小さな変化に対して気持ちが動き、行動できることを見つけ出す。これが仕事の環境を変え、自分の考え方を変え、生き方まで変わって来ると思うとワクワクしませんか?

「アプリケーションやMac(PC)のカスタマイズをする先は、自分をカスタマイズすることにも繋がる」……極論になるかもしれませんが、なにか新しいことを始める時は、その行動や思考の小さなブロックでとらえないで、自分で付加価値をつけること。それによって、もっと広い大きなブロックと捉えて考えてみると、苦痛と思えることもワクワクに変わることに繋がります。

たとえば……今回の事例を小さなブロックで考えると「こんなこと(ショートカットを設定する)をやるなら、少しでも仕事を先に進めた方がいいんじゃないか?」と思われるところですが、大きなブロックで考えてみると「この設定をしたことで、積もり積もって15分早く帰れることになって、終電に間に合って徹夜をしなくてもいいかもしれない、地元の行きつけの飲み屋で乾杯ができるかもしれない」と、ちょっとした幸せが手に入る可能性が出て来ると思うんですね(実は過去に自分が体験したことです〈笑〉)。

今回はMac(PC)のショートカットを事例に出しましたが、「カスタマイズ」は他のことにも通ずると感じて下さい。たとえば、全くやったことのないことにチャレンジしてみるのも、自分に対する「カスタマイズ」のひとつだと思います。仕事に関係あるないに関わらず、私はいつもそう考えて行動しています。この感覚を知ってしまうと、もう後には戻れませんよ(笑)。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。一人でも「カスタマイズ」の楽しさを分かっていただければ幸いです。

こんな考え方やいい商品、いいサービス、面白そうなTipsをBlogでも公開していますので、よろしければ一度見に来て下さい。そして、もっといい方法があるという方は、ぜひわたしに教えて下さい。その行動も「カスタマイズ」のひとつですから。

【あんじゅ】ask@happy-montblanc.com
東京都出身。デザイン事務所「studio H.M」代表。愛車のSKYWAVE250にPSPのマップラスナビをつけて、いろんな所に出没しております。大手コンビニエンスストアと某家電量販店でAV機器(カーナビ、衛星放送機器、テレコ)の販売経験を持つ、妙な経歴の持ち主のディレクター/デザイナー。
『みんなが幸せになることはないか?』をモットーに、日々自分が気になることを追求し、仕事にとどまらず多方面で物事を追求し、答えを求めている天国思考な人物です。
機械モノ(PCとかガジェットとか)やゲーム、料理(食べ物)が大好きなので、そういった関係であれば、仕事でなくともいつでもコンタクトいただければ嬉しい限りです。
Design × Lifehack × CrossOver Lab
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