■音喰らう脳髄[77]軽井沢の自死/モモヨ
そもそも私は加藤さんのよいファンというわけではなく、その活動を追いかけてきたわけでもないのに、なぜだかわからないが、空漠たる思いを反芻している。
私が加藤さんに影響を受けたとすれば、それは子供の頃、一枚のドーナッツ盤(シングルレコード)によってである。実は、今もそのシングルを私は手元に置いている。
蛍光色のあざやかなジャケット下部を見ると、定価は何と370円。「これが話題のアングラ・レコード」というキャッチが大きく刷り込んである。《帰って来たヨッパライ》だ。
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物持ちの悪い私が四十年経ってもきちんと保存しているほどに、それは大きな影響だった。このシングルをまねて、英会話用にと親に買い与えてもらったオープンテープレコーダーを、期待された用途とはまったく異なる使い道に転用し、逆回転であったり、再生時の走行速度を変えてみたりして遊んだものだ。
あの経験がなければ、後に、テープ操作をアルバム制作に応用したり、テープエコーを多用するダブやハイテク機器をいかしたテクノなどにのめりこむこともなかった。
つまり、ある意味で、私が今の道を選んだのは加藤さんの影響が大きい、そう言ってもいいわけだ。
それにしても......である。
思いは軽井沢の自死へとかえっていく。
人間生きていればいくらでも嫌なことに出くわす。が、それでも、どうにかこうにかして生きている。病気とはいえ、加藤さんにも、なんとかして生き延びてもらいたかった。
選んだ音楽は違うけれど、音楽を選んだ者の道行をさらなる未来まで見せてもらいたかった。年老いてなお幸せでいる人の形を、夢物語であろうと見せてもらいたかった......なんて身勝手を承知で思ったりする。
Momoyo The LIZARD 管原保雄
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コメント
死ぬ勇気があるなら、それを創作に注いでほしかった…とは思いますが…。ところで、最近の音楽に無感動になっていた私ですが、久々にガツンとくるのがありました。「シベールの日曜日」というバンドです。「例のバンド」に酷似しているという声もありますが。それを差し引いても、イイです。
投稿者: のうさぎマリオ | 2009年10月24日 21:15