買物王子の家づくり[03]新築VS中古:一長一短に迷う
── 石原 強 ──

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家探しをはじめてから、いくつかの不動産屋さんに声をかけましたが、紹介される物件が少ない。どの不動産屋さんの営業マンにも、このエリアは物件がなかなか出ないんですよ〜なんて言われて、薄々感じてきたことだけど、自宅の周辺では条件に合う物件が少ないみたい。さすがに条件が厳しすぎなのかもしれない。

●希望エリアの外側にあった気になる物件

そんな行き詰まりを感じていた時に、ふと目に留まったのが、エリアの外にある物件。最初に見た幡ヶ谷の家で、営業マンに参考でもらった資料にありました。以前に案内された時、渋谷区の物件だけ見て、中野区の物件は見に行かなかったのです。Googleマップで住所を検索してみると、ちょうど渋谷区と中野区の境界にあたる場所。幡ヶ谷駅からも歩ける距離だったので、期待しないで見てみることにしました。

物件の住所は中野区南台1丁目。道一本隔てると渋谷区という、ちょうど境界線上に位置しています。幡ヶ谷駅からは15分ほどですが、途中は賑やかな商店街を抜けていくので行き来は退屈しないで済みそう。住宅地に入って太い道から狭い路地に入ったところ。土地は19坪で南向き。前面道路は3mでちょっと狭いけど、クルマもぎりぎり入れるみたいです。裏手には大きな学校があって緑も豊富。

これまで見てきた周辺の物件と比較すると、金額もちょっと割安です。理由を聞くと、ここは防火地区に指定されていて、3階建ての建築の場合に限って、耐火建築の仕様で建てるために、通常よりも費用がかさむのだそうです。

でも、この不動産屋さんの紹介する工務店は、2階建て+ロフトというプランを準備していました。2階建てであれば、通常の仕様でよいので建築費を安くあげることも可能だそうです。そこで、このモデルプランを作った工務店さんに話を聞いてみることにしました。



ロフトって要するに屋根裏の収納ですよね? とずばり聞いてみると、ロフトにあがる階段を、梯子ではなく普通の階段を設けることで、収納ではなく部屋として使えるという提案。リビングはロフトがある分、天井が高く吹き抜けのようになって開放感もある。南向きで日当りも良く、気持ち良い家になりそうです。

●近所で見つかった古屋は旅館風

そんな時に、自宅のすぐそば、西新宿4丁目にも中古で物件が出るとの情報が入りました。販売用の図面を見ると3階建てで、5K+ルーフバルコニーという部屋の多い家です。しかも4部屋が和室なのです。立面図では5角形の不思議な形をしています。中に入ってみないと空間が想像できません。懸念は、築30年の古屋であることです。

家の前まで行ってみると、外壁は黒っぽいパネルで、ちょっと引き締まった感じがします。築30年というには、外見はまあまあきれいです。後から補修しているように見えます。家が古くても一定の手入れがされていれば、内装のリフォームだけで住めるかもしれない。

入り口の庇が瓦で、玄関は引き戸という純和風テイストはなんだか気になります。玄関から中に入ると、立派な柱と造り付けの下駄箱。1階は小さいキッチンと、奥には居間、さらに窓側は後から延長しているようです。北向きの家で1階は少し暗い感じがしたけど、階段で2階に上がると、とても明るい部屋に出ました。

立派な床の間がある和室。襖で仕切ると2部屋になります。3階は、和室と洋室が同居。天井には埋め込みの照明、窓の内側には障子がはまっていたり、造り付けの家具も丁寧と、かなりインテリアに凝っています。どことなく箱根あたりの由緒ある旅館を思わせる雰囲気があります。同行したリフォーム業者の方も立派な天井の一枚板を見て、もう今はこんな立派なものは手に入らないだろうと感心していました。

3階からは階段がのびていて、ルーフバルコニーにあがれる。新宿のビル街が眺められて気持ちいい。夏にアウトドアのテーブルセットを置いて、夜景を見ながらビールを飲んだら思いっきりビアホール気分になれそうです。

キッチンを2階に移し、仕切りをとって一部屋にしてしまえば、広くて明るいリビングになりそうです。ちょっと変わった感じがしたけど、家全体をリフォームして、自分の好みのインテリアにすれば、個性的な家になりそうです。

●ここで決めてしまって良いのか迷う

候補になる物件が見つかって良かったと思う反面、今度はここに決めてしまっていいのか迷います。

南台1丁目の土地は、自由にプランできる新築。場所も良いし価格も手ごろ、しかも南向き。前面道路も今は狭いけど将来周囲が建て替えれば、道が広がるから土地の評価が上がる。おすすめなので、早めに買い付けを入れないと、他の人に買われてしまうだろう、と不動産屋さんは言う。

西新宿4丁目の中古住宅は、家の近所で、引っ越しも楽で駅から近い、転校もしなくて済む。古い家でも、人気エリアなので他にも住みたい人がいる。同じ日に内見をした人も、買い付けを入れると聞いているけど、すぐに申し込めば優先してくれるとのことです。

普通だと、比較すべき物件ではないのだろうけど、自分たちの条件に当てはめると、それぞれ一長一短。

物件 :南台1丁目    |西新宿4丁目
家  :新築      |中古(リフォーム)
方角 :南向き     |北向き
道路 :狭い(3m)   |やや狭い(3.5m)
土地 :やや広い(19坪)|やや狭い(17坪:駐車場取れない)
駅徒歩:やや遠い(15分)|近い(5分)
住所 :中野区     |新宿区(息子の転校がない)

立地を優先していたこともあり、この時点で、そのままにしていると他の人の手に渡ってしまう西新宿4丁目の物件に、買い付けを入れました。2週間後の本契約までに、買う買わないを決めなければなりません。

築30年の物件なのでリフォームするとはいえ、表からわからない家の基礎や柱といった構造部分に問題があれば、今後長く住むことを考えると心配です。もし建物がダメで建て替えを余儀なくされた場合、この家は鉄骨造のため木造よりも解体費が高いから、恐らく予算オーバーしてしまいます。

●この家は大丈夫なのか? 診断をしてもらう。

そこで、契約前にこの住宅の状態を調べてもらうことにした。ネットで調べていくつかピックアップして問い合わせた後、条件が合った「さくら事務所< http://www.sakurajimusyo.com/
> という会社に依頼することにしました。独自の100項目を超えるチェックで、家の内外をくまなく調べるということです。

日程が限られていたので、日曜日に申し込んで水曜日に実施。当日は物件の前で待ち合わせ、2人組の調査員がやってきた。作業着で頭にはライトをつけて探検隊のような出で立ち。建物の調査は2時間ほど、専門の道具で事細かにチェックしていく。終了後に見つかった問題点を丁寧に説明していただきました。

(レーザーポインターで天井を指して)このシミはおそらく雨漏りです。ほかにも複数の雨漏りの痕が見受けられます。特に増築したサンルーム部分の雨漏りがひどい。

(屋根で、隅の方に指をさし)外壁の継ぎ目が割れているし、屋上にもヒビがある。雨水が入って浸食している可能性がある。屋内の雨漏りの痕が、外壁を修理する前か後なのかは分からないが、外壁は再度補修をして屋上も防水処理をしたほうがいい。

(窓から外をのぞいて)ほら隣家の屋根の雨どいが、こちらの土地に越境している。あと南東側に土地境界の標識が見当たらないので、トラブルにならないよう、引き渡し前にきちんと確認したほうがいい。

(トイレで)この窓には鍵がかけられない。塀の横に入れば道路から見えないから泥棒が入りやすい。この家は窓が多いが、ほとんど防犯対策ができていない。サッシも古くなっているので、すべてペアガラスのものに入れ替えたほうがいい。

(デジカメの写真を見ながら)床下は潜れなかったのですが、見える範囲では構造には錆が出ていました。でも削って再塗装すれば大丈夫でしょう。天井裏から見ると壁には部分的にしか断熱材が入っていないので、夏暑くて冬寒い家だろう。

素人目にはほとんどわからない、小さな痕跡から建物の状態を読み解いていくのは名探偵の推理を拝聴しているみたいで関心しきりです。心配した建家の構造については物の傾きはセンサーで計測してもミリ単位でないことがわかった。雨漏りの可能性があるので、解体してみなければ傷みの進行具合はわからないものの、おそらくきちんと補修すればまだ住めそう。

けれど外壁にも手を入れるというのは想定外。「快適ビフォアーアフター」レベルの大きな改修になる。内装だけのリフォームで考えていたより、ずっとお金も時間もかかりそうです。

後日、50ページもある詳細な「診断報告書」が届いた。当日の説明をさらに詳細にまとめたものですが、やはり絶対に大丈夫という確信は得られません。場所がら物件が少なくて価格も手頃なだけに、惜しい気もするけど、心配しながら購入することはできない。さんざん悩んで後ろ髪を引かれながらも、お断りを入れました。

●新築でも中古でもない第3の選択。

そうこうしているうちに、南台1丁目の土地も売れてしまったと不動産屋さんから連絡があった。先を超されてしまったことに、がっかりしたけど、決めなくて済んで、正直ほっとした気持ちもありました。

結果として、振り出しに戻ってしまったが、こんなやり取りの中で、より一層家作りにこだわりたいと思うようになってきた。一生に一度の買い物だから妥協したくはない。ローンは35年も背負うのだ。この家のために、この後の人生が決まってしまうと言っても過言ではない。だから、自分と家族の住む新しい家を一から設計して建てる夢を実現したいと思うようになってきた。でも家を建てるには、土地が無いことにははじまらない。改めて土地から探すことに決めた。

【いしはら・つよし】tsuyoshi@muddler.jp
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リニューアルして使い勝手を比べてみると、WordPressはいいですね。いまさらながら周囲の評価が高い理由がやっとわかった。たまには、アプリケーションもいろいろ試してみないと取り残されるな。
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