[3007] 「ベーリング海の一攫千金」を見る

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《わたしの物欲をダントツに刺激するヤツ》

■気になるデザイン[56]
 思わず手に取った黒が基調の二冊
 『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』『誰も知らない太宰治』
 津田淳子

■装飾山イバラ道[72]
 「ベーリング海の一攫千金」を見る
 武田瑛夢

■おかだの光画部トーク[51]
 最新デジカメ2011春版 その1
 写真好き、カメラ好きにとってはたまらない FUJIFILM FinePix X100
 おかだよういち

■セミナー情報
 FSPV vol.1「まもなく登場IE9とWP7! 加速するHTML5」(大阪・東京)



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■気になるデザイン[56]
思わず手に取った黒が基調の二冊
『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』『誰も知らない太宰治』

津田淳子
< https://bn.dgcr.com/archives/20110215140400.html
>
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東京は昨晩からにわかに大雪(東京にしては)。久しぶりに積もった雪に、ちょっとビクビクしながら出勤しました。雪が降ってくると、なぜか昔からワクワクソワソワするのは、なんでなんでしょうかね。

さて今週の気になるブックデザインの本。まず一冊目は『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』(ウンベルト・エーコ、ジャン=クロード・カリエール著/工藤妙子翻訳/阪急コミュニケーションズ/2800円+税)。ブックデザインは松田行正さんと日向麻梨子さん(共にマツダオフィス)。
< http://books.hankyu-com.co.jp/_ISBNfolder/ISBN_10100/10113_kami/kami.html
>

500ページ近い厚みを持った上製本。黒が基調となったカバーには、消滅しそうな朽ちた本の写真が入り、その上に「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」という、引っかかるタイトルが、マットな銀箔で箔押しされている。

そのタイトルと姿が気になって手にとると、おっ、小口がブルーに塗装されている。私はどうにも、この「小口塗装」が好きで好きで(前回のこのコラムでもご紹介した、ハヤワカ・ポケット・ミステリーも小口が黄色に塗装されている)、小口に色がついていると、ついつい財布のひもがゆるくなってしまう。このブルーの小口塗装、読んでいても、邪魔にはならないが、常に目の端に無意識に入って、読んでいる気分に影響を与える。

そしてそんな小口に目を奪われつつ、手に取って驚くことがもうひとつ。この本、軽い! 四六判の上製本で、かつ500ページ近いのにこの重量。これは本文用紙が嵩高のものを使っているからですね。ちなみに詳しくは後述しますが、銘柄はOKアドニスラフ80の76g/㎡だそう。

そうそう書き忘れましたが、カバーを裏返すと、ぼろぼろになった紙の表面のような壁のような、そんな写真が墨一色で刷られ、原著書名が入っている。こうしたところまでデザインの手が行き届いている本はいいですね。といっても、別に全ての本にカバー裏に何かを刷った方がいいというわけではなく(私も刷らないこと多いですし)、刷った方がより効果的な場合は、こうしてあるといいな、ということなんですが。

そして、先程ちょっと触れた本文用紙。バルキーな感じで、目に優しいナチュラルな白。しなやかでいい感じだ。銘柄に当たりを付けて見本帳をめくってみるも、うーむ、ドンピシャな紙が見当たらない。どうしても気になって、ブックデザインをされた松田行正さんにお尋ねしてみたところ「OKアドニスラフ80の76g/㎡」とのこと。えー! かなり親しんでいる紙なのにわからなかった!!(結構ショック)

見本帳と見比べてみたら、ホントだ、アドニスラフ80だ。でも、いつもよりより紙が白く見える。小口がブルーに塗装されてるからかしら。いやぁ、これは驚きました。

内容も、紙の本に固執した懐古主義的なものではなく、大変読みやすくおもしろい。ブックデザインや造本とともに楽しめますので、ぜひご一読をお勧めします(ちなみに昨年末に発売されたものですが、現在既に3刷とのこと!)。

今回のもう一冊は、『誰も知らない太宰治』(飛島蓉子著/朝日新聞出版/1300円+税)装丁は関宙明さん(ミスターユニバース)。
< http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=12305
>

書店店頭で目にしたとき、まず思ったのが「なんだか怖そう......」ということだった。カバーは墨印刷の上にべっとりと銀が刷られ、白抜きされたタイトル文字の上から白の顔料箔がギュッと箔押しされている。「太宰治」という名称が持つ(というか、私の頭の中に印象づけられている)ある種の暗さ、重さというものと相俟って、そんな印象を持ったのかもしれない。

しかしどうにも引力の強いカバーで、気になって手に取ってみる。すると、薄表紙の上製本で、本文がOKアドニスラフPinkのお陰もあり(ちなみにこの本は、上述の本と違って、書店店頭で一発で本文用紙、わかりました・笑)、非常に軽やかな感触。ターコイズブルーの見返しと赤と黄色の派手な花切れも効いていて、なんだか読みたくなってしまい、ついついお買い上げ。

今回は二冊とも、黒が基調になった本を選んでいますが、何となく自分が、そんなカバーに惹かれる心持ちなんでしょうか。こんなことを考えるのもまたおもしろい。

そうそう、ブックデザインと言えば......本の形がおかしなことになっている(?)、『デザインのひきだし12』も全国書店で発売中です。ぜひ書店店頭で実物を見て触ってくださいませ!

『デザインのひきだし12』
< http://dhikidashi.exblog.jp/15867083/
>
< http://www.graphicsha.co.jp/book_data.php?snumber3=1038
>

【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp twitter: @tsudajunko

デザイナーの「やりくり上手」の秘密が満載の『予算がなくてもステキなデザインのフライヤー・コレクション』も好評発売中。他にも、インキの印刷見本もたくさん綴じ込んだ『デザインのひきだし11』、『装丁道場』、ふかふか紙に活版印刷した表紙が目印の『デザインのひきだし10』『見た目よし! 機能よし! のショッピングバッグコレクション』『グッズづくりのイエローページ』、『デザインのひきだし』バックナンバーも好評発売中です!
デザインのひきだし・制作日記 < http://dhikidashi.exblog.jp/
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■装飾山イバラ道[72]
「ベーリング海の一攫千金」を見る

武田瑛夢
< https://bn.dgcr.com/archives/20110215140300.html
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昨年の12月、ホテルのカジュアルなレストランでクリスマスの食事をしていた。ブッフェスタイルで気兼ねがいらない。ほどよい時間になったところで、サンタクロース(の格好をした恰幅の良い白人のおじさん)が、ディナー中のテーブルへ順番に回っているのが見えた。ホーホッホーと優しい笑顔で会話しながら、一緒に写真を撮ったりしている。私は(こっちにも来るぞ相手しなきゃな)と思いながら、お皿の上のたらば蟹を食べていた。

テーブルに来たサンタさんは、私たち夫婦に笑顔で話しかけてくれた。大きなお腹でサンタ役がハマっている。日本語も少しできるみたいだ。子供づれの家族には子供中心の話題で、うちのように夫婦だけで来ているテーブルではそれなりの話題でというように、気も使ってくれている様子。そしてテーブルの上のたらば蟹の殻をみつけて「カニが好き?」と聞いてきた。カニは大好きで、私はさっきからこればかり食べている。

サンタ「ぼくは昔ね、カニ漁で船に乗ってましたよ。アルバイトで」と、突然の経歴カミングアウト。内心はサンタクロース役がカニ漁のバイトなんて話をしていいのか!? と思ったけれど、私たちは大人だしね。テレビで見たベーリング海あたりでやってるあのカニ漁かなぁと。私たちの英語力とサンタさんの日本語力の限界で、そこまで詳しく聞けなかったけれど、一緒にiPhoneで写真を撮ってサンタさんはテーブルを移動していった。

●アメリカ版の蟹工船

カニ漁のテレビ番組、それはディスカバリーチャンネルで放送しているドキュメンタリー番組「ベーリング海の一攫千金 シーズン6」のことだ。米ディスカバリーチャンネルでは人気No.1のドキュメンタリーだという。特に今回のシーズン6の視聴率がすごいらしい。どのシーズンも寒い海と船の乗組員だけの話なのに、なぜそんなに人の心を引きつけているのだろうと興味がわいた。

・ベーリング海の一攫千金 シーズン6
< http://japan.discovery.com/deadliestcatch/word.html
>

サイトで見てもらうとわかるけれど、海の男たちはなぜか皆かっこいい。私はこの番組についてはまだまだ初心者で、今放映しているシーズン6からはじめて見ている。だから、もう少し見続けるまではレビューには書けないなと思っていた。ところが、大学の成績をつけ終わったばかりであまり自由時間ももてず、今すっかりネタ切れ状態なので、今回は番組紹介と見始めた感想として書いてみたい。

カニ漁の話と言えば「蟹工船」だけれど、アメリカ版の現代のカニ漁の船はかなり趣が違ってタイトルの通り「一攫千金」が狙える大仕事だ。場所はアラスカにほど近いベーリング海。アメリカでもっとも危険で過酷な仕事と言われているこのカニ漁は、一回2ヶ月程のシーズンで、漁船一隻あたり数億〜数千万円の稼ぎになるという。現代のゴールドラッシュとも言われ、乗組員一人あたりでもわずか2ヶ月で600万から1000万を超える収入になるのだ。

話だけ聞けば船に乗りたい人が後を断たないはずだけれど、そのリスクも凄まじくて、氷点下の海での危険な甲板の仕事、船長の一存で決まる休憩時間、気が合う仲間ばかりでもない人間関係。大しけの海の波の高さは簡単に船を飲み込むように見える。毎年船の事故も後を断たず、悪いところにスポットがあたった回を見てしまうと、ドーンと気分が沈んじゃう。

●カニ漁の仕事

カニは割当漁獲量が決められていて、漁が始まる時間に皆がいっせいに海にカゴを落とす。たらば蟹漁はわずか数日で漁期が終わることもあり、乗組員は寝ずの作業が続く。その後のズワイ蟹漁は漁期が長く、男たちは長い間家に帰ることができず、その間のコミュニケーションは電話だけだ。家庭内にトラブルを抱える漁師も多い。

カニを獲るのは、入ったら出られない形状の約400kgの金属性の四角いカゴだ。船にはこれを何百ものせている。通常の状態でも重いのに氷点下の海ではこれに氷がびっしりと付き、つらら状態になる。そのままにしておくと重さで船が沈んでしまうので、甲板員は延々と氷をハンマーで砕く仕事をする。

砕いても砕いてもなくならない氷に、始まらないカニ漁の仕事。マイナスをゼロに戻すだけのキツい肉体労働が続くのは、見ているだけでこちらがヘコんでしまう。甲板員の体はボロボロになっていく。遠くて寒い漁場は氷のリスクがあるけれど、誰もいない穴場でもあり、そこに船長の賭けがあるのだ。

カニ漁が始まると、数人でエサ入りの重いカゴにロープをつけて海へ落とす。プラスチック製の丸いブイを浮かべて、どんどんカゴを落として行く。カゴは落としどころを間違うとカニが入らず、せっかくの作業が水の泡になる。

船長が海底の様子を等高線のように映したモニタを見ながら、長年の蓄積データとカンによってカゴを落とす場所を決めていく。山で松茸のありかを知っているおじいさんのようなものだ。信用している人にしか場所は教えない。カゴは24時間はブイをつけて沈めておく。

この番組は人間模様が見せ場なのだけれど、私が一番好きなシーンと言えば、カゴを引き上げた時にカニがいっぱい詰まっていた場合。釣りと違って、カゴはクレーンで上げるので、水面から引き上げた時に初めてどのくらいの数のカニが獲れたかがわかるのだ。ひとカゴに500杯も入れば上等で、暗かった甲板員の顔がいっきに明るくなり、雄叫びを上げながらカニを貯蔵タンクへ集めていく。

今までの苦労が報われて、それまでの海や氷のブルー系の寒色だけの甲板上にカニの赤い色が現れて、なんだか幸せを象徴しているようなのだ。ゆっくりとうごめく赤いカニがワシワシとつまったカゴからの収穫の作業。甲板員が言う、「カニが札束に見えるぜ」。大漁で大変な労働のはずなのに皆が笑顔だ。

もちろんスカのカゴもあり、カニ数匹の時もある。カゴをしかける場所のミスは船長の責任だから、乗組員の尊敬を保つにはそうスカも続けられない。そしてカゴは収穫の時に一面のパネルを開けるのだけれど、それを閉めきれていないミスがあるとエサだけ取られてカニに逃げられてしまう場合もあるのだ。これは明らかに甲板員の人為的ミスなので、船長の叱責の言葉が飛ぶ。言葉は汚いのでピー音だらけだ。

●いつも危険と隣り合わせ

日本でも大間のまぐろ漁のドキュメンタリーが人気だけれど、寒々とした風と波と、運不運に左右される漁の厳しさは似ている。カニ漁は一隻に4名から9名かの乗組員が乗って船長がまとめるチームワークだ。番組では、5隻の船で起こるさまざまな人間模様を見せていく。そんなに毎日絵になる場面が撮影できるわけでもないだろうから、この同時進行スタイルは賢いと思う。

そうは言っても、各船に密着スタイルでカメラマンが同行していて、それがベーリング海なのだから、テレビ局側も生半可な覚悟ではできないと思う。アラスカにほど近い真冬の海で転覆事故も珍しくない環境だ。シーズン1で起こった兄弟船の転覆事故では、乗組員で生還したのは6名中1名のみというから生々しい。

シーズン1は総集編を見た。海が荒れて船が危なくなると乗組員は「救命スーツ」という、指先まで覆う全身ウェットスーツのようなものを急いで着る。もし救命スーツを着ずに冷たい海で投げ出された場合、すぐに全身の体温を奪われ、手足が動かなくなり沈んでしまうので生存は不可能と言われている。

その後の捜索活動では、最後に救命スーツ着用が目撃されていた2名の乗組員が海から引き上げられた後に捜索が打ち切られた。まだ行方不明者がいるのにだ。救命スーツを着ていなければ探してももらえないという現実が悲しい。

●ドラマチックな人間関係

現在公開されているシーズン6では、コーネリア・マリー号の船長フィル・ハリス船長と息子をクローズアップしている。ずっと体調不良だったフィル船長が船で倒れてしまったのだ。二人の息子も乗組員として乗船しているけれど、この息子たちがなかなか親父の思い通りにはならず、跡取りとして育ってくれない。

でもフィル船長の親父ぶりは素晴らしくて、人としても全ての船から慕われているのだ。息子たちもけっこういいヤツで、若いがゆえにカニ漁にまじめになれないのもわかる。

今回この記事を書いてみて思ったのは、漫画「カイジ」好きの私ならこの番組は好きだろうなということ。漁を成功に導いて大金を得たものが尊敬されるけれど、金の亡者だけであってはならず、人を一番に考えられる者に価値がある。漁のギャンブル性は1を100倍にするかもしれないけれど、すべて失うかもしれない。

次期船長候補の甲板員が船長の仕事を体験して、「ここは天国だ」と言う。操舵室は暖かくて風にも水にも触れずに、マイクで指示を出せばいい。しかし、船長は乗組員の命も家族の生活も抱えているのだ。比較にならない程の大金を手にできるのに、結局は船長の職を希望しない人も多い。責任が重いから持ちたくないし、持ちたくない者に持たせられるわけもない。船長たちは跡取りをみつけられず、自分の体を壊すまで仕事がやめられないのだ。

こんな男たちのドラマを知ってしまったら、私は次のシーズンもきっと見てしまうだろう。

【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/
>

東京に久しぶりに雪が降っている。新潟生まれの母は、雪の時は2階から出入りしたと言う。新雪だとわざとフワッと空気を含んだ雪に埋もれる遊びをしたらしい。やわらかい雪は息ができるから平気らしいけれど、閉所恐怖の私には出られなくなりそうで考えただけでムリだ。

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■おかだの光画部トーク[51]
最新デジカメ2011春版 その1
写真好き、カメラ好きにとってはたまらない FUJIFILM FinePix X100

おかだよういち
< https://bn.dgcr.com/archives/20110215140200.html
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光画部トークでは、今までにNo.19とNo.40&42で、その年の秋に発売になる気になる最新デジカメを紹介しました。

そのサイクルでいうと半年早いですが、今回は先週横浜で開催されたカメラと写真映像の情報発信イベント「CP+(CAMERA & PHOTO IMAGING SHOW)」に合わせて新製品が色々発表されたので、わたしが気になるデジカメをいくつかピックアップしてご紹介します。
< http://www.cpplus.jp/
> CP+

●FUJIFILM FinePix X100
2011年3月5日発売予定
定価:オープンプライス(128,000円@ヨドバシドットコム)
< http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/finepix_x100/
>
< http://www.finepix-x100.com/ja
>
< http://www.yodobashi.com/ec/product/100000001001334000/index.html
>

コンパクトデジカメの部類に入れるとちょっと大きいですが、ミラーレス一眼よりは小さいサイズ。昔からのカメラファンを惹きつける、これぞカメラという少しレトロな印象さえするレンジファインダー風の外観ですが、中身は最新技術と高スペックが詰まっています。

最近のコンパクトデジカメは、背面の影響モニターで被写体を確認してシャッターを切るのが普通です。でもこれ、写真を撮ってる感がなかなか湧かない気がしませんか?

わたしは液晶だとなんだか撮影に集中できないし、屋外の明るい場所だと液晶が暗くて見えにくいなどもあり、ファインダーを覗いて撮影する方が好きです(携帯やiPhoneを含め、最初に手にしたカメラにファインダーが付いていないという世代とは、きっと感じ方が違うのかもしれませんね)。

このX100は他のデジカメ同様、背面に液晶モニターが付いていますが、ちゃんとファインダーも付いています。しかも、光学ファインダーと電子ビューファインダーを切り替えて使える「ハイブリッドビューファインダー」が搭載されています。

レンズは23mm F2の固定式単焦点。高倍率のズームレンズが全盛の中、明るさとコンパクト化を両立させたレンズ。F2と明るいので、開放で被写体にぐっと寄れば背景が大きくボケて望遠っぽく、逆に引いてパンフォーカスで撮れば23mmの広角なので広い範囲が撮れる。ズームに頼らず、自分が動いて構図を決めるスタイルなので、写真が上達するカメラだと思います。

レンズ内にはNDフィルターも内蔵されているので、陽射しが強く明るすぎる場所でも、3段分(1/8)の光量にすれば絞りを開けたり、シャッタースピードを遅くしたりもできます。

そしてなにより、センサーのサイズが他のコンパクトデジカメとは格段に違うAPS-CサイズのCMOS。デジタル一眼レフ普及機と同じサイズなので、それだけでコンパクトデジカメとはクオリティーが全然違います。

< http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/finepix_x100/sample_images/
>
こちらのサンプル画像、女の子の顔を等倍で見てみると、髪の毛やまつ毛細部までの再現と、鼻から頬にかけての肌の階調のなめらかさがとても美しいです。

最近の多くのカメラにある、トイカメラ風とかミニチュア風とかお遊び的な画像処理とは違ったアプローチの、さすがフジフィルムという画像処理機能がフィルムシミュレーションモード。

PROVIA、Velvia、ASTIAというポジフィルムの、色と階調を使い分けることができます。どぎついくらい鮮やかに仕上げたいからVelviaとか、ポートレイトの撮影なので自然でなめらかな肌の再現でASTIAなど、かつて撮影する被写体に合わせてフィルムを選んでいた頃の感覚がよみがえりますね。

モノクロ撮影でも、かつてモノクロフィルムをカメラに入れて、被写体に合わせたコントラストの調整のために、レンズには黄色や赤などのフィルターを付けたのと同様の感覚でモノクロ撮影ができるようです。

これらフィルムで沢山写真を撮った経験のある、昔からの写真家が楽しめる機能がたっぷりな上に、デジカメならではの機能もあります。例えば、カメラを動かしながら撮影した複数枚の写真から、一枚の大きなパノラマ写真にしてくれる機能やHD動画撮影機能など。

13万円程度とコンパクトデジカメの3〜4倍の値段は、デジタル一眼レフの入門機がレンズ付きで購入できる金額なので、すべての人にオススメできるカメラではありませんが、写真好き、カメラ好きにとってはたまらないカメラで、今回出るの多くの新製品の中で、わたしの物欲をダントツに刺激するFinePix X100でした。

あと何機種かご紹介したい気になるカメラがあるので、次回に続きます。

【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
< http://s-style-arts.com/
> < mailto:okada@s-style-arts.com >
< twitter:http://twitter.com/okada41
>

今回のCP+、来場者は前年比2割増の49,368名で大盛況だったそうです。来年は同じくパシフィコ横浜で、2012年2月9日〜2月12日ということです。是非一度取材に行ってみたいと思います。

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■セミナー情報
FSPV vol.1「まもなく登場IE9とWP7! 加速するHTML5」(大阪・東京)
< http://seminar.fsv.jp/program/110219.html
>
< https://bn.dgcr.com/archives/20110215140100.html
>
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RC版(製品候補版)リリースがまもなくと噂の「Internet Explorer 9」、そして米国ではリリース済みのスマートフォンOS「Windows Phone 7」。マイクロソフトが新たに提供するこの二つのプラットフォームについて、Webクリエイターが知っておきたいことを徹底追求! 本編終了後には、交流&案件相談会を実施。来場者プレゼントも。最新のWeb動向にご興味のある方、Web関連のお仕事をされている方へ。
※日本では未発売のWindows Phone 7搭載機を、春日井氏が当日会場に持参とTwitterで宣言。
< >

◎東京(昼夜とも同内容です)
日時:2月23日(水)14:00〜16:40
   2月23日(水)18:00〜20:40
会場:IDCフロンティア 10Fセミナールーム(東京都新宿区四谷4-29)
定員:各40名(事前登録制)
受講料:1,000円

◎大阪(昼夜とも同内容です)
日時:2月19日(土)14:00〜16:40
   2月19日(土)18:00〜20:40
会場:ファーストサーバ株式会社 3Fセミナールーム
   (大阪市中央区安土町1-8-15 野村不動産大阪ビル)
定員:各50名(事前登録制)
受講料:1,000円

プログラム:
1.かぷっと秋葉が聞く「IE9はどうなるの? WP7はスゴイの? 教えて春日井さん!」
制作者の目線での質問は、新しいビジネスのヒントになること間違いなし!
講師:春日井良隆(日本マイクロソフト株式会社)
聞き手:秋葉秀樹(合同会社かぷっと)

2.「今、知っておきたいレンタルサーバー基礎知識(そして裏話)」
レンタルサーバーで実現している、面白いビジネスやサイトを紹介。失敗事例も織り交ぜながら、ここでしか伝えられないレンタルサーバーの選び方のコツなども。

3.交流&相談会

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■編集後記(2/15)

・歳とって夫婦ふたりになったら、なんてったってマンション住まいが最高。適当な狭さが快適。夏涼しく冬暖かい。真冬でも羽毛布団一枚で、足を出して眠れるのがうれしい。わが家の唯一の問題は、寝室がエレベーターと外への出入り口に近いから、ちょっとうるさいこと。深夜や早朝に、無神経な住人が立てる音が不愉快だ。いままで我慢していたが、今後も続くのは確実だから防音・断熱の内窓をつけたらどうかと考え、インプラスで有名なトステムのオンラインショップで見積もりしたら、意外に手頃な値段で設置できることがわかったので検討中だ。ついでにインプラスCM集を楽しむ。堤真一がもてあます、あの不機嫌仏頂面の妻とのその後はどうなったのかと思っていたら、場面は病院の一室に転換。彼が医師であることが判明。美し過ぎる看護師が大胆にアプローチしてくる、危険度100%の展開だ。きれいだな満島ひかり。でもアップの画面をハイビジョンで見たらどうなんだろう。JRAのCMを地デジで見たら、蒼井優の肌が気の毒なくらい荒れていた。CMだから画像処理できたはずだが。かわいそう。たまたまネットのニュースから知った「芸能人には残酷すぎるHD画質放送」を見ると、たしかに気の毒なことになっている。地デジよりアナログテレビの方がきれいだ。世の中見え過ぎない方がいいこともある。(柴田)
< http://www.tostem.co.jp/lineup/sash/reform/inplus/gallery/
>
インプラス CM
<
>
JRA CM
< http://ck.blogmag.livedoor.com/ck/2011000920a94780dfcb557c31/
>
暇人速報:芸能人には残酷すぎるHD画質放送

・FAXは感熱紙タイプがいい。インク切れのために出力できないことだけは避けたい。10枚分ほどのメモリがついているので、ロール紙切れには対応できる。ロール紙を交換したら残りが出力されるのだ。保存が必要ならコピーをとればいい。SOHOにはこれで十分さ、と思っていた。FAXで修正指示書が来ることなんて、もうなくなってきていて、ほとんどPDFで対応。これをiPad上のiAnnotate PDFで開いたり(指で書き込みできる)、細かく書き込みたい時はプリントアウトする。モニタ上で開いてもいいんだけど、画面を少しでも広く使いたいので。いまの仕事では、大量の指示書の場合は直接届けてくださって、少量のものはPDF、その間はFAX。先日、ロール紙の在庫がなくなり、受信中に慌てて徒歩3分ほどのバラエティショップに買いに行ったよ。なかったらどうしようかと焦った。まだちゃんと置いてあったからニーズはあるみたい。そのうちなくなっちゃうんだろうか。そういや最近、文具専門店って見かけないような。/受信FAXをPDF化してメールしてくれる機種があって、買おうかどうか迷っているうちにメールでのPDFやりとりが普通になったので購入をやめていた。まぁでも今回のようなのは特別だろうな。/大阪マラソンの受付開始。(hammer.mule)
< http://www.osaka-marathon.com/2011/entry/apply.html
>
チャレンジランの応募だけしてみるかな。