境界線の歩き方[09]人類水棲霊長類説⇒7番目の根拠
── 出渕亮一朗 ──

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生物にはいろいろな種目に属していても、ある環境に適応するために結局似たような体になるという性質がある。

水棲生物もそれにあたる。最終的には魚と同じような形状となる。アシカやアザラシはネコと同じ食肉目であるし、クジラやイルカはその祖先は象と同じだったと考えられている。ペンギンは水棲鳥類と考えられるし、太古には魚竜という海生爬虫類がいた。と考えて行くと、人類は実は水棲霊長類なのではという説がある。その根拠を順に挙げて行こうと思う。




1●脳が発達している⇒進化の段階で直立歩行をするようになったので、頭を十分支えることができ、脳が大きくなったという説が一般だが、イルカのように水中に浮かんで暮らしていたから脳が大きくなったとも考えられる。

2●毛のないつるっとした肌⇒イルカやアシカには毛がない。逆に毛がある動物が水に入っているところを想像してみよう。ちょうど服を着て泳いでいるのと同じだ。毛が水を含んで重くて泳ぎにくいし、水から出たとき体温を奪って寒そうだ。

白クマ等は水棲化の進化の途中にあると考えられる。海から出た白クマは氷の上をごろごろ転がって水を絞り出すそうだ。

3●まっすぐ伸びた体と手足⇒人間は二足歩行をするようになったから体がまっすぐになったという。しかし、二足歩行をするのが有利という何か条件があったのだろうか? 泳ぎに適した体となるために背筋がまっすぐになり、足も腰から下へ伸びたとも考えられる。四足よりもこの方がドルフィンキックとかできて泳ぎやすいと思う。

ペンギンは泳ぎに適した体型となったため、結果、人間のように立ってよちよち歩きができる。人間もペンギンのように泳ぎに適した体型に進化した結果、二足歩行もできるようになったとも考えられる。ペンギンに親近感を感じるのは偶然ではない。

4●太るのがデフォルト⇒気を抜くとすぐ太りますね。しかし、実は人間は太っているのがデフォだとも言われている。お腹、お尻、太ももに脂肪がつくと、ほら、ちょうどアシカと同じ流線型になりますね。脂肪は毛のない体の保温にも必要だ。

5●深い水中でのイルカと同じ生理現象⇒素潜り最深世界記録を持つジャック・マイヨールの著書、「海の記憶を求めて」のあとがきに映画監督、龍村仁さんが解説に書いていること。

「水深105メートルのグランブルーの世界では、普段は60回である彼の脈拍が、1分間に20回に落ちていた。また、体内に残された新鮮な酸素が、普段の循環とはまったく違う回路で心臓と脳に集中している"ブラッドシフト"という現象も起きていた。この生理現象は、水棲哺乳類であるイルカには起こっても、人間には起こり得ないと思われていた現象である。」

6●魚を食べるのが体によい⇒肉は体にあまりよくないと言われるのに同じ動物性たんぱく質の魚はよいと言われる。日本人が長生きなのは魚を食べるためとも言われる。人類の祖先が魚を食べるのがデフォの水棲生活をしていたとしたら説明がつく。

さて、ここまでは、今まで世間でも言われてきたことで、人類水棲霊長類説とかでググればいろいろ出てくると思う。次の根拠は、自分の知る限りなぜか動物学者の誰も指摘していない私のオリジナルだと思う。

7●鼻の形がクジラと同じ⇒クジラの鼻の形が人間と似ているというのはよく知られている事実である。ただし、頭のてっぺんに逆向きについているのだが。同じ類人猿のゴリラやチンパンジーと違って、人間の鼻の形がなぜクジラと同じなのか逆に考えてみよう。

まず、泳ぐときに鼻の穴が進行方向と逆についているのは、水が入らなくてよい。また、鼻が盛り上がっているならば、三角形のちょうど船の舳先と同じ形の方が、水を切って抵抗が少なくてよい気がする。それと、人類の祖先は鼻の穴を自由に開け閉めできたことは確実なのでは。今もたまにできる人がいるが、先祖帰りだと思う。

そして、もうひとつ、8番目の根拠がある。世界中の人に、世界のどこにでも自由にバカンスに行けるとしたら、どこに行きたいか聞いてみよう。特に統計を見たわけではないが、たぶん、南の島とか綺麗な海岸の見えるところとか考える人が多いのではないのだろうか。

それは、人類の祖先が何百万年か前、アフリカの海岸で見ていた原風景なのだ。

参考:
くじらランド クジラの鼻
< http://www.geocities.co.jp/NatureLand-Sky/3011/20030413200634.html
>
クジラの鼻の穴
< http://www.amigoclub.jp/alaska/kujira.html
>

【出渕亮一朗】ryoichiro.debuchi(a)gmail.com
コンピューターグラフィックス、インタラクティブアート分野のアーティスト
グラフィックス分野のプログラマー
< http://www.debuchi.com
>