[3268] Dreamweaver CS6「可変グリットレイアウト」

投稿:  著者:


《金環日食は太陽でなく周辺を撮影しました》

■講師だって、最初は初心者だもの[番外]
 Dreamweaver CS6「可変グリットレイアウト」〈前編〉 〜CS6 その1〜
 森 和恵

■クリエイター手抜きプロジェクト[318]Illustrator CS3/CS4/CS5/CS6編
 段落を行単位で分割する
 古籏一浩

■ローマでMANGA[52]
 熱かった80年代終わりから90年代始め頃
 midori

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■講師だって、最初は初心者だもの[番外]
Dreamweaver CS6「可変グリットレイアウト」〈前編〉 〜CS6 その1〜

森 和恵
< https://bn.dgcr.com/archives/20120528140300.html
>
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こんにちは。森和恵です。今週末から6月、時間が経つのは早いものです。

早いといえば、Adobe から CS6が発売されて2週間が過ぎましたね。検索すると新機能を紹介する記事がたくさんアップされてきました。私もDreamweaver CS6をインストールし、それらの記事を見ながら機能を調べる......という勉強をしているところです。

今回は、Dreamweaver CS6 新機能の目玉「可変グリットレイアウト」についてまとめたいと思います。

■グリットレイアウトってなに?

Webページをレイアウトする時に「グリッド」(升目)を基準に区切っていく方法を、グリットレイアウトと呼びます。「ここは、グリット●つ分」などと区切っていくため、均等なレイアウトを簡単に設計できます(レイアウト枠の計算がめちゃめちゃ楽になります)。

 【参考】レイアウト作りを簡単にしてくれるCSSグリッドシステム
 < http://webdesignrecipes.com/css-grid-system-layout/
>

■「可変」ってついてるけど?

ここでの「可変」とは、「表示する画面サイズの変化に応じてレイアウトが変化する」という意味です。画面サイズが変化するってどういうことでしょう? それはマルチデバイス(スマートフォン・タブレット・デスクトップパソコン......など、サイトを閲覧する機器の多様化)に対応することを指しています。

マルチデバイス対応するための方法はいくつかありますが、可変グリッドレイアウトでは、ひとつのHTMLファイルで画面サイズごとにレイアウトを切り替える「レスポンシブウェブデザイン」という手法をとっています。

従来のグリッドレイアウトでは、グリットのサイズがピクセル固定のため、画面サイズごとの変化には対応できずに、狭い画面では横スクロールが発生したり、おさまるように縮小表示がされたり......と読みにくくなります。

そこで、グリッドのサイズを%などウインドウサイズに対して割合指定することで、画面サイズの変化に対応させる......これが「可変グリッドレイアウト」です。

画面サイズごとにレイアウトを変化させる仕組みは、CSSのメディアクエリーを使い、画面サイズごとに読み込むCSSのソースコードを切り替えて行います。

 【例】レスポンシブウェブデザインのカネボウ化粧品
 < http://www.kanebo-cosmetics.co.jp/
>

 ※表示機器を変更する代わりに、ウインドウサイズを細くして確認してください。
 ※フル画面とウインドウサイズが細い時ではレイアウトが変化します。

 【参考】レスポンシブウエブデザイン
 < http://www.ikedahayato.com/?p=9453
>

■ページを作ってから枠の基本操作まで

では、Dreamweaver CS6の「可変グリットレイアウト」機能を使ってみましょう。今回は、作り方を覚えるために、ページを作ってから枠の基本操作までをまとめました。

1. [ファイル]-[新しい可変グリッドレイアウト]メニューを実行します。「モバイル」(スマートフォン)・「タブレット」・「デスクトップ」をそれぞれ何グリットでレイアウトするなどを決めます。今回は特に指定を変えずに進みます。

 【画面】< http://r360studio.com/dgcr/dgcr-extra20-001 >

2. スタイルシートファイルを名前を付けて保存します。このファイルには、それぞれのデバイスのレイアウト情報が保存されます。

3. HTMLページを作成したら、すぐに保存します。保存の際に依存ファイル(boilerplate.cssとrespond.min.js)も合わせて保存されます。

 依存ファイルは、ページを構成するために必要な関連ファイルです。
 このファイルがなぜ必要なのか? など、詳細は次回触れます。

4. ページが作成されると、モバイル(スマートフォン)表示になり、レイアウト枠が一つ作成されています。ステイタスバーのデバイスアイコンでモバイル・タブレット・デスクトップと表示を切り替えられます。マルチメディア対応にするには、3画面とものレイアウトが必要です。

レイアウト枠を追加するには、挿入バーの「可変グリットレイアウトのDivタグを挿入する」より行います。

 挿入には少しコツが必要で、「レイアウト枠の外」にカーソルを置かないと
 内側に入ってしまいます。下記画面のように、レイアウト枠が横幅めいっぱ
 い広がっている場合は、枠の中にカーソルを移動し、タグセレクタで該当す
 るDivタグをクリックした後に、カーソルを移動したい方向にキーボードの
 矢印キーを押すと外へでます。

レイアウト枠の右中央のハンドルで、枠のサイズ変更ができます。左中央のハンドルで、枠の移動ができます。枠を横フロートで並べていく場合は、右にある矢印アイコン「一つ上の行に移動」を使います。フロートを解除する場合は、右にある矢印アイコン「新しい行へ移動」を使います。

 【画面】< http://r360studio.com/dgcr/dgcr-extra20-002 >

 【参考】可変グリッドレイアウト ー Adobe TV
 < http://tv.adobe.com/jp/watch/learn-dreamweaver-cs6/13680/
>
 操作手順を映像でみたい! という方は、こちらがおすすめです。

■[おまけ]いろんなところのサイズを測ってみた

使ってみて気になったのは、「で、結局どんなサイズになってるのよ?」でした。お任せ指定でやっちゃっているのと、サイズ指定が%になっているので、実寸がピンとこなかったのです。いくら可変といえども、画像データを作るときの目安は必要ですよね。

 ちなみに、可変グリッドレイアウトでは、画像の表示サイズも%指定になります。画像を作るときは、デスクトップのサイズに合わせて作ることになると思います(最近は、Retinaなど高精細ディスプレイも出てきてるので難しいですけれど)。

[モバイル]※幅 480px
 【画面】< http://r360studio.com/dgcr/dgcr-extra20-003 >

[タブレット]※幅 768px
 【画面】< http://r360studio.com/dgcr/dgcr-extra20-004 >

[デスクトップ]※幅 1000px
 【画面】< http://r360studio.com/dgcr/dgcr-extra20-005 >

──ということで、今回は終わりです。次回は、「可変グリッドレイアウト」の後半編として、できたソースの解説や実務で使う時のポイントなどをお伝えしますね。ではまた!(^θ^)

※記事へのご意見・ご要望は下記より受付ます。
< http://bit.ly/gIHFfu
>

【 森和恵 r360studio 〜 Web系インストラクター 〜 】
<site: http://r360studio.com
> <twitter: http://twitter.com/r360studio
>
<mail: r360studio@gmail.com >
<サイト制作の教科書 r360study: http://www.facebook.com/r360study
>

前回お伝えした、6月28日、大阪 iMedioにて開催するCS6新機能セミナーの受付が始まりました。どうぞよろしくお願いします!
[Adobe Dreamweaver&Fireworks CS6で作る簡単スマホ対応サイト]
< http://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=13703
>

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■クリエイター手抜きプロジェクト[318]Illustrator CS3/CS4/CS5/CS6編
段落を行単位で分割する

古籏一浩
< https://bn.dgcr.com/archives/20120528140200.html
>
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今回は、Illustratorで選択されたテキストフレームを、行単位で分割するスクリプトです。ポイントテキスト専用です。行間を基準にして位置決めを行っているため、行の途中に大きな文字があると、その行だけずれてしまいます。ただし、他の行には影響を与えません。行間が1/1000単位で指定されている場合は、誤差が発生して若干ずれる可能性もあります。

段落内の文字サイズやスタイルは、そのまま引き継がれます。また、以下のスクリプトは、縦書きでも横書きでも時自動判別して分割処理を行います。新規に分割された段落は新規レイヤーに作成されるため、以前の文字の位置と比較して調整したり、一括して削除しやり直すことができます。


// 段落分割
(function(){
var lineH = []; // 行間を入れておく配列
var selObj = app.selection;
if (selObj.length == 0){ return; } // 何も選択されていない場合
var newLayer = app.activeDocument.layers.add();
for(var i=0; i<selObj.length; i++){
var p = selObj[i].paragraphs.length;
for(var j=0; j<p; j++){
lineH[j] = getMaxHeight(selObj[i], j);
}
var linePos = 0;
for(var j=0; j<p; j++){
var dupText = selObj[i].duplicate(newLayer);
removeParagraphs(dupText, j);
if(selObj[i].orientation == TextOrientation.VERTICAL){
dupText.translate(linePos,0);
}else{
dupText.translate(0, linePos);
}
linePos = linePos - lineH[j];
}
}
})();
// 指定した段落以外を消す
function removeParagraphs(txtObj, num){
for(var i=txtObj.paragraphs.length-1; i>num; i--){
txtObj.paragraphs[i].remove();
}
for(var i=txtObj.paragraphs.length-2; i>-1; i--){
txtObj.paragraphs[i].remove();
}
}
// 最終行の最大の行の高さを返す
function getMaxHeight(txtObj, count){
var para = txtObj.paragraphs[count];
var max = 0;
for(var i=0; i<para.characters.length; i++){
var n = para.characters[i].leading;
if (n > max){ max = n; }
}
return max; // 最終行の行の最大の高さを返す
}


すべての文字の高さを調べているため、文字数が多いと数分近く待つ場合があります。また、レイヤー名の設定などはPhotoshopをバックグランドにまわすか、Tabキーを押してパレットを消すと高速に処理されます。


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
< http://www.openspc2.org/
>

金環日食は太陽でなく周辺を撮影しました。外の明るさが変化する様子がわかります。5時42分から1秒間隔で撮影しているので、だいたい3分12秒あたりが金環日食時の明るさになります。単純に映像を暗くした場合とは何か違う、日食独特の明るさです。

・金環日食時の外の明るさの変化
<
>

PDF構造解説本が発売になりました。付録AでAcrobatのJavaScriptについて解説しています。役立ちそうなサンプルなども収録しています。興味のある方はどうぞ。

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■ローマでMANGA[52]
熱かった80年代終わりから90年代始め頃

midori
< https://bn.dgcr.com/archives/20120528140100.html
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●日本国内でMANGAの成長

「少年マガジン」編集部の阿久津さんから宮原さんを紹介された。かつて、少年マガジンの編集長をされていた。「かつて」は、私の高校から大学への時期にあたり、1971年に編集長に就任された時、少年マガジンは「巨人の星(梶原一騎/川崎のぼる)」「あしたのジョー(梶原一騎/ちばてつや)」「アシュラ(ジョージ秋山)」が連載されていた。

紹介を受けた時、宮原さんは「ヤングマガジン」の編集長で、かつ海外コミック担当をされていた。記憶では編集総務局局長さんだったのだけど、この記事を書くにあたって年表を作ってみたら、紹介されたときはまだ局長さんではなかった。

この頃、私生活の方では、いろいろシッチャカだった。それまでの風来坊のようなペンション暮らしから、貸しアパート住まいに昇格。日本企業経営の土産物店勤務で、これも気心が知れた感じがして昇格の気分だった。

さらには、今現在のダンナと知り合ったのもこの時期だ。そうした「昇格気分」もつかの間で、前科成り損ない事件が起きた。店長が親切に「人並みに休みがほしいでしょう」と入店間もない私にも休暇をくれて、休みを一年ぶりの里帰りに当てた。

イラン・イラク戦争がたけなわの頃だった。民間航空機を通す時間帯というのが決められて、飛行機の出発が午前2時というとんでもない時刻で、空港にはほとんど乗降客がいなかった。で、パスポートコントロールの警官が暇を持て余したのかどうかは知らないが、私が一年前に日本を出国したことに気がついて、「イタリアに一年いるなら滞在許可証を出しなさい」と言い出しのだ。

嘘をつけない私は不法滞在の罪を認めてしまって、イタリア出国はできたけど、後にイタリア裁判所から呼び出しの手紙をもらうことになってしまった。ちなみにこの前科は、後に大統領が新しく選出されたことで恩赦になって無事消えた。ただし、この件で日本企業は馘首になり、イタリア人経営の土産物屋さんを転々とするようになり、足元の基盤のない不安定さに悶々とした時期でもあった。

日本のMANGAの話に戻ると、子供向けのギャグマンガが主流だったMANGA界で読者が成長し、そのために少年誌の読者に青年が加わってきた。当時、藤子不二雄の「オバQ」が大ヒットしていて、「オバQ知らん奴は大学生ではない」というある学生の発言が驚きを持って新聞やらマスメディアに載ったりした。子供のものだと思っていたMANGAが、日本の最高学府の学生に支持されていることに世間が驚いたのだ。

だから、宮原さんが「MANGAは小説に匹敵する表現力を持っているはず」と、原作者を起用して人間の内面に迫る作品をプロデュースし、「巨人の星」「あしたのジョー」「愛と誠」が生まれた時に、青少年が大いにその「小説的MANGA」を受け入れたのだ。

●漫画家と出版社の歯車がかみあった

1984年に、隔週だった「モーニング(講談社)」が週刊になった。創刊したのは、宮原さんの下で少年マガジン編集部員をしていた栗原さん。あるコンセプトを持って、起用した作家はすべて新しい人だった。

宮原さんの影響なのか、独自のものなのかは知るすべがないけれど、栗原さんも海外のマンガに興味を持っていて、日本人以外の作家をモーニングに載せたいと画策していた。

そんな折、イタリアの漫画家イゴルトさんが講談社へ売り込みに行った。なぜ講談社だったのか、「国際室」というのがあるのが当時は講談社だけだったのかもしれない。ボローニャで毎年開かれる「国際児童図書展」で話をコンタクトをとったのかもしれない。ともかく、外国人なら外国のマンガに興味があるモーニングへ、と回されて栗原さんと話をした。

イゴルトのサイト
< http://www.igort.com/characters.html
>

運命の歯車がガチッとかみあったように、モーニングに描きおろしをしてくれる外国人マンガ家を探す栗原さんと、日本人以外のマンガ家の描きおろしを掲載してくれる日本の出版社を探すイタリアのマンガ家が、うまい具合に出会ったというわけだ。

そしてまたまた折も折、1987年フランスの「アングレーム国際漫画祭」が
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A0%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%BC%AB%E7%94%BB%E7%A5%AD
>
日本をテーマに決めて、講談社、集英社、小学館、その他の編集部と作家が招待された。ところが、その時もまだイラン・イラク戦争が盛んで、ほとんどの出版社が招待を辞退してしまった。

モーニングの編集長栗原さん、招待された有名作家の代わりに当時駆け出しだった田中政志さん(「GON」の作者)、寺沢武一さんとそのマネージャー、漫画評論家の呉智英さんが招待に応じたお客さんだった。栗原さんが、ついでに私も招待してくれたので、編集者のような顔をしてアングレームの漫画祭を楽しんだ。

アングレームで栗原さんはフランスのプロ・アマの漫画家と話をする機会を設け、モーニングに描きたい人を募った。私はフランス語なぞわからないので、栗原さんのそばにいて、通訳を通した栗原さんと作家のやりとり、通訳者の日本語の選び方など聞いていた。

作家は、栗原さんの申し出を面白いとニヤニヤする人、作品を何も持ってこずに「何を描いたらいいのか言ってくれればなんでも描く」と言って栗原さんをイライラさせる人など様々だった。面白いとニヤニヤした作家は、その後モーニングで長編を描き、日本では受けなかったものの本国フランスで賞を受けた。これだけでも、文化的価値がある。

バル著「太陽高速」
< http://bd-cafe.jugem.jp/?cid=1
>
< http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-6e62.html
>

海外の作家に描きおろしを描いてもらうこの企画で、作品が上がるかどうかは、作家が日本のやり方を受け入れるか受け入れないかということも大きい要素だった。

少なくもヨーロッパでは、作家が作品企画を立てて出版社と話し、それで行くか行かないかを決める。日本では(モーニング編集部しか知らないけれど)行けるかもと思う作家に担当編集者をつけ、二人三脚で編集者と作家と個人的な付き合いを交えて、話し合って作品を作る。

実際、気位の高いフランス人作家の中には「長年プロとしてやってきているのに、今更あれこれ口出しをされる筋合いはない!」と怒って去った人もいたそうだ。

イゴルトさん、アングレームの後、栗原さんは本格的に海外漫画のプロデュースに乗り出した。そして、イタリア人作家と編集部の間に立ってくれる人を、ということで栗原さんから私にコンタクトがあって、ここで、めでたく「モーニング編集部ローマ支局」が誕生した。1989年のことだ。

モーニング編集部と作家の打ち合わせは、すべてワープロとファックスを通して行われた。時々国際通話も。いやいや、読み違いではありません。ワードプロフェッサー。ファクシミリ。インターネットはまだ普及してなかったし、私はコンピュータをもっていなかった。国際電話代が嵩んで、当時土産物屋で店員をしていたが、その月給のほとんどをそれに使ったりした。

私的には、アングレームで栗原さんから「ローマでの生活で見聞きしたことをネタにMANGAを描いてみませんか」と言われて、30歳半ばにしてデビューしたのだった。エッセイ漫画とでも言うのかな。

今、作家自身の体験を基にしたMANGAが色々出てるようだけれど、当時は殆どなかった。毎回2ページの読み切りで、できた時に掲載という形だった。それでも月に一度は出して下さいとは言われていた。

あとで言われたこと。こうして「描いてみませんか。見本を送ってください」と言って実際に送ってくる人が意外に少ないとのこと。漫画家になるというのは子供の頃からの夢だった。それが30歳半ばにして叶ったわけだけど、MANGA以外にやることが多すぎたこと、怖がりでどんどん手を動かすことを知らなかったことなどで2年半ば、24話ほど描いて中断してしまった。

当時、編集長は「人気が出ても出なくても単行本一冊は出すことにしてます」と言っていたけれど、単行本分にはページ数が及ばず、本になっていないので幻の作品になってしまった。

私も残念だけれど、拾って下さった栗原編集長、担当して下さった編集さんに申し訳ないと思っている。

●イタリアのマンガが日本に上陸!

モーニング編集部ローマ支局が誕生して、いやがうえにも張り切る私があった。外部編集者として作家発掘というお仕事があった。イタリア国内で手に入るマンガ雑誌は全部買っていたのはいうまでもなく、毎年3月から4月にかけて3日ほど開催されるボローニャ「国際児童図書展」へ通った。

「児童図書」というくらいだから、絵本とか図鑑とか教科書などが主な展示物で、マンガは数が少なかった。それでも世界中から出版社が集まるのだから、イタリア国内にいて新しい情報を一か所で得ることができる重要な催しだった。

かつて自腹で行った時とは違う。公式な訪問だから、毎年ブースを持つ講談社の出張社員と共に同じホテルをとってもらい、出版社として業務入場だからタダ。その代わり、会場をくまなく歩いて、見るべきものがあるかどうか見て回った。

展示会場は国ごとにわかれていた。マンガらしいマンガを出版する出版社は、世界中を見回してもびっくりするほど少ない。マンガで見るべきものがあるのはフランスのブースだった。

フランスのブースをじっくり見て、買えるものは買い(この展示会は出版社や書店のミーティングが目的なので、小売するほど見本を持ってきていないのが普通)「for Kodansha」と入れた私の個人名刺を渡して、送ってくれるようにカタコトの英語でお願いしたりした。

そこで見つけた「魔法使いイリス」が編集部のお眼鏡にかなって、ヨーロッパ作品5作目として掲載の運びになったのは嬉しい。イタリアからはビットリオ・ジャルディーノさんが他に先駆けて1989年に掲載になった。

ビットリオ・ジャルディーノのサイト
< http://users.skynet.be/vittorio_giardino_universe/albums/albums-overzicht-frans.htm
>

元設計士だそうで、緻密なくっきりした絵柄はわかりやすく、読者の受けもそこそこ良かった。ただし、描きおろしではなく、編集部とも話し合って既成の読み切り短編を選んで、日本の雑誌サイズと読み方向にあわせてコマを再編成して原稿にした。

ジャルディーノさんの作品はキャラの気持ちの動きに合わせて構成されているので、MANGAとして充分に通用したからこそできた再構成だった。ただし、何故か二作で同氏の作品掲載は終わってしまった。

ジャルディーノさんの作品掲載と同時に、イゴルトさんの作品打ち合わせも進行していた。そして日本のMANGAがイタリアへ入っていくのも同時進行という、熱い時期だった。

そうした熱い80年代終わりから90年代始めに、その渦の中でお手伝いができたのはMANGA好きとしては、宝物のような体験だった。

次回、日本のMANGAがイタリアへ入っていく瞬間をお話したい。

【みどり】midorigo@mac.com

●西田昌司「電力需給を無視した脱原発は財源なきマニフェストと同じだ」
<
>

原発を全部止めて、みんなが少しづつ我慢すればオッケーだと思いますか? この夏、節電でクーラーを止めたら、たとえば実家の老母の心臓が心配。でも、周りの目もあるから自分だけクーラーを点けるわけにもいかないだろうな、と心配してる。

たとえば、安定した電力が長時間必要な工場や、生命維持装置を使っている患者がいる病院はどうするの? 安定した電力が得られる外国に移転? 移転するほどの規模ではなく生産が落ちてやっていけなくて倒産? 生命維持装置が必要な人は淘汰?

大体、福島の事故の原因究明も、「ストレステスト」で原発を停めることも、自然エネルギーだ! と言ってることも、民主党は行き当たりばったりで現実的な問題点を把握しているわけではないので、発電を何にしてもリスクが高くなる一方。

↓「電気が足りるかどうかためしてみるための準備をしよう!!」
< http://twinklestars.air-nifty.com/sorausa/2012/05/post-1187.html
>

それでも原発は怖い! という前に、知識を得よう。放射能のこと、本当に知
ってますか?

「福島原発事故を恐れないための基礎知識 1」
< http://twinklestars.air-nifty.com/sorausa/2012/05/post-987e.html
>

チェルノブイルとの放出された放射性物質の推定放出量の対比もあるので、チェルノでは白血病が、奇形児が、だから日本でも...と怖がっている人は数字で違いを把握してみてください。怖い怖いというストレスのほうがガンを招きますぞ。

●4月の末に米菓の亀田製菓が韓国の農心製菓と提携を決め、亀田製菓のブログが炎上している。
< http://kamedaseika.cocolog-nifty.com/kametu/2012/04/post-3ac3.html
>

農心製菓は衛生管理に問題があって、イギリス、ドイツでは輸入停止。人一倍食品衛生には気を使うはずの日本の企業が、なぜそんな企業と提携するんだろう? 農心と提携するなら亀田製菓はもう買いませんというコメントに亀田製菓からはコメント削除という反応しかなくて、ますます不信感を煽ってる。でもマスコミは報じてないとか?

●イタリアでは、ベルルスコーニ元首相のスキャンダルの後、中央ローマをこき下ろし、独立を喚いていた北イタリアの北部同盟(Lega Nord)のスキャンダルが次々に暴かれて、イタリア国民の口をあんぐりとさせてます。党首の自宅の改装が(本人の知らぬまに)党費でされていた。党首の息子(鱒とあだ名されている)がロンバルディア州の州会議顧問に就任し、一般職員の10倍の月給。鱒君は高校卒業試験に3回落ち、アルバニアの大学の卒業証書を持っている。

ベルルスコーニが廃止した固定資産税が復活することになり、増税が決定され、国会議員の報酬のケタ違いの多さや年金の多さ、しかも、議員の他に地方の役所の要職を兼任してその給料もあったりで、広がる一方の格差に国民が不満を煮えたぎらせている。

日本でも、イタリアでも、こうした行政のお粗末さで経済が悪化してる。国民がお花畑から目覚めるいい機会ではないのかな。

主に料理の写真を載せたブログを書いてます。
< http://midoroma.blog87.fc2.com/
>


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編集後記(05/28)

●政府と東京電力は5月26日、福島第一原発4号機原子炉建屋の内部を報道陣に初めて公開した。4号機については国内外から、使用済み核燃料プールの重大な危険性が指摘されている。今回の公開は補強工事により耐震強度を2割程度向上させたという現状を見せて、危険性指摘を緩和しようという狙いもあるのだろう。新聞で見る4号機は予想以上の惨状だった。いま白いシートに覆われたプールには1295本の使用済み核燃料と未使用核燃料240本が収容されているのだが、透明度が低く水面下7メートルにあるはずのそれは見えない。最上階のがれきを撤去、建屋カバーを設置し、来年12月から核燃料を取り出す予定だという。

むしろ現状を知らなかったときより不安が増す。もし再び大地震が来て、プールの底が抜けたり、原子炉建屋そのものが倒壊したら、冷却水はすべて流失し露出した核燃料は発火、膨大な量の放射性物質が大気中に拡散する。それを制御するすべがない。現場復旧チームは冷却中の1〜3号機も放置して撤退。第一原発全体が人類の手出しができない魔境に変わり、日本は終わる。そんな恐ろしいシミュレーションを「SAPIO」で小林よしのりが発表している。漫画で描かれているといって舐めてはいけない。これは絵空事ではない。綿密な取材をしたものであろう強い説得力がある。

昨年末に野田政権は「発電所の事故そのものは収束に至ったと判断される」と宣言したが、そんな政治的思惑から外れて、日本は今もなお危機的状況に直面し続けているのだ。今日の新聞では、7月に使用済み核燃料よりも取り扱いやすい未使用核燃料を数本、プールから取り出して状態を確認するという。とにかく一刻も早く、階上のプールから地上のプールに全燃料を移動させなければならない。非常に困難な作業だが、来年12月からといわず、もっともっと前倒しせよ。地震を感じるたびに、福島県浜通りではありませんようにと祈りながらテレビをつける日々......。(柴田)

●子供のいない叔母と東京見物。叔母は若い頃にはシベリア鉄道に一人で乗るようなアクティブな人で、芸術や海外旅行、新しいもの好きで着道楽・食道楽。サバサバした性格。生まれるのが早すぎた人だと姪から見て思う。メニエール病になり、祖母やお友達が亡くなっていき、ふさぎ込むことも増えたが基本パワフル。毎年のように行っていたパリへは病気のせいで行けなくなったが、いまは東京に遊びに行くのが楽しみのようだ。メニエール病は三半規管にリンパが溜まりすぎて、ゴーゴー雑音が聞こえる病気なのだそうだ。耳元でずっと雑音が聞こえる。脳に近いため、吐き気を催したり、気分が悪くなったりもする。大学病院で診てもらっているが、治療方法がなく、人によっては雑音を消すために神経を切ってもらうそうだ。両耳が聞こえない時もあって、今回も東京行きの直前まで両耳の調子が悪かったらしい。東京に遊びに行くというのを励みに身体に良いことをあれこれ試していたら、かろうじて片耳が聞こえるようになったんだって。聞きたくないことを聞かなくて済むからいいかもよ〜、夜中にホテルの廊下で外国人らが大声で話していたの知らないでしょと言ったら、そんなのあったの? と笑っていた。滞在中に、これが最後の東京旅行かもしれないとちょくちょく言う。足腰は強いし、よくしゃべるし、歯は揃っているし、アレコレソレをあまり言わないし、気持ちさえしゃんとしていたら、また行けるんじゃないかなぁとは思っている。(hammer.mule)
< http://www.nanbyou.or.jp/entry/195
>  メニエール病
< http://marigold.sakura.ne.jp/misc/meniere/meniere.html
>
こっちがわかりやすい