机上の音像 インタラクティブアート ただいま展示中! 〈出渕亮一朗×金箱淳一 二人展 D.E.K.A.〉
── 出渕亮一朗 ──

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───白壁に囲まれた小さな部屋に白い小さな机がある。その前の椅子に座る。机をツートントンと叩いてみる。机がツートントンと応えてくれる。机を右から左に手の平でさっとなぞる。音が右から左になぞった通りに流れて行く。机の上をぐるぐるかき回す。音の粒が机から沸き立つようにぐるぐる回る。耳を澄ませ、微かな音の机上の音像をイメージする。

これは、D.E.K.A.(出渕亮一朗×金箱淳一)としてGallery色彩物語で展示中の新作アート作品、「机上の音像」の描写だ。

音源を平面上にたくさん並べ、細かくコントロールすればどんな風に聞こえるのか?が この作品のスタートだった。サウンド再生はステレオか多くても5.1chサラウンドと技術的に確立してしまっているが、果たしてそれに限ってしまっていいのだろうか。

白い正方形の机の上に5×5=25個のスピーカーが並ぶ。その上を順番にリズムを刻んで叩いたり、または、好きな方向に机の上をなぞると、5秒ほど待って、同じ位置と方向、スピードで楽器や日常音が再生される仕組みとなっている。机に耳を近づけ耳を澄ませると小さな音が走り回っているのを感じることができる。

種明かしをすると、スピーカーの位置に25個の赤外線センサーが並んでいる。これは人の体温に反応する。この作品のメインコンピューターはArduino Megaというマイコンだ。センサーのオンオフはこのマイコンにインプットされる。

情報をマイコン内で数秒遅延させた後、アウトプットでは、25個のリレーを制御してスピーカーのオンオフを切り替えている。

同時に、ISD1760という音源回路を4個使いそれにより、146通りの音をランダムや法則を使って流すようにしているのだ。

ISDは録音再生をアドレス指定できるので、コンピューターコントロールができる。ArduinoとはSPI通信でつないでいる。4個使ったのは、早いリズムに追従できるようにするためである。

この作品は金箱淳一というアーティストと初めてコラボレーションしてできた作品だ。彼は現在、女子美術大学の助手を勤めているのであるが、代表作とも言えるMountain Guitarという作品が第11回文化庁メディア芸術祭で推薦作品に選ばれされていたり、「ゲイナーカイダン」という「ICCオープンスペース2006」に展示された作品の制作にかかっわていたりする才能のある青年だ。

ものつくりが得意だという彼と、プログラミング歴の長い私とのコラボはなかなか強力なタッグかなと、ちょっと自我自賛とかしてみます。(出渕亮一朗)

◎出渕亮一朗×金箱淳一 二人展 D.E.K.A.
< https://bn.dgcr.com/archives/2012/10/12/images/main2 >
開廊日:2012年 10月 8/ 10/ 12/ 13/ 14/ 15/ 17/ 20/ 21/ 24/ 26/ 28/ 29
12:00~18:00 入場無料
場所:Gallery 色彩物語(東京都杉並区上荻2-42-12 ※JR荻窪駅北口より徒歩
10分 GoogleMap < http://bit.ly/T7JvAt
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出渕亮一朗 ryoichiro.debuchi@gmail.com < http://www.debuchi.com/
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金箱淳一  kanejun@gmail.com < http://www.kanejun.com/
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< https://bn.dgcr.com/archives/2012/10/12/images/main2 >