おかだの光画部トーク[97]なぜ文系と理系って分けちゃうの?
── 岡田陽一 ──

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球春到来ということで、WBCのことなど今となってはまるでなかったかのように誰も話題にすらしない中、プロ野球もシーズンが始まりました。いや〜、巨人強いですね! 勝率10割ですか。まだ負けてないんですね(2013年4月9日時点)。凄いですね。それに比べて我らが阪神タイガースはときたら......。

今年のプロ野球は、ルーキーに何かと注目が集まっています。中でも北海道日本ハムに入団した大谷翔平選手。ピッチャーと野手を両方挑戦し、「二刀流」と新聞紙面でも話題になっています。

チーム競技でありながら、高校野球ではピッチャーで4番という選手は多く一人のスターに頼ることがよくありますが、プロではなかなか珍しいことで、スポーツニュースの野球評論家の中には「そんな甘いものじゃない。早くどっちか決めて練習しないと両方ダメになる」と酷評している人も見かけます。

専門家ではないのでよくわかりませんが、ほとんどの人が専門的にやっている中で二刀流、三刀流の人がいてもいいじゃないと思います。むしろ、それは誰にもできることではないので、凄い武器なはずです。やる前から芽を摘んでしまうのはもったいない。

アメリカでは、メジャーの野球選手が、冬にはアメリカンフットボールの選手だったり、バスケの選手だったり、違う競技での二刀流の選手もいて、そのありあまる才能を別の分野でも発揮できる環境があります。

先日ラジオでこんな話を聞きました。ドイツの自動車メーカー、BMWの幹部に日本の記者が取材をした話です。




「日本の自動車メーカーは環境性能ばかり追って、F1などメジャーなモータースポーツからどんどん撤退しています。ヨーロッパの自動車メーカーは今も、燃料をいっぱい使ってスピードや馬力を競っている。この時代になってそれをどう思いますか?」というような質問に、

「我々はスコップを作っているのではなく、バイオリンを作っているのです。スコップならただどれだけ深く掘れるか、一度にどれだけの土を掘れるかという話ですが、バイオリンを作るということは、それをいかにいい音で演奏するかというコンサートの場が必要です。他の楽器と一緒にいい曲を奏でることを研究し、多くの人に楽しんでもらうのが使命だと考えています」

つまり、ヨーロッパの人にとってはレースはコンサートと同じで、文化として捉えているんですね。エンジニア達が文化を尊重して、それに参加することを楽しんでいる。

話がそれてしまいましたが、そもそも日本では高校の時に、文系と理系に分けてしまうのがダメなんじゃないかと最近思っています。

わたしも、小・中学校の頃は、星が大好きで、月食や流星群の観測の詳しいレポートが今も残っています。数学も好きでしたし、その頃通っていた数学の塾の先生が、NECのパソコンで円周率の計算を延々と走らせていたのに興味を持ち、パソコンを手に入れ、当時のBASICマガジン(通称:ベーマガ)を買って掲載されていたプログラムを打ち込んで遊んでいました(まさかその当時雑誌に載っていた高校生の森くんが、数10年経って一緒に仕事する仲の森巧尚さんだとは驚きですw)。

しかし高校で、文系か理系か強引に選択させられ、結構理系の分野のことにも興味があったにもかかわらず、化学だけが異常に苦手でアートやデザインが少し得意だったという理由で、文系を選択しました。それ以降、理系分野に苦手意識が出来たように思います。

逆に、理系を進んで今に至っている人で、デザインがわからないと苦手意識を持っている人も多いのではないでしょうか。

そこで、文系、理系と分断せずにもっと柔軟に両方、二刀流で学べる環境にできないものかと考えます。

レオナルド・ダ・ビンチは科学者であり医者であり、素晴らしい画家でした。そして、日本では、手塚治虫が医学の道とまんがの道を両方進み、医学・科学の知識に基づいたまんがを描き多くの人々に影響を与えました。

アメリカやヨーロッパがすべて良いとは思いませんが、才能の芽をつぶさない環境があるのは素晴らしいと思います。

と、野球の話からずいぶんと遠くまで来てしまいましたが、話を戻して、阪神タイガースがんばってください!

【岡田陽一/株式会社ふわっと 代表取締役 ディレクター+フォトグラファー】
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