[3467] ネット時代の作品公開タイミング

投稿:  著者:


《花を見つける機会は万人に与えられている》

■まにまにころころ[33]
 ひとりずつひとつ
 川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito

■クリエイター手抜きプロジェクト[352]Illustrator CS5/CS6編
 不要なPDFを削除する
 古籏一浩

■データ・デザインの地平[29]
 ネット時代の作品公開タイミング
 薬師寺 聖

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■まにまにころころ[33]
ひとりずつひとつ

川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito
< https://bn.dgcr.com/archives/20130422140300.html
>
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こんにちわん、コロこと川合です。「名は体を表す」という言葉がありますが、名付けられると、その名前に引っ張られるということは確かにありますよね。本名でもあだ名でも。

「どこか犬っぽい」という理由で、コロという犬っぽいあだ名をつけられた私も、なんとなくそれ以降、その呼び名に引っ張られてる気がします。周囲が「確かに犬っぽい。コロっぽい」と納得したというのも、定着した一因だと思います。名前をつけるって、面白い。

そんなこんなで、今日は「名前」の話。

◎──DQNネーム(キラキラネーム)

どこまで本当の話なのか分かりませんが、自分の子どもに、個性的というか、とんでもない名前をつける人が最近増えているそうで。「変わった名前」は昔からあったし、「読みにくい名前」だって昔からありました。読みにくい、で言えば、私の「和史(かずひと)」だって、まず読んでもらえません。

でもそんなレベルでなく、「読みようがない当て字」や、とてもじゃないけど子どものことを思ってつけたとは思えない名前が、増えているそうです。

それらは「DQNネーム(ドキュンネーム)」「キラキラネーム」と呼ばれるそうですが、実例をいくつか挙げてみましょうか。役所に確認したり、実際に私が出会ったわけではないので、その実在は定かじゃないですが。

◎──当て字系(連想)

・星音(きらり)
まあ、意図するところは分からなくもないです。私の中ではギリギリセーフ。

・花束(ぶうけ)
さすがに無理があるでしょう。トスしていいですか。

・美白(みるく)
......コメントに困ります。漢字を無視すれば、かわいい響きですけども。

・勇気(ふぁいと)
ぶうけちゃんと同系統ですね。名前に負けず、強く生きて欲しい。

連想ゲームの世界ですね。見聞きした中で、比較的まともなのを選びました。ちょっとこれはと、思わず眉をひそめてしまうものも挙げてみましょうか。

・六面(だいす)
ぶうけちゃん系の亜種。ひねってきました。

・仏王(るい)
いや、ちょっと、名前でボケてってお題でも与えられたんですか。

・波波波(さんば)
ダジャレ?

まだまだありますが、次に行きましょう。

◎──当て字系(音ありき)

・帝愛(てぃあら)
音の響きに対して、ちょっと漢字がものものし過ぎやしませんか。

・沙羅汰(さらだ)
これまた、なんでその漢字をチョイスした。いやそれ以前にサラダて。

・覇安威(はあい)
返事っぽいかわいらしさに反して、なんという強面な。

・星影夢(ぽえむ)
確かに音はかわいい。けど、なんかちょっと惜しい。

音ありきのこのタイプは、夜露死苦(ヨロシク)というような暴走族の落書きに通ずるものが。そもそもの「音」が良い響きなら、あとは漢字の選択次第で、良い名前になると思うんですけどね。いい漢字がないなら、仮名でいいのに。

◎──神話や宗教を拗らせた系

・美神(びしぬ)
ヒンドゥ教の神様ヴィシュヌ神からですね。漢字の選択も読みも中途半端。

・大穴(だいあな)
もっと他に選べる漢字があったでしょうに。漢字次第では許せる名前。

・不可思議光(ふかしぎこう)
寿限無を思い出す。意味はともかく、名前としてはちょっときつくないですか。いっそ「阿弥陀如来」と名付ければよかったのに......いや、よくないか。

・約書亜紀(よしゅあき)
なんで「ヨシュア記」という本の名前をつけようと思ったのか。ヨシュアではダメだったのか。しかもなんか、漢字も微妙。

・天国(えでん)
先に挙げた連想系のうち。まだ「楽園」のほうがきれいな字面だったのに。

・金星(まあず)
間違えたのか? 意図的か? マーズは火星。金星はヴィーナス。

◎──アニメやらマンガやらの影響系

・光宙(ぴかちゅう)
キラキラネームの例として有名。本当に実在するんだろうか......

・白虹(しろっこ)
たぶん、ガンダムのあの人ですよね?

・明志石(あくしず)
たぶん、ガンダムのあの場所ですよね?

・振門体(ふるもんてぃ)
男性ストリップの話でしたっけ。

・乙女(しゃか)
聖闘士聖矢に出てくる乙女座のキャラがシャカって名前だからですね。

・慈代(じぇだい)
ジェダイの語源は「時代」だと知った上でひねってきたんでしょうけど。

・新一(こなん)
正体バラしちゃだめーーーーっ。

・ハム太郎(はむたろう)
そうそう、ひねらずに直球がいい......とは言い切れない例がここに。

◎──悪意を感じる系(もう個別コメントは省きます)

・戦争(せんそう)
・桜鈴(さりん)
・可梨実(かなしみ)
・明芽(あくめ)
・輝照(てろる)
・ポチ男(ぽちお)
・陽夏照(ひげき)
・羽姫芽(わきが)
・真羅(まら)
・愛歩(あほ)
・愛保(らぶほ)
・希空璃(ふぐり)

ある意味、悪意が分かりやすくて対処しやすいと言えるかも。裁判沙汰で有名になった「悪魔ちゃん」が、かわいく思えるほど。

◎──どんなつもりで名付けているのか

例示するだけでずいぶん長くなってしまいましたが、一体どんなつもりで名付けているのか理解に苦しむものが多い。冒頭でも書いたように、変わった名前というのは昔からあって、吉田兼好も徒然草で「寺院の号、さらぬ万の物にも、名を付くる事、昔の人は、少しも求めず、たゞ、ありのまゝに、やすく付けけるなり。この比は、深く案じ、才覚をあらはさんとしたるやうに聞ゆる、いとむつかし。人の名も、目慣れぬ文字を付かんとする、益なき事なり。何事も、珍しき事を求め、異説を好むは、浅才の人の必ずある事なりとぞ」と、苦言を呈していたりする。でもおそらく、次元が違う。

ひどい名前というのも、釈迦牟尼が生まれてきた息子に、出家の邪魔だと障碍(ラーフラ)と名付けたって説もある。でも伝承レベルの話。

個性的な名前を求める風潮は全世界的にあるようで、英語圏でも、お隣の中国でも増えているらしい。が、「個性的」をはき違えていると思わざるを得ない名前をみると、暗い気持ちになる。どうして奇をてらうのか。笑いを取りたいのか。「自分のため」に名前をつけてどうするのか。

「他と違うユニークな名前をつけたい」という気持ちはわかる。ならどうして、もう一歩踏み込んで、名付けられた子が困らない名前を考えられないのか。

いつからこうなってしまったのか。私が子どもの頃、グローバル社会に備えて海外でも呼ばれやすい名前にしようとか、音の響きが英語圏で悪い意味にならないように気をつけようとか、そういう話を聞くことがありました。さらに、アジア圏でも通用するよう気をつけようといった話も後々聞きました。みんな、苦心して良い名前を考えていました。それが、どこでどうこじらせたのか......

例に挙げた中にも、またキラキラネームと言われている中にも、想いが感じられる名前、ちょっとひねりすぎと思うものの許せるレベルの名前もありますが、そうでないひどい名前を見ると、他人事ながら暗い気持ちになります。それが、他人事でなく、社会的に悪影響を及ぼす危惧さえ感じます。

長々と書いておきながら、結論も意見もまとめられないのですが、それぞれがそれぞれの感想を持っていただければと、丸投げして終わりにします。

【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
< https://www.facebook.com/korowan
>
< https://www.facebook.com/caputllc
>
ゴダイゴ「ビューティフル・ネーム」を聴きながら。


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■クリエイター手抜きプロジェクト[352]Illustrator CS5/CS6編
不要なPDFを削除する

古籏一浩
< https://bn.dgcr.com/archives/20130422140200.html
>
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かつて、AI, EPSファイルをPDFとして同じフォルダ内に保存するスクリプトを紹介しました。しかし、用が済んだらPDFを削除したい場合もあります。今回は、指定した拡張子を持つファイルをまとめて削除するスクリプトです。

このスクリプトは、ロックされているファイルは削除することができません。その際、いくつ削除できなかったかを最後に表示してくれます。また、ESTK上からであれば、JavaScriptコンソールに削除できなかったファイルの場所が表示されます。


(function(){
var fileExtType= prompt("削除するファイルの拡張子を入力してください", "*.pdf");
if (!fileExtType){ return; }
var allList = getAllFiles(fileExtType);
var delCounter = 0;
for(var i=0; i<allList.length; i++){
$.writeln(allList[i].fullName);
var flag = allList[i].remove();
if (!flag){
delCounter++;
$.writeln("削除できないファイル:"+allList[i].fullName);
}
}
if (delCounter > 0){
alert("削除できないファイルが"+delCounter+"つありました");
}
})();
// File Library
function getAllFiles(fileTypes, basePath,options){
options = options || {};
if(!basePath){
basePath = Folder.selectDialog("フォルダを選択してください");
if (!basePath){ return; } // キャンセルされた場合は処理しない
}
var allList = [];
// パラメータが文字の場合
if (typeof(fileTypes) == "string"){
getFileList(new Folder(basePath), fileTypes);
return toJapanese(allList, options.japanese);
}
// パラメータが配列の場合
if (fileTypes.push){
for(var i=0; i<fileTypes.length; i++){
getFileList(new Folder(basePath), fileTypes[i]);
}
return toJapanese(allList, options.japanese);
}
function getFileList(currentFolder, fileType){
var fileList = currentFolder.getFiles(fileType);
var fileList2 = currentFolder.getFiles("*"); // Sub Folder
allList = allList.concat(fileList);
for(var i=0; i<fileList2.length; i++){
if (fileList2[i].getFiles){
if (fileList2[i].name.charAt(0) == "."){ continue; }
getFileList(fileList2[i], fileType); // フォルダがある限り繰り返し
}
}
}
// 日本語に変換(nameJ, fullNameJ)
function toJapanese(fileList, flag){
if (!flag){ return fileList; }
for(var i=0; i<fileList.length; i++){
fileList[i].nameJ = File.decode(fileList[i].name);
fileList[i].fullNameJ = File.decode(fileList[i].fullName);
}
return fileList;
}
}


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
< http://www.openspc2.org/
>

地元の本屋ではデアゴスティーニの「週刊ロビ」ずっと山積みのままです。
売れてなさそうなんですが......。

・4K HD フリー映像素材
< http://footage3.openspc2.org/HDTV/footage/4K/30f/
>

・Nexus 10(アンドロイドタブレット)使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/Android/Nexus10/
>

・Kindle Fire HD使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/Kindle/Fire_HD/
>

・Nexus 7(アンドロイドタブレット)使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/Android/Nexus7/
>

・iPad mini(アイパッドミニ)使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/iPad/mini/2012/
>

・JavaScript逆引きハンドブック
< http://www.amazon.co.jp/dp/4863541082
>

・改訂5版JavaScriptポケットリファレンス
< http://www.amazon.co.jp/dp/4774148199
>

・ハイビジョン映像素材集
< http://www.openspc2.org/HDTV/
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・クリエイター手抜きプロジェクト
< http://www.openspc2.org/projectX/
>

・Adobe Illustrator CS3 + JavaScript 自動化サンプル集
< http://www.openspc2.org/book/PDF/Adobe_Illustrator_CS3_JavaScript_Book/
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吉田印刷所の「印刷の泉」でも購入できるようになりました。


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■データ・デザインの地平[29]
ネット時代の作品公開タイミング

薬師寺 聖
< https://bn.dgcr.com/archives/20130422140100.html
>
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●作品が増えれば、類似の主題も増える

この数年、ソフトウェアやプラットフォームの充実、3Dプリンタなどの出力機器の価格低下、公開先の充実により、動画や音楽やイラスト、手工芸品の作家(クリエイターやメイカー)が増え、作品も爆発的に増えています。

作家にとって、作品の主題とは見知らぬ場所に咲く花のようなものです。その花を見つけ、いかに適切な表現で視聴者に届けるかが腕の見せどころです。花にたどり着く方法は、ひとつではありません。次のように、いろいろあります。

(1)論理による発見

先人の習得した技法を学び、これに基づき論理的に花のある場所へのルートをたどります。

(2)試行錯誤による発見

多くの作品を鑑賞し、素材を探し、組み合わせかたを模索します。ありとあらゆるルートを行きつ戻りつ試行錯誤して、花のある場所に近づいていきます。

(3)直感による発見

花を気にかけつつ日常生活を送りながら、頭の中に花のある場所のイメージが浮かぶのを待ちます(筆者はこのタイプ)。作家でなくても、着想が必須の職業に就いている人は、花を目に留める体験を少なからず持っているので、作品の素になる花を見つけることがあるでしょう。

花を見つける機会は、万人に与えられています、複数の人が、異なるルートを通って同じ花を見つける可能性はゼロではありません(※1)。作品の増加に比例して、類似の主題を持つ作品も増えると考えられます。

もっとも、同じ花を見つけたとしても、表現方法は異なりますから、同じ作品に仕上がることはありません。同じ桜の写真を撮っても、完全に同じ写真になることはないように。

●作家に必要な、フットワークの軽さ

複数の作家が同じ花を見つけ、それぞれに表現した作品を創って公開すると、そこにはタイムスタンプの問題が生じます。

主題を作品という形にするには、時間がかかります。毎日作業に取り組める人と、週末のわずかな時間しか作業できない人では、完成時期は大いに異なるでしょう。

同じ時期に花を見つけたとしても、後者は後発の作品になってしまいかねません。そうすると、後発作品は、先に発表された作品の影響を受けているように誤解されることがあるかもしれません。

ならば、作家は、花を見つけたならその事実をいちはやく公開したほうがよいのではないでしょうか。

先に公開済みの「花」を示すだけで誤解を解くことができるという安心感があれば、創作に専念しやすいのではないでしょうか。

筆者も、これまでひとつだけ同じ花を見つけていた経験があります。

筆者が1984年に作った小さな歌は、2000年以降に発表された商用楽曲と、主題の部分が似ています。もっとも解釈と表現は真逆であり、全く別の作品です。その商用楽曲が優美且つ繊細で立体的な構成で感動を与えるのに対し、筆者の曲は悲嘆と諦観一辺倒で平坦で暗いだけです。

身を削るようにして書いた歌です。すばらしいプロの作家が目をとめるような可憐で小さな花に、自分も目をとめていたことを筆者は誇らしく思いました(※2)。

ネット時代の作家には、花を見つけたら「見つけたよ!」と叫ぶ、フットワークの軽さが必要です。

たいせつに温めながら修正を繰り返し、満を持して公開するのではなく、花を見つけたら即座に公開するほうがよいのではないでしょうか。

考古学好きの小学生が、自分の遊び場で土器を見つけたなら、それをその場に残したまま黙って調べ続けるのではなく、すぐに見つけたことを発表したほうがいいように。尊敬する偉大な学者がいつか見つけてくれるであろう日を待つ必要はないでしょう。

●作家名、屋号、レーベル名、ドメインも、先願が重要

このような「同じ花の発見」問題は、作品の主題に限られるものではありません。作家の名前も同様です。下の名前が同じであれば、それから発想したハンドルネームが同じになっても不思議ではありません。本名でさえ同姓同名の可能性はあるのですから。

また、作家の事務所の屋号やレーベル名、サイトのドメインについても同様です。

もし、屋号やレーベル名で商標を申請したいなら、商標取得の可能性を調査したうえで、ドメインを取得するほうがよいでしょう。

以前筆者は、個人事業所とコラボレーションユニットの活動を同じ「PROJECT KySS」名義で行っており、両者の混同を避けるために、別屋号での商標申請を考えました。「seindesign.net」というドメインに合わせて「ザインデザイン」で申請しようと調査したところ、既に「ザイン」という称呼が出願されていたため、やむなく別名で申請しました。

我々は法治国家の住人であり、法に守られています。しかし、ドメインは取得できても商標は取得できなかったり、国境をまたぐと先願問題があるなど、インターネットで全世界がつながり始めた社会では、法と現実に適合しない部分が出始めています。

ロゴの申請などで商標問題に触れる機会のあるデザイナーなどと異なり、別の本業を持ち、趣味で創作活動をしている作家の場合、商標問題について考える機会はないかもしれません。

しかし、音の響きの好みだけで作家名やレーベル名を決めれば、その時期がいつでもよいというものでもありません。これと思う名前があるなら、早く決めて使い始めることが重要です。イラストやデザイン、アプリケーション、ビジネスのアイデアであっても同様です。

●創作活動を支える、主題登録用アイデアバンクを

では、作家が、見つけた花を早く公開するには、どのような方法が考えられるでしょうか。

(1)公募

公募情報を探して主題だけを先に応募しておく方法です。すくなくともメールに添付、あるいはアップロードした事実は残ります。生煮えの作品を応募すると評価される可能性は低いため、タイムスタンプ目的であると割り切る必要があります。

(2)別媒体への収録

複数のメディアを持っている作家が、異なるメディアで先に公開しておく方法です。たとえば、筆者のアルバムの主題の部分は、書籍や記事のサンプルプログラムの音楽素材として使用しています。

(3)友人への公開

作品をメールに添付して友人に送り、管理してもらう方法です。ただし、友人がバックアップをとっていない状況でPCが壊れたら、データ修復が不可能になるリスクがあります。

(4)Webサイトやブログでの公開

Webサイトやブログで公開する方法です。検索エンジンに回収されるとタイムスタンプの証明にはなるでしょう。その反面、一度回収されてしまうと削除が容易ではないため、生煮え作品がネット上に出回り、クオリティについて批評されるリスクがあります。

(5)投稿サイトへの投稿

ボカロ音楽でいえば、ピアプロのようなしくみを利用する方法です。ただし、ピアプロでは、主題の公開にとどまらず、コラボレーションを目的とする必要があります。動画をすばやく作れるなら、動画サイトへの投稿も考えられます。

(6)ソーシャルメディアの利用

Facebookなどに投稿しておく方法です。手軽である反面、閲覧の制限設定が難しく、また、リンクとなればリンク先のタイムスタンプ問題を解決する必要があります。

(7)クラウドの利用

SkyDriveなどに保存する方法です。信頼できる人に共有してもらえばよいので、合理的な方法かもしれません。

(8)タイムスタンプ保証ツールの利用

ここ数年タイムスタンプ保証ツールが普及し始めています(筆者はまだ試していませんので、詳細は分かりませんが)。ツール導入後の作品について保証するものであり、過去の作品のタイムスタンプを保証するものではないようです。

このように、いろいろな方法は考えられますが、簡単で安価で確実で、且つ多数のネット住民に支持されている「唯一の」方法は、まだ見受けられないようです。

また、タイムスタンプを証明できることと、視聴者が事実を知って納得することは別の問題です。twitterで誤解が流れたなら、情報を回収することは困難ですから、作品公開の際には、作品履歴もあわせて公開するほうがよいと思われます。

商標やドメインについては困難でも、すくなくとも個人レベルの作品については、デフォルトでは「非公開」で、オプションで公開範囲を設定でき、投稿内容の削除機能はあっても編集機能はなく、外部からの改ざんが困難なセキュリティを持ち、タイムスタンプが保証され、着想段階で気軽に登録できる、アイデアバンクシステムの登場が待たれます。

そういったシステムがあれば、作家はタイムスタンプ問題に悩むことなく創作に専念できることでしょう。

豊かなコンテンツ文化の構築と海外への発信のためには、多数の作家が利用し、視聴者に周知される「ここにネタを上げておけばとりあえず安心」なシステムが必要ではないでしょうか。


※1 第7回「脳活動センシングの進化が作曲を変える」参照< https://bn.dgcr.com/archives/20110613140100.html
>

※2 この筆者の楽曲については、1980年代半ばの手書きの詩とそのコピー、手書きの楽譜、1996年にYAMAHA XG仕様で作成した Cubase ltのallファイル、midiファイル、1999年に、midiファイルをレンタルサーバにアップロードし、コンテンツ用のフリー素材としてメーリングリストに投稿した時のメールが残っています。


・エイッと作ろう!Windows ストアアプリ選手権(〜5月8日)
< http://msdn.microsoft.com/ja-jp/jj984295#imade_shoko
>

・Microsoft Surface
< http://www.microsoft.com/Surface/ja-jp/commercials
>

・Kinect Fusion
< http://research.microsoft.com/apps/video/default.aspx?id=152815
>


◇7曲入りアルバム発売中。
「イメジェリの地平 feat.巡音ルカ」
<
>
< http://itunes.apple.com/jp/album/out-imagery-feat.-megurine/id555002559
>

【薬師寺聖/個人事業所 セイザインデザイン】
個人事業所 < http://www.seindesign.net/
>
< infosei@seindesign.net >

絵・音・詩・文・コードを扱うフリーのクリエイター、思索家。エンジニアリング会社を経てデザイン事務所に勤務後、XML1.0勧告翌月に退職して開業。科学技術や医療・福祉分野のXML案件を手がけながら、書籍や記事を多数執筆(PROJECT KySS名義)。現在は、受託業務から独自開発にシフト中。
Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev
(Oct 2003-Sep 2013)


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編集後記(04/22)

●「どうもプーチン大統領は、メドベージェフ首相を葬ることにしたようです。」と書くのはメルマガ「ロシア政治経済ジャーナル」の北野幸伯氏。プーチンは2000年から2008年まで、4年2期、計8年大統領を務めた。この期間にロシアを大復活させた。だがロシアの規定では、大統領は連続二期までしかできない。そこで弟子のメドベージェフを大統領にして、プーチンは立場的にはNO.2の首相を4年やった。そして2012年の選挙で勝利し、プーチンは大統領に返り咲き、約束どおりメドベージェフを首相に任命した。メドベージェフの時代に大統領任期が変更され、4年から6年に延ばされた。これでプーチンは短くて6年、長ければ12年大統領の座にいられる。

さて、プーチンとメドベージェフの関係は良好であるとされていたが、事実は違う。メドベージェフは、大統領になると米英に接近してプーチンに反逆し、約束を破り2期目を狙った。しかし、プーチンとの権力闘争に破れ首相になった。大統領に復帰したプーチンだが、なぜさっさとメドベージェフを切らないのか。それをやったら、プーチンに逆らったからだと国民にバレバレになる。そこで、国民が望むからというかたちでメドベージェフを葬ることにした。で、今ロシアで何が起きているか? それは次号で......という内容。おもしろい。おもしろ過ぎる。

ちょうど北野幸伯「プーチン最後の聖戦」(集英社インターナショナル、2012)を読んでいたところだ。プーチンはいかにしてロシアの絶対権力者になったのか? プーチンはいかにアメリカを没落させたのか? アメリカとロシアはなぜ和解したのか? そして最後は、プーチンはどうやってアメリカにとどめを刺すのか? 恥ずかしながら初めて聞いたことばっかり。まるでトンデモ系、陰謀系みたいで信じ難い。だが、どうやらすべて真実らしい。本文中に転載された新聞記事には、この本で書かれたことがバッチリ事実として載っている。しかも文章はじつにわかりやすい。子供でも読めるだろう。

筆者の読みによれば。近い将来、ドル暴落とインフレがアメリカを襲う。大規模な世界経済危機が起こる。エネルギー革命によりアメリカは復活するだろうが、もはや世界の覇権国家たりえない。中国は、2018年末から2020年ごろに、日本のバブル崩壊に相当するできごとが起こる。よくて「高度成長はもう無理」、最悪「共産党独裁体制の崩壊」までいく。中国の栄華は案外あっさり終焉を迎える、ナイスな見立てだ。できればもっと早くそうなって欲しい。筆者がこの本を書いた意図は「世界がいまだに戦国時代であること」を日本人に知ってもらいたいからだという。よくわかった。面白いけど恐ろしい。(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797672250/dgcrcom-22/
>
プーチン 最後の聖戦
< http://www.mag2.com/m/0000012950.html
>
ロシア政治経済ジャーナル


●ロビの8号と9号が来た! GWが待ち遠しい。/本屋さんに山積み? こちらでは増刷かかっては売れ、歯抜け状態であります。

エクセルファイルに画像が貼られていることって、たまにあるよね。お客さんが指示とデータ受渡しを兼ねて作られるファイル。で、このエクセルをweb保存したら画像は抽出できるんだけど、貼られた後のリサイズに合わせて書き出すものだから画質が落ちる。なので、画像の抽出は、シート上で必要なもの選び、Photoshopにコピペしてた。

.xlsで来たものを.xlsxに保存しなおし、拡張子を.zipにリネーム。これを解凍したら「docProps」「[Content_Types].xml」「xl」というファイルやフォルダが出てくる。xlフォルダの中には、「drawings」「theme」「worksheets」「sharedStrings」「styles.xml」「workbook.xml」「_rel」とともに「media」。このmediaフォルダに画像がおさまってた。知らなかったよ〜。/.xlsをそのまま.zipにリネームしてみたが解凍できず。(hammer.mule)

< http://www.fujicom.co.jp/salon/it_info/55/55.html
>
エクセル2007の裏技「シート内の画像だけを抽出」。Macでもできました。