[3479] スパマーなんか地獄に堕ちればええのに

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《FRPの等身大のキャラクター人形が大好きなんだよなあ》

■Dの憂鬱[22]
 スパマーなんか地獄に堕ちればええのに
 笠居トシヒロ

■グラフィック薄氷大魔王[345]
 「実家でFRP立体制作」の余談
 吉井 宏

■デジアナ逆十字固め...[132]
 靴販売能力が高い人が編集者になると
 上原ゼンジ




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■Dの憂鬱[22]
スパマーなんか地獄に堕ちればええのに

笠居トシヒロ
< https://bn.dgcr.com/archives/20130522140300.html
>
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なんかもうすっかり夏ですね。昨日も今日も、街を歩くだけでどっぷり汗かいてしょーがない今日このごろ、皆さんいかがお過ごしですか? まいど、笠居です。

さて、毎度おなじみとなったグイン・サーガ読破報告ですが、ついに90巻を突破。物語の進行がのんびりすぎ且つ情景描写心理描写が多すぎて、非常にかったるくなって来ました。もうほとんど義務感だけで読んでるような状況(^_^; しばらくやめて別の本読もうかしらん。

さて、読書とは別に、オレが最近日課としていることがあるんですが、それが「スパム退治」であります。いや、スパムメールはGmailのフィルターが非常に賢く振り分けてくれるんで、たまに「一括削除」するだけで済んでます。ここで言う「スパム」とは、メールじゃなくて、オレが主宰する「Flash-JP」に定期的に投稿される「スパムポスト」のことなんです。
< http://www.flash-jp.com/
>

だいたい、3〜5日に数件の割合で、Flashとは何の関係もない「アフィリエイト」と思しき記事が投稿されます。目立つものは「ゴルフ関係」と「サングラス」。Flashユーザが集まるコミュニティに、ゴルフクラブだのレイバンだのの宣伝書き込んでも効率悪いだろうに、と思うのですが、文章から察するに、どうやら書き込んでるのは日本人じゃなさそうなんで、空気も字も読めんのだろうなぁ。

でまぁ、これらの記事を見つけ次第「削除」して、もちろん投稿したユーザも「削除」するわけなんですが、イタチごっこというか一向にやめる気配がありませんわな。

先日なんか、一人でいっぺんに85件もスパム投稿した強者がいて(普通は多くても一人5〜6件)消すのが面倒臭いったらありゃしない。タイトルにも書いたけど、ホンマ「地獄に堕ちろ!」と思いながら消しましたね。

なんでこんなスパムを投稿するかといえば、そらもう言わずと知れた金儲けのためですわね。多分記事中に散りばめたリンクURLには、アフィリエイトの引数が仕込まれてるんでしょう。誰かがクリックするたびに、スパマーには報酬がチャリンチャリン入ってくるわけですよ。

いったいその「チャリンチャリン」は如何ほどなんでしょうかね? スパムメールの報酬の相場は、一件0.1円から1円程度だということですけど、まぁスパム投稿も似たようなもんでしょうか。

メールが絨毯爆撃だとしたら、スパム投稿はいわば「地雷」ですわな。踏んでくれたら「チャリン」だけど、仕掛けた時点ではお金にならないはずだから、効率悪いと思うんですけどね(しかもオレがすぐ消すし!)。

んじゃあ、スパムの効率ってのは、どんなもんでしょう? 探してみたら、スパムの反響率についてのレポートてのが、カルフォルニア大学からでてるらしいんですね。

スパムメールで医薬品の広告を3.4億通送信すると、1万人がサイトを訪問し、28人が購入することが分かったそうで。米カリフォルニア大学の研究者が、実際にスパムメールを送信して実証的に調べたんだそうです。

はっきり言って、非常に迷惑かつ非倫理的な手法で調べたもんです。ま、スパムメールの反応率/成約率を数字で示した点は評価されるんでしょうけど。

企業やWeb制作者にとって、クリックレートやコンバージョンレート(成約率)は切実な数字です。N人に広告や勧誘を行って、n人がWebサイトを見に来たり資料請求をしたら、「n÷N」がレスポンス率やクリックレート、購入や登録までたどり着いた率がコンバージョンレートで、いずれもパーセントで表すことが多いです。

これらの数字を上げるために、Web制作者は、より良いコピーやより良いデザインを無い知恵絞って考えるわけですね。

対して、スパムの内容に反応する人は非常に少ないでしょう。それを補うために「大量にスパムメールを送信することでビジネスが成立する」=「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」というわけです。

んが、実際のところスパムメールのクリックレートや、スパムメールで紹介している商品を購入するコンバージョンレートはブラックなビジネスなので、数字が表に出てこなかったらしいです。

スパムメールがらみで逮捕者が出ると、警察発表や裁判資料として数字が出てくることはあっても、宛先のメールアドレス数や送信した件数などの前提条件が不明確で、率を計算する根拠にはならなかったんだそう。

そういう意味では、先述したカリフォルニア大学の研究者は明確な数字を出したところで評価されるべきだ、ということなわけですね。

で、実際にスパマーの収入ってどのくらいなの? ぐぐってみたところ、ドイツ有数のITセキュリティー企業「G DATA」の調査で、「パートタイムのスパマー」は、4億通のスパムメールを送くった報酬として、月収7000ユーロ(約108万円)ほど、そのほかの「マネーランナー」と呼ばれるスパムメールを送っている人々の場合は、1か月で5000ユーロ(約77万円)ほどの収入があるとのことです。

スパムメールを送信するための「スターター・パッケージ」だの、何千万通の「メールアドレスリスト」だの、カスタマイズされた「トロイの木馬」なんてものもスパマーのために用意されてるらしい。スパムメールがなかなか無くならないわけです......。

最近、「ネオヒルズ族」だかなんだかいう輩が、マスコミを騒がせているようですが、ああいう連中も結局のところ「スパマー」のなれの果てですから、他人様に迷惑かけまくって泡銭稼いでる守銭奴。オレに言わせれば、やっぱり「地獄に堕ちろ!」ってことになりますわな。

あー、でもとりあえずジャンボ宝くじでも当たって泡銭掴みたいなー。

【笠居トシヒロ/WEBディレクター、デジハリ大学院客員教授、京都嵯峨芸術大学講師】
< http://www.mad-c.com/
> < kasai@mad-c.com >

テニスもろくろくしてないのに「テニスエルボー」なるものになってしまった!! 右肘が痛くて、マウスを持つのも、今この文章を書くためにキーボードを打ってるのも辛いです。゚(゚´Д`゚)゚。 早く治ってー。


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■グラフィック薄氷大魔王[345]
「実家でFRP立体制作」の余談

吉井 宏
< https://bn.dgcr.com/archives/20130522140200.html
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先週書いたことの余談をいろいろ......。

●懲りないFRP立体好き

今まで普通、立体制作が終わるとしばらく「あーしんどかったー。もうぜったい立体なんかしないぞ。デジタルだけで行く!」とか思ったもんだけど、今回は回復が早いなあ。もう作りたくなってる。逆に自粛しなきゃくらい。

やっぱああいう作業、好きなんだなあ。FRPの手順がだいたいわかったので、もっと大きなものを作ってみたい。先日のは高さ22cmくらいで、まあ小さすぎ。

っていうか、FRPの等身大のキャラクター人形が大好きなんだよなあ。近くのショップのスヌーピーのでかいFRPがよく出来てて、通りがかるたびになで回しちゃう。テーマパークなどの作り物やショッピングセンターのゲームコーナーの子供の乗物などのFRPもよくなで回してます。

まあ、自分で全部作らずとも、外注って手もあるわけだけど、今のところ楽しいんで飽きるまでやってみたいです。あと、3Dシステムズのパーソナル3DプリンタCubeが、正式に日本でも発売になるそうで、そのへんも立体制作に取り入れてみたい。って、5年以上前にやったことを材料を変えて繰り返してるだけのような気が。

●ホームセンターCAINZ

材料やツールを探しに何度も通った、実家の近所のホームセンターCAINZ。いろいろ安くて、つい買ってしまいそうになるものいっぱい売ってる。5万円台の電動アシスト自転車とか、4000円台のデスクとか。安く済まそうとしたら限りなく安くできる。

2年前に実家に長期滞在したとき、立体制作に利用できそうなものがいっぱい売ってるなあ! と、そのうち実家で制作する機会があったら、CAINZで手に入るものだけで作ってみようと思ってたのでした。

材料は発泡スチロールや石膏からパテやFRPまで。クルマやボートの修理どころか、家一軒と豪華な庭が作れるほどの材料が一通り揃っちゃう。クルマ関連の補修用のアイテムも豊富だし、電動工具もよりどりみどり。やたら広いから行ったり来たりして疲れ切ってしまうのであった。

関係ないけど、売ってたA4コピー用紙の値段がすごくて思わずメモ。500枚×5=2500枚で1140円! アマゾンでもそこまで安いのないぞ。2500枚描くのにどんだけ時間かかる? 以前もここに書いたけど、ドローイング用紙のコストはもうほぼゼロだ。

●複合プリンタと家電量販店

立体制作しようと思って来てるのに、GWも普通に仕事が来る。ラフをたくさん出す仕事がふたつ。普通なら液晶タブレットで直描きするところだけど、もちろん持ってきてないし、紙にラフスケッチ描いて提出しようにもスキャナがない。デジカメでもいいけど、安いスキャナ買ってくるほうがカンタン。

近くのヤマダ電機に買いに行ったらキヤノンのLide210が9000円台で最安。ところが、エプソンのカラリオ複合機は最安6000円台。安すぎっ! しかしその機種はプリントがめちゃ遅いらしいので、一個上の7000円台のPX-405Aにした。それでも安っ! スキャナより複合機のほうが安いって、需要ってそういうことなんだろうけど。

そのエプソンの複合機、当然と言えば当然だけど、ぜんぜん使える。スキャンもプリントも速いし、普通に仕事するのに十分。東京でも一台買おうかなくらい。こういう、量販店で普通に買える機材だけで仕事するってのは、ちょっとあこがれる。Macオンリーだとちょっとそこから離れちゃうけど、日本全国どこにいても機材に困らないってのはいいなあ。

●iiba(イーバ)蒲郡店

筆塗り用の小さい缶ラッカーを、CAINZともうひとつ大きなホームセンターで探したんだけど、白黒赤黄緑茶等の基本色はあるのにどういうわけか「青」だけ売ってない。スプレーから出して使う方法もあるけど、ほんの少し必要なだけなんだけどなあ。青だけ通販で買うのも面倒。

そうだ、模型屋ならプラモデル用塗料が売ってる! と思って検索したら、小〜中学生の頃に行ってた蒲郡市の模型屋は全滅してる〜! 野田模型店はもちろん、最近までやってたらしい、ちどりや模型店も閉店。市役所の前にあった野田模型店の息子さんの店もない。

で、新しい模型店が今年の1月にできてた! iiba(イーバ)っていう店。行ってみた。大阪の本家にノウハウを学んだというiiba蒲郡店。なんと、時間貸しの工房つき! 塗装ブースも三つある。タミヤプラモデルファクトリーや新宿の模型ファクトリーみたいなアレが蒲郡に!

iiba蒲郡 < http://iiba3.jimdo.com
>

東京や大阪などの集合住宅では、溶剤や接着剤を使うプラモが作りにくいから、貸し工房の需要があるんだろうけど、一戸建てばかりの蒲郡で貸し工房が成り立つのか? と思って店主に聞いてみたら、やはり貸し工房としてはビミョーらしい。

でも、プラモや模型好きが集まる「場」がほしかったとのことで、飲食物持ち込み可で夜はけっこういつも盛り上がってるらしい。プロモデラーとか呼んでイベントとかやってるそう。

iiba蒲郡の店主、僕より2歳下だそうで同年代。蒲郡南部小学校の前にあった模型屋によく行ってたとか、当時の蒲郡の模型少年の同じ環境をすごしてたらしい。元々知らない人なのに、30数年ぶりに再会したみたいな。

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com
>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
>

米YahooがTumblr を買収だそう。Tumblrはほとんど使ってないけど、以前に買収されたFlickrが勢いを失っちゃったから、ちょっと心配。最近Flickrの有料版を復活させてみたばかり。Yahooのマリッサ・メイヤーCEOは「We promise not to screw it up. ぶち壊しにしないと約束します」と言ってるらしい。自覚してるw ・・・と思ったら、Flickrのデザインが全面変更されてかっこよくなってる! 本気だな。


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■デジアナ逆十字固め...[132]
靴販売能力が高い人が編集者になると

上原ゼンジ
< https://bn.dgcr.com/archives/20130522140100.html
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「私、自分が作った本には自信があるんです」

久しぶりに会った谷口香織さんは、開口一番そう言った。谷口さんは雷鳥社での私の編集担当者。「カメラプラス トイカメラ風味の写真が簡単に」を始めとし、三冊の本を作ってくれた。

一番初めに谷口さんから連絡があったのはmixi経由だった。自分がイメージした本の執筆者として、私が向いているんじゃないかと思われたようだ。当時私はデジクリで実験的な写真の話を書き始めた頃で、mixi内には「キッチュレンズ工房」というコミュニティーも作っていた。そこで、いろんな工夫をして、トイカメラ風の写真を撮影するための本ができないか、というオファーをされたというわけだ。

デジクリでの連載は一眼レフ中心だったが、谷口さんの狙いはコンデジ中心で簡単な内容にし、初心者でも気軽に楽しめるような本ができないかということだった。会って話をしてみると、写真に関する知識はあまりないようだった。しかも実は営業担当で、本を作ったこともないらしい。ちょっと、大丈夫かな? とも思ったが、すごく感じが良くて、人を乗せるのがうまい。

あとから聞いたことだが、谷口さんの前職はチェーン展開している靴販売店の店長さんで、最優秀店舗賞なんていうのも貰ったことがあるらしい。つまり、靴販売能力がすごく高い人間だということだ。

その靴販売能力が高い人が編集者になると、うまく著者を乗せてコントロールできるというわけだ。褒め言葉をさらっと言ったりするんだけど、それがわざとらしくないから気分を良く付き合える。

編集者には企画力とか実務能力とか、いろんなスキルが要求されるけど、どんなに編集能力があろうとも、あまり一緒に仕事がしたくない人もいる。ビジネスではあっても楽しく仕事したいし。編集初心者だった谷口さんは編集スキルには欠けるところがあったのだが、接客能力の高さや熱意のような部分では、大きなアドバンテージがあった。

元々体育会系の人で、ハンドボールではインターハイにも行ったことがあるらしい。ひじょうにバイタリティーのある人なのだ。体育会系のホステス(いい意味で)という感じかな。

編集スキルなんていうのは後から付いてくるけど、谷口さんの接客能力や情熱的な部分は、なかなか身につけられるものではない。そういう意味では編集者に向いていたのかもしれない。

●雷鳥社ブックフェアに参加

久しぶりに会った谷口さんの要件は、雷鳥社ブックフェアへの協力要請だった。自分では自分が作った本に対する自信もあるし、それを知らしめてもっとたくさん本を売りたい。そんな思いからフェアの企画を立てて、自分が担当した著者のもとを回っていたのだ。この行動力もすごいと思う。余計な仕事を自ら増やし、社長を説得したのだから。

谷口さんがその後どんな本を作っていたのかはよく知らなかったのだが、手作り関係の本が多かったようだ。『ほのぼの革小物教室』『雑貨屋さんの製本教室』『フォトブック レシピ』等々。集めてみれば、編集者としてのカラーも見えてくる。なかなかセンスのいい本づくりをしているのに感心した。

雷鳥社の面白いところは、編集者が営業もしているところ。自分が作った本を書店に置いて貰っているので、熱心に売り込みもできるし、どんな本が売れるのか? といったリサーチもできる。

編集者というのは忙しいから、作ったらそれでおしまいというケースがほとんどだと思うが、これはなかなかいいシステムなんじゃないだろうか。まあ、はっきり言って効率は良くないだろうけど。

このイベントで、私は写真の展示とトークショーを行う。ほかの著者の展示やワークショップもなかなか面白そうですよ。雷鳥社社長の柳谷行宏氏による「あなたにも出版できるかも!? 本づくりの裏側をとことん伝授!」なんていうトークイベントもあるから、自分の本を出してみたい人にもいいかもしれません。

その他のワークショップも予約受付中なので、手作り関係に興味のある方は、ぜひプログラムのチェックをしてみてください!

◇雷鳥社ブックフェア

会期:2013年5月31日(金)〜6月9日(日)
会場:写真企画室ホトリ(浅草橋)
参加作家:井上陽子(イラストレーター)/上原ゼンジ(実験写真家)/大濱由惠(革作家)/黒川洋行(ショップアンドギャラリーmaruse店主)/saorin(写真雑貨作家・ホトリ店主)/田川ミユ(ライター)/西川順子(ブックバインダー)/西原和恵(カメラマン)/ホノ(石鹸作家)
< http://raichoshabookfair.blog.fc2.com
>

◇電塾オープンカレッジ ─写真業界の現場から─

デジタルフォト黎明期から業界をリードしてきた電塾が贈る、デジタルフォトの現状とこれからの方向を提案するオープンセミナー。上原も少しお話します。
日時:2013年6月8日(土)13:00〜18:00
場所:日本大学藝術学部 江古田キャンパス(東京都練馬区)
参加費:無料
< http://www.denjuku.org/oc/2013/
>

◇上原ゼンジ写真実験室 in 九州

日時:2013年6月15日(土)12:30受付開始 13:30開始 16:30終了
会場:九州産業大学17号館2階 視聴覚教室(福岡市東区)
講師:上原ゼンジ
受講料:3,000円 学生無料
< http://www.denjuku.org/branch/kyusyu/
>

【うえはらぜんじ】zenji@maminka.com < http://twitter.com/Zenji_Uehara
>
上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/
>
Soratama - 宙玉レンズの専門サイト
< http://www.soratama.org/
>
上原ゼンジ写真実験室のFacebookページ
< https://www.facebook.com/zenlabo
>


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編集後記(05/22)

●山藤章二「ヘタウマ文化論」を読む(岩波新書、2013)。1時間もかからず読める。なぜなら組版がスカスカで、改行や行間のアキが多くて、文字数はたいしたことないからだ。なぜそうなったかというと、「毎晩眠りにつく前に少しずつ書いたものです。だからすぐ疲れたり、長めに書けたりといろいろ」で、頭の中でひとりしゃべりをして、その呼吸、リズムを忠実に再現したものだという。筆者の記憶力は確かで、たぶん資料など用いなくてもスラスラ書いていると思う。「文化論」とは硬い感じだが、めんどうくさい理屈は一切ない。ヘタウマの時代の幅広い交友関係を語った、お気楽なエッセイである。

この本が生まれたきっかけは、「スポニチ文化芸能大賞」の選考委員会で、「ヘタなもの、ゆるいものが、いまやもてはやされて過ぎていると思うんです。ヘタであることを恥じない。逆に、ヘタであることを売りにしている。むしろそれが主流になりつつある、と最近感じているのです。日本人の美学では、本来、ウマいこと、ウマくなることを佳しとする文化がありました。悪文より名文の方がいいに決まっている。(略)これは文化の伝承として由々しいことだと思うんです」と山藤が論じ、それをおもしろがったスポニチの委員に、現代文化論としてまとめてみたらとすすめられたからだという。

超絶にウマい絵師・山藤の「反ヘタ」の正論は清々しいが、その人も「ヘタウマ文化」の成り立ちを語るうちに、やがて「ヘタウマ」擁護どころか、自ら「ヘタさ」の自由、楽しさ、自己解放の快感を知るようになる。そして日本の文化土壌は「ゆるい」と断じる。それを「自由・多様性」みて是とするか、「混乱無秩序」と見て非とするか。どうやらこのウマい人でさえ是としているようだ。あの正論はどこへ行った。まあ、それはいい。流れに任せてスルスルおもしろく読める。

「ヘタな人間」が「ヘタ」に描くのはやさしい。しかし「ウマさを志した人間」や「ウマい技術を身につけた人間」が、「ヘタに見える絵」を描くことは非常にむずかしい。「ヘタウマ派」とはその困難をのり越えた人たちのことで、一朝一夕になれるものではない──というが、わたしが「イラストレーション」編集部にいた頃の自称ヘタウマどもの絵なんか、とうていそうとは思えなかった。わたしは寛容な人物ではないから、ヘタウマ文化は苦々しい。(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004314151/dgcrcom-22/
>
ヘタウマ文化論


●90巻! 早く治りますように。/1,140円!/100均に行くよりホームセンターの方が安く物が売っていたりする。ボールペンの替芯はそこらの文具激安店より安かったり。いやまぁ、数10円の違いですけどね。/「カメラプラス」好きだ。

続き。受ける側に注目してプロレスを見ていると、本当に大変な仕事だなぁと思う。ロープに首が当たるように上から落とされる。痛いのがわかってるんだから、絶対手が出そうになるだろうに、そのままロープに首を打ちつけられる。人間の防御本能って緩められるものなのね。

小橋引退後のトークショーは即完売。なんと「名刺交換会」なるプログラムあり。「会場にお越しの皆様と、今後何か新しい事が出来ればとの思いもあり、また今回が、人間小橋建太と皆様の初めての出会いの場でもあると、名刺交換会というネーミングとなりました。」だって。その日は予定がある。行きたかったなぁ。(hammer.mule)

< http://www.fortune-kk.com/
>
公式。ロゴは井浦新。名刺交換会まであるトークショーは即完売。
< http://www.47news.jp/topics/entertainment/oricon/culture/126936.html
>
新日本プロレス、選手寮のリフォームを『ビフォーアフター』に依頼。
放送は6月2日、18時56分から。