グラフィック薄氷大魔王[349]夢のマシン? Surface Pro(その2)
── 吉井 宏 ──

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今度こそ、タブレットPCは完全一体型の超小型グラフィックワークステーション(笑)に成熟したか? と期待しすぎ気味でSurface Proを入手。画面の小ささと、首を下に傾けることから起きるスマホネックの痛みに耐えつつ、なんとか使えないかとガンバルの記、第二弾。



●ペンとカーソル、合わないのは当然だった!

Surface Proや従来のタブレットPC、Cintiq12インチなどのWACOMユニット入り製品で、位置調整しても滅多にカーソルとペン先が合わない理由がわかった!!

四隅に順に表示される十字形をペンでつついて誤差を修正する方式なんだけど、そもそも画面の隅ではカーソルが不安定でフラフラ動き、ペン先の真下になかなかならないのだった! つまり、ずれた位置をクリックしたことになる。

その証拠に十字中心から離れた位置から波紋が出る。クリックしたのはペンの真下でなく、その波紋の中心ってことになっちゃうんだ。それで、位置補正がめちゃくちゃになるんじゃないかと。四隅を続けて4回つっついたとき、4回とも十字の中心から波紋が出る確率はかなり低そう。

WACOMに要望! 位置合わせを数値入力でできるようにしてほしい! 画面の隅が不安定では正確な位置合わせができない〜〜! 数字で入れられたらこんな苦労しなくて済む。

Cintiq12インチを使ってたとき、タブレットドライバの設定を消去して初期設定で使うのがいちばん合ってるって思ったのはそれだったんだ! 小さい液タブでは補正しないほうが全体でペン先とカーソルが合う面積が広い。Surface Proも同じく。

11年前のタブレットPCも、いじってる時間の半分くらいを位置合わせに使い、実用に使うまでに至らなかったのだった。位置調整は無駄な努力だったのかー。

●文字サイズと表示サイズのバランス

文字等の表示サイズのデフォルトは大になってる。10インチに22インチディスプレイ/フルHDを押し込めた密度。画面解像度が高いから、よほど大きくしないと読みづらいしクリックや選択もむずかしい。文字が大きくすると、パレットやパネルの面積が大きくなって画面からはみ出してしまう弊害もある。

こりゃダメだと標準サイズに戻すと、もうホントに文字小さい! スマホでパソコン用Webサイトを見るような小ささ。あと、画面の隅から2〜3cmの範囲ではペン先とカーソルはまったく一致しないため、狙った位置をペン先でクリックするのが至難の業。カーソルをよ〜く見ながら、クリックしたい場所に無理矢理引きずって行く感じ。めちゃくちゃやりにくい!

●Photoshop Elements

Photoshop CS6で描いてると、何かの拍子に作業中の画像がヒュッと右下に引っ込んでしまう問題があるため、CS6自体の使用をあきらめ、試しにPhotoshop Elements 9を入れてみた。画像が引っ込む問題は起きない。ショートカットがカスタマイズできないのと、レイアウトが保存できないのが残念だけど、安心して使える。ブラシはPhotoshopの自作ブラシを読み込んでる。ジェスチャーも効く。

●やはりツルツルが......

ペン先とカーソルの位置に違和感を感じなければ、そこそこ快適に描けるけど、いったん違和感を感じ始めるともーダメ。ツルツル画面も不快。ビニールを貼ると滑らなすぎる。クリアファイルの塩ビは摩擦はマシだけど半透明で画面が見にくい。キーッ!!

●液晶タブレットとして期待してたこと

そもそも、Surface Proを仕事のどこに取り入れようと思っていたか? について。まず、前提として、液晶タブレットがそれほど好きじゃないのです。主にな理由は......

1「ツルツル画面がダメ。ビニールなど敷いて摩擦調整してるけどイマイチ」
2「描く姿勢を制限されるのでとても疲れるし、首が痛くなる」
2「入れ込んで描くことになるため、作業中の作品を客観的に見づらい」
4「液タブに慣れてしまうと板タブで描くのが苦痛になる」

......なので、机を一台占領しているCintiq22インチを廃止して、場所を取らないSurface Proを「Macを繋がなくても動く独立型液晶タブレット」として、いざというときだけ使えればいいな、と思ってた。

あと、アイディア出しなどで「iPadで参考資料を見ながら紙にメモしたりスケッチ」を、Surfaceだけでできるな、と。iPadでテキスト入力や絵を描くのはやりづらいので、ペンが使えるSurfaceはその点便利。OneNoteもアイディア出しノートに使えるし、Evernoteにも手書きメモがある。

とか考えてたけど、Surface Proをさんざんいじり倒した後で、11インチのMacBook Airで作業すると、たった1インチの違いなのに画面が広大なこと! っていうか、画面解像度と文字やインターフェイスのサイズがマッチしてるんだよな。んで、そのままintuos4のSサイズで描いてみると、だーーーはっは。こっちのが明らかに描きやすいや orz やっぱ僕、液タブは苦手だ。

なんちゅうか、液タブのない生活に戻ろうかな?? 液タブ苦手なくせに「今度こそうまく使える」とか思っちゃって深みにはまって時間を浪費するんだよな。板タブと紙と鉛筆で不足ないはずなのに。

こうやって、「液タブ苦手」って書いてるけど、Painterで描くのが仕事のほとんどだったときは、そりゃもう時間短縮ツールとしての威力は絶大だった。板タブの3〜5倍速で描けるから。

3DCGがメインの今は、液タブが活かせるのはラフ描きとテクスチャ塗りくらい。そのラフ描きでさえ、調子悪いときは液タブでもキーッてなるし。板タブオンリーのほうが平和。とりあえずしまっちゃうか......。

【吉井 宏/イラストレーター】
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本を裁断しなくてもスキャンできる「ScanSnap SV600」が登場......なぬうう〜!! 出るの遅いわ〜〜〜! 高い作品集とかみんな裁断してPDF化しちゃったわ〜〜〜! もうスキャンする本がない〜〜。っていうか、銀行とかの窓口で見かける書画カメラ/ドキュメントカメラを本のスキャンに利用できないものかとは思ってたけど、本家のPFUがこんな安く出してくるとは思わなかった! うむ〜〜。

書籍自炊に伴う問題は新たなステージへ......。自著が書籍自炊のために裁断されるのには耐えられないとか残酷とか、感情的な部分を根拠に反対していた人たちはどうするんだろ?
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