デジタルちゃいろ[38]予告編に思う邦画
── browneyes ──

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夏休み最終週ですね(小学生的に)。オトナになって夏休みに縁遠くなったり、秋も深まった頃に夏休みと名の付く休みがやってきたりするようになりましたが、相変わらず8月の最終週って気持ちが焦燥感で一杯になります。ああ、恐ろしき子供時代の条件付け。

先日軽くショッピングに出かけた時、その商業ビルの上に入ってる映画館の広々としたロビーで暫くぼんやりと一休みしていました。映画を見るほどにまとまった余暇はなかったので、ロビー限定だったのが残念ですが。

そこで上映中、または近日公開予定の予告編を、チケットカウンター上に連なる大きめディスプレイで流していたので、一周するまで眺めたら立ち上がろう、と思ったものの、結構な時間かかってやっと一周。意外に沢山の映画、しかも結構な割合で邦画ってまだ上映してるのですね。

レンタルの映画では、結構予告編がダメなのばっかりだと、どんなに期待してても本編も見てがっかりな率が高い。逆も然り。そして、滅多に行かない映画館でもそれは当てはまるコトが多い。わざわざ見ようと思って見に行ってる映画の予告編は、結構そそられるモノが連発することもある。

それ以前に、映画館自体も単館上映っぽい所やメジャー系中心の所や、ファミリー向け全開の所まで個性はあるので、映画館の選択自体で既に目にする予告編は絞られる。夏休みということもありますが、その日迷い込んだのは完全にファミリー向けの映画館。親子連れ7割、若カップル3割、くらいかな。




カジュアルに映画を見に行く機会自体が激減して久しいとはいえ、それでもたま〜にレンタルで映画は見たりするし、それらにも予告編は入ってるので、どんな映画がある(あった)のか、を全く知らない訳ではない。

しかし、邦画については正直、ワタシにとっては、それらの予告編で「見たい!」と、気持ちを動かされる作品って残念ながらほとんどない。映画館のでっかいディスプレイで大音量で見たら多少は印象も変るかな、という淡い期待もあったのだけど、やっぱりない。

なんだろう、前々から薄々思ってはいたのだけれど、映画館で洋邦問わずランダムに流れる予告編を見比べてて改めて感じたのは、どうも邦画って限られた数パターンの揺るがない美意識テンプレベースな映像ばかりが多い。

映像...っていうか、動いてる静止画みたいな印象。俳優が一様にマネキンのように「素敵風」にスクリーンに「配置」されてるばかりのイメージ映像が多すぎる。で、それらに比重が置かれすぎてるが故か、ストーリーについては妙に説明っぽさが鼻についてしまう。

これは本編でも、映画だけでなくドラマでも長いこと感じてる違和感の根源なのかもしれない。

要するに内容そのもの自体が、フレーミングであるとか、細かいポーズであるとか、仕草であるとか、(監督さんの?)些末な美的感覚に重点を置かれすぎてしまって、「連続的な物語」ではなく「絵本」か「紙芝居」に止まってるものが多いのだ。

それらの美しい映像って、連続的な物語の中で、記憶に残りうる美しい瞬間として存在するのはすごく素敵だけど、ハナからその「美しい瞬間集」みたいな作りになっちゃってる気がする。しかも、その美しさが、最早美しさなのかキャッチーなだけなのかわからない、王道の域を出ない「よくある美しさ」。

予告編だけの印象で語るな、とか言われちゃったりするかしら。でも、予告編て、90〜120分前後の本編の濃縮還元なワケで、しかも、基本は本編を見ていない人を如何に見る気にさせるかがかかってる要の宣材なので、予告編の評価ってかなり大事ですよね。

昨今はハリウッドですらないものばかり見てるので、別に洋画至上主義なワケではないのだけど、ランダムに差し込まれる洋画の予告編は大概、ちゃんと躍動感がある。物語りの主軸がよくわかる。登場人物の人間関係や感情の一端も見えてくる。そして、「この『物語』が見たいか否か」という、するべき判断を見ながらするコトが出来る。

邦画について「些末な美的感覚」と書いたけど、じゃあ洋画では枝葉末節に拘らない作品作りかというと、実は邦画より偏執狂的に拘ってたりしてそう。でも、それを、よくある邦画みたいに「ほらこのシーンのこの指つき、これこれ、いいだろう?」みたいな着目強要アピールをしてないんだと思う。

枝葉末節にまで拘った上で、それでも恐らく、それらは本編中ではあくまで枝葉末節なんじゃなかろうか。なんというか、バランス? で、そのバランス感覚って、作り手側がいかに見る側を理解してるか、ですごく差が出る部分なんじゃないかなぁ。

一昔前は、邦画だと役者の人種的見栄えやロケ地的アドバンテージもあるのかしら、とか思ったりしたものだけど、どんどん力をつけてってる中国・韓国・台湾あたりの映画見てると、どうやらそういうワケでもないよね、って感じで、そういう面での逃げ場もなくなってきた。

日本以外の東亜細亜には、魅力的で美しい映画がぞろぞろと生まれてきてる。恐らく海を越えて表に出ることのないダメな映画もあるとは思うけど、海を越えても真に作品として魅力のある映画が着実に増えてる。最近の、ってワケじゃないけど、香港のウォン・カーウァイ監督の映画とか、はなぢ出ます。

アニメは映画に限らずフツーにTV放映されてるアニメも含め、今なお、意外におもしろい新しい試みを取り入れつつ着々と増えてるし、そこはハリウッド的な無駄ゴージャスな技術を駆使したものでもなかなか太刀打ちできない部分は多そうな気がするな。まだ。好き嫌いは別にして。

なんだかもう、邦画は商業系実写映画はいいんじゃないか、とか思ってしまう。邦画全体を知らなすぎるワタシが、気づいてないすごい作品群があるのかな。商業映画はアレでも、舞台は光るモノがあったり? わかりません。あるなら見てみたいな、純粋に。「よいもの」と「よいとされているもの」どっちも。

でも、わからないけど、わからないってコトは、そのスジを知らない一般人が普通に存在を見聞するコトが出来て、カジュアルに足を運べる商業芸術ではない......という状況にはなってる気がしないでもないです。

ここから先は最早余興みたいなもんですが、当の映画館で違和感以前だった予告編のひとつが実写版ガッチャマンだったワケですが、なるほど......。

□実写映画「ガッチャマン」がとんでもない酷評。 - NAVER まとめ
└< http://matome.naver.jp/odai/2137722226083471801
>

□映画ガッチャマン本当に鑑賞した人達の感想まとめ - Togetter
└< http://togetter.com/li/553548
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そうか、本家ガッチャマンを知らない世代&アイドル目当ての女子にはあれでいいのか......。ガッチャマンじゃなくて......よかったよね?しかし予告編、やっぱりテンプレに沿ってるなー。

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■今回のどこかの国の音楽

□TOOFAN "Come on Man!!!"
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てれってれっそ くるるるるるー.........そいやっ! と、いつになく鬱陶しかった夏中楽しくしてくれてたのは、アフリカはトーゴのイマドキのワカモノ二人組のToofan。

実は最近、南印度でToofanというタイトルの映画が作られており、YouTubeでそちらの情報を探そうとすると、どう見ても印度人に見えないToofanがやたらとひっかかる、なんだこいつらは、と見ていてすっかり気に入ってしまったのでした。

昔の同僚で、南米&アフリカの音楽と男の子鑑賞が大好物の友人がいるのですが、そんなヘンテコなご縁で発掘したToofanを眺めて喜んでいたら、そんな彼女も前々からのお気に入りだったとか。

2006年頃、トーゴのサッカー応援歌か何かでデビューしたらしいですが、下記の曲はリリース時期が故か、2012年のアフリカネイションズカップの非公式賛歌となってアフリカでも大分流行ったらしいです。トーゴ自体は予選落ちしてるのにw

□TOOFAN "AFRICA HOYEE"
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しかし黒人さんのフランス語ってたまらない。でもって、彼らのステップはつくづくあの尻と腿のバネありきですね。こればっかりは真似できる気がしない。しかしアフリカってどことなしにカリブ・南米あたりと似てる気もする。

久しぶりに南亜細亜からちょっとアフリカにフラフラしに行きたい気分が盛り上がっております(脳内限定)。

【browneyes】dc@browneyes.in

生業:アパレル屋→本屋→キャスティング屋→ウェブ屋&行政書士補助者などをしつつ なんでも屋(←いまここ)。
ライフワーク:なんでもない日常のスナップ。
□立ち寄り先一覧 < http://start.io/browneyes
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□デジタルちゃいろ:今回のどこかの国の音楽プレイリストまとめ
└< http://j.mp/xA0gHF
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秋までの長いスパンで自宅マンションが外壁塗装工事をしています。足場組みから始まって、暑い最中にすっぽりと布で覆われ、気温も湿度も外より酷かったです。まだ残作業はあるようですが、最近やっと布が外されてさっぱり!