グラフィック薄氷大魔王[376]「ペンギン3Dプリント」他、小ネタ集
── 吉井 宏 ──

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●ペンギン3Dプリント

某イベントのプレゼント用に作成したけど、直送だったため実物は見れてなかった、ZPrinterによるフルカラー3Dプリンタ出力のペンギン。あらためて自分用に発注したものが上がってきた。6cmくらい。素晴らしい仕上がり!

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出力をお願いしたのはrinkakさんです。
< https://www.rinkak.com
>

裏話です。編集部から依頼があったとき「3Dプリント? はいはい、やったことありますよ。二体ポーズつけて出力ですね。了解です」って軽く引き受けたのですが……。


今までZPrinterを含め、けっこうたくさんの機種の3Dプリンタで出力してみたのは事実なんだけど、データの調整はほとんど先方にお願いしてたので、「マシンに送ればそのまま出力できる最終的なデータ」を作ったことがなかった。

いろいろ調べたり人に聞いたりしてデータ作成。3Dプリンタ向けに使ってきたSTL形式はUVマップがついて来ず、テクスチャマップが使えないことがあらためて判明。どうも、VRML(.wrl)で渡すものらしい。以前はOBJで大丈夫だったけどなあ。

最大の問題。出力サービスの注意書きによれば、ZPrinterで出力するものは完全一体型でなくてはならず、パーツの重なりもダメだと。え〜〜! そうなの〜〜! 頭部と胴体とスタンドと小道具、全部別パーツだよ〜。

依頼を受けて数時間で発注できるつもりだったのに、ZBrushや3D-Coatの関連機能をゼロからやらなくてはならず、最終的にZBrushで数10万ポリゴンのメッシュが作れるまで一週間もかかっちゃった。もちろん、UVも作り直してペイントし直し。ちょうど実家で大型作品集中制作やってる最中だったので、いろいろ焦りまくり。

で、完成したデータを某大手3Dプリントサービスに送ったところ、「エラーで出力できません」と。3Dデータ検証ソフトなどでいじってみても原因わからず。

あらためて、そこで初めてrinkakさんに連絡を取って相談してみたら、なんと! データの出力サイズが「0.06mm」になってた〜! 単純に3Dソフト間での書き出し/読み込みスケールの違いの問題だった。1000倍に拡大し、ようやく出力
に漕ぎ着けた〜。

いやしかし、完全一体型でパーツの重なりもダメって、そんな難しいデータを3Dプリントやってるみなさん、作ってるわけですか? ロボットとか美少女フィギュアとか、一体型で作れるわけないじゃんとか思うんだけど。

何かすごい簡単な手でもあるのか? っていうか、例の中止になったCubifyの出力用データは、腕がめり込んでたり歯が別パーツだったりしてるけどなあ。

いくつかのサービスの注意書きを見てみたけど、複数パーツで構成されたものを一個として出力は一応可能だけど、ちょっと時間かかるよとか書いてある。そんなに気にすることじゃないのかも。やっぱ「一般向けの出力サービスとしての安全」優先でそういうことになってるっぽいですね。

その後確認したところ、ZPrinter出力でのパーツの重なりは大丈夫とのことでした。厚みのない板ポリゴンや、閉じてない開いた形状に気をつければいいそうです。な〜〜んだ、する必要のない苦労しちゃったらしい。気軽に出力依頼できるようになりそう。

●絵の練習

ヨシナガさん著「ハイブリッドワーカー」の、田中圭一さんのインタビューがおもしろい! 手塚治虫タッチ、なんであんなに上手いんだろ、こういう何でも描ける天才たまにいるよねと思ってたら、ものすごい量を練習してたのね!

「メチャクチャそっくりにすることがリスペクトなんだ」って、ノートに一日一ページ、手塚タッチの練習を二年続けたとか。あと、本宮ひろ志タッチは本業で必要が生じて「業務として」本宮タッチの練習w そりゃ楽しいだろうなあ。

僕の場合、「絵の練習」って今まで何枚描いたかなと考えてみると、こんな絵を描きたいという目的があっての模写とか、手足とかポーズの描き方の練習的な意味では、……たぶんスケッチブックで言えば20枚に届かないかもw

ってことで、ちょっと本気で「練習」してみれば、僕的最大のコンプレックスの「下絵を描くのが超ヘタクソ」は克服できるかもしれんなどと思った。

(あと、手塚タッチで「商売」することのヤバさを、サラリーマンの営業としての根回しスキルをもって、外堀から埋めていく手法にシビレた!)

ハイブリッドワーカー 会社勤めしながらクリエイティブワークする(アフタヌーン新書)[Kindle版]
< http://amzn.to/19TQ1o6
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●液タブを板タブとして使う

ふと、Cintiq Companion Hyblid を板タブ代わりに使えるのではないかとやってみたら、当然、できるのであった。普段は板タブ、手描き作業の時は下を見て作業。以前の12インチCintiqではこの使い方が推奨されてたけど。
< https://pic.twitter.com/7ap5PHCnyQ
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ただ、板タブとしてはintuosにくらべると画面周辺での精度が甘くなり、ゆらゆらして正確にクリックできない傾向があるので、思ったよりは実用度低い感じ。やっぱ板タブを極めるほうがいいかもね。

……別に液タブだけでやりゃいいんだけど、どちらで作業するか迷ったり、老眼のために眼鏡のつけはずしが、思いのほか大きなストレスになってるのです。そこでヤル気を失って作業中断してしまうことも多いんで、そういう原因を取り除く必要を感じてるのです。

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com
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Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
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なんだかんだで1月はすっぽり抜けてしまい、ようやく2014年本格始動って感じ。そろそろ本気出さないとヤバい。

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