グラフィック薄氷大魔王[397]Adobe MuseでWebサイトを更新してみた
── 吉井 宏 ──

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●ホームページ更新、急げ!

2年くらいほったらかしにしてある自分のWebサイトを、急いで更新しなくちゃいけなくなった。例の「Adobeアプリをあと一個ちゃんと使えばAdobe CCをもったいないとか思わなくなるはず説」に基づいて、Adobe Museを使おう。

何で急にサイトをいじらなくちゃいけないかというと、間もなく発売の玄光社「キャラクターファイル2014-2015」のプロフィールに「立体作品の制作過程の写真がホームページにあります」と書いたのに、用意してなかったのでした(と、先週金曜に書いたら、翌日の土曜日に刷り上がりが届いてしまったー!)。

Adobe MuseってiWebのようにテンプレートに画像やテキストを流し込んで完成! ってわけにはいかないんだろうなあ。そういえばOSX MavericksになってからiWebを一度も使ってないや。そもそも、マシンをリカバリーしちゃったので、インストールしてない。




●iWeb消滅......!

iWebはMac App Storeでダウンロードできるはずだな、あれ? ない。おかしいな〜と検索してみると......iWeb、開発も配布も終了してたんだ! 知らんかった〜! 僕のサイト、iWebで作ってあるんだよ〜。更新できないじゃん。やっぱこの機会に作り直すしかない〜。

●チュートリアルムービーを見てみる

Adobe Museのチュートリアルムービーをざっと見てみると、シンプルなサイトなら「こういう風に作ろうって思えば、それが割と簡単に実現できるって感じかな?

< https://helpx.adobe.com/jp/muse/how-to/create-website.html
>

最初に開くページを「ビジットページ」って言うんだ! と思って検索したら、ビジットページもvisit pageも出てこない。Adobeの造語? 本家ページでもVisit pageになってるけど。

●ワンソース・マルチユース

Adobe MuseはカンタンWebサイト作成アプリだけど、本気プロ用って何だっけ? そっか、Dreamweaverか。って何年ぶりに思い出した。今もスタンダードなのかな?

とはいえ、いまさら凝ったホームページっていうか、Webサイトを作る気はないなあ。用事はブログやSNSなど外部サイトでほとんど足りちゃってる。だから、前回のリニューアルでは一枚のページに外部サービスへのリンクだけ並べておこうかと思ったけど、「ワンソース・マルチユース」をやってみたかったので、そっちを優先したのでした。

僕的ワンソース・マルチユースとは、A4サイズに作品を構成しておき、様々な用途にそのまま使う。「クリアファイルのポートフォリオ用」「パンフレット用」「パンフに未掲載作品の資料配付用」「Webのギャラリー用」「請求された資料をまとめて送る用」などなど。リニューアルはペラ紙単位になるため、差し替えが簡単で扱いがすごくラクなのだ。

●ホームページ 一枚のみのサイト

究極的には「トップページ 一枚だけ」に憧れてたんだけど、最近はちょっと躊躇しちゃう。一枚であれもこれも入れようとすると、楽天式の超長いページになっちゃうんだよねw 「楽天メソッド」と呼ばれてるそうです。

< http://rdlabo.jp/webdesign-126.php
>

ああいった極端なものでなくても、広告リンクの飛んだ先の長い詳細ページをランディングページというそうで。広告から飛んで着地するページってことか。ちょっと検索したら、大量にそういうページを集めたサイトが。

< http://lp-web.com
>

ありとあらゆる業種で、こういうランディングページ作ってるんだな。新聞の折り込み広告でこういう雰囲気のチラシがよくあった気がする。っていうか、宣伝が人の欲望や不安を煽ったりとか、社会そのものみたいw

1ページのデータ容量って、長いものだと10MB以上あるんじゃないの? もう容量や表示スピードなど気にする時代じゃないんだろうけど。

●Wix、Behanceなど

Facebookページをちゃんと作っておけばホームページの代わりになりそうだけど、外部から見れない場合もあるらしい。普通にWixみたいな無料ホームページサービスを利用すれば手軽に違いない。

Wix < http://ja.wix.com
>

あと、BehanceのProSiteがAdobe CCユーザーは無料で使えるので、これをホームページにしちゃう方法もある。いくつかクールなテンプレートは選べるけど、トップ画像を工夫しても、いかにも業務用の地味なものにしかならない。一応、contact、About Me、Resumeとか最低限の情報は載せられる。

ちょっと作りかけてみたら、あっカスタムドメインあるじゃん! ってことは、Behance ProSiteをそのまんま今のサイトと入れ替えできちゃう! ちょっと魅力的かも。

Behance < https://www.behance.net/
>

●ホームページは必要か?

そもそも、個人のWebサイトって楽しみとして見に行くことはあんまりなくなってますね。最初はホームページ作成が流行、次にブログ、今はSNS、もっと細分化したものになっていくんだろうな。

それでも「ホームページ」っていうWeb上での本拠地みたいなものがあるほうがいいし、フリーランスのポートフォリオ用途には欠かせない。少なくとも、作品に興味持ってくれた人や発注しようって人が「あれ? ホームページないじゃん!」って思われないようにしなくちゃ、くらいか。

●ContributeとDreamweaver

全部をデザインし直すのは時間かかりすぎる。今のサイトのHTMLを読み込めればラクなんだけどな〜。そういえば、サイトの一部をダウンロード/編集/アップロードするアプリ、Macromedia Contributeなんてのがあったな。

当時「すごーい! 便利!」って、トップページのTDWを差し替える用とか、ちょっといじる目的でしばらく使ってた。デザイナーにサイトを作ってもらった後で、必要に応じて自分で手を入れるみたいな。

ホームページ制作ブームが落ち着き、ブログブームになってから出てきたアプリなんだよね。ブログというものが存在しなかったら、Contributeってめちゃくちゃメジャーなアプリになる可能性あったのに。

今も現役なアプリなんですね。Adobe CCには含まれてないけど。

< http://www.adobe.com/jp/products/contribute.html
>

あっ! DreamweaverでサーバーからGETして編集してPUTすればいいじゃん! ということをようやく思いつき、さっそく全ファイルをダウンロード。ところが、iWebが特殊なのか、まともに編集できない〜。トップページなどまっ白で開く。ライブ編集にすると表示されるものの、一行ずつ「コードを挿入」とかややこしすぎて挫折。

●Adobe MuseでWebサイト更新

画像やテキストなどの素材はあるわけだから、そのまま放り込めないかな〜。もっと言えば、ブラウザからコピペできりゃラクなんだけど。と、ブラウザで既存のサイトを開き、「画像をコピー→Museにペースト」でやってみたら、イケました! 画像もテキストも既存サイトからのコピペで全部イケるわw こりゃカンタン!

とりあえず、既存サイトの構成要素をMuseに全コピー! 本格的なリニューアルはそれが終わってからだ。ところが、Museにコピペした画像、ブラウザで見たらめちゃくちゃJPEG劣化してる〜〜! やっぱ素材フォルダのオリジナルを使わないとマズいけど、後回し。

一日で一気にコピペで構成できる部分を完成させ、その後ポツポツと作業し、ToysやSculptureページなどをリニューアルした。パッと見、iWebサイトとほとんど変わって見えないし、キャプションも未だけど、最低限のリニューアル完成〜。

Adobe Muse、数日間使ってみた印象。おおよそ、「ちょっとだけ自由度が高いiWeb」といって間違いないと思う。ほぼ同じ感覚で使えます。画像などの素材はいろんなフォルダに散らばっていてかまわない。ドラッグ&ドロップで配置すれば自動的に画像フォルダに集められる。

二つだけ不満。iWebにあったような写真アルバム形式テンプレートがなく、不自由なスライドショーのみなこと。たぶん、そういった見せ方が必要ならSNSでやってね、ってことなんだろう。ソーシャルのリンクパーツがいろいろ用意されてるし。

もうひとつは、ペンタブのペンのサイドボタンを使ったスクロールが、動き出したら止まらず端っこまで行ってしまうこと。MS Officeなどと同じく困った状態。マウスで作業しなくちゃならないなんて地獄w

●おまけ

数年に一度くらいしかホームページをいじらないので、そのたびに新しいWebサイト編集アプリを使ってるような気がする。こざいくWeb Desingner、PageMill、Golive、Dreamweaver、iWeb、そしてAdobe Muse。

っていうか、「ホームページ」って言い方がちょっと恥ずかしい。「Webサイト」や「サイト」とかだと「"自分の" Webサイト」ってニュアンスが少なくて、つい使ってしまう......。

【吉井 宏/イラストレーター】
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「本能寺の変」や「龍馬暗殺」ってみんな大好きだから、テレビでやってたら絶対見るじゃん? こういうのはどうだろ? 13回シリーズでも26回でもいいけど、毎回「本能寺の変」や「龍馬暗殺」やるの。監督や脚本や俳優を変えて競作。セットや衣装・小道具などは使い回しで。

・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
< https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii
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