装飾山イバラ道[142]自分の殻とカラオケの未来
── 武田瑛夢 ──

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基本的にほとんどSNSをしていない私。閉じているなーっと我ながら思うのだけれど、唯一活用していると言ってもいいものがひとつだけある。それが「DAM★とも」だ。

私も知らなかったけれど、星マークが真ん中に入るのが正式らしい。以下記述としては、DAMともと略させてもらうことにする。DAMともは第一興商の通信カラオケと連動したSNSのWEBサイトだ。

私が無料のDAMとも会員になったのはだいぶ前だけれど、今はDAMとも有料会員なのでけっこう積極的に使っている方だと思う。ただし、私らしく公開/非公開の有無のチェックマークは、その全てにおいて非公開だ(笑)。SNSの意味ないじゃん。ただ今はそういう使い方をしたいのだ。


●通信カラオケの進化

カラオケ屋さんに行くと、まず最初に言う言葉は「LIVE DAMで」LIVE DAMという最新で一番いろいろなことができる機種が好きなのである。LIVE DAMの部屋が空いていない場合はすぐに諦めて店を出る。他の店をあたってダメなら、その日のカラオケは諦めるけれど、最近はカラオケ店が多くてどこか大抵空いているので大丈夫だ。

第一興商がDAMという通信カラオケシステムを作ったのが1994年、それから16年でLIVE DAMが登場した。2014年でDAM開始から20年経っているわけだ。その間も数種類のバージョンアップを重ねている。

私も正直言って、カラオケの機種が何であるかを気にして店に行ったことなんてずっなかった。曲数は多いにこしたことはないけれど、あるものだけで充分といった感じ。歌本で曲を選んでいた時代は、どの会社のどのカラオケ機種でもそう変わりないといった認識だったのだ。

今は一人でカラオケをする「ヒトカラ」の人も多い。二人の場合は「フタカラ」だそう。多人数だと「タカラ」?というらしいけれど、ほんとに使われている言葉なのかは謎である。私は主にだんなさんとの「フタカラ」なので、大抵は普通の4〜5人用の部屋に通される。他に空いていないという理由でパーティルームに入れられたことがあるけれど、やっぱり普通の狭いぐらいの部屋が一番居心地がいい。

カラオケ店でCLUBDAMというカードを発行してもらうと、部屋にあるリモコンを使ってログインすることができる。自分で選んだ曲はリストに追加できるので、後から選びやすいし、キーを上下して歌いやすく調整したものが記憶されているので便利だ。

だんなさんも歌うのは好きなので、ほぼ交互に歌うことになるけれど自分の歌う曲を選ぶのにほとんど時間はかからない時代になった。昔はあの電話帳のように分厚いカラオケの歌本を探していた。電話帳も歌本も懐かしい思い出だ。

デジタルのリモコンは今まで歌った履歴を見ることもできるし、その店のその部屋で歌われた履歴を見ることもできる。最近の人気曲や同じ年代に多く歌われている曲から選ぶこともできて便利だ。

私がせっかくDAMとも会員なのにだんなさんは会員ではない。だんなさんが友達登録してくれれば、SNSの効果もちょっとはありそうなのにね。だんなさんは自分の管理できる範囲以外に履歴が残ることが嫌いなタイプだ。スマートフォンアプリを使ってペアリングして曲リストを管理している。けっこうめんどくさそうだけれど、自分の好きな方法で遊ぶのが一番だ。

歌うモードは精密採点DXにしている。自分が歌った音がバーでカラー表示されるので、どこの音を外したのかがわかりやすい。カラオケ採点の機種は今やだいぶ進化していて、こぶしやビブラートも逐一表示される。これが煩わしいという人もいると思うけれど、太鼓の達人などの音ゲーだと思えば楽しいゲームだと思う。

精密採点DXは音ゲーとしての精度も高くて、自分のミスを厳しく判定してくれる。何がダメだったのか、どこが良かったのか、わかりやすく視覚化しているインタフェースは素晴らしい。表示は速やかだし華やかさもあるし。

本当にそうなのか、疑う余地があるのは歌に関する分析レポートのコメントぐらいで、あれは褒め過ぎなような気がする。キー調整がうまくいかなくて惨敗した時でも、いいことしか書いていないとただの「ほめ殺し」に感じる。

基本的になるべく傷つけないようにするためにキツイ言葉は全部カットされたのだろうか。言葉で評価する難しさはどの世界も同じかもしれない。

●自分の好きな関わり方で

DAMとも会員でも最もアクティブに見えるのは、DAMとものWEBサイトで自分の歌の録音や動画を公開している人々。デュエット曲の片方のパートを公開したものに、遠くのDAMともの人がもう片方のパートを歌って曲を完成していたりなど。

閉じに閉じた私からすれば、こういう開けた人はすごいという他はない。オープンマインドそのものである。私も過去の日記で写真をアップしたりしていたけれど、ほぼ自分は写していないし、物撮りがせいいっぱいの感じがする。

ただそんな私のカラオケでも緊張する瞬間はある。私が「試合」と読んでいるもの、それが「ランキングバトル」である。これはログインしたDAMとも会員同士が、カラオケで点数を競えるモードだ。

ひと月ごとのくくりで、順位付けされたものが常時公開される。曲によって戦っている人数が違うので、人気曲ほど上位に入るのは大変だ。公開されるニックネームで、自分の現在の順位もわかる。

結果に満足して家に帰ってパソコンでログインしてみたら、ガガッっと逆転されていたこともある。お気に入りの曲の常連さんは大抵決まっているので、「来週まで勝負はお預けだな」と勝手に思ったりしている。月末でリセットされるので戦いの期限があるのだ。

私はDAMとものSNS的要素のほとんどを生かしていないけれど、ランバトしているので充分満足なのだ。カラオケでは「戦う」というコミュニケーションしかしていないというのもどうかと思うけれど、ちょっと前にはあり得ないような遊びのかたちではないだろうか。

LIVE DAMのカラオケ機器は既に地方まで浸透しているだろうから、また次世代のものもそのうち登場するのだろう。音階のバーのグラフィック表現はもう上げどまりの感じがしないでもない。

未来への妄想をすると、そこにいないお友達もホログラムの立体投影でパーティルームに集まってカラオケ大会とか。ボイストレーナーが横で励ましてくれるとか。あくまでも遊びなので、やりたいこととやりたくないことを明確に自分で決められることがとても大切だと思う。

テレビゲームに本格カメラが付けば家でもできそうだけれど、音響のことを考えると家庭での限界があるのがカラオケだと思う。アーケードのゲームセンターが廃れた今も、カラオケ屋さんには知恵を集めてがんばってもらいたいのである。

【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/
>

前々回のウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッターの記事に一部間違いがありました。

腰のバーで固定されてU字ハーネスがないと書いてしまいましたが、ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッターのライドにはU字ハーネスはありました。その後に乗ったハリウッド・ドリーム・ザ・ライドの安全バーのことを執筆時に思い出してしまったようです。腰のバーがあるのはハリウッド・ドリーム・ザ・ライドでした。申し訳ありません。

落下感があってよりライドとしての恐怖が強いのはハリウッド・ドリーム・ザ・ライドですが、視覚的に揺さぶられる感覚が強いのはウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッターです。どちらも楽しいのでおすすめです。