[3777] 日出る国で修行した二人のイタリア人マンガ家

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《もうそろそろこれから買う本はiBooksに統一しようかね》

■ローマでMANGA[80]
 日出る国で修行した二人のイタリア人マンガ家
 midori

■グラフィック薄氷大魔王[406]
 「電子書籍の評価はまだ早すぎ」他、小ネタ集
 吉井 宏


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■ローマでMANGA[80]
日出る国で修行した二人のイタリア人マンガ家

midori
< https://bn.dgcr.com/archives/20141008140200.html
>
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90年代に講談社のモーニングが、海外の作家の書き下ろし作品をのせるという前代未聞の企画を遂行していたときにローマで「海外支局ローマ支部」を請け負って、そのときのことを当時のファックスをスキャンしつつ、それをもとに書いているシリーズです。

前回に予告しました、イタリアのマンガ雑誌1995年6月号のlinus(リヌス)の我らがイゴルトとヨリの特集記事をお送りします。オレスト・デル・ブオノ氏/linusの責任者)による記事をわたしが翻訳したものです。

<http://goo.gl/xTYA4E>


JサンとIサン
─日いづる国の男の子たち─

アメリカでもヨーロッパでも、マンガがテレビにお客さんを盗られ瀕死の状態にあるのは周知の事実。ところが、日本ではMANGA(と、かの地の人はマンガをこう呼ぶ)の読者を数多く抱え、その膨大な需要に応えるため企業としての出版社が存在する。

マルチェッロ・ヨリとイゴル・トゥベーリ、リヌスの読者は「バルボリーネ(チビ真空管)< http://goo.gl/ih65RZ
>」時代の二人を覚えておられるだろうが、この二人が日本へ仕事をしに行き、黄金郷と天国の間の地を見つけたのだ。ここに、二人の幸せな体験を話してもらおう。

「僕達と日本?」とメラノ出身のマルチェッロが口を切った。アルト・アディジェ < http://goo.gl/YBGfwy
> でも最北部出身のこのアーチストはいつも元気一杯、熱っぽく日本体験を語る。

《僕はマンガをやめていた。イタリアではもう誰も注目してなかったし、やってもおもしろくなかった。マンガ誌は文化の下層へ滑っていったし、絵画に専念していた。

美術は大きなスペースを与えてくれる。やることがたくさんあった。『バルボリーネ』の体験を含む過去に何の未練もなかった。ところがある日、ボローニャ国際児童図書展の昼食時に、講談社という日本の大きな出版社が僕に目をつけていると知った。

彼らは僕が過去に制作したコミックス(linus誌に何度も登場した人形のようなMinus)に興味を持っていた。びっくりして不思議な気もした。信じられないよね。そして反駁の余地ない確信を得る事になった。

この一年後、個展でニューヨークへ行ってる時に資料を請求され、パリへ飛んだ。そこで、なんと、講談社のマンガ部の長である、かの栗原さんと契約について話し合った。》

ここまで、サルデーニャ人らしく慎重に控えていたカリアリ <http://goo.gl/l0KgLS>
出身のイゴルトが口を開いた。イゴルトと日本の接触は4年前に遡る。「ボローニャの児童図書展で、講談社の代理人にヨーロッパと日本の作家で共同制作をするというアイデアを提案した。

《僕はすでにSiegfried Wichmannの『ジャパニズム』<http://goo.gl/9AaLFo>
を何度も読み、日本のグラフィック、建築、芸術家、エロティカの構成要素だと思うものについて研究していた。日本の資料をこれでもか、と漁った。日本を舞台にしたマンガを考え、制作した。

だから、ヨーロッパと日本の作家の共同制作という提案は理屈から言っても合ってる。でも、その時僕は小部屋に閉じ込められ……、彼らの習慣に添った儀式的なもてなしだったのだろうが、僕は出版業務の秘密を侵すものと思われたのだ。

事実、講談社はそういう共同作業の研究中だった。で、その状況で僕が講談社から目を付けられていたことを知った。日本を舞台にした作品のせいで。三か月後、日本へ飛んだ。そう言われたのではなく、自分の意志で。僕の人生の中で一番長い会見を持った。四時間半に渡る礼儀正しさ。一時間後には全部決定していたのだが、親切で会話を続けたのだ。

栗原さんは『マンガを続ける気がおありですか?』と僕に尋ねた。もうすでに合意に達しているのに。僕はわざともったいぶって答えた。『たぶん。その可能性があれば』短編をやってみないかと言われ、すぐに拒否した。短編をどのように解釈しているか聞いてきた。イタリア誌の経験から、2〜12ページだろうと答えた。栗原さんは日本において短編とは50ページのものも含む、と反論した。

イタリアに戻った。信じたり信じられなかったり。信じ過ぎるのも怖かった。それにやることもあった。ウマノイド社 <http://www.humanoids.com/>
への作品だ。

20日後、講談社の代理人(midori 注:私です!)から電話があった。どこまで進んだかって? 僕はナポリ方式で答えた。ほとんど出来てます。そしてサルデーニャ式に仕事をし、300ページ分のシノプシスを送った。

それから(講談社の人間と)ローマの大きなホテルで会った。僕はただ話に色をつけるために320ページのほうがよくないかと言った。答えはこうだ、600ページでも悪くない。今、ストーリーは1000ページの予定でタイトルは『アモーレ』。すでに仕事は4年に渡り、掲載が始まろうとしている。》

イゴルトは息をつくために黙った。実現した夢にまだ唖然としている。「共犯者」の証言を求める。「僕とマルチェッロはボローニャで家も近くだし、ずっと付き合っていた。そして日本のこともしょっちゅう話した」

そしてマルチェッロの証言。

《ボローニャで、あの昼食会に行った時にはまだ日本との未来について考えていなかった。でも、その後パリでの話し合いで、またマンガに戻るという考えに熱中した。

かの栗原さんは間違えない男として知られる人だけど、ヨーロッパ作家との共同作業を試みると決めていた。その仲間に入れてもらえるのは光栄だ。イタリアのマンガ出版会の困窮は遠い話だった。講談社は巨大な出版社だ。

でも、僕が惹きつけられたのは編集者の存在という制度だった。この編集者が僕には必要だったのだ。『マンマ』のような、いや、むしろコーチの役割を担う編集者。全身を助けてくれる。自分の中にあるもっと良いものを引き出してくれる。いやいや、創作の制限なんかじゃなく、それより、創作の増進だね。》
「学ぶべきことはたくさんあった」とイゴルト。

《例えば、ある時、代理人から丁重な電話があった、『栗原さんは、分析的な構成の前に、全体的な構成をしたほうが良いのではないかと言っています』。僕のマンガの作り方と日本のやり方の違いを目の前につきつけられて嬉しく拝聴した。MANGAは日本で膨大な数の読者をかかえている。

日本人は通学、通勤途中にMANGAを読む。行きは仕事前にあまり疲れちゃいけないし、帰りは疲れてる。テキストはなめらかで主要なものだけである必要がある。複雑にもつれていてはいけない。これはテキストを貧弱にするという意味ではなく、できるだけ普遍的であること。

講談社の人たちは我々に、日本人のような絵を描けともイタリア性を忘れろとも言ってない。日本の読者にわかりやすくするように心がけてくれと言っているのだ。だからこそ日本まで行き、と言っても『オタク』に、つまり日本スタイルの熱心なファンになるという意味でなく研究してきた。

ところで『オタク』というのは、パソコンにとりつかれている人のことも言う。ともかく日本の読者にわかりやすくしながら、自分のスタイルを失わないやり方を身につけた。彼らの仕事のやり方は、思いつきやアバウト式の拒否にある。僕は『バルボリーネ』時代からある集団の調整が好きだったから、集団での制作に関して日本的精神の傾向にあったと言えるね。僕にはアシスタントがいて…》

マルチェッロが口をはさむ。

《集団での仕事っていうのは、僕にとっても重要なんだ。アーチストっていうのはテンションが下がることがある。編集者やアシスタントは、何千枚もの原稿を前に動揺しているアーチストを前進させるのに必要なんだ。

日本人はMANGA内での言葉の乱用に賛成しない。キャプションは禁制。読みのスピードを邪魔するコトになるからね。絵の良さに重きをおく。

で、アーチストの責任が増す。グループはアーチストを増強するが、アーチストがハガキの評価を一身に受けるんだ。MANGAの読者もグループの一員を成す。毎号、毎号講談社が添付するアンケートに答えることによってね。

賛同でも批判でも、ともかく何千、何万ものハガキが熱心なコントロールという報酬を受けている。日本では今でもMANGAは人気がある、すごく人気がある。上司にしたいキャラクターは? なんてアンケートにある。

実際のところ、みんなスーパーヒーローを探してるんだ。僕はスーパーヒーローであることを認められた。

僕は子供の頃からなりたかった。10歳の頃、いつもスーパーヒーローの格好をしていた。成長して馬鹿だと思われずに孤独をやっていられる唯一の方法は、スーパーヒーローになってしまうことだと発見した。

スーパーヒーローをやっていくには、うんと金持ちにならなければいけない。金持ちになるにはうんと働かなければいけない。マンガでできるかどうかわからなかった。ところが、日本で僕が中心になって、スーパーヒーローになって、自伝的MANGAを描くことになった」

「『不思議な世界旅行』というタイトルの長編は僕が着衣で、ヌードで、実際には出来ないことをやる。僕がモビィディックを殺し、根源的なオルガズムを経験する。だから日本が僕に何かリミットを強制するんだろうなんて言わせないよ。唯一、僕に強制するのはエキサイティングであること。むしろ僕がエキサイトするね。こんなにも多数の読者に向かっているなんて…》

マルチェッロとイゴルトは全く違うタイプのアーチストでありながら馬が合う。長年に渡る友情の嬉しい矛盾だ。「東洋ではエゴ(個)は西洋ほど重要ではない」とイゴルト。

《僕はアシスタントに命令しないように気をつけている。話し合いをする方がいい。たくさんの意見を引き出すほうがいい。日本人に、ひいては世界中の人にわかりやすいMANGAを創りだすという挑戦を受けて立つのに、いくら時間をかけて、念入りにやっても十分ということはない。普遍的なものを生み出そうとしている。

僕らの編集者である堤さんは『GON』の編集者でもある。『GON』はガツガツした小さなディノサウルスだ。この作品をまったくの無声でやる、と決定するのに、それはたくさんの試作をした。考えうる限りの仮定をしてみることは、ぜひやらねばならない。

僕がスゥォッチのためにデザインした『ユーリ』の権利を買うと決定すると、分析し、背景についてサジェスチョンをしてきた。アーチストの決定に介入してくる。彼らの投資は大きいものだから。が、絶対に独裁的なやり方はしない。ここでもう少しいいものができるのではありませんか?

それに応えるかどうかはアーチストによる。ぼくは自分の意見を変えなかったこともあるし、判断が誠実で的確だと思った時には変えた。ユーリについては気に入ってもらっている。否、選ばれたものと言っても言い。だからこそ重箱の隅をつつくような分析を続けている。

編集者は絶対ではない。が、豊かな経験を持っている。そしてアーチストのみが間違いを犯すというヨーロッパの概念は通用しない…》


「最初の読者」と自認する日本のMANGA編集者が共同制作者となる二人三脚のやり方を楽しんだイタリア人作家二人の目から見た日本のMANGA作りを読むと、MANGA作りをまた新たに見直す糧になる。

次回はこの特集ページ内のコラムの訳と、二人の言葉で気がついたことを書いていきます。

【みどり】midorigo@mac.com

MANGAのセミナーを持つローマのマンガ学校Scuola Internazionale di Comicsに提案したマスターコースが今年出発できるかどうか、ハラハラしている秋であります。

学校としては、より魅力的なコースにするためいつも体験傑授業をお願いしている「東京アニメーター学院」とのコラボをマスターコースに取り込んでいる。今ひとつこのマスターコースの意味が学校でもわかってないのか、学校でのやることに対して担当する人が足らないのか、宣伝に関して今ひとつモタモタしてる感じがあってドギマギです。

セミナーは週に一回2時間で、3か月から5か月。出席は一年生ばかりで、なかなかMANGAの構成法を伝えきれない。マスターコースは絵の基本はしっかりと身につけた卒業生か、それに順ずる人を対象に週に二回計6時間+じゃかじゃか宿題で、かなりつっこんで授業ができるはず。

でも生徒が集まらなくては出費がまかなえないので出発できない…
生徒が集まるように祈っている初秋なのでした。

COMICO 無料マンガ 「私の小さな家」
<http://www.comico.jp/manage/article/index.nhn?titleNo=1961>


「イタリアで新しい漫画を作る大冒険」
<http://p.booklog.jp/book/77255/read>


主に料理の写真を載せたブログを書いてます。
< http://midoroma.blog87.fc2.com/>



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■グラフィック薄氷大魔王[406]
「電子書籍の評価はまだ早すぎ」他、小ネタ集

吉井 宏
< https://bn.dgcr.com/archives/20141008140100.html
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●電子書籍の評価はまだ早すぎ

よくある「紙の本はペラペラめくって内容の見当をつけたり探したりできるが、電子書籍はそれができない」という意見。現状ではまったくそう。

特に、Kindleのアプリはいくつか使ったことのあるiPad用電子書籍アプリの中で最もページめくりが遅く、インターフェイスの出来が良くない。Kindleのハードウェアはいじったことないのでわからないけど。

PDFビュアー的には非常に遅いとは言えないけど、ページのサムネールがないことと、ページめくりがタップでできないことがあったり、反応が鈍いのが使いにくい原因。Kindleアプリでページめくり動作して空振りすると、ムッカ〜〜!ってなるw せっかちな僕にはツライです。

iBooksのほうがページめくりはぜんぜん速い。i文庫HDはサムネール表示が充実してるのでストレスを感じない。また、Bookmanというアプリなど、ザザザッと紙のように一気にめくれて、ページの内容もちゃんと見える。

そのへん、Kindleのアプリが最低限でもいいからちゃんと使いやすくなってくれないと、電子書籍は紙の本とくらべて決定的にダメとかの結論は出せないと思う。せめてi文庫HD程度以上の、デジタルの利点を活かしたものになってくれれば。紙の本は、その本を今持ち歩いているか、ある場所にいないと話にならないという弱点もあるし。

あとタブレットじゃなくパソコンで読む場合、Windowsリーダーはすでにほぼ実用になるページスクロール速度があるし右開き対応。Macのプレビュー.appはYosemiteでようやく右開き対応になって、最速のページスクロールになる模様。超高速で全ページを見渡せるようになる。Acrobatはページめくりやスクロールが激重な点で、書籍をざっと見る用途にはほとんど役に立たない。

ところでKindle本、まだパソコンで読めないのかー。何かの事情で制限してるんだろうけど、もうそろそろこれから買う本はiBooksに統一しようかね。

●レンダーファーム

ネットを通して何百台のマシンでレンダリングを請け負うレンダーファーム。知り合いのMODOユーザーが普通に使っていて、急に興味がわいた。数年前に調べたときけっこうコストが高く、よほど緊急でないと使えないなあと思ってた。調べてみたら、安くてびっくり。

< https://www.rebusfarm.net/ja/ja-lets-go/calculator
>

「シネベンチで1161の速さのパソコンでレンダリングに5分かかるフレーム」を60秒1800フレームをレンダリングすると通常150時間かかる。レンダーファームだと2時間20分でレンダリングできて32,000円くらい? 悪くないじゃん。

テストレンダリングを何度も繰り返して確認しないと、本番を何度もやり直すことになるんだけど、テストレンダリングも数分の一サイズでレンダーファームでレンダリングしちゃえば、一回4,000円程度で30分で完了。

もう、滅多にない大規模レンダリングのために、最強マシンは用意しなくていいんだな。尺の長いアニメーションとか受けちゃった場合、Mac Proを何台か買い足すこと思えば、レンダーファーム料金、安いかも。

ただし、レンダリング時間そのものだけでなく、順番待ちやデータのダウンロード時間が必要だそう。順番待ちを避けるには、高いほうのコースを選択しなくちゃいけないらしい。でも、何倍も高いわけじゃないので、どうしてもの急ぎのときは利用するかな。

●いい曲だけ入ったCD

ちょっと前、「マンガ雑誌は面白い作品だけ載せればいいのに」ってツイートがあって、思い出した。昔、レコードやCDを買っても「当たり」な曲が一枚に2〜3曲ずつくらいしか入ってない不満。アップテンポでノリノリな「出来のいい曲」だけ入れればいいのに! って思ってたw

静かな曲とか地味な曲にもいい曲があるし、そういう曲のほうが好きな人がいるってことに気づいてなかった頃の話ですw 本気の曲を2〜3曲だけ入れて、あとは埋め草でお茶濁してるだろ! とか思ってたもん。

まあ、もっと後になってから、アーチストにはアルバムを作るノルマがあって、とにかく曲数を揃えなくちゃいけなく、きびしい締切の中でやってる感じはわかってきたけど。明らかに埋め草の曲ってのもあるんだろうねw

「ベスト盤」が「いい曲だけはいったCD」なのかもね。ベスト盤ってマンガや小説にないよね。電子本の時代だったらベスト作品の詰め合わせみたいな企画できるよね。

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com
>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
>

先週火〜金、実家作業に行ってきた。

ToDoその1。計22個の立体にクリアーウレタンスプレー。宙に浮かせるための仕掛けも作りながら次から次へ。初日に完了しなければ、72時間の硬化時間の都合上発送できなくなるため必死。

ToDoその2。5月に作りかけてた立体の、粘土から取った石膏型にポリエステルパテを詰めて置き換え作業。表面仕上げ以外完了。

ToDoその3。中〜大型作品9個の屋外での撮影。

ToDoその4。東京デザイナーズウイーク2014出展のため、大型作品を展示会社に渡す作業。

ToDoその5。クリアーウレタンを吹いた22個の立体を、東京の自宅と展示会社に分けて発送。一つは箱が大きすぎてコンビニでも郵便局でも断られ、急遽スーパーで段ボール箱をもらって2つに詰め直してようやく発送。

……いやしかし、滞在日数が限られてるとおそろしいほどの生産性を発揮できるなあ。ふだんからヤレ。

・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
< https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii
>
・ハイウェイ島の大冒険 < http://kids.e-nexco.co.jp
>
・INTER-CULTUREさんの3Dプリント作品販売
< http://inter-culture.jp/Buy/products/list.php?category_id=63
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編集後記(09/08)

●神奈川県の主婦が「思いつきで始めた」とされる「憲法9条にノーベル平和賞を」という運動を、今年の4月2日に朝日新聞が美談風な記事にしている。「戦争の放棄を定めた憲法9条にノーベル平和賞を──。神奈川県座間市の主婦鷹巣直美さん(37)が思いつきで始めた取り組みに共感の輪が広がり、ノルウェー・ノーベル委員会への推薦に至った。集団的自衛権の行使や改憲が議論される中、「『今こそ平和憲法の大切さを世界に広めたい』と願う」とかで、いかにも朝日の好きそうな香ばしい話題だが、ちょっとまってほしい(←天声人語ふうに)ノミネートするのは自由だが、「考えた末、鷹巣さんは受賞者を『日本国民』にした」とはおかしい。わたしも日本国民だが、そんなそんなこと聞いたことがない。あなたはいつ日本の代表になったのか。座間市の主婦よ。

ところが、ネットの時代である。どこにでもいる普通の主婦ではなくて、実は名のある「プロ市民」であることはすぐにばれた。「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会は昨年の8月29日にできていた。鷹巣直美は共同代表のひとりだった。ひとりの主婦が「思いつきで始めた」とか「考えた末、受賞者を『日本国民』にした」は大ウソであった。ひとりの普通の主婦が、素朴な善意で提案したのであれば、思慮の足りなさはともかく幾分かの好感度はあった。共感を覚えた読者も多かったと思う。しかし、プロ市民の意図ある運動であることを隠した朝日新聞よ、これも問題な記事ではないか。

委員会サイトには賛同者一覧3月8日現在、賛同団体名がある。ノミネートは2月1日より前。4月2日の朝日新聞記事の前にこれだけ組織化されていたのだ。4月9日にノミネートは受理された。署名嘆願サイトには実行委員会の共同代表4人の名前だけあって、委員会事務局の所在地はない。署名はネットと郵送で受け付けているが、署名の送付先は座間郵便局留めというから怪しさ全開。サイトにはニュースのPDFもあり、そちらには賛同者、賛同団体の名前がぞろぞろ出ていた。署名嘆願サイトでは、日本語、英語、韓国語、中国語で呼びかけがある。憲法9条がノーベル平和賞を受賞したら、ほくそ笑むのはまず中国、韓国だろう。この運動のバックには必ず両国の組織があると思う。

そして10月3日「ノーベル平和賞予測、『憲法9条保持する日本国民』浮上」と喜々として報じている朝日新聞(NHKも)。受賞予測を毎年発表している民間研究機関オスロ国際平和研究所によれば、それまで「欄外」だった「憲法9条」がトップに躍り出たという。だがこの研究所、的中率は低いことでも知られる。平和賞の発表は10月10日午後6時(日本時間)。順当に落選してくれ。こんな冗談が実現したら日本の危機だ。今まで日本が平和を保てたのはアメリカの核のおかげだ。断じて憲法9条の功績ではない。ノーベル文学賞の発表は9日午後1時、英国などの複数の大手ブックメーカーによる予想で村上春樹が一番人気だとか。と書いている最中に「ノーベル物理学賞に赤崎、天野、中村氏」の報が入った! 一日遅れで今日は乾杯だ。(柴田)

「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会
< http://nobel-peace-prize-for-article-9.blogspot.jp/
>


●ノーベル物理学賞の会見の席で、STAP細胞についての質問をした記者がいた。意図がわからない。どういう返答が欲しかったのだろう……。

大阪城公園の南側、日生球場跡地はずっと工事をしていて、ジョギングの際に何ができるんだろうね〜と話していた。どこの企業が主体で、だいたいどこ系の店が入るかは噂レベルで耳に入っていた。
昨日のニュースで、屋上ランニングトラック「エアトラック」設備があり、クライミングウォールやボルダリングウォール、フィットネスセンター、温浴、フットサルコート、ホットヨガスタジオ、ランニングステーションなどができることも知った。監修は陸上の朝原宣治氏ら。

エアトラックは、人工芝で1周300メートル。無料開放・散歩利用可で、まぁ目の前に大阪城公園があるので不要っちゃ不要なのかもしれないけれど、コンクリの上を走るよりは足に良さそうだし、整備もきっちりされそうでいいな。

「まちライブラリー」という会員が持ち寄ることで蔵書を増やす図書館もあるらしい。飲食店も入る。森ノ宮側で食事をとろうとしても、あんまりお店がなかったから、そういう意味でも嬉しい。

とはいえ、裏道のお店を、ノーメイク汗だくフラフラなまま「ここ入ってみたいのになぁ〜」などと言いつつ毎回通り過ぎているぐらいなので、あまり利用することはないだろう。近くのスーパーやコンビニに、ぜーぜー言いながら朝食か昼食を買うために立ち寄るのが精一杯。(hammer.mule)

< http://getnews.jp/archives/679051
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動画リンクあり。「ノーベル物理学賞受賞の赤崎勇氏にCBC記者がSTAP細胞の質問をして場が凍り付く」

< http://www.tokyu-fudosan-hd.co.jp/news/pdf/327
>
「もりのみやキューズモールBASE」の外観

< http://qs-mall.jp/morinomiya/news_releace.pdf
>
「もりのみやキューズモールBASE」について

< http://www.sankeibiz.jp/business/news/141005/bsd1410051712001-n1.htm
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生まれ変わる「非日常空間」 再開発の球場跡地、さりげなく残る“思い出”

< http://onigiriface.com/nissei-stadium.html
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森ノ宮の日生球場跡地にスーパーライフと家電販売店エディオンが進出

< http://onigiriface.com/morinomiya-qsmall-base.html
>
スーパーライフは隣接地。現在の工事進行状況

< http://onigiriface.com/morinomiya-matome.html
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そういやビエラ森ノ宮もできていたんだった

< http://www.sankei.com/west/news/140920/wst1409200022-n1.html
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ランナーのメガネ型端末に区間タイムや消費カロリー