アナログステージ[131]煩悩は焼きつくせなかったが
── べちおサマンサ ──

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コンニチハ。脂ののったブリのカマ焼きが美味しい3月です。粗塩を振って焼いたカマ焼きの美味さったら、鼻からもヨダレがでますね。そのまま素焼きにして、ポン酢ともみじおろしでいただくのも好きです。

いまは養殖技術が素晴らしいので、いつでも美味しい魚を、手軽に食べることができますが、やっぱり旬なときに旬なものを食べるのは、その時々の季節を味わえて、カラダも次の季節への準備をしていくような感覚もあります。

本編へスライドさせてしまった『懺悔道中膝栗毛』ですが、今回で関東三十六不動編は最後になります。次回より通常のデジクリネタに戻します。と言いつつ、実はこの懺悔道中膝栗毛、楽しみにしていただいているかたが多いようで、嬉しいです。

いま、世間ではご朱印ブーム(?)と謂われており、ご朱印ガールとか、なんかいろいろ呼ばれているようですが、たんにご朱印だけをいただくのではなく、お寺さんの全部を、より身近に楽しみながら、お寺巡りをしてみてくださいね。いままで気にしなったことが、急に身近になったりで、面白いです。



道中の様子と、簡単な注意書きは下記をご参照ください。

・アナログステージ[129]巡礼から得る新しい空気と心
< https://bn.dgcr.com/archives/20150210140200.html
>

・アナログステージ[130]懺悔道中膝栗毛ラストスパート
< https://bn.dgcr.com/archives/20150224140200.html
>

お寺を紹介するときは、山号と寺号(院号)、仏像マニアなゆえ、いつもはご本尊さまだけ記載しておりますが、今回は、不動明王さまオンリーなので、あえて記載しておりません。宗派や諸々の札所番なども省略しております。

・関東三十六不動霊場会・公式ホームページ:
< http://tobifudo.jp/36fudo/index.html
>

●懺悔道中膝栗毛 ─ 廿二編(関東三十六不動尊 千葉編)

関東三十六不動尊巡礼、最後です。

・阿舎羅山 不動院 大聖寺(波切不動尊)

高塚不動からどのくらい車を走らせたのかはハッキリと憶えていないが、千葉県の地形を、そのまま沿うように移動してきたのだけは憶えている。というのは、車の右側から見える景色は、つねに海だからだ。

ナビの画面では、目的のお寺さんに近くなってきているが、お寺さんの匂いはまったくしない。完全に地元民しか通らない道だ。ここにきて、アホナビが再稼動したのかと、おへその辺りがキューっとしてきたが、なんとか到着。

天気も崩れはじめ、車を降りたときにはザーザー降り。駐車場のすぐ上が不動堂だったので、堂まで駆け足。勤行を済ませ、不動堂の周りをキョロキョロしても、本堂や庫裏が見当たらない。場所が離れているのかと、いったん駐車場まで戻り、周辺を歩いてみると、本堂を発見。

時計を見ると、13時手前だったので、まだお昼休憩して申し訳ないかな......と思いながらも、庫裏の呼鈴を躊躇なく押す。「どうぞー」と、なんとも形容できないキレイな声にドキっとしながらと扉を開けると、めちゃめちゃ綺麗な女性が立っておりました。

(奥さんなのかな......、いや、息子さんの奥さんなのかな......、いやいや、ムスメさんなのかな......、そんなことはどうでも良いとして、綺麗だわぁ)という具合に、巡礼中なのに不謹慎者そのもの。煩悩で覆われているような。

『激しい大いなる怒りの相を示される不動明王よ。迷いを打ち砕きたまえ。障りを除きたまえ。所願を成就せしめたまえ(日本語訳)』

不動明王のご真言、ここにあり。

・幸野山 宝勝院(夷隅苅谷不動尊)

札所の順番は、先ほどの波切不動さんのほうが後なのですが、つぎの成田山へのルートを考慮し、順番を入れ替えて夷隅苅谷不動さんへ。波切不動さんからは、車で10分もかからない距離にあり、千葉で唯一、隣接している札所だ。

この日初めて、ほかに参拝している人を見かけ、ちょっとだけ嬉しかったり。そういえば、そうだ。千葉の札所で、オイラ以外に参拝している人がいなかったのも不思議でしたが、関東三十六不動以外の札所になっているお寺さんが、千葉はないんですね。

不動堂の中に入ると、なんとも珍しい配置の堂内。今回の巡礼で、天台のお寺さん特有の、シックな護摩壇が目にとびこむ。庫裏にて、住職さまから直接ご朱印を頂戴し、最後の札所、成田山へ。

・成田山 明王院 新勝寺(成田不動尊)

お寺さんの閉門時間は、夏場だと17時くらいだが、秋から冬は、16時30分には閉門してしまう。時計を見ると、時刻は15時40分くらい。ナビの到着予定時刻は、16時15分。ヤバい。ヒジョーにヤバい。

札所から札所までの距離が遠いこともあるが、高塚不動で2時間ちかく時間を使ってしまったのが痛い(前話参照)。新勝寺は、関東屈指のお寺さんだから、駐車場はコインパーキング含めて、さほど心配しておりませんでした。

が、甘かった。新勝寺近くまできて、まさかの大渋滞。道路に溢れる人で、車も思うように前に進めない。警備員が拡声器で「道路に出ないでください!」と叫ぶも虚しく、そのときの時刻、16時10分。時計をみる回数が増えていく。焦る、焦る。

道路際に、半纏を着た人たちをチラホラと見かけたが、お祭りかなにかあるのだろうか? くらいに思っていたら、まさかの成田山の参道付近で、『日本の祭り in 成田 2014』という催しが開催されていることを知ったのが、民間駐車場に着いてから。

車をとめて、とにかく猛ダッシュ。身口意(手水舎の水で手と口を、香閣の煙をいただいて心を清めたり)もそこそこに、本堂へ一直線。その本堂前で、全国のゆるキャラが集まって、なにか催しものをやっており、人だかりが凄くて本堂の階段をのぼれない。

人ごみを掻き分け、なんとかご朱印場に辿りついたものの、不動明王さまのご朱印は、平和大塔だと云われ、時間をみると14時25分。ここ(本堂)から10分くらいかかるので、間に合わないかもしれないと告げられるも、お礼を述べて平和大塔へ、行儀は悪いが全力ダッシュ。

痛い足を引きずりながら走る、黒い作務衣に雪駄姿のすごい顔の中年が走っていたはずだ。しかし広い境内だ。場所を間違えたら完全にアウト。おそらく、平和大塔はここだろうという場所に到着するも、本当に目の前で閉扉されてしまった。

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ、マジで? マジでマジで? えー、うっそー」

扉の前でうなだれていたら、小僧さんを発見。ダメもとで「不動明王さまのご朱印をいただきたいんですが」と尋ねると、なんと、ご朱印場はこの下の会場らしい。もしかすると、まだ開いているかもしれないというので、またもや下の入口まで走る。

ガラスの扉はガッチリと施錠されており、目の前にして目の前が真っ暗。

それでも諦めきれなく、扉にしがみついていると、後片付けしているお坊さんを発見。ドアをドンドンと叩いて「ボクはここにいる!」アピールを開始。それに気がついてくれ、扉を開けていただき、事情を説明すると......

「ごくろうさまでした。どうぞお入りになってください」と、にこやかに迎えてくださいました!

さきほど上で会った小僧さんが寄ってきて、「間に合ってよかったですね」と声をかけていただき、関東三十六不動尊、最後のご朱印と無事に結願を果たした『結願証』をいただきました。

満願達成を、その場にいたお坊さんたちから温かい拍手と言葉でいただき、黒い作務衣に雪駄姿の中年は、マジで泣きそう。何度もお礼を述べ、平和大塔を後にしました。

閉扉された本堂の前にて、関東三十六不動尊巡礼を無事に終えたことにお礼し、一回目の巡礼を終わりました。

──以下余談──

いまさらな話になるのですが、関東三十六不動のご朱印は、専用のご朱印帳(納経帳)があり、予め浄書してあるものを差し込みするタイプですが、千葉のお寺さんは、ひとつひとつ墨書きしてくださいました。と、いうより、浄書されたものをいただいたのは、数えるほどもなく、殆どが新しく墨書きしてくださいました。

通常ならば、一年から一年半かかると謂われている、関東三十六不動尊の巡礼ですが、わずか一か月で結願させたのには、個人的な理由がありました。ここではその理由は書きませんが、どうしても年内中に巡りたかったのです。

巡礼期間中も、不純な煩悩に悩まされ、私生活を正していこうと気にかけるも、そうそう簡単に改善できたり、煩悩を祓うことはできない。できないが、意識するきっかけにはなった。

今までは、きっかけすら掴めていなかったが、視野が少しずつ広がってきていたのでしょう。これだけでも大成果です。二巡目は何年後になるか分かりませんが、その時がくるまでには、また違った自分が存在していることを愉しみにしております。

文中、せっかくお寺さんをピックアップして書いているのに、お寺さんのことを殆ど触れなかったのは失敗。反省点として、次回からの懺悔道中膝栗毛は、内容を見直していきます。

結願後の脱力感はものはすごく、しばらく巡礼はおろか、お寺に足を運んで参拝することもしませんでした。新年を迎え、やっと次の巡礼を決め、先日、江戸三十三観音を、浅草寺にて発願いたしました。

江戸三十三観音では、もともと嗜んでいた、東京下町の歴史を辿りながら、ゆっくりと巡礼していこうと決めております。

【べちおサマンサ】pipelinehot@yokohama.email.ne.jp

NDA拘束員であり、本当の横浜を探しているヒト。ぶら撮り散歩師。愛機はD90とGRD4。全国寺社巡りで、過去の懺悔道中をしております。

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○次回、次々回は、ちょいと野暮用のためお休みさせていただきます。