[3876] 「はたらく」ということ 〜私が会社をやめた理由(3)

投稿:  著者:  読了時間:24分(本文:約11,600文字)


《新たな黒船がやってきた》

■ライル島の彼方[07]
 「はたらく」ということ 〜私が会社をやめた理由(3)〜
 薬師寺 聖

■クリエイター手抜きプロジェクト[420]スマートフォン編
 Firefox携帯 アプリ作って公開してみる(2)
 古籏一浩

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■ライル島の彼方[07]
「はたらく」ということ 〜私が会社をやめた理由(3)〜

薬師寺 聖
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20150323140200.html >
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●Microsoft & Adobe、制作環境列強時代の萌芽

(前回からの続き)
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20150223140200.html >

勤務先では、手作業からDTPへの移行が始まった。外注の写植業者は窮状を訴えた。が、アナログからデジタルへと、産業構造そのものが変わろうとしていた。複数の Power Mac(7600、8100)と、Quark Express、Illustrator、Photoshopが導入された。

この選択に、筆者は、ひとつの疑問を持った。

Macはユーザーフレンドリーだった。いや、あまりにも、ユーザーフレンドリーすぎた。

計算機臭を感じさせないブラックボックスは、不具合が生じると、エラーコードを吐き出さず、バクダンの絵を表示する。納期に追われるデザイナーたちは、原因を追求するよりも、対症療法で回避する術を身に付けてしまう。

Mac版のソフトだけを使い続けたら、デザイナーたちはMacのユーザーインタフェースに過剰適応してしまうのではないか?

将来的には、Windowsマシンで蓄積された業務用データと連携する広告宣伝物が増え、デザイナーもWindowsを使わざるをえなくなる。そのとき、武骨なWindowsに抵抗感を持ちやしないだろうか。

すこしだけ、Windowsに触れる機会を残したほうがいいのではないか?

Mac版IllustratorとPhotoshop をメインに使い、Mac版Quark Expressではなく、Windows版Aldus PageMakerを採用する方法をとるべきではないのか?

なぜなら、将来、Windows DTP「も」使うことになったとき、デザイナーたちが Quark Expressを使うことはないと思ったから。

QuarkよりPageMakerを選ぶ道の方に将来性がある───筆者は社長に、そう一言つぶやいた。

もっとも、客観的な根拠となる情報を持ち合わせてはいなかったから、つぶやいたところで説得力はない、と分かってはいたけれど。

その後、AdobeはAldusを吸収し、Aldus PageMaker は、Adobe PageMakerとなった。今では、Adobe InDesignが DTPソフトのデファクトスタンダードとなり、Windows版InDesignを使うデザイナーたちも多い。

●インターネット時代のビジネスモデルへのシフト

そのころ、海の向こうでは、Windows 95がソフトウェア市場を変え始めていた。

筆者の常駐先のCADベンダーでも、主力ソフトの Windows 95 /NT 4.0 対応が、急ピッチで進められていた。MS-DOS版は、全国のファブやゼネコン、官公庁にも導入されて、順風満帆。社員の誰もが、Windows対応を待ちわびていた。

もちろん筆者もだ。ベータ版が完成し、技術カタログを企画し始めた時には、長い冬眠から覚めた動物のように、小躍りしたものだ。

ところが、"黒船" Auto CADを阻んでいたところへ、新たな黒船がやってきた。「インターネット」である。またたく間に、アクセスポイントが増え始めた。

それは、PC同士がつながる便利な未来というよりも、手間暇かけた仕事の成果を低価格化、ひいては無償化してしまう危険性を孕んでいた。

顧客の希望を吸い上げて丁寧に開発し、開発コストを回収可能な価格で販売する。顧客が無理なく費用負担できる期間を経て、バージョンアップを繰り返す。営業部員はユーザーと良好な関係を保ち、電話サポートだけでなく、随時訪問をして、現場の要望を傾聴する。

インターネットの普及は、そういった当時のソフトウェア業界標準のビジネスモデルが成立しなくなることを意味していた。

どのベンダーにも、異なる営業手法(たとえば、安価な初期費用で使用権を与え、月会費でランニングコストを回収するというビジネスモデル)がもとめられ始めていた。

常駐先のシステム管理者とネットワーク管理者は、インターネットが普及すれば、メディア渡しよりもダウンロード販売への要望が高まり、低価格化を避けられなくなる、と予測した。

筆者は、彼らの発言を聞いて、ダウンロード販売は避けられないのだなと理解した。なぜなら、彼らの判断には、技術情報だけでなく、ヒトの「直感」が関わっていると感じたから。

しかし、ダウンロード販売の開始は、ベンダーにとって営業方針の転換を迫る一大テーマであった。

だからこそ、一朝一夕に結論を出すのではなく、入念な検討が必要だ、というのが標準的な考えかたなのかもしれない。

販売方法が定まらなければ、広告宣伝方針も定まらない。多面的な検討がなされているあいだ、筆者は広告宣伝業務を保留にして、勤務先に戻った。

待たなければならないときと、待っていてはだめなときがある。検討なんてしていたら間に合わない。

社会情勢が変わるときは、徐々に動いたりしない。一気に動くのだ。その速度に合わせて、死にものぐるいで変わろうとしなければ、取り残されてしまう。

もし、ダウンロード販売が即決して、すぐにでも準備に追われるようになっていたなら、筆者は常駐先にとどまり続けていただろう。

わずかなタイミングのズレによって、人生は異なる方向へ転がっていくものだ。

●Windows+Internet Explorer時代の幕開け

1996年、夏の終わり。市内にアクセスポイントが開設され、勤務先では、DTP用のMacからインターネットに接続できる環境が整った。

そこで筆者は、インターネットを事業化できればと考え、勤務先のWebサイト制作に着手した。ただし、会社案内のWebサイトではない。

当時勤務先では、Mac DTPによるフリーペーパーを発刊しており、地元の企業や商店の情報が集約され始めていた。

印刷媒体のフリーペーパーと連動するWebサイトを作ろうと考えたのだ。インターネット版地域情報誌、いわゆる地域ポータルである。

顧客の企業や商品の情報を、地域の不特定多数のインターネットユーザーに向けて発信する。

企業の認知度は向上し、就職希望者は増え、地産地消も増え、企業や商店間の情報交換が始まり、異業種交流が活性化するのではないか。

同僚たちには、それぞれの顧客に対し、インターネットの将来性を説明して、公開可能な情報を提供してもらう必要がある。

そして筆者は、アクセスの多いサイトを制作しなければならない。

情報収集と制作技術。どちらが欠けても、インターネットの事業化は頓挫する。

同僚たちは、顧客との打ち合わせのついでにWebサイトの話を持ちだした。筆者は、ひとりで、Webサイトを作り始めた。

インターネット黎明期、ユーザーの多くは、Web制作技術に関心を持つ者──ネットビジネスに目ざとい経営者、ITエンジニア、趣味のホームページ制作者──だった。

画像を貼ってテキストをCenter揃えにしただけのWebサイトが少なくないなか、彼らの注目を集めるには、コンテンツよりも、技術。動的な仕掛けが必要だ。

当時主流だった検索エンジン「Yahoo!Japan」の使用技術別カテゴリに、ベンダーの次に登録されるぐらいの意気込みで、新しい技術を積極的に採用しなければならない。

当時の「Yahoo!Japan」は、登録申請されたWebサイトの内容を「人が」確認して、審査を通過したサイトだけを手動で分類して登録していたので、その上位に掲載されれば、アクセス数を期待できたのである。

試行錯誤が始まった。

bingもGoogleもない時代、「量より質」のYahoo!Japanの情報は限られている。それ以前に、Webサイトの絶対数が少ない。

なにより、当時の接続環境は従量制だったため、まだ利益を出していない事業に事務所の電話代を使うことがはばかられ、検索に時間をかけられない。

個人でPCを購入してNTTと契約したが、襖や障子が邪魔をしてモジュラーケーブルが無駄に長くなり、接続状況が悪く、検索どころではない。

書店に足を運ぶも、地方である。これといった書籍は見当たらない。質問できる先達もいない。

人件費を考えると、短期間で制作しなければならない。筆者の信条には反するが、「とりあえず動くものを作り、理論は後で学ぶ」を実践した。

ブラウザやプラグインを公開している海外ベンダーとサードパーティーのWebサイトのソースコードを読み、表示の共通点を見出す方法で、基本的なHTMLを習得した。

デザイン事務所であるから、画像制作には何の問題もない。企業ビデオを手掛けていた同僚たちも、素材制作に協力してくれた。

ビデオカメラマンは、撮影スキルを駆使して、環境音を録音してきてくれたし、フォトグラファは、トップページ用に、3D風のイラスト素材を作ってくれた。YAMAHA CS1Xで演奏した音を付けて、ムービーに仕立てた。

サイトのテーマ曲となるmidiは自作した。

音楽関係の雑誌を片端からあたり、DTMマガジンの存在を知り、その情報だけを頼りに、なけなしの貯金をはたいて、個人でシステムを購入した。当時のmidiの二大規格、GSとXGでは、GSの方がやや優勢だったが、筆者はYAMAHAに将来性を感じたので、YAMAHAのXGを選んだ。

流行も加味した。日記が流行の兆しをみせていたので、日替わりの技術コラムを書くことにした。レイヤーなしのPhotoshop leでイラストを直接描いて、フリーソフトでGIFアニメも作成した。

ある日、DTPデザインに使っていた Mac版のPhotoshopに、英語版Acrobat Distillerトライアルが付属していることに気付いた。自宅でベジタリアン料理を作って撮影し、英語のレシピページを作った。

動的、といっても、制作者が用意した動きを見せるだけでは面白くない。イン
タラクティブなものにすべく、VRMLを採用した。

プラグインのデモについていたWorldファイルのコードを、メモ帳で開いて読み、意味を考えた。手作業で平面図からテクニカルイラストを起こしていた前職の経験が役立った。

そして、誰でも閲覧できなければならない企業や商店の情報は、静的なHTMLとして、環境依存を避けたが、プラグインの必要な大半のコンテンツは、Active X オートインストールに対応させた。

Active Xを動作させるには、ブラウザは、Wimdows版 Microsoft Internet Explorer3.0でなければならなかった。

それは、当時圧倒的シェアを誇っていた、Netscape Navigatorに背を向けることにほかならなかった。

しかし、筆者は、Active Xに感じる大きな可能性を、無視することができなかった。Microsoft のWeb技術は、業務システムから遊離しておらず、将来的なインターネット利用の社会システムを包括的に見据えているという点で、別格だったからだ。

勤務先の環境は、Mac+Netscape navigator2.0だった。そのため、筆者はDTM用には、Macではなく、FMV DESKOWER SE(Windows 95)を購入したのだった。

勤務先では、MacのSimpleTextを使い、自宅では、Windowsのメモ帳を使って、HTMLやプラグインのコードを書いた。改行コードの互換性のなさにうんざりしながら。

Internet Explorer 3.0 は、完全ではなかったもののCSSに対応していたから、できるだけ構造とデータと表現を分離した。Netscape Navigatorは、CSSには非対応だった。両方に対応するため、HTML3.2とインラインCSSを併記した。

1996年10月1日。地域ポータルサイトの原型となるオンラインマガジンを公開した。

●直感のディスコミュニケーション───ズレ始めたベクトル

筆者は、数年先には、Mac+Netscape Navigatorではなく、Windows+Internet Explorerの時代が来ると確信していた。そして、勤務先でもそう説いていた。

だが、当時のIEの「悲惨な」シェアの前には、説得力も何もあったものではなかった。IEユーザーというだけで、異端だったのだ。

DTPでの設備選びと同じ問題が再燃した。

「ディスコミュニケーション」といってしまえば、それまでである。

当時は、Windows環境でインターネットビジネスを推進しなければならない理由が、なぜ伝わらないのか? と悩んでいた。

が、後に、多くの本や記事を書き、読者への伝達方法を試行錯誤するようになって、当時の自分の伝達方法にはいたらない部分があったことに気付き、大いに反省することとなった。

情報を受信しない相手に非があるわけではない。「社長にも同僚たちにも、申し訳ないことをしたのではないか」と、心から思ったものだ。

ところが、脳科学の情報がたやすく入手できるようになった今では、情報の発信者である自分にも、非があったわけではない、どちらも悪くなかった、仕方なかったのだ、という気がしている。

おそらく、筆者は、標準よりも、怖がりなのだ。未来の現象を恐れている。だから、未来から現在を見る。

避けられない未来があるなら、できるだけ早くポイントを切り替えて、軽傷で済む道を探った方がいい、と考えてしまう。

その切迫感を、怖がりではない人たちに、伝えることは難しい。

多くの事件や事故で、兆候を訴える人たちの声が見過ごされて犠牲者が出る状況に、似ているかもしれない。

個体の内側に発生する知覚を、いかにして他の個体に伝達するか?

これは、筆者だけでなく、上司や取引先に企画や提案を通したいサラリーマン誰にでも共通するテーマであろう。

将来的には、個体の感覚の自信度を数値化でき、「自信のほど」を伝えることは可能になる。

だが、その感覚が、「脳内情報の誤った連携による妄想」なのか、クロックする計算機には不可能な(というよりも、不可能であってほしいと筆者が願っている)「ヒトならではの時間にとらわれない気付き」なのか、正しく判別することは、30年後でも実現しない。

もっとも、ヒトか計算機か、という区別は、現在の議論のネタとして有効なだけであり、グレーゾーンの存在が増えるにつれ、ナンセンスでしかなくなるのだけれども。

選びとるべき未来にのみ視線を向けて、恐れずに伝え、躊躇せず行動すること。

企業内でもフリーランス同士でも、協働するうえで、これは最も難しいテーマである。

今なお筆者はその答えを見つけられていない。

(次回に続く)

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◆Productivity Future Vision
< http://www.microsoft.com/enterprise/productivityvision/default.aspx#fbid= >

◆Windows 10、今夏いよいよ!!
Windows 10 Launching This Summer in 190 Countries and 111 Languages
< http://blogs.windows.com/bloggingwindows/2015/03/17/windows-10-launching-this-summer-in-190-countries-and-111-languages/ >

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【薬師寺聖/個人事業所 セイザインデザイン】
個人事業所 < http://www.seindesign.net/ >
ブログ < http://blogs.itmedia.co.jp/seindesign/ >

絵を描き、詩を書き、曲を書き、文を書き、企画書と仕様書を書き、コードを書く、在野の思索家。科学・医療・福祉分野のXML案件を手掛ける傍ら、XML資格試験の初発本など、書籍や連載を多数執筆(主にPROJECT KySS名義)。現在は、受託業務から独自発信にシフト中。Microsoft MVP for Client Development(Oct 2003-Sep 2015)


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■クリエイター手抜きプロジェクト[420]スマートフォン編
Firefox携帯 アプリ作って公開してみる(2)

古籏一浩
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20150323140100.html >
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前回に続いて、Firefox OSを搭載した携帯Fx0のアプリを作って公開するまでについて書いていきます。とりあえず、現時点でのFx0についてのサンプルなどは以下のページに掲載してあります。

・Firefox OS(Fx0端末)Webアプリ開発辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/Firefox_OS/fx0/ >

また、現在公開中のアプリは以下の通りです。他にもゲームとか作りたいところですが、それは気が向いたらということで。

・Simple Fast GoogleMap
< https://marketplace.firefox.com/app/simple-fast-googlemap >

アプリを開発しているとトラブルに見舞われることがあります。特に持っている人も少なく情報も少ないFx0では、何かトラブルがあっても自己解決するというのが基本です。

というのも、検索しても何も情報が得られないことが多々あるためです。しかし、開発中に遭遇したトラブルで一番困ったのが、以下のページにも書かれている現象です。

・fx0 LGL25 ホーム画面にアイコンがまったく表示されない
< http://csqa.kddi.com/posts/view/qid/1501020119 >

Q&Aに載るくらいなので、かなり多くのユーザーが遭遇している現象のようです。私もすでに二回も、このような何も表示されない現象に見舞われました。この場合、解決方法は以下のようになります。

(1)ロックされている場合はロックを解除する

(2)一番上にある通知バーを下にドラッグする(これはなぜか表示される)

(3)一番下の設定項目を左にスワイプする

(4)一番右にある設定ボタン(歯車アイコン)をタッチする

(5)真っ白(か真っ黒)の状態で下から上にスワイプする。スワイプできなくなるまで行う。

(6)上下の中央部分をタッチする(端末情報の項目がタッチされる)

(7)スワイプせずに一番下(画面下の5mmくらい)をタッチする。これが端末リセットになる。

(8)「リセット」ボタンをタッチする。もし、この時点でも「リセット」ボンが見えない場合は画面右側で下から1cmくらいをタッチする。

当初、これはauに持ち込んで直してもらわないといけないかと思いましたが、上記の方法で解決できます。Firefox OSのバグなのか、Fx0端末特有のバグなのか分かりませんが、アップデートで修正してほしいところです。

そうでないと、自分で開発したアプリが原因かと思ってしまいます。最初は開発中に遭遇したため、自作したアプリの何かがまずかったのかと考えてしまいました。

開発時のトラブルとしては、他にもHTMLファイルを修正しリロードしても正常に動作しない場合があります。多少面倒でもFx0でアプリを削除してから、サイドインストールして動作確認する方が確実です。

さて、今回の本題はFirefox Marketplaceに登録して公開されるまででした。まず、最初にアカウントを登録します。アカウントの登録は以下の手順で行います。特に難しいことはないでしょう。

・アカウントの登録
< http://www.openspc2.org/reibun/Firefox_OS/fx0/Marketplace/0001/ >

次にアプリを登録します。Fx0の場合は、Firefox OS用として登録します。登録するアプリはHTML、CSS、JavaScriptとmanifest.webappファイルを選択しZIP圧縮しておきます。間違ってHTMLファイルやmanifest.webappファイルなどが入ったフォルダごとZIP圧縮するとエラーで処理されません。

ZIP圧縮したアプリをアップロードすると、自動的に検証が行われます。多少の警告があっても致命的でなければ、そのまま次に進みます。最低動作条件やスクリーンショットなどを入力します。

次にコンテンツレーティングの証明書を作成します。これは15歳以上とか18歳以上が対象であるといった、アプリに関する情報を証明することになります。

コンテンツレーティングの設定は英語になっています。英語が分からない場合は、翻訳サイトなどを駆使してどうにかします。コンテンツレーティングの証明書の作成が終われば、あとは審査待ちになります。

どのくらいのアプリが審査待ちなのかは、管理ページで分かります。二〜三日で登録されることもありますし、一週間ほどかかる場合もあります。

無事にアプリが公開されると、あとはどのくらいダウンロードされたかを見ることができます。ここらへんはAndroidやiOSアプリと似たようなものです。

Firefox OSはユーザーが多くないので、3桁いけば御の字かもしれません。まあ、それもアプリ次第と言えます。問題はiOSやAndroid並のパフォーマンスをFirefoxでは実現できないことです。

いかんせん遅いので、よほど工夫しないとiPhone 3G並に低速になってしまいます。また、コンパスを利用したアプリは無理です。開発者ページにはコンパスに関するサンプルコードがありますが、本当のコンパスではないので期待とは違う結果になります(このため、iPhoneは途中で自前でAPIを用意)。

Firefox OSのライバルはiPhoneでもAndroidでもなく、組み込み用のnode.jsなどIoTに関する機器なのかもしれません。が、こちらも、なかなか難しい感じがします。とはいえ、Web技術を使って手軽にアプリを作れるのは、やはりメリットかなあと思います。


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
< http://www.openspc2.org/ >

ゲームとなるとサウンドは欠かせません。が、Fx0でHTML5 Audioを使うと結構遅い。ということでWeb Audio APIを使ってみたのですが、端末速度が遅くて音がぶつ切れに。いろいろ問題がある端末ですが、まあそれも楽しむという感じです。何にしても自作派で自力解決できる自信があるなら、Fx0は楽しめると思います。

・Adobe JavaScriptリファレンス
< http://www.amazon.co.jp/dp/B00FZEK6J6/ >

・Illustrator自動化基本編
< http://www.amazon.co.jp/dp/B00R5MZ1PA >

・ExtendScript Toolkit(ESTK)基本編
< http://www.amazon.co.jp/dp/B00JUBQKKY/ >

・データビジュアライゼーションのためのD3.js徹底入門
< http://www.amazon.co.jp/dp/4797368861 >

・4K/ハイビジョン映像素材集
< http://www.openspc2.org/HDTV/ >

・JavaScript逆引きハンドブック
< http://www.amazon.co.jp/dp/4863541082 >

・クリエイター手抜きプロジェクト
< http://www.openspc2.org/projectX/ >


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編集後記(03/23)

●先週末、またまた古い映画DVDを見てしまった。「百万長者と結婚する方法」と「日の名残」である。「百万長者と結婚する法」は1953年のアメリカ映画、って62年も前である。マリリン・モンローは1962年に36歳で亡くなっている。東京オリンピックの時にはすでにいなかったのだ。もっと時代が近い人かと思っていた。この映画は三人の美人モデルが百万長者と結婚するために、最高級のアパートに巣を張って金持ちハンティングに励むコメディだ。三人それぞれのロマンスが描かれるが、中心はバツイチで金持ちとの再婚に執念を燃やすゴージャスな女、ローレン・バコール(名前だけは知っていた)である。

お目当てのマリリン・モンローは、ど近眼で眼鏡をかけないとほとんど見えないという設定で、ドジで間抜けなキャラを演じてとてもかわいいが、準主役だから出番が多くないのが残念だった。もう一人のベティ・グレイブルは美貌も演技もイマイチであまり印象に残らない。三者三様の恋のかけひきはけっこう面白いが、とにかく愛情ではなく金が目当てという女たちには、当然ながら共感は覚えない。とはいえ、わかりやすいロマンスのパターンのひとつなのだから文句を言っても野暮である。口に出して「愛してる」を言わねばならないアメリカ映画のお約束(ホントうんざりする)よりずっと気持ちがいい。

「日の名残」は1993年のイギリス映画、22年前にカズオ・イシグロの同名の小説を映画化した文芸的な作品だ。英国貴族邸のきわめて優秀、忠実な執事が主人公で、アンソニー・ホプキンスがじつにいい味を出している。主人のためには自分の感情を殺して尽くす、プロに徹した完璧な仕事ぶりは崇高さが漂う。これが様式美というのか。彼が信頼する女中頭はエマ・トンプソン、額に皺を寄せる表情さえも理知的で美しい。彼は彼女に友情以上のものを感じているし、彼女の方もそうらしい。ああ不器用な中年男の言動がじれったい。仕事に忠実はわかるが、もっと自分に忠実にあるべきだろう。でも、彼を理解できる。

自分の気持ちをどうしても表に出せずに職務に逃げ込む男と、気丈だが自分からは言い出せずに待つ女と。どっちもどっちである。この二人が接触し会話するシーンにはハラハラする。結局、彼女は待ちきれず、あてつけのように他の男と結婚することになり、それを彼に告げた後に部屋で泣き崩れる。彼は上等なワインを手に彼女の部屋に入る。その後の言動に期待したが、なんということだ。最後のチャンスさえ執事の仮面をはずせない。それから長い月日が経ち、新しい主人に仕えることになった彼は、休暇をもらって彼女を訪ねるが...。結末までも苦い。たまにはこういう渋い映画もいいものだ。たまには。(柴田)


●hammer.mule の編集後記はしばらくお休みします