ネタを訪ねて三万歩[122]五つの大学への出講が始まって/海津ヨシノリ

投稿:  著者:  読了時間:9分(本文:約4,100文字)



今年の新学期は、突然五つの大学への出講となってしまいましたので、さすがに怒濤の毎日です。いや、正確には、新任の大学は事前にとても丁寧に流れを説明して貰っていましたので混乱はなかったのですが、いかんせん五つの大学の環境があまりにも違うのに、戸惑うオジサンという感じですね。

多くは慣れていないことから来る緊張なのでしょうが、プチパニックでオロオロしている時間もないまま、何となくスタートしました。

一番の問題はタイムスケジュール管理。電車乗り換えのタイミングを早く掴まないと、授業に支障が出てしまいます。とにかく、普段使わない路線は、ちょっとした旅の感覚に切り替えていつも楽しんでいますが、自宅を出る時間に注意しないと遅刻の心配が出て来てしまいます。

ちなみに駅まで歩いたらどうなるか? という好奇心はいつも旺盛で、多摩美術大学上野毛から自宅までは徒歩一時間半。工芸大学厚木キャンパスから本厚木駅までは、徒歩一時間半。

跡見学園女子大学へのバスは新座駅と志木駅から出ていますが、新座駅から志木駅は、徒歩五十分でした。

二時間以内の徒歩は私にとっては苦にならないのです。むしろ時々街中を徘徊することを日課としている私にとっては、目に入るモノが色々と新鮮でとても楽しい時間になっています。もちろん毎回徒歩しているわけではありません。

とにかく今までにない混乱からか、一回目の授業での痛恨のミスを連発してしまいました。まず出席を取らずに終了してしまった授業。出席カードを忘れて、他校の出席カードを使ってしまった授業。

突然の教室変更を聞かされていなかったので、冒頭に暫くオロオロしてしまった授業。話さなくてはいけない内容を忘れて終了してしまった授業。ICT機器の接続を間違えたことに気が付かずにスタートさせてしまった授業。落ち着かないとダメですね。まっ、これはいつもの私への戒めなのだと感じています。




ここで注意しなくてはならないのは、五つの大学での授業は全く違う内容なので、私自身が混乱しないこと。もちろん予習は欠かせません。講師が予習だなんておかしいかも知れませんが、これはセミナーでも同様です。段取りをチェックせずに臨めば、確実に失敗してしまいます。

ですから、この予習の時間の捻出がとても難しいのですが、移動時間中に電車の中でiPadに仕込んだPDFを読むだけでも随分違います。しかし、それが意外と難しいですね。混雑している場合は迷惑になりますので。

しかし、キャリーにPCを入れて移動するコトもあるのですが、あまりにもお粗末な、鉄道のエスカレーター不足には閉口してしまいます。特に下りのエスカレーターの導入率の低さは驚きです。お年寄りは下りの方がキツイのです。

私はまだその域には達していませんが、キャリーを持ち歩くときはさすがに階段は辛いです。特に都営大江戸線は一番深い位置を走っているので、当然上り下りは苦痛を伴います。

そろそろiPadでの授業に変更した方が良いのでは? とアドバイスを受けますが、データ互換がそんなに簡単ではないので、苦痛を敢えて選択しているのが実情です。あくまでも学生のための授業ですから......。

結果として、とても不思議なコトに、自宅から一番遠くの大学への移動効率(一時間あたりの移動距離)が一番良く、近い大学への移動効率が極端に悪いという逆転現象が発生してしまいます。なんだか笑うしかない現実に呆然といったところです。もちろん愚痴を言っている暇はありません。

そんな状況下でも、新しい学生と遭遇することはとても新鮮で贅沢な縁だと感じています。そして、この新鮮な気持ちを永続させることがとても大切ですね。ブレずに粛々と続けることはとても難しいことであり、大切なことだと感じています。

特に今年は一年生との関わりが多くなっていることも、新鮮な気持ちに拍車が掛かっています。なんと言ってもつい一か月前までは高校生だったわけですから、かなり贅沢な瞬間を体験しているコトになったのかもしれません。

大切なことは縁が引き金であり、更に新たな縁を増幅させます。縁は新しい縁を生み出し、どんどん増幅するということ。だから出会いはとても大切ですね。

そう考えると、三月に行った大阪でのセミナーは私にとって久しぶりの大収穫でした。とにかく参加者にとても恵まれ、大変有意義に展開することができたからです。名付けて大阪春場所。そして、八月には大阪夏場所の開催も決まりました。今からネタの整理に入っているところです。

ところで、関西といえば、デジクリでも有名な笠居トシヒロさんと数年ぶりに盃を交わすことができて、大阪春場所は大盛り上がりのうちに終了しました。笠居さんとは二十年来の友人です。旧友との語らいは時間の流れが逆行するので本当に楽しいひと時でした。笠居さん、本当にありがとうございました。また盛り上がりましょう。

最後に、翌日の朝に雨が降って、濡れ鼠になってしまったことはご愛嬌だったかもしれません。どちらにしても、リクエストいただければ何処へでも出掛けますので、お気軽に声を掛けてください。

そうそう、思い出しました。セミナー後の懇談会で多くの方と知り合えたのも素敵なご褒美でした。更に嬉しいことは、東京から駆けつけて下さった方が三人もいたことに、驚きと感謝で頭が下がる思いでした。本当にありがとうございました。

ところで、意表を突いた折り紙は私にとっては実験でしたが、成功であったと感じています。大学、特に多摩美術大学造形表現学部で行っている授業内容は、意外とネタになることを確信しました。

セミナーといえば、月例セミナーも気がつけば今月で四回目。本当に時間の進むスピードは加速していますね。早めにネタを整理するようにしないと土壇場で曖昧な事をしてしまいそうです。

もちろんそんなことにならないように、前倒しで予定を埋める習慣が自然と私の中で生まれてきました。このリズムが早く軌道に乗るように精進したいと感じています。

現在はIllustratorとPhotoshopを隔月ごとのテーマとしていますが、それ以外のツールも視野にいれています。日々新しいツールがリリースされていますので、私なりの使い方をそろそろ整理してみたいと感じています。具体的なツール名は取り敢えず今は内緒とさせて頂きます。

●今月のお気に入りミュージックと映画

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[Hurry Hurry]by Jessie Baylin in 2012(U.S.A)

アルバム "Little Spark" の冒頭の曲。初めて聞いたとき、そのフランス語のような響きがとても心地よく一回で気に入ってしまいました。この心地よいメロディーは時代を超える旋律になりそうですね。残念ながらCD等はインポートでしか手に入りません。もちろんゲットしました。
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[The Expendables 2]by Simon West in 2012(U.S.A)

邦題「エクスペンダブルズ2」。前作同様オールスターのお約束展開の映画ですが、荒唐無稽的な展開が逆に見ていて安心してしまいます。シリアスなドラマ&アクションも嫌いではありませんが、いつもそんなのばかりだと食傷してしまいますからね。

個人的にはマギー・チャン役のユー・ナンの演技が浮いていて、少々白け気味になりましたが、まっ自虐的なネタなど色々と各キャラクター特有のネタ満載で、アクション映画ファンには楽しい作品になっているはずです。まだ若いジェイソン・ステイサム演じるリー・クリスマスの、格闘シーンの鮮やかさは本当に舞踊をみているようです。暫くはこのシリーズは続きそうですね。

ところでアクションスターがそろい踏みの映画ですが、私はシルヴェスター・スタローンの代表作である「ロッキー」シリーズを全く見ていません。いや、単に格闘技が生理的に合わないだけなのですが、不思議なものでアクション映画はまったく抵抗がないです。自分でもこの不条理を論理的に説明出来ません。本当に不思議です。
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【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/
怪しいお菓子研究家

カオスと化している仕事部屋の中にあるモノのうち、本だけはどこに何があるかを把握しているつもりなのですが、どうしても見つからない本が一冊あります。誰かにその本を貸した記憶はありません。そもそも人に貸すことは基本的にしていません。

何だかんだで二か月ほど捜してみたのですが、さすがに捜し疲れて再購入しました。仕方がないですね。しかし、発行されて10年近く経っても中古品価格が下がらない本って、やはり名著なのでしょう。高くて焦りました。

そういえば私は誰かにモノを貸すことはほとんどしません。学生から社会人になったあたりの狭間で、カメラ3台、露出計1台、書籍20冊、LPレコード5枚ほどが戻らず、それらを持ち去った友人達と共に私の記憶から消えました。たまたま無神経なヒトが続いたのかも知れません。何とも嫌な思い出です。

そして、またそうなりたくないので「貸す」という文字を私の辞書から少しだけ消し去りました(少しと言っても95%ぐらいですが......)。まっ、いい加減な人を知ることが出来た授業料ですね。かなり高い授業料ですが......。

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